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ぷりぷり話。

駅前のバスターミナルに、帰省らしい母子連れを見た。

4、5歳の女の子2人、神妙に自分の荷物を持って、バス待ちの列に並んでいる。

かわいいな。かわいいだけじゃなく、何だかメルヘンチックな気分になる。

私にしては珍しいことだ。

なぜだろう、と考えて、ハッと思い当たった。洋服の色だ。

おねえちゃんは、袖の透けた、空色のワンピース

でぃずにーぷりんせす3

妹が、フリルのついたピンクのワンピース

でぃずにーぷりんせす4

そして、若いお母さんは、紺のブラウスに、黄色いフレアスカートをはいている。

でぃずにーぷりんせす2

まるでプリンセスが集まってるみたいなのだ。

でぃずにーぷりんせす

ご丁寧に、3人の後ろにトルコブルーのチュニックを着た茶髪のオバサンが並んでいるのを見つけて、思わず笑ってしまった。

でぃずにーぷりんせす5

ホンモノのプリンセスがいる、お城のある場所は、今日もさぞかし暑いことだろう。

街のプリンセスたちの横を早足で通り抜け、私は私の目的地へ急ぐ。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/07/21 11:30

はちわり話。

熱中症が話題に上ることが多い昨今。情報番組でも特集が組まれていた。

それによると、高齢者は若い人よりも注意が必要らしい。

体内の水分量が原因だ。

すいぶんりょう

子供は体重の8割が水だが、成人では6割から、さらに5割にまで減少する。

水分量が少ない高齢者ほど、重篤な脱水症状になりやすいのだという。

私も50代、6割から5割へ、水っけが減る途上にあるわけだ。

よりいっそう水分摂取に努めねば、と認識を新たにし、カバンに麦茶の水筒を入れて、家を出た。

駅のホームの人ごみをやり過ごし、車内の冷房で一息ついたのもつかの間、

ヒー!

聞くだに暑苦しい悲鳴が響いた。見れば2歳くらいの子供が、なにごとかゴネている。

あれは痛い苦しいという泣き声ではなく、親を困らせ、要求を通すため、挙げる声である。

私は人の子の親でありながら、子供、とくに理屈の通じない小さい子供がキライだ。

うるさいガキに出くわすと、表面は穏やかに装いつつ、内心は、ギューギューとっちめてやりたい気持ちと、つねに戦っている。

子供をあやす両親を、見守る風に視線を送りつつ、ふと思う。

コイツら8割が水だしなあ… しょーがねえなあ…

水じゃニンゲンの理屈も分かるまいし、聞き分けがなくてもしかたない。

むしろ、水のわりには頑張ってる、と言えなくもない。

そんなことを考えて、6割の水が煮え立ちそうな思いを、なんとか押さえた。



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/07/20 11:30

ぎもんの話。

特に何かした覚えはないのだが、最近ジャンクメールが増えた。

どこからかメルアドが漏れたらしい。

手を変え品を変え、しつっこく来るやつを、イライラしながら削除していたら、中にこんなのが。

たれながし

疑問に思いませんか?あなたの個人情報があちこちに垂れ流しになっている理由

思うよ、思うけどな。

お前が言うな!



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/07/19 11:30

どてにの話。

所用で名古屋に行った。

夜はお楽しみのビール。

酷暑の中、汗をダラダラ垂らして右往左往したのも、この1杯のためなのだ。

ご当地のグルメと言えば、手羽先に味噌カツエビフライと、ビールに合うものが多い。

よく注文するのがどて煮である。

どてに

牛スジと大根などを、豆味噌で長時間煮込んだものだ。

私は味噌煮込み上等!八丁味噌ラブ♥の、関西人の風上にも置けぬ人間で、このドロリ黒々とした煮込み具合を見ると、ワクワクする。

長時間煮込んだ牛スジはとろとろ、ダイコンは煮しまって、コク深い味噌の風味。色こそ濃いが、決してしょっぱいことは無い。

なじみの居酒屋のどて煮はおいしいのだが、1つだけ難がある。

それはひと皿の

あー、おいしかった、満足した!

と、感じるのには、ちょっと足りないのだ。

あー、おいしかった、もっと食べたい!

いつもそう思ってしまう。

かといって、おかわりしていいものかどうか。

煮込み料理は時間がかかる。なくなっても急いで作るというわけにはいかない。バカスカおかわりされたら、お店の人も心穏やかではないだろう。

そもそもの盛りが少なめなのも、限りある煮込みを、なるたけ多くの客に供したい、という心理が働いているのではないか。

それに、おいしいからといって何度も頼むなんて、ハシタナイじゃないか。

大好きなどて煮をめぐって、毎回躊躇し、心ならずも煩悶する。

できればあとひとサジ、最初の盛り付けを多くしてもらえれば、と思うが、言えない。



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2018/07/18 11:30

ゆかたの話。

わが街は国際的観光地であり、国内外の観光客が、我も我も(…はオオゲサか)と押し寄せる。

暑い盛りに、風通しの悪い盆地にわざわざ集まってくださり、ありがたい限りだ。

今の季節、よく見るのが、レンタルを利用した浴衣姿の観光客。

3千円ほどで浴衣と帯、ゲタに巾着まで借りられて、着付けてくれるのだから、異国情緒を味わいたい人にはうってつけだ。

しかし、これが盆地の空気をいっそう暑くする。

れんたるゆかた

客の好みに合わせてだろうか、この手のレンタルの品揃えは、ピンクや赤の暖色系がほとんど。

ぼてぼてのヘタな着付に、穿き慣れないゲタをひきずり、徒党を組んでぞろぞろと、歩く姿も暑苦しく、お気の毒としか言いようがない。

昔ながらの、清涼感溢れる白や藍を、なぜ勧めないのか疑問に思う。

そんな暑さの全面攻撃に顔をしかめながら駅前を歩いていたら、前方から珍しくも、涼やかな藍の浴衣をきりりと着こなした美人がやってきた。

いいねえ!

異国のオネーチャンたちに見せてやりたい、お手本のような粋な姿である。

どこに行くのかと思ったら、スイスイと私鉄の乗り場に降りていく。

そういえば今日は祇園祭、山鉾巡行。

美人は京都へと去り、この街には、ピンク浴衣の観光客の群れと、しかめ面のオバサンが残る。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/07/17 11:30

しかくい話。

今もふと浮かぶ、奇妙な記憶

祖父母の家は、裏手が山になっていた。

風呂は五右衛門風呂を改装したタイル張り。洗い場は広々として、湯気がこもらない作りで、冬は寒いが、夏はせいせいして気持ちが良い。

脱衣場で身体を拭いていると、山側の窓によくヤモリがへばりついていて、すりガラスを通して、指先の小さな吸盤まで、しげしげと眺めたものだ。

奇妙なのはそこからである。

ヤモリ観察に飽きて振り返れば、そこにはやはりタイル張りの洗面台がある。

周りから銀が腐食し始めた古々しい鏡に、白い四角が貼りついているのだ。

2つだったり、4つだったり、まれに6つのこともあったが、いずれにせよ偶数の四角が、キチンと2列に並んでいた。

あれはいったい何だったのだろう?タイルが鏡にくっつくはずはないし、数が増減するのも変だ。

記憶の焦点を合わせようとするのだが、モヤモヤと輪郭がはっきりしない。

半日考えあぐねて、思い余って母に電話した。

田舎の家でさ、鏡になんか白いの貼ってあったでしょ?あれって何だったの?

白いの?鏡に?そんなんあったっけ?

あったよお! 白くて、四角くて…

んー… あーあー! わかった! トクホン!

へ?トクホン?

トクホンよ! トクホンハップ! おじいさん腰が痛かったでしょ…

祖父は腰が悪かったので、始終シップを貼っていた。

風呂に入る時、そのシップをはがすのだが、なにしろ明治の人である。

まだ効き目があるシップは捨てず、風呂から上がって汗が引いたらもう一度使うのだ。

私が見たのは、はがされて待機中のシップだったのである。

ちょっぴりファンタジックな記憶が、一気にビンボ臭い話になってしまった。

でも、貼ったばっかしのシップなんか、ちょっと貼っとくといいかもしれない、と思ってしまったのは、ナイショである。

とくほん
(「貼って爽快 見た目に奇麗」)

急な出張のため、本日の記事は2016/07/21付の再掲載です。
昨日に続き「祖父が貼りつけた」シリーズとしてお読みください。




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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/07/16 11:30

てーぷの話。

通販の箱を止めてあったテープが、気持ちよく一気に剥がれた。

手に残ったテープを見れば、接着面が残っていて、まだ貼ることができそうだ。

ちょうど送る荷物とか、そこらにあればいいのにな、などと、再利用をつい考える。

母方の祖父の家にはホリゴタツがあった。

夏は布団無しのヤグラだけで、足を突っ込むとひんやりして気持ちいいのだ。

祖父はいつも、床を背にした定位置にいて、禿げ頭に畳んだ手拭をのせ、反故紙をコヨリで綴じた手製の帳面に、心覚えを書きつけている。

コタツの天板は普通の木の板だが、フチが不自然にふくらんでおり、触ると凸凹していた。

それは、もともとの板の縁ではなく、この禿げたジイサンが作り上げたものなのである。

例えばお中元に缶入りのクッキーが来る。

いずみやのくっきー
(昔はどこの家にも必ずあったこのカン)

祖父は止めてある粘着テープをぐるっと剥がすと、フタを開ける…のは後回しに、まずテープを丹念にコタツ板の周囲に巻き付けるのだ。

なぜそんなことをするのか、尋ねたことは無い。

何か封をすることがあったら、あとではがして使おう、という考えではなかったか。

しかし、祖父が何かテープで止めているところは見たことがない。巻きつけたテープは徐々に劣化し、ゴムのように黄色くなっていった。

祖父は亡く、祖母も世を去り、古家は毀たれた。

あのコタツ板もとうに土になったことだろうが、祖父の貧乏性は、私の中に根強く生きている。



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/07/15 11:30

おふろの話。

…1970年の大阪万博をテーマにした企画展が開催されます… 

テレビの画面に映ったそのモノに、長いこと忘れていたドキドキが、ふいに戻ってきた。

にんげんせんたくき

全自動入浴装置、いわゆる人間洗濯機

万博開催当初から話題となり、新聞雑誌にも掲載されていた、宇宙船のようなカプセル。中に座るだけで汚れを落とし、乾燥まで15分で入浴が完了するという画期的なキカイである。

私も楽しみにしていたが、同様の人は多く、展示があるサンヨー館は十重二十重の行列。

両親がここは混むからあきらめようと言い、ふだん聞き分けのいい私にしては珍しく、かなりゴテたのを覚えている。

そんなわけで実物を見ていないためか、人間洗濯機は私の夢のマシンなのだ。

身体の汚れを取るためなら、もっと他にマシな方法はないのか、と思っていた、風呂ギライの子供にとって、それはまさに希望だった。

いつか大人になれば、あれに入れるんだ

そう思った時、未来はあくまでも明るく、憧れに輝いていた。

しかし、それから50年近く経った今。

あいかわらず浴槽にダブダブ湯を貯め、デレデレと浸かり、タオルでモソモソ身体を拭いている。

憧れた未来は来なかった。

今も昔も風呂ギライの私が、サッサと入浴するようになれば、夏も本番である。

企画展「大阪万博 EXPO'70~よみがえる松下館と万博が描いた未来~」は、大阪府門真市のパナソニックミュージアムで、本日より9月1日まで。(→ パナソニックミュージアムHP



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むかしむかし | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/07/14 11:30

かしぱん話。

ムスメが泊まって、うちから会社に行く日。

きのう買っておいたパンの袋を開けて、ムスメが何か言っている。

ね~ね~ これ何のパン?

え?甘いのもしょっぱいのも、いろいろ買ってあるでしょ?

だからさ~ 甘いんだかしょっぱいんだか わかんないんだよ~

どれどれと見てみると

なぞのぱん
(現物は食べてしまったのでイメージ図)

あれー?こんなの買ったっけなあ…

パン屋でバスの時間を気にしながら、パパパと取ったせいか、ぜんぜん覚えがない。

うす黄色い生地にポチポチと茶色のハンテンが入った、細長いパンだが、不可解なのは、真ん中でくの字に曲がった形状だ。

この形、何だろ?

きっと意味があるんだろうけど 何にも似てないね~

食べてみたらわかるでしょ

ヤ~ダ~ 正体不明のパンなんか!

ムスメはチョコクロワッサンを食べ、コーヒーを飲んで、出勤してしまった。

謎のパンをお皿にのせ、しばらく眺めたが、あんまり食べたくない

コーヒーを飲み、茹で玉子を食べ、皿の上のパンをまた眺める。

見れば見るほどわからない。

洗濯機を回し、室内をざっと掃除して、戻ってきても、パンは卓上でじっとしている(当たり前だ)

その姿を見たら、なんだか急にイラッとして、パンをつかみ、立ったままムシャムシャ食べた。

ムスメにはその後

バナナでした。

と、LINEで報告したが、これじゃ意味不明だ、と思いなおし

パンのこと

と、付け加えておく。

ムスメは仕事中らしく、なかなか既読にならなかったけれど、夕方見てみたら

バナナでしたか。

と、返信が入っていた。

なぞのぱん
(美味しかったがどう見てもバナナではない)



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/07/13 11:30

じぇとろの話。

…県内初のジェトロ・日本貿易振興機構の事務所開設が決まりました…

夕方の地域ニュース。

…5人の職員が常駐し 海外54か国のジェトロの事務所と連携して 特産品の輸出や 企業の海外進出を支援します…

商都大阪に近く、古都商法で稼ぐ京都を横目で見ながら、商売下手でパッとしないわが県。

しかし、ようやくヤル気を出したらしい。

遅きに失すの感も否めないが、県民としてまずは喜ぼう。アナウンサーの表情も嬉しげだ。

…事務所の設置はことし11月で…

それにしても、ずいぶん先の話だな。

…全国の都道府県では46番目になります…

ふーん…え?46番目?都道府県っていくつ…。

ブービー賞かよ!

そんなもん、嬉しそうにニュースにすんな!

ちなみに、ジェトロの事務所が無い唯一の県は、埼玉だそうである。

ならけんないのにゅーす
(以上、奈良からお伝えいたしました)



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てれびじょん | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/07/12 11:30
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