みちづれ話。
そーいえばお盆休み、どうすんの?
出勤前、スマホとマグカップを手にギリギリまで粘っているムスメに聞いた。
あ~旅行… 切符とれたし~
ひとり?
うん
ムスメも大学の頃は友だちと一緒だったが、社会人になってからは、直前にグッと安くなる切符を狙って、1人で出かけている。
この正月にヨーロッパに行った時、友だちに
いまムスメが旅行に行ってるの~
と言ったら、
うっそー!一緒に行けばよかったのに~!
という返事が帰ってきた。彼女にもムスメと同年輩のお嬢さんがいるが、
アタシだったら お金出したげるとかなんとか言って、ゼッタイついていくわ!
と言うので、そうか、そういう考え方もあるか、と、ちょっとビックリした。
小さい頃は、旅行は連れて行くものだった。
少し大きくなると、ドコソコ行きたい?と、子供に意見を聞くようになり、やがて子供は、自分の行きたいところに勝手に行きはじめる。
家族旅行とはそうして終わっていくものだ、と、なんとなく思っていた。
それに、子供と雁首揃えて同じものを見たい、とは、私はあんまり思わないのである。
せっかくなら、ぜんぜん知らないところで、ぜんぜん知らない体験をして、ぜんぜん知らないものを見てきてほしい。
こんなとこ行ってね… こんなものがあってね…
旅の興奮冷めやらぬ子供から、はじめて聞いて驚かされるほうが、ずっと楽しいじゃないか。
お土産なんていらないから、楽しんでおいでね、と念を押して、ムスメを送り出した。

(行先はベトナムらしいがベトナムのどこかは知らない)

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出勤前、スマホとマグカップを手にギリギリまで粘っているムスメに聞いた。
あ~旅行… 切符とれたし~
ひとり?
うん
ムスメも大学の頃は友だちと一緒だったが、社会人になってからは、直前にグッと安くなる切符を狙って、1人で出かけている。
この正月にヨーロッパに行った時、友だちに
いまムスメが旅行に行ってるの~
と言ったら、
うっそー!一緒に行けばよかったのに~!
という返事が帰ってきた。彼女にもムスメと同年輩のお嬢さんがいるが、
アタシだったら お金出したげるとかなんとか言って、ゼッタイついていくわ!
と言うので、そうか、そういう考え方もあるか、と、ちょっとビックリした。
小さい頃は、旅行は連れて行くものだった。
少し大きくなると、ドコソコ行きたい?と、子供に意見を聞くようになり、やがて子供は、自分の行きたいところに勝手に行きはじめる。
家族旅行とはそうして終わっていくものだ、と、なんとなく思っていた。
それに、子供と雁首揃えて同じものを見たい、とは、私はあんまり思わないのである。
せっかくなら、ぜんぜん知らないところで、ぜんぜん知らない体験をして、ぜんぜん知らないものを見てきてほしい。
こんなとこ行ってね… こんなものがあってね…
旅の興奮冷めやらぬ子供から、はじめて聞いて驚かされるほうが、ずっと楽しいじゃないか。
お土産なんていらないから、楽しんでおいでね、と念を押して、ムスメを送り出した。

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したじの話。
あー、忘れた~!
月曜の朝。洗面所から声がする。週末帰ってきて、今日はうちから出勤するムスメだ。
見に行くと、鏡に向かってお化粧中だった。
私は年中スッピンだが、ムスメは絵心があるせいか、お化粧が上手い。
どうやら何か化粧品を忘れてきたらしい。
おか~さ~ん、ケショウシタジある~? …って聞くだけムダかあ~
化粧しない人間が化粧品を持ってるわけがない。
ないよ!ってかケショウシタジって何?
え~っ!?そこから?
悪かったな!
聞けば化粧下地というのは、化粧の前に塗る化粧品だという。

(このようなものらしい)
それがまず、わからない。
化粧品なら化粧じゃないのか、と思うが、違うとムスメは言うのである。
顔に色を付けるファンデーションの前に塗って、発色よく、崩れにくくしたり、日焼け止め効果のあるものもあるらしい。
ファンデーション自体を崩れにくくしたり、日焼け止めを混ぜたのではダメなのか?
私だって若い頃は化粧してたこともあるが、オボロゲな記憶をたどっても、ケショウシタジなんてものは無かった、と思う。
え~、うっそ~ 知らなかっただけじゃないの~
いや、無かった。習ったのだから間違いない。
はるか昔、私が若い頃には、高校3年生を対象に、化粧品メーカー主催の無料講習会というのがあった。
高卒就職も珍しくなかった時代。学校では禁止のお化粧を、お勤めになったら、毎日しなければならないから、ニーズがあったのだろう。
そんな講習会に出た私が知らないのだから、昔はきっと化粧下地なんて無かったのだ。
化粧品会社の広いフロアには、同じ年の知らない女の子がたくさん。
いくつかのテーブルに分かれ、カンペキに化粧した美容部員さんの指導のもと、髪をピンでとめ、クリームのつけかた、マッサージのしかた。
むせるように甘い濃い化粧品の匂い。
あと何を習ったのだろう。不思議に覚えていなくて、懸命に記憶をたどり、ハッと思い当たった。
嗅ぎ慣れない化粧品の匂いに当たった私は、途中で気分が悪くなったのである。
連れられた医務室には、化粧っ気のない看護婦さんがいて、優しく脈をとり、冷たい水をくれた。
私が抜けてから、ケショウシタジを塗りましょう、とレクチャーがあったんだろうか。
30年以上前のことだから、真相は分からない。

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月曜の朝。洗面所から声がする。週末帰ってきて、今日はうちから出勤するムスメだ。
見に行くと、鏡に向かってお化粧中だった。
私は年中スッピンだが、ムスメは絵心があるせいか、お化粧が上手い。
どうやら何か化粧品を忘れてきたらしい。
おか~さ~ん、ケショウシタジある~? …って聞くだけムダかあ~
化粧しない人間が化粧品を持ってるわけがない。
ないよ!ってかケショウシタジって何?
え~っ!?そこから?
悪かったな!
聞けば化粧下地というのは、化粧の前に塗る化粧品だという。

(このようなものらしい)
それがまず、わからない。
化粧品なら化粧じゃないのか、と思うが、違うとムスメは言うのである。
顔に色を付けるファンデーションの前に塗って、発色よく、崩れにくくしたり、日焼け止め効果のあるものもあるらしい。
ファンデーション自体を崩れにくくしたり、日焼け止めを混ぜたのではダメなのか?
私だって若い頃は化粧してたこともあるが、オボロゲな記憶をたどっても、ケショウシタジなんてものは無かった、と思う。
え~、うっそ~ 知らなかっただけじゃないの~
いや、無かった。習ったのだから間違いない。
はるか昔、私が若い頃には、高校3年生を対象に、化粧品メーカー主催の無料講習会というのがあった。
高卒就職も珍しくなかった時代。学校では禁止のお化粧を、お勤めになったら、毎日しなければならないから、ニーズがあったのだろう。
そんな講習会に出た私が知らないのだから、昔はきっと化粧下地なんて無かったのだ。
化粧品会社の広いフロアには、同じ年の知らない女の子がたくさん。
いくつかのテーブルに分かれ、カンペキに化粧した美容部員さんの指導のもと、髪をピンでとめ、クリームのつけかた、マッサージのしかた。
むせるように甘い濃い化粧品の匂い。
あと何を習ったのだろう。不思議に覚えていなくて、懸命に記憶をたどり、ハッと思い当たった。
嗅ぎ慣れない化粧品の匂いに当たった私は、途中で気分が悪くなったのである。
連れられた医務室には、化粧っ気のない看護婦さんがいて、優しく脈をとり、冷たい水をくれた。
私が抜けてから、ケショウシタジを塗りましょう、とレクチャーがあったんだろうか。
30年以上前のことだから、真相は分からない。

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うみみる話。
目が覚めたら、そこは知らない部屋だった。
そうだ、ここは海辺のホテル。
昨夜カーテンを閉めずに眠った部屋は、朝の光に満ちて、ベッドに身体を投げ出したまま
ああ、今日は、何もすることがない
満ち足りて、そう思った。
みじかい旅の楽しみは、なにもしないこと。
ゆるゆると起き上がり、窓を開ければ、そこには海が広がっている。
手すりにひじをついて海面を眺めれば、心はレンズが焦点を結ぶように収束し、ゼロに近づく。
若者は自分を探して旅に出るけれど、私はもう自分なんていらないのだ。
しだいに透明になるまなざし。
はるか水平線に白く波立つものを見つけた時、広がる海は盛り上がり、起ち上がり、見えないほど小さな点になった、私を包んだ。


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そうだ、ここは海辺のホテル。
昨夜カーテンを閉めずに眠った部屋は、朝の光に満ちて、ベッドに身体を投げ出したまま
ああ、今日は、何もすることがない
満ち足りて、そう思った。
みじかい旅の楽しみは、なにもしないこと。
ゆるゆると起き上がり、窓を開ければ、そこには海が広がっている。
手すりにひじをついて海面を眺めれば、心はレンズが焦点を結ぶように収束し、ゼロに近づく。
若者は自分を探して旅に出るけれど、私はもう自分なんていらないのだ。
しだいに透明になるまなざし。
はるか水平線に白く波立つものを見つけた時、広がる海は盛り上がり、起ち上がり、見えないほど小さな点になった、私を包んだ。


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あねごの話。
今日の宿は素敵なリゾート。
海を見て、プールで泳いで、あとはゆっくり過ごせばいいと、下調べなどは一切せずに来た。
送迎バスがホテルに近づくにつれ、これはヤバい、と気づく。
ゴハンどうしよう…
ホテルのレストランはお高いフレンチなので、夜はどこか外のお店で食べるつもりだった。
ところが、シャレたリゾートホテルの周辺には、シャレた店しかないのである。
1人で飲み食いするのは苦にならない。回転寿司も、焼肉屋も、居酒屋だって1人で入れる。
ただし、庶民的なお店に限り、なのだ。
ボーイ、ギャルソン、ウエイター、なんでもいいが、黒服のお給仕がつくような高級店では、オンナ1人はちょっとキツい。
ああ、こんな時、アネゴみたいにカッコいい女だったら…
アネゴとは、テレビドラマ「キイハンター」の登場人物。若い人には
紀伊半島?和歌山のドラマですか?
などと言われかねないが、秘密のエージェントが地球規模の悪と戦う、とんでもねーカッコいい、アクションドラマである。
カッコいいドラマの中で、さらにずば抜けてカッコいいのが、ノギワヨウコ演ずるアネゴだ。

格闘術と変装の達人。語学に堪能で数か国語を操る、もと諜報部員。
潜入捜査では、美貌をエサに敵をたぶらかすことも厭わない。
アクション映画に出てくる女といえば、無駄にチョロチョロして、すぐに悪の組織の人質になり、ヒーローに迷惑をかける邪魔者、と思っていた子供の私に、アネゴがどれほど輝いて見えたか。
あんなカッコいい女なら、どんなレストランでも、1人自由にふるまって、なおかつ黒服の給仕に丁重に扱われ、ステキな時間を過ごせるだろう。
しかし、残念ながらリアルの私はアネゴ感ゼロ、丸顔の平和なオバサンである。
1人高級店に入っても、まさかに放り出されることはあるまいが、目立たない隅の席に案内され、気の毒な人扱いされるのが関の山だ。
しかたない、バスで駅前まで、弁当でも買いに行くか。
まあ、現実なんちゃ、こういうもんである。

(フンパツした「海女めし弁当」おいしかったです)

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海を見て、プールで泳いで、あとはゆっくり過ごせばいいと、下調べなどは一切せずに来た。
送迎バスがホテルに近づくにつれ、これはヤバい、と気づく。
ゴハンどうしよう…
ホテルのレストランはお高いフレンチなので、夜はどこか外のお店で食べるつもりだった。
ところが、シャレたリゾートホテルの周辺には、シャレた店しかないのである。
1人で飲み食いするのは苦にならない。回転寿司も、焼肉屋も、居酒屋だって1人で入れる。
ただし、庶民的なお店に限り、なのだ。
ボーイ、ギャルソン、ウエイター、なんでもいいが、黒服のお給仕がつくような高級店では、オンナ1人はちょっとキツい。
ああ、こんな時、アネゴみたいにカッコいい女だったら…
アネゴとは、テレビドラマ「キイハンター」の登場人物。若い人には
紀伊半島?和歌山のドラマですか?
などと言われかねないが、秘密のエージェントが地球規模の悪と戦う、とんでもねーカッコいい、アクションドラマである。
カッコいいドラマの中で、さらにずば抜けてカッコいいのが、ノギワヨウコ演ずるアネゴだ。

格闘術と変装の達人。語学に堪能で数か国語を操る、もと諜報部員。
潜入捜査では、美貌をエサに敵をたぶらかすことも厭わない。
アクション映画に出てくる女といえば、無駄にチョロチョロして、すぐに悪の組織の人質になり、ヒーローに迷惑をかける邪魔者、と思っていた子供の私に、アネゴがどれほど輝いて見えたか。
あんなカッコいい女なら、どんなレストランでも、1人自由にふるまって、なおかつ黒服の給仕に丁重に扱われ、ステキな時間を過ごせるだろう。
しかし、残念ながらリアルの私はアネゴ感ゼロ、丸顔の平和なオバサンである。
1人高級店に入っても、まさかに放り出されることはあるまいが、目立たない隅の席に案内され、気の毒な人扱いされるのが関の山だ。
しかたない、バスで駅前まで、弁当でも買いに行くか。
まあ、現実なんちゃ、こういうもんである。

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ともだち話。

海へ向かう私鉄の観光特急。
夏休みに入ったばかりの平日、料金高めの特別列車だからか、子ども連れはいない。
高齢者のグループ旅行が大半を占める中、対面シートに陣取った4人の女性客は、40ソコソコといったところ。
それぞれにオシャレで、お金もありそうな、知的な雰囲気。いわゆる意識高い系ってやつだ。
友だちと旅行、楽しそう、と最初は思った。
久しぶりの再会なのか、興奮してちょっと高くなった声が、通路越しに耳に入ってしまう。
4人は有名お嬢様学校のクラスメートらしい。
…ウチのお手伝いさんが…
…別荘の…
など、けっこうなお金持ちワードの数々。
…アチラでは…
海外在住をさりげなく披露する「アチラ」も飛び出した。
気づくと、これら自慢ワードを繰り出しているのは、4人の中の1人がほとんどで、他の3人は
そうねー
ほんとねー
同調の相槌と、笑い声を立てるのみ。
合間に1人がふと通路のほうを向き、真顔になるのを、私は見てしまった。
うへー、楽しそうと思ったの撤回!
やがて、にぎやかに話題をリードしていた彼女が手洗いに立つ。
残った3人は頭を寄せ、ヒソヒソ声でなにか耳打ちをしあうと、揃ってニヤリと、あまり良くない表情で、笑った。
背もたれを少し倒し、快適な座席の上で伸びをして、目をつぶる。
これまでも、これからも、1人でよかった。
まぶたの裏が明るくて目を開けたら、車窓は真っ青な、海の景色。
特急は、潮の香の中に滑り込んでいく。

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ふんづけ話。
朝のラッシュアワー。
冷房の効かない電車が、停車駅に着けば、ホームには茹でたように赤い顔の乗客の列。
ただでさえ混んでるのにまだ乗ってくるかとウンザリしたが、仕方なく奥に詰めようと動いた。
車内の大半が流れ出したなか、1人変な方向を向いて、ガンとして動かないオヤジが居る。
釣りにでも行くのか、短パンなど穿いて大荷物。
流れに押された私は停まることもできず、オヤジの足元に蹴つまずいた。
グッとうなったオヤジの顔が紅潮したと思うと、赤鬼のような顔で睨まれた。
どうやらオヤジの足を踏んだらしい。
カカトではなくつま先のほうで、端っこをほんのチョッピリ踏んづけただけだ。靴なら足は入っていない部分のはず。
おかしいなと思って足元を見たら、オヤジはなんとビーチサンダルを履いていた。
ガッツリじゃなくてチョッピリ踏んだのが、逆に痛かったらしい。
ゴメンナサイ!
もちろんすぐに謝ったが、踏まされたという感じがして、どうも腑に落ちない。
ラッシュアワーにビーサンで乗ってくるなんて、どうかしてるぜ!


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冷房の効かない電車が、停車駅に着けば、ホームには茹でたように赤い顔の乗客の列。
ただでさえ混んでるのにまだ乗ってくるかとウンザリしたが、仕方なく奥に詰めようと動いた。
車内の大半が流れ出したなか、1人変な方向を向いて、ガンとして動かないオヤジが居る。
釣りにでも行くのか、短パンなど穿いて大荷物。
流れに押された私は停まることもできず、オヤジの足元に蹴つまずいた。
グッとうなったオヤジの顔が紅潮したと思うと、赤鬼のような顔で睨まれた。
どうやらオヤジの足を踏んだらしい。
カカトではなくつま先のほうで、端っこをほんのチョッピリ踏んづけただけだ。靴なら足は入っていない部分のはず。
おかしいなと思って足元を見たら、オヤジはなんとビーチサンダルを履いていた。
ガッツリじゃなくてチョッピリ踏んだのが、逆に痛かったらしい。
ゴメンナサイ!
もちろんすぐに謝ったが、踏まされたという感じがして、どうも腑に落ちない。
ラッシュアワーにビーサンで乗ってくるなんて、どうかしてるぜ!


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ふなとぎょ話。
晴れの続くうちに風を通しておこう、と、和箪笥の抽斗を抜く。
とりどりに広げた中に見つけた、懐かしい柄は、藍の地に白く月と兎を抜いた、私の浴衣。
最後にこれを着たのはもう何年前だったか。
膝に広げたら、吹き上がる川風に顔をなでられたような、気がした。
大阪の夏のお祭り、天神祭。
見どころはなんといっても、大川の川面を、お囃子も賑やかに何艘もの船が行き交う船渡御だ。
船には天満宮の氏子さんが乗り込むほか、青年会議所や業界団体の仕立てる船もあり、めいめいに揃いの法被や団扇で、景気の良い眺めである。
その年、取引先から乗船券をもらった彼氏に、お祭りに誘われた。
いわゆる社内恋愛で、付き合い始めたばかり。
新しい浴衣に袖を通し、待ち合わせ場所に着くと、西日にまぶしそうな目を細めた彼がいた。
乗り込んだのは、繊維関係の団体の船らしく、年配のご夫婦の多い中、若い私たちは、ちょっぴり居心地が悪かった。
やがて日の落ちるころ、船はゆるゆる滑り出す。
川は街より低い。
ふだん前を行き来するビルを、振りあおいで見る不思議な感覚。
笛や太鼓、囃子方の船は、船足も速く、他の船の間を縫うように、にぎやかに行き来する。
川風に髪をなぶられ、暗い船ばたに出れば、
ヒュー… どどん!
夜空に大輪の花火が咲く。
花火のあかりで照らされた、隣の船の乗客の顔に、ドキンとする。
お…
あ… おじさん…
商売仲間と一緒に乗っていた叔父だった。慌ててつないでいた手をほどいたが、時すでに遅し。
フフフ…と微笑を含んだ叔父を乗せた船は、すぐに離れて行った。
その後、身内の集まりなどでも、あの時のことを言われた記憶はない。
何年かたって、結婚式に招待した時、私の横にいたのはその時の彼氏ではなかったけれど、叔父は黙っていてくれた。
今年の船渡御は本日、午後6時から。

(天神祭総合情報サイトは→ こちら )

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とりどりに広げた中に見つけた、懐かしい柄は、藍の地に白く月と兎を抜いた、私の浴衣。
最後にこれを着たのはもう何年前だったか。
膝に広げたら、吹き上がる川風に顔をなでられたような、気がした。
大阪の夏のお祭り、天神祭。
見どころはなんといっても、大川の川面を、お囃子も賑やかに何艘もの船が行き交う船渡御だ。
船には天満宮の氏子さんが乗り込むほか、青年会議所や業界団体の仕立てる船もあり、めいめいに揃いの法被や団扇で、景気の良い眺めである。
その年、取引先から乗船券をもらった彼氏に、お祭りに誘われた。
いわゆる社内恋愛で、付き合い始めたばかり。
新しい浴衣に袖を通し、待ち合わせ場所に着くと、西日にまぶしそうな目を細めた彼がいた。
乗り込んだのは、繊維関係の団体の船らしく、年配のご夫婦の多い中、若い私たちは、ちょっぴり居心地が悪かった。
やがて日の落ちるころ、船はゆるゆる滑り出す。
川は街より低い。
ふだん前を行き来するビルを、振りあおいで見る不思議な感覚。
笛や太鼓、囃子方の船は、船足も速く、他の船の間を縫うように、にぎやかに行き来する。
川風に髪をなぶられ、暗い船ばたに出れば、
ヒュー… どどん!
夜空に大輪の花火が咲く。
花火のあかりで照らされた、隣の船の乗客の顔に、ドキンとする。
お…
あ… おじさん…
商売仲間と一緒に乗っていた叔父だった。慌ててつないでいた手をほどいたが、時すでに遅し。
フフフ…と微笑を含んだ叔父を乗せた船は、すぐに離れて行った。
その後、身内の集まりなどでも、あの時のことを言われた記憶はない。
何年かたって、結婚式に招待した時、私の横にいたのはその時の彼氏ではなかったけれど、叔父は黙っていてくれた。
今年の船渡御は本日、午後6時から。

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ゆわかす話。
因果なことに食欲に波が無い。どんなに暑かろうが、定刻にお腹は減る。
昼食を作るため、ガスの前でダラダラ汗をかきながら、何か割り切れない思いがした。
こんなに暑いのに、そのうえ加熱調理っておかしくないか?
生まれた小さな疑問。有意義な思考が、そこには含まれている気がする。
しかし凡人の悲しさ、お腹がふくれたら、せっかく感じた理不尽を、すっかり忘れてしまった。
夕刻、洗濯物を取りこみに、ベランダに出る。
あちっ!
日光でアツアツの物干しざおに触れた瞬間、
💡!
忘れていた小さな種が、脳内で勢いよくはじけた。
翌朝さっそく、水を入れたヤカンを、ベランダに出してみたところ、午後にはかなり熱いお湯になることがわかった。
ここまで熱しておけば、もっと熱いお湯が必要な時も、沸かす時間がグッと短縮できる。
ガスの節約になるし、部屋も暑くならない。
何より、ただ照りつける日光を利用してやるという気分がいい。
工夫すれば茹で玉子くらい出来るんじゃないかと、タダイマ実験中である。

(またしてもやりだしそうな私)

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昼食を作るため、ガスの前でダラダラ汗をかきながら、何か割り切れない思いがした。
こんなに暑いのに、そのうえ加熱調理っておかしくないか?
生まれた小さな疑問。有意義な思考が、そこには含まれている気がする。
しかし凡人の悲しさ、お腹がふくれたら、せっかく感じた理不尽を、すっかり忘れてしまった。
夕刻、洗濯物を取りこみに、ベランダに出る。
あちっ!
日光でアツアツの物干しざおに触れた瞬間、
💡!
忘れていた小さな種が、脳内で勢いよくはじけた。
翌朝さっそく、水を入れたヤカンを、ベランダに出してみたところ、午後にはかなり熱いお湯になることがわかった。
ここまで熱しておけば、もっと熱いお湯が必要な時も、沸かす時間がグッと短縮できる。
ガスの節約になるし、部屋も暑くならない。
何より、ただ照りつける日光を利用してやるという気分がいい。
工夫すれば茹で玉子くらい出来るんじゃないかと、タダイマ実験中である。

(またしてもやりだしそうな私)

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しろくま話。
週に1度のスイミング。
暑い盛りに水に入るのは爽快だ…と期待していたのだけれど
キャー ぬるい!
ぬるいわネエ!
プールの水は冬場は温水、夏は冷たいのだが、連日の猛暑に水温調節がうまくいかないらしい。
それでもせっかく来た限りは泳ごうというのがオバサンだ。くちぐちにブツブツ文句を言いつつ、いつも通り泳ぎ始めた。
しかし、水温が高い中で泳ぐと、非常に消耗する。
ハア… ぬるいとシンドイわア…
フウ… ホントにねえ…
ハア… 氷でも入れてくんないかしら…
氷!それはいいわネ!
新しいアイデアの登場に、にわかに活気づくオバサンの群れ。
ほら、動物園でよく、夏に氷のプレゼント!って やってるじゃない
大きな氷のかたまりを…
どぼん!と水に…
いーいわねーえ!
気分だけでも涼しくなったオバサンたちは、なんとか最後まで泳ぎ切った。
夕方になってテレビを点けたら
…猛暑が続く今日、大阪市の天王寺動物園で、ホッキョクグマのイッちゃんに、好物の果物入りの70キロの氷柱がプレゼントされました…

ハハハ…やってる、やってる。
ホッキョクグマのイッちゃん、嬉しそうだ。
イッちゃん、女の子か…ん?確か、ここにはオスもいて、名前はゴーゴくん、だったはず。
ゴーゴくんとイッちゃん… ゴーゴくん、イッちゃん… ゴーゴ、イチ… ゴーゴーイチ…

これか!
※注 関西以外の方へ 豚まんで有名な551ですが、夏はアイスキャンデー(ディーではない)を作っています。

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暑い盛りに水に入るのは爽快だ…と期待していたのだけれど
キャー ぬるい!
ぬるいわネエ!
プールの水は冬場は温水、夏は冷たいのだが、連日の猛暑に水温調節がうまくいかないらしい。
それでもせっかく来た限りは泳ごうというのがオバサンだ。くちぐちにブツブツ文句を言いつつ、いつも通り泳ぎ始めた。
しかし、水温が高い中で泳ぐと、非常に消耗する。
ハア… ぬるいとシンドイわア…
フウ… ホントにねえ…
ハア… 氷でも入れてくんないかしら…
氷!それはいいわネ!
新しいアイデアの登場に、にわかに活気づくオバサンの群れ。
ほら、動物園でよく、夏に氷のプレゼント!って やってるじゃない
大きな氷のかたまりを…
どぼん!と水に…
いーいわねーえ!
気分だけでも涼しくなったオバサンたちは、なんとか最後まで泳ぎ切った。
夕方になってテレビを点けたら
…猛暑が続く今日、大阪市の天王寺動物園で、ホッキョクグマのイッちゃんに、好物の果物入りの70キロの氷柱がプレゼントされました…

ハハハ…やってる、やってる。
ホッキョクグマのイッちゃん、嬉しそうだ。
イッちゃん、女の子か…ん?確か、ここにはオスもいて、名前はゴーゴくん、だったはず。
ゴーゴくんとイッちゃん… ゴーゴくん、イッちゃん… ゴーゴ、イチ… ゴーゴーイチ…

これか!
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しろいろ話。
連日の猛暑。
高校生の日焼けした肌に、制服の白いシャツが目に鮮やかだ。
昔は私もよく着ていた。
夏物売り場には白い衣類が多いし、じっさい白を着るだけで少し涼しい気がする。
夏は白。
そういう思い込みというか、信条のようなものがあった。
ところがある朝、いつものように白を着た自分を鏡の中に見て、うーん…と思った。
どうもシックリしない。
けっきょく、その日は青いシャツに着替えて出かけた。
もしかして、私って白が似合わないのでは?
そういう疑念が、この時はじめて浮かんだのである。
赤が似合う、青が似合わない、というなら分かる。
白なんて標準であって、似合うとか似合わないとか、判断が必要な色だとは思ってもみないから、意外だし、何だかショックだった。
日を改めて、持っている衣類を、鏡の前で1つ1つ、あてがってみた。
黄みや青みを帯びた色はまだましだが、真っ白なシャツを当てた時、どうもパッとしない。
やはり私には白、とくに純白は似合わないとわかって、積極的に着ることはなくなった。
自分を美しく見せる、という観点では、よい発見だった。
しかし、夏空の下、真っ白なシャツの若者を見て、私はもうあの景色の中にいないのだ、と思うと、少しく寂しさを感じないでもない。


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高校生の日焼けした肌に、制服の白いシャツが目に鮮やかだ。
昔は私もよく着ていた。
夏物売り場には白い衣類が多いし、じっさい白を着るだけで少し涼しい気がする。
夏は白。
そういう思い込みというか、信条のようなものがあった。
ところがある朝、いつものように白を着た自分を鏡の中に見て、うーん…と思った。
どうもシックリしない。
けっきょく、その日は青いシャツに着替えて出かけた。
もしかして、私って白が似合わないのでは?
そういう疑念が、この時はじめて浮かんだのである。
赤が似合う、青が似合わない、というなら分かる。
白なんて標準であって、似合うとか似合わないとか、判断が必要な色だとは思ってもみないから、意外だし、何だかショックだった。
日を改めて、持っている衣類を、鏡の前で1つ1つ、あてがってみた。
黄みや青みを帯びた色はまだましだが、真っ白なシャツを当てた時、どうもパッとしない。
やはり私には白、とくに純白は似合わないとわかって、積極的に着ることはなくなった。
自分を美しく見せる、という観点では、よい発見だった。
しかし、夏空の下、真っ白なシャツの若者を見て、私はもうあの景色の中にいないのだ、と思うと、少しく寂しさを感じないでもない。


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