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しょぶんの話。

衣更えを機に、衣類の処分を進めている。

全部がタンスに収まるまで減らして、衣更え自体せずに済むようにしたい。

とはいえ、なかなか思い切れないのも人の常。

今は1枚のセーターを膝に乗せて、悩んでいる。

安物買いの私にしては珍しく、デパートの専門店で買ったセーターだ。

高価だっただけあって、着心地は満点。

それなのに、去年は1度も着なかった。思い出す限り、一昨年も着ていないはずだ。

似合わないかといえば、さにあらず。試着の際には店員さんが

ま~!

と感嘆したほど、似合うのである。

それなのに、手が伸びない。着る気がしない。

生協の通販で買った安物とか、おばーちゃんのお下がりとか、そんなのばかり着ている。

おそらくは、今年も来年も着ないだろう。

しかし、それなりの値段がしたものを処分するには、もうちょっと理由が欲しい

打って返しひっくり返し、眺めるうちに、ふと

アイツよく こんな色の服を着てたな…

そう思いついたとたん、高かったセーターが、ぜんぜん惜しくなくなった。

処分する衣類の山のてっぺんに、ポイと乗せる。

別れた亭主が役に立った、稀有な例である。

じゃんぱー



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/11/20 11:30

くりあな話。

マイクロプラスチックによる環境汚染に配慮して、ストローの使用をやめる飲食店が増えている。

プラスチックの減量はいわば世の流れである。

しかし、ストローよりもっと無駄なのに、時代に逆行するごとく、のさばるシロモノ。

くりあふぁいる

それが、このクリアファイルというヤツだ。

私は、仕事で遠方と書類のやりとりをする。

封筒を開けると、以前は書類がジカに入っていたものだが、最近どういうわけか、クリアファイルに収めた状態で封筒に入っていることが多い。

数年前、はじめて見たときは、数枚にわたって押印の要る重要書類だったので、丁寧さを感じて、印象は悪くなかった。

クリアファイルそのものにも、

アラ?もらっちゃっていいの?

と、粗品をもらったように、ちょっと儲けた感じがあった。

この2重入れは、いつの間にか一般的になり、どうでもいいような確認書類やコピーなども、クリアファイルに入ってくる。

折り目がつかない配慮か、とも思い直したが、折れて困る書類などほとんどないし、そもそも紙というのは折れるから便利なのだ。昔はみんな、畳んで封筒に入れていたのである。

はじめのうち重宝したクリアファイルも、手元でだぶつき、使わないうちに捨てる始末。

宅配メール便利用の広がりと、このヘンな風習の普及は軌を一にしているようだ。

最近は封筒を開けて半透明のアイツが見えると

ほら、折れてないでしょ キレイに送ってるんだから モンクないでしょ

と言われている気がして、イラッとする。

先回りしてクレームを封じる、今風に慇懃無礼な過剰サービスのニオイがするのだ。

先日はついに、ペラ1枚が仰々しく2重に入ってきたので、あやうく丸めて捨てそうになったが、ギリギリでこらえた。



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2018/11/19 11:30

ほぞんの話。

しょうそういんてん2018

おばーちゃんが新聞屋からもらったキップで、正倉院展を見に行った。

今年は、螺鈿紫檀五弦琵琶とか鳥毛立女図屏風のような呼び物がなく

なんかパッとしないから アタシはいいわ アンタ友だちと行ってきなさい

親切なような自分勝手なようなお達しである。

パッとしない(あくまで個人の感想です)にもかかわらず、館内はけっこうな混雑。

展示の品々も、パッとしない(あくまで個人の感想です)だろうと、期待せずに行ったせいか、なかなか見ごたえがある。

比較的人だかりの少ないショーケースの1つを覗いた友だちが、コッチコッチと手招きをした。

これ見て~ 借金の証文だってさ~

必死でお金返して 何百年も経ってジロジロ皆に見られて お気の毒だね!

すごい金利取られてるし~ 昔も今も おカネ関係は世知辛いね~ 

給料いくらくらいだったんだろね、とか話すうち、にしてもだよ、と友だちは表情を改め

正倉院にアンタみたいな人がいなくて ホントによかったわよね~

しみじみと言った。

私がなんでもかんでもバカスカ捨てるのを知っている、友だちならではの発言である。

もし私が正倉院にお勤めしてたら、帳簿にバーンと処理済みのシャチハタなんか押して、証文はジャーッとシュレッダーにかけてしまうだろう。

周囲を見回し、ちょっとゾッとする。

正倉院関係者が、ダンシャリだの捨てる技術だの、余計なことを思いつかなかったおかげで、こんだけの文化財が残ってきたわけだ。

過去のある日、新任の担当者が正倉院に入り

うわー、キッタネエ!ホコリだらけだし 超ボロボロ!捨てましょうよ!もう使わないでしょ!

と、言い出さなかったことに、我々は感謝すべきなのである。

(本年度の正倉院展は終了しています。)



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/11/18 11:30

はんてん話。

朝夕が冷えてきたのでハンテンを出して着る。

去年おばーちゃんから

マワタが入ってる 軽くて暖かいわよ

さもありがたそうにお下げ渡しになった品だ。

既製品ではなく、和裁をなさる方に縫ってもらったものだという。仕立下ろしの印の、しつけ糸がついていた。

市販のハンテンの袖は、洋服のように袖口のつぼまった筒袖だが、このハンテンは、普通の着物と同じようにタモトがある。

羽織ってみると軽く暖かく、腕を動かせば、タモトがゆったりついてくる感触が優雅である。

今でこそフリースだダウンだと新素材はたくさんあるが、重たい綿入れしかなかった時代、この軽さは高価なマワタだけのものだったのだ。

しかし、朝っぱらから、異変は起こった。居間に入ろうとドアを開けたら

びっ!

ギャッ!

レバー式のハンドルに引っかかって、袖口が破れた

優雅なタモトが、雑な動きについてこないのだ。

その後も、椅子の背やら、物干し竿の端やらに引っかかり、ハンテンの袖口は見るも無残な有様。

気づくたびに繕うものの、引っかかる頻度にとても追い付かない。

由緒正しきハンテンなので気がひけて、しばらく黙っていたが、いくらなんでも破れ過ぎだ。おばーちゃんにやんわりその旨を伝えると

あー、生地が弱ってるのかもね~

と、軽く返された。

弱ってる?新品なのに?

うーん…結婚するときに持たしてもらったやつだから…

は?!ケッコン?!

後期高齢者の嫁入り支度が、形状を保っているだけで驚きだ。

なんでそんなものが今日まで新品だったのか、物持ちのいいのにもほどがある。

正倉院か!

にほんかいみそ
(ハンテンが世界一似合うといえばこの人)



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2018/11/17 11:30

わかての話。

イモートが新しい趣味として俳句を始めたらしい。

書道を教える彼女、歳時記や古今の名言集、歌集を見て、お手本の短冊や色紙にしたためるうち、

これくらい自分でも作れるんじゃない?

という気持が沸々と湧いてきたのだという。

地元の結社に入り、句会に、吟行に、意欲的に参加しているようだ。

こんなの作った、あんなとこ行ったと、報告が届く。

なんにせよ新しいことを始めるのは楽しいものだが、それにしてもえらくウキウキしている。

だって若手だからね!

は?が?

私は姉だから、いつまでも小っちゃい女の子扱いするが、世間に出れば立派な50のオバサンだ。

どこをどうしても若手はないだろう。

だって他は全員70代なのよ!

なるほど、それでか。

何を詠んでも「若い人は感覚が新しいねえ~」って…

あーハイハイ。

こんなの久しぶりだから嬉しくって~♥

そっかあ。

イモート夫婦には、なかなか子供ができなかった。一粒種のメイちゃんが生まれたのは、30代も後半になってから。

高齢出産が増えたといっても、やはり周囲のママの多くとは年代が違う。

若く見えるイモートも、ホントに若いママ友に囲まれれば、感じるところもあるだろう。

50代って、いろいろとビミョーな年代なのだ。

ともかくがんばれ、イモート。おねーちゃんは応援しているぞ。

まつおばしょう
(吟行といってもこんな帽子はかぶらなくていいらしい)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/11/16 11:30

ぜりーの話。

299円のコーヒーゼリー(→ せっとの話。)を前に、嬉しそうなおばーちゃん。

ドリンクバーで汲んできた氷無しのコーラを飲みながら

美味しいかねえ そんなブルブルしたもんが

そう言うと

ブルブルじゃない フルフルよ 値段のわりに美味しいのよ ここのは…

ここで食べるのは初めてではないらしい。

私はこの、ゼリーというのが好きでない。コンニャクがキライなのと関係ある、かもしれない。

おかーさんゼリーなんか好きだっけ?

好きよ ゼリーがキライな人なんかいるの?

アタシだよ。

娘と生まれて50年以上経つが、この人は私の好き嫌いをいっこうに覚えてくれない。

グリーンピースがキライだ、と、百万回言っても、春先に豆ご飯を炊いて食べさせようとする、そんな母である。

コーヒーゼリー コーヒーゼリーねえ…

やけにこだわるね今日は

そうなのだ。ふだんはぜったい食べない、久しぶりに見たコーヒーゼリーに、何か引っかかるものがあるのだ。

なんだろうコーヒーゼリー。なんかあるなコーヒーゼリー。

分からないまま家に帰り、パソコンを開いたら、ハッとひらめくものがあった。

自分のブログを検索すると、ちゃんと書いてある。(→ こうぶつ話。

こうぶつ
(コーヒーゼリーが特に好きらしい)

すっかり忘れていたが、ムスコの好物だ。

子供の好き嫌い覚えない遺伝子があるとすれば、それはハッキリおばーちゃんから私に遺伝しているものと思われる。



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ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/11/15 11:30

せっとの話。

今日はおでかけ。

お昼を食べて、ブラブラ買い物を済ませたら、疲れた、とおばーちゃんが言う。

見回すとちょうどファミレスがあった。

さいぜりや

午後のお茶の時間、ランチタイムほどではないが、それなりに混み合った店内。

広さに対して少なすぎる店員。

急ぐ必要もないし、こういうお店の接客に期待はしないので、心穏やかに待つ。

ベルを鳴らしてしばらく経ってから、バイトらしい若い女の子が注文を取りに来た。

食事は済んでいるので、お腹は空いてない。

おばーちゃんはコーヒーゼリー、私はドリンクバーを注文した。

……になさいますか?

は?

注文してそれで終わりと思っていたし、どうせマニュアルトークだと、ちゃんと聞いてなかった。

セットになさいますか?

は?

いや、注文それだけだし。セット必要ないし。

困惑した私の表情が、ちょっとおかしかったのだろう。彼女はほほ笑んで

コーヒーゼリーとドリンクバー、セットになさればお安くなりますが

いやいやいや、コーヒーゼリーとドリンクバー、1つずつでいいのよ?

ハイ~

バイト嬢はトーゼン、という表情である。

セット割引というのは、1人の人間がコーヒーゼリーを食べ、ドリンクバーを利用するときに使えるものだと思っていた。

しかも、この店のコーヒーゼリーは299円。ドリンクバーは280円

ふぁみれすのめにゅー

それっぽっちで2人座っているだけでも申し訳ないのに、この上割り引かれたら、500円を切ってしまう。

皆さんそうされてるので 大丈夫ですよ

彼女はそう言うが、本当だろうか。

半信半疑で、じゃあお願いします、と言ったものの、すぐに飲み物を取りに行く勇気が出ない。

ゼリーを運んできてくれたバイト嬢を待って

なんだか申し訳ないわねえ 時給出ないでしょう

そう言うと彼女は、マニュアル的に大丈夫かしら、と思うほど、大笑いに笑った。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/11/14 11:30

かまとと話。

リーコは若い頃の同僚で旅行仲間。今も他の子を交えて、たまにゴハンを食べる。

転勤族だったダンナが出向になり、マンションを買って落ち着くというので、グループでお祝いを贈った。

お返しにお招きを受けたのに、ミキコは子供の行事、クミちゃんはご実家の用で来られない。

やむなく1人で伺うのだが、しょうじき困ったなあ、と思ってしまった。

じつは私は彼女がちょっとニガテなのだ。

グループで遊んでいる時は気にならないが、1対1になるとちっとも話が弾まない。

女性的なリーコは、昔で言うカマトトキャラで、拗ねたり、甘えたりといった役回り。

他の子がうまくなだめたり、面白がったりして、集まりが楽しくなるのだが、私はそういうことがホントにヘタクソなのである。

思わず強めに突っ込んで、雰囲気を凍らせてしまったこともある。

しかし私ももういいオトナだ。

ニガテとかヘタクソとか言ってないで、グループを代表して新居祝いをせねばならない。

海辺の新築高層マンションは、豪華だった。リビングの広い窓からはが見える。

わーステキ!明るいね!

そうなの~ 

自慢気なリーコは、ニコニコと窓の外を指さし、あれは何、あっちは何山、と教えてくれる。

あっ、じゃあアレ、あの長い壁みたいのは何?

あ~、あれは防潮堤

こころなしか、リーコが口ごもったのに、その時の私は気づかず

そっか 埋立地だもんね そういえば液状化対策とかどうなってるの?

言わずもがなの失言をしてしまった。

キレイにお化粧したリーコの顔が曇り、口に出た言葉は

ヤダ~ そんな怖いこと言わないでえ~

私、絶句。

リーコ、絶句。

これほど気まずい空気は、初めてである。

おたがいオトナだからケンカはしなかったが、出されたお紅茶は、ぜんぜん味がしなかった。

かまぼこ
     (これはカマボコ)


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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2018/11/13 11:30

さしひき話。

日常は危険に満ちている。

ゴミ出しのような些細なことにも、環境汚染、個人情報流出と、さまざまな危険の可能性がある。

ブログタイトルの通り、怖がりな私は、避けられる危険は避けたくて、チマチマ気をつけている。

人より苦労が多い気もするが、しかたがない。

さいきん団地のゴミ捨て場が、立派なゴミステーションになった。

ごみすてーしょん

以前はカラス除けネットをいちいちかぶせていた。はみ出さないようにきちんと伸ばすのは、なかなか大変だ。

ご一緒の方がいれば協力して広げられるが、私は人の少ない早い時間に出すので、けっこう面倒なこともあった。

その点、ゴミステーションは扉を開けて入れるだけ。

細かい苦労が、1つ減ったわけだ。

今朝も1人分の小さなゴミ袋をポイと出したが、見ると結び目がゆるんでいる。袋の口が開いたら、後で出す方にも、収集の人にも、ご迷惑だ。

ステーションの中に入って、1度捨てたゴミ袋を取り上げ、しっかりと縛り直した。

ガシャン!

金属のぶつかる音に驚いて飛び上がる。

振り返ると、大きなゴミ袋を2つ提げた団地の住人が、ゴミステーションの扉のところにいた。

オ…オハヨウゴザイマス…

蚊の鳴くような声で、ようよう挨拶したが、いっこうに動悸がおさまらない。

動物園の猛獣の檻のような、激しい音が、耳の中にまだ響いている。

開く音だから良かったが、閉まる音だったら…そのまま外から掛け金をかけられたら…。

人の少ない時間、しばらく閉じ込められるかもしれない。

これからは背後に気をつけよう、と決意した。

1つ減った苦労が1つ増えて、差し引きおんなじである。



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/11/12 11:30

ぽっきー話。

母は駄菓子屋を信用しない人で、私とイモートのおやつはもっぱら大手メーカーの製品であった。

ポッキーはその頃からのおなじみである。

いろんな商品が出ているが、細いプレッツェルにチョコのコーティングだけのシンプルなものが食べたくて、今も時折、赤い箱に手が伸びる。

私はポッキーのあの持つところを残す悪い癖がある。

ぽっきーのもちて

チョコの部分を食べ進み、最初から手に持っていたところが残ると、焼き鳥の串を持っているような気持になり、食べたくない。

メーカー自ら持ち手と呼んでいるのだから、食べなくてもいいんじゃないかという気もするが、本当に食べない人はおそらく少数派だろう。

子供の頃は、母に叱られるので、最後にまとめて『持ち手』だけを食べていたが、チョコ無しの部分だけを5本、6本食べると、モソモソとおいしくなく、楽しいおやつの時間が台無しであった。

プレッツェルが嫌いなわけではない。

それが証拠に、チョコがかかっていないプリッツは、大喜びで食べるのである。

50になった今でも、ポッキーを食べる時はチョコのところだけを楽しく食べ、気づくと5本なら5本の『持ち手』が卓上に残る。

自分のお金で自分で買ってきたポッキーである。

叱る母も近くにはいない。

どうしようかな、といつも思うけど、結局まとめて口に入れ、案の定モゴモゴしながら、コーヒーなんか飲んでいる。

今日、ポッキー&プリッツの日

ポッキーは1966年発売、私よりか、ちょっと年下である。

ぽっきーあんどぷりっつ2018

本日早朝から外出のため、2016年11月11日の記事を再掲させていただきます。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2018/11/11 11:30
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