たんとう話。
今日は胃カメラを飲む日。
初めてではない(→ いかめら話。)が、本当に気が重い。
私はノドが敏感なので、楽なはずの経鼻内視鏡でも、先生も驚くほどオエーとなるのである。
イヤイヤ医院の門をくぐり、シブシブ診察券を出すと、いつもの受付嬢は私の名を認め、
ナガシマさーん!
1人の看護師さんを呼んだ。
そうしてくれ、と頼んだ覚えはないのだが、ナガシマさんは私の係らしい。
採血、点滴、胃カメラ、どれも怖くてたまらず、血圧が急上昇したり、貧血を起こしたりする私は、おそらく手のかかる患者なのだろう。
こんな患者が得意な人と、そうでない人がいるのか、気づけば数人いる看護師の1人が、必ず担当してくれるようになっていた。
パタパタ…と軽い足音がして、ナガシマさんが現れた。ビクビクしていることに変わりはないが、彼女の顔を見ると少しホッとする。
何度目かの胃カメラ、いいかげん慣れてもいいはずの説明なのに、まだ緊張している私の背中を、ゆっくりとさすってくれた。
泣きべそ面で見上げると、大丈夫よ、とうなずく彼女の笑顔に、励まされる。
心理的には、幼児とお母さんの関係である。
しかし、ナガシマさんは、50代の私には娘といってもおかしくない、若いお嬢さんなのだ。
恥ずかしいような、嬉しいような気持ち。
高齢になれば、年下の人に守られる、こういう機会が増えるのだろうと思うと、ちょっと複雑だ。

(こんな余裕の応対、絶対無理だと思う。)

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初めてではない(→ いかめら話。)が、本当に気が重い。
私はノドが敏感なので、楽なはずの経鼻内視鏡でも、先生も驚くほどオエーとなるのである。
イヤイヤ医院の門をくぐり、シブシブ診察券を出すと、いつもの受付嬢は私の名を認め、
ナガシマさーん!
1人の看護師さんを呼んだ。
そうしてくれ、と頼んだ覚えはないのだが、ナガシマさんは私の係らしい。
採血、点滴、胃カメラ、どれも怖くてたまらず、血圧が急上昇したり、貧血を起こしたりする私は、おそらく手のかかる患者なのだろう。
こんな患者が得意な人と、そうでない人がいるのか、気づけば数人いる看護師の1人が、必ず担当してくれるようになっていた。
パタパタ…と軽い足音がして、ナガシマさんが現れた。ビクビクしていることに変わりはないが、彼女の顔を見ると少しホッとする。
何度目かの胃カメラ、いいかげん慣れてもいいはずの説明なのに、まだ緊張している私の背中を、ゆっくりとさすってくれた。
泣きべそ面で見上げると、大丈夫よ、とうなずく彼女の笑顔に、励まされる。
心理的には、幼児とお母さんの関係である。
しかし、ナガシマさんは、50代の私には娘といってもおかしくない、若いお嬢さんなのだ。
恥ずかしいような、嬉しいような気持ち。
高齢になれば、年下の人に守られる、こういう機会が増えるのだろうと思うと、ちょっと複雑だ。

(こんな余裕の応対、絶対無理だと思う。)

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ふれでぃ話。
おばーちゃんに電話をかけたら
とるるる… とるるる…これから映画見るから!ぶつっ
切られた。
映画を見るんじゃあ仕方ない。
おばーちゃんは、1人で映画に行く人である。見たい映画が近くでやってなければ、近県まで遠征も辞さない。
おじーちゃんが亡くなってからは、帰りを急ぐ必要もなくなり、いっそう腰軽くなった。
一声かけてくれればいいのに、と思うが
アンタまだシニア割引じゃないでしょ 高くつくし、ワルイから…
と、誘ってくれない。
2時間ほどして、折り返し電話がかかってきた。
何見たの?メリーポピンズ?あれは2月からか…
おばーちゃんは、貧乏や乱暴がキライで、華麗なミュージカルや、キレイな映像が好きである。
…あん らぷそでぃー…
へ?
ボヘミアン ラプソディー!
はあ?マジで?!
「ボヘミアン ラプソディ」は、言わずと知れた伝説のロックシンガー、フレディ マーキュリーの生涯を描いた映画。(→ くいーん話。)
リアルタイムで聴いた50代60代のほか、クイーンを知らない若い世代にも迫力のライブシーンが受け、大ヒットしている。
しかし、間もなく80のおばーちゃん。クイーンも、フレディも、知らないはずだ。
なんでまた、そんなもん…
感動したあ!久しぶりに泣いちゃった!
ええええ?!
移民の出自をコンプレックスに持ちつつ、カリスマ的歌唱力で70~80年代の音楽界を席巻したフレディ。
名声の中で孤独に苦しみ、45歳でエイズに倒れたミュージシャンのどこが、専業主婦歴50年の老母を共感させたのか。
良かったわよお!オススメよ!
母にそう言われては、見ないわけにいかないから、仕事帰り、最終回の上映に滑り込んだ。
しかし、おばーちゃんが一体全体、どのあたりで泣いちゃったのか、気になって気になって、感動どころではないのだった。

(私のカラオケの十八番は「大阪ラプソディ」である。)

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とるるる… とるるる…これから映画見るから!ぶつっ
切られた。
映画を見るんじゃあ仕方ない。
おばーちゃんは、1人で映画に行く人である。見たい映画が近くでやってなければ、近県まで遠征も辞さない。
おじーちゃんが亡くなってからは、帰りを急ぐ必要もなくなり、いっそう腰軽くなった。
一声かけてくれればいいのに、と思うが
アンタまだシニア割引じゃないでしょ 高くつくし、ワルイから…
と、誘ってくれない。
2時間ほどして、折り返し電話がかかってきた。
何見たの?メリーポピンズ?あれは2月からか…
おばーちゃんは、貧乏や乱暴がキライで、華麗なミュージカルや、キレイな映像が好きである。
…あん らぷそでぃー…
へ?
ボヘミアン ラプソディー!
はあ?マジで?!
「ボヘミアン ラプソディ」は、言わずと知れた伝説のロックシンガー、フレディ マーキュリーの生涯を描いた映画。(→ くいーん話。)
リアルタイムで聴いた50代60代のほか、クイーンを知らない若い世代にも迫力のライブシーンが受け、大ヒットしている。
しかし、間もなく80のおばーちゃん。クイーンも、フレディも、知らないはずだ。
なんでまた、そんなもん…
感動したあ!久しぶりに泣いちゃった!
ええええ?!
移民の出自をコンプレックスに持ちつつ、カリスマ的歌唱力で70~80年代の音楽界を席巻したフレディ。
名声の中で孤独に苦しみ、45歳でエイズに倒れたミュージシャンのどこが、専業主婦歴50年の老母を共感させたのか。
良かったわよお!オススメよ!
母にそう言われては、見ないわけにいかないから、仕事帰り、最終回の上映に滑り込んだ。
しかし、おばーちゃんが一体全体、どのあたりで泣いちゃったのか、気になって気になって、感動どころではないのだった。

(私のカラオケの十八番は「大阪ラプソディ」である。)

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いちじの話。
今日から大学入試センター試験がはじまる。
世代的につい共通一次と言ってしまうが、調べてみると共通一次試験の実施期間は10年ほどで、センター試験となってからのほうが長い。
私が共通一次を受けたのも、30年以上前のことになってしまった。
18歳の私は、苦手な日本史の勉強が全然進まないまま、試験前日を迎えた。
もはや悪あがきもならず、せめてもと鉛筆をピキンピキンにとがらせていると、母がやってきて
明日は寒いから、ブーツ履いていきなさい
ええ~、いいよ、普通で…
いくら寒い日とはいえ、当地は気候温暖である。自分ではいつもの通学着で行くつもりだった。
冬の旅行のために買ってもらったキルティングのブーツはオオゲサに思えた。
冷えたらどうするの!頭寒足熱でしょ!
根が素直な私は、言われるとそんな気もして、ブーツを履き、ブーツに合うズボンをはき、それに合うジャンパーを着て、受験会場に出かけた。
到着してみると、他の受験生は、制服にコート、ソックスにローファーがほとんど。
山深い田舎からはるばる出てきたかのような、私の服装は目立った。
センター試験のニュースを見ながら、そんな思い出を話すと、おばーちゃんはなんと
なに言ってるの!足が冷えるからブーツ履いてくって聞かなかったのはアンタよ!
と言うではないか。
頭寒足熱とか、屁理屈言ってさ…
これではまるで逆だ。
わずか30年ほどで、当事者の記憶がこれだけ食い違うのだから、歴史は難しいはずだ。
やっぱり、日本史は苦手である。

(「センター試験に行ってきま~す」)
本日早朝より外出のため、2016年1月16日の記事を再掲載いたします。

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世代的につい共通一次と言ってしまうが、調べてみると共通一次試験の実施期間は10年ほどで、センター試験となってからのほうが長い。
私が共通一次を受けたのも、30年以上前のことになってしまった。
18歳の私は、苦手な日本史の勉強が全然進まないまま、試験前日を迎えた。
もはや悪あがきもならず、せめてもと鉛筆をピキンピキンにとがらせていると、母がやってきて
明日は寒いから、ブーツ履いていきなさい
ええ~、いいよ、普通で…
いくら寒い日とはいえ、当地は気候温暖である。自分ではいつもの通学着で行くつもりだった。
冬の旅行のために買ってもらったキルティングのブーツはオオゲサに思えた。
冷えたらどうするの!頭寒足熱でしょ!
根が素直な私は、言われるとそんな気もして、ブーツを履き、ブーツに合うズボンをはき、それに合うジャンパーを着て、受験会場に出かけた。
到着してみると、他の受験生は、制服にコート、ソックスにローファーがほとんど。
山深い田舎からはるばる出てきたかのような、私の服装は目立った。
センター試験のニュースを見ながら、そんな思い出を話すと、おばーちゃんはなんと
なに言ってるの!足が冷えるからブーツ履いてくって聞かなかったのはアンタよ!
と言うではないか。
頭寒足熱とか、屁理屈言ってさ…
これではまるで逆だ。
わずか30年ほどで、当事者の記憶がこれだけ食い違うのだから、歴史は難しいはずだ。
やっぱり、日本史は苦手である。

(「センター試験に行ってきま~す」)
本日早朝より外出のため、2016年1月16日の記事を再掲載いたします。

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かーてん話。
うちはマンションなので雨戸が無い。
起きたらまずカーテンを開けるのが、朝の習慣である。
寝室、リビング、順々に、部屋が光に満たされていく。
冷たい廊下を歩いて、ムスコの部屋に入ると、主なき部屋の冷え冷えした空気に少しひるむ。
ムスコが家にいた頃、この部屋にはほとんど入らなかった。
閉じた扉の中で何をしているのやら、時たま覗き見る混沌からは、推し量るべくもない。
しかしある日、あふれていたガラクタがさばさばと処分され、ムスコは家を出て行った。
今、毎日ここに足を踏み入れ、カーテンを開けているのは、なんだか不思議な感じだ。
たまに帰れば、当たり前のように荷物を置き、ベッドで眠るけれど、クローゼットも抽斗も空っぽのこの部屋は、もはや仮の宿りなのだろう。
昨日となにも変わらない部屋を、それでもひとわたり見回すと、次はムスメの部屋だ。
かすかに私が使わない化粧品の匂いがする。
ムスコよりは頻繁に帰るムスメは、部屋にもしぜん多くのものを残している。
前にぶん投げていったジーンズを、踏まぬようにまたいで窓に近づき、カーテンを開けた。
無秩序に散らかった、若い女らしい彩りが、花のように明るく照らされる。
さあ、朝だ。


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起きたらまずカーテンを開けるのが、朝の習慣である。
寝室、リビング、順々に、部屋が光に満たされていく。
冷たい廊下を歩いて、ムスコの部屋に入ると、主なき部屋の冷え冷えした空気に少しひるむ。
ムスコが家にいた頃、この部屋にはほとんど入らなかった。
閉じた扉の中で何をしているのやら、時たま覗き見る混沌からは、推し量るべくもない。
しかしある日、あふれていたガラクタがさばさばと処分され、ムスコは家を出て行った。
今、毎日ここに足を踏み入れ、カーテンを開けているのは、なんだか不思議な感じだ。
たまに帰れば、当たり前のように荷物を置き、ベッドで眠るけれど、クローゼットも抽斗も空っぽのこの部屋は、もはや仮の宿りなのだろう。
昨日となにも変わらない部屋を、それでもひとわたり見回すと、次はムスメの部屋だ。
かすかに私が使わない化粧品の匂いがする。
ムスコよりは頻繁に帰るムスメは、部屋にもしぜん多くのものを残している。
前にぶん投げていったジーンズを、踏まぬようにまたいで窓に近づき、カーテンを開けた。
無秩序に散らかった、若い女らしい彩りが、花のように明るく照らされる。
さあ、朝だ。


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あるあさ話。
朝早くに目が覚めた。
いつもなら、目覚ましの時刻を確かめ、寝返りひとつ打って眠りの世界に逆戻りするところだが、今日は半身を起こして、ハンテンを羽織る。
掃き出し窓をカラカラと開け、ベランダへ。
隣の棟の窓明かりを見れば、まだ暗い中にポチポチと、もう起きているうちがある。
冷えた部屋を暖め、鍋を火にかける人がいる。
あの日も寒い朝だった。
寝床にいる家族のため、灯した火が街を焼いた。
今日の空はただ、静かに明けていく。
見守る目の前で、ぽちっと電気がついて、また1つ、いつもの1日がはじまる。
うー さぶ…
冷えた唇から出た言葉は、白い息となり、天にのぼっていく。
あれから24回目の、1月17日の朝。


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いつもなら、目覚ましの時刻を確かめ、寝返りひとつ打って眠りの世界に逆戻りするところだが、今日は半身を起こして、ハンテンを羽織る。
掃き出し窓をカラカラと開け、ベランダへ。
隣の棟の窓明かりを見れば、まだ暗い中にポチポチと、もう起きているうちがある。
冷えた部屋を暖め、鍋を火にかける人がいる。
あの日も寒い朝だった。
寝床にいる家族のため、灯した火が街を焼いた。
今日の空はただ、静かに明けていく。
見守る目の前で、ぽちっと電気がついて、また1つ、いつもの1日がはじまる。
うー さぶ…
冷えた唇から出た言葉は、白い息となり、天にのぼっていく。
あれから24回目の、1月17日の朝。


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ペンギン本。
ムスメは小さい時、図鑑をじーっと見ている子供であった。
動物や恐竜の絵を、いつまでも眺めて飽きない。
みつゆびなまけもの…
ぱきけふぁろさうるすは そうしょく…
などとつぶやくから、はやくから字は読めているはずだが、童話の類は読みたがらなかった。
ある日、知り合いのオバサマの家を、ムスメを連れてお訪ねする機会があった。
オバサマは子供好きらしく、大歓迎された。
大人が大人の話をするうち、手作りのオヤツにも飽きて、退屈し始めたムスメに気付くと
ムスメちゃん、本は好き?
オバサマは童話がお好きで、読み聞かせのボランティアなどもなさっているのだという。
ムスメはボーッとしたまま、立派な本棚のまえに連れていかれ
どれでも好きなのを読んでね?
ご親切にそう尋ねてくださったオバサマに
ずかんは?
そこに無いものを言う。
動物が好きらしい、と判断したオバサマは1冊を引き抜き、ムスメに手渡した。
ペンギンの描かれた表紙を見て、お話の本と気づいたムスメは、ちょっとガッカリした様子だが、おとなしく読みはじめた。
やがて用件が終わり、帰るよ、と声をかけた時もまだ読んでいたから、面白かったのだろう。
オバサマはにこやかに
面白かった?
うん!おおかもめがかっこよかった!
ムスメもニッコニッコして、答えた。
オバサマは、その答えに面食らったように
アラそうなの… へえ… カモメが…?
と、なんだかハギレが悪い。
お気に入ったならさしあげるわ、と、もらって帰った本を、あとで私も読んでみた。
2羽の子供のペンギンの冒険話。
大カモメは、ペンギンを狙うオソロシイ敵なのである。
襲われるペンギンに感情移入するのが、まあ普通だろう。
しかし、ティラノサウルスが、トリケラトプスをバリバリかじる図を、いつも楽しく見ているムスメである。
カッコいいのは、だんぜん獲物を狙う肉食動物なのだ。
オバサマが当惑なさったのも、無理はない。
ペンギンの本は、長く本棚にあったけれど、今はどこに行ったのか、わからない。

(「ながいながいペンギンの話」 いぬいとみこ著 理論社刊)

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動物や恐竜の絵を、いつまでも眺めて飽きない。
みつゆびなまけもの…
ぱきけふぁろさうるすは そうしょく…
などとつぶやくから、はやくから字は読めているはずだが、童話の類は読みたがらなかった。
ある日、知り合いのオバサマの家を、ムスメを連れてお訪ねする機会があった。
オバサマは子供好きらしく、大歓迎された。
大人が大人の話をするうち、手作りのオヤツにも飽きて、退屈し始めたムスメに気付くと
ムスメちゃん、本は好き?
オバサマは童話がお好きで、読み聞かせのボランティアなどもなさっているのだという。
ムスメはボーッとしたまま、立派な本棚のまえに連れていかれ
どれでも好きなのを読んでね?
ご親切にそう尋ねてくださったオバサマに
ずかんは?
そこに無いものを言う。
動物が好きらしい、と判断したオバサマは1冊を引き抜き、ムスメに手渡した。
ペンギンの描かれた表紙を見て、お話の本と気づいたムスメは、ちょっとガッカリした様子だが、おとなしく読みはじめた。
やがて用件が終わり、帰るよ、と声をかけた時もまだ読んでいたから、面白かったのだろう。
オバサマはにこやかに
面白かった?
うん!おおかもめがかっこよかった!
ムスメもニッコニッコして、答えた。
オバサマは、その答えに面食らったように
アラそうなの… へえ… カモメが…?
と、なんだかハギレが悪い。
お気に入ったならさしあげるわ、と、もらって帰った本を、あとで私も読んでみた。
2羽の子供のペンギンの冒険話。
大カモメは、ペンギンを狙うオソロシイ敵なのである。
襲われるペンギンに感情移入するのが、まあ普通だろう。
しかし、ティラノサウルスが、トリケラトプスをバリバリかじる図を、いつも楽しく見ているムスメである。
カッコいいのは、だんぜん獲物を狙う肉食動物なのだ。
オバサマが当惑なさったのも、無理はない。
ペンギンの本は、長く本棚にあったけれど、今はどこに行ったのか、わからない。

(「ながいながいペンギンの話」 いぬいとみこ著 理論社刊)

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ことこと話。
火曜日は寝坊していい日。
お布団の中にいると、コトコトと、働く人の気配がする。
ああ、お味噌汁だ…

あたたかなお出汁の香りのなか、起き上がると、1人暮らしの台所は寒々と、火の気もない。
寝床で嗅いだのは、お隣のお味噌汁。
さいきん寒いので、居間に続きの和室で寝ているのだが、その和室のすぐ横が、お隣の台所なのである。
閉め切ったはずなのに、中古の悲しさ、サッシの建付けが甘くなっているのか、お隣の朝食の匂いが忍び込んでくるのだ。
すっかりお味噌汁の気分で起きても、うちにはその実体は存在しない。
モソモソとコーヒーを淹れ、パンをかじりながら
お味噌汁飲みたいなあ…
などと思うのは、なかなか侘しい。
お隣の奥さんがゴミ袋を触る音で、ゴミの日を思い出したりもするので、いいこともある。
今朝はなぜか、カレーを作る夢を見た。
不思議に思って起きたら、朝からタマネギを炒める匂い。
おかしくて1人、フフフと笑った。

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お布団の中にいると、コトコトと、働く人の気配がする。
ああ、お味噌汁だ…

あたたかなお出汁の香りのなか、起き上がると、1人暮らしの台所は寒々と、火の気もない。
寝床で嗅いだのは、お隣のお味噌汁。
さいきん寒いので、居間に続きの和室で寝ているのだが、その和室のすぐ横が、お隣の台所なのである。
閉め切ったはずなのに、中古の悲しさ、サッシの建付けが甘くなっているのか、お隣の朝食の匂いが忍び込んでくるのだ。
すっかりお味噌汁の気分で起きても、うちにはその実体は存在しない。
モソモソとコーヒーを淹れ、パンをかじりながら
お味噌汁飲みたいなあ…
などと思うのは、なかなか侘しい。
お隣の奥さんがゴミ袋を触る音で、ゴミの日を思い出したりもするので、いいこともある。
今朝はなぜか、カレーを作る夢を見た。
不思議に思って起きたら、朝からタマネギを炒める匂い。
おかしくて1人、フフフと笑った。

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はたちの話。

こんなハガキが来たから、お正月に帰省したムスコに、いちおう聞いてはみたのだ。
セージンシキどうする?写真だけでも撮る?
…フン いらねえ…
聞いておいてなんだが、ちょっとホッとした。
若い男の紋付袴なんか、カッコ悪くてキライだからだ。
わが家の伝統(→ しきてん話。)にのっとり、ムスコもまた、成人式だからといって、帰省してくる気はないらしい。
新成人の母でありながら、ただの祝日同様、惰眠をむさぼりつつ、フトンの中で思う。
あの子がハタチかあ
ムスコは、思春期といわれる年頃になっても、暴れるでもなく、クソババアとも言わなかった。
年齢なりに口重に、不機嫌な表情を見せることが増えたくらいだ。
親の抑圧の強いあまり、反抗期のなかった子が、長じて暴発するなどと聞いて、心配になった。
ひとり親として気を張ってきた私は、子供に言いたいことも言わせない親だったかもしれない。
そんな不安に駆られていた、中学校の面談。
担任の先生は眉をひそめ、打ち明け話の調子でおっしゃった。
課題や提出物がとどこおり、成績評価に大きく響くこと。先生に対する態度が悪いこと。
散髪を嫌がるムスコは、前が見えないうっとうしい髪型だったが、その髪の隙間から
にらみつけるんです…
ホトホト参った様子で、渡された成績表もひどいものだったが、私は少しばかり、ホッとした。
なんだ、ここで反抗してくれているのか
学校にしてみれば迷惑な話である。
当然の報いとして、ムスコの学校の成績はずっと振るわなかったが、私はかまわなかった。
学業なんかとは別の何かと、この子は戦っているのかもしれない。
なんとなくそんな気がしたからだ。
そして今日。
主のいない部屋に入ってみると、机にのせておいたハガキは、いつの間にか無くなっていた。
成人式おめでとう、ムスコ。

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さいずの話。
スカートをお直しに出そうと思う。
太ったと思われるだろうが、そうではない。
それは昨年末の、合唱団の公演でのこと。
舞台では白ブラウスと黒のロングスカート、と決まっているが、調達はそれぞれに任されている。
コーラスのユニフォーム用、という商品もあるのだが、どれもウエストゴムで、ムダにヒラヒラしていて、アリテーに言ってダサい。

黒ければなんでもいいというので、私はデパートでシンプルなタイトスカートを買った。もちろん試着して、サイズの合うものを買ったのだ。
さて、当日のリハーサル。
見回せば、ヒラヒラスカートはやっぱりダサくって、私は自分の服装センスに自信を持った。
ところが第一声に備えて息を吸ったとたん
ばちん!
何かがはじけた。
驚いたことに、新調のスカートのフックが飛んだのだ。
ご存知かと思うが、歌は腹式呼吸である。
息を入れた瞬間、ウエストのサイズは通常時よりかなり大きくなる、そのことを私は考えなかったのだ。
ダサいウエストゴムのヒラヒラスカートの皆さんは、悠々とイイ声を出している。
ソワソワしたまま、歌どころじゃないリハーサルが終わった。
本番のことは聞かないでいただきたい。
リフォーム店のカウンターにスカートをのせ、
とにかく、出せるだけ出してください!
と頼もう。受付の人には、ずいぶん太ったのね、と思われるかもしれないが、やむをえない。

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太ったと思われるだろうが、そうではない。
それは昨年末の、合唱団の公演でのこと。
舞台では白ブラウスと黒のロングスカート、と決まっているが、調達はそれぞれに任されている。
コーラスのユニフォーム用、という商品もあるのだが、どれもウエストゴムで、ムダにヒラヒラしていて、アリテーに言ってダサい。

黒ければなんでもいいというので、私はデパートでシンプルなタイトスカートを買った。もちろん試着して、サイズの合うものを買ったのだ。
さて、当日のリハーサル。
見回せば、ヒラヒラスカートはやっぱりダサくって、私は自分の服装センスに自信を持った。
ところが第一声に備えて息を吸ったとたん
ばちん!
何かがはじけた。
驚いたことに、新調のスカートのフックが飛んだのだ。
ご存知かと思うが、歌は腹式呼吸である。
息を入れた瞬間、ウエストのサイズは通常時よりかなり大きくなる、そのことを私は考えなかったのだ。
ダサいウエストゴムのヒラヒラスカートの皆さんは、悠々とイイ声を出している。
ソワソワしたまま、歌どころじゃないリハーサルが終わった。
本番のことは聞かないでいただきたい。
リフォーム店のカウンターにスカートをのせ、
とにかく、出せるだけ出してください!
と頼もう。受付の人には、ずいぶん太ったのね、と思われるかもしれないが、やむをえない。

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みちじゅん話。
仕事が午後からなので、午前中は駅前で用事を済ませたい。やるべきことは
1.銀行で振込
2.図書館に返却
3.住民票をとる
以上の3件である。
各々の場所はほぼ等間隔に位置しているが、距離を考えると1→2→3の順。
しかし、距離だけが考えるべき問題ではない。
2.図書館には、正月休みに読了した5冊を返却するのだが、これがけっこう重く、かさばる。
モゾモゾ大荷物でお金を扱うのは気が進まない。
少々回り道だが2→1→3の順に周ろう。
ところが出発前、火の元を確かめている時、台所の隅の、ふくらんだ手提げに気づいた。
シマッタ!忘れてた!
資源回収に出す、空き缶である。
これがあるんじゃ、話はちがう。資源回収のボックスは3.役場の前なのだ。
空き缶をガラガラ鳴らしながら、振込操作なんかできない。
しかたない、遠回りだが2→3→1だ。
さあ出発だ、電源を切ろうとパソコンに向かうと、メールが来ている。
予約図書取り置きのお知らせ
ながらく順番待ちしていた本が、3冊同時に届いたらしい。
わーい、と喜びかけて、ムムムとなる。
図書館で返すだけでなく、借りることになる。
重たい本を3冊も持って回るのはイヤだ。でも、待ちに待った本は早く借りたい。
どうしようか決めかねて、ぼんやり歩いていたら、いつの間にか1.銀行に着いた。
けっきょく、ずしっと重たく、ガラガラ鳴る荷物を提げて、ATMを使いながら、なんだったんだ、と、思わずつぶやく。


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1.銀行で振込
2.図書館に返却
3.住民票をとる
以上の3件である。
各々の場所はほぼ等間隔に位置しているが、距離を考えると1→2→3の順。
しかし、距離だけが考えるべき問題ではない。
2.図書館には、正月休みに読了した5冊を返却するのだが、これがけっこう重く、かさばる。
モゾモゾ大荷物でお金を扱うのは気が進まない。
少々回り道だが2→1→3の順に周ろう。
ところが出発前、火の元を確かめている時、台所の隅の、ふくらんだ手提げに気づいた。
シマッタ!忘れてた!
資源回収に出す、空き缶である。
これがあるんじゃ、話はちがう。資源回収のボックスは3.役場の前なのだ。
空き缶をガラガラ鳴らしながら、振込操作なんかできない。
しかたない、遠回りだが2→3→1だ。
さあ出発だ、電源を切ろうとパソコンに向かうと、メールが来ている。
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ながらく順番待ちしていた本が、3冊同時に届いたらしい。
わーい、と喜びかけて、ムムムとなる。
図書館で返すだけでなく、借りることになる。
重たい本を3冊も持って回るのはイヤだ。でも、待ちに待った本は早く借りたい。
どうしようか決めかねて、ぼんやり歩いていたら、いつの間にか1.銀行に着いた。
けっきょく、ずしっと重たく、ガラガラ鳴る荷物を提げて、ATMを使いながら、なんだったんだ、と、思わずつぶやく。


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