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つられる話。

私は話し相手にもつられやすい。

大学の時、仲良しの1人が名古屋の人だった。

名古屋の人は、どこに行っても大阪弁の大阪人とは違い、その場の全員が名古屋人だと分かるまでは、名古屋弁は話さない。

チョイと会うだけのよそ者には決して聞けないのが、名古屋弁なのだ。

しかし、長いこと一緒にいると、ちょっとしたイントネーションや語彙が耳にとまる。

もちろんふだんは関西弁だが、その子と話すときはそれに倣うようになり、いつの間にか話せるようになっていた。

標準語でも同様のことは起こる。

関西在住の関西人でありながら、相手が標準語だとつられてしまうのだ。

1対1ならいいが、問題はたくさん人がいる場合。立食パーティーみたいなのが具合悪い。

最初に出くわした人と、標準語で楽しくお話しているところに、かねてから顔なじみのもう1人が、私を認めてやってくる。

ところが、新しい人は関西人で、常日ごろネイティブの関西弁でお話している相手だ。

その人に標準語の現場を押さえられた気まずさ。

さらに、ここで関西弁に切り替えるか、あるいは標準語を続けるかの問題もある。

いきなり関西弁になったら、それまで話していた相手も驚くだろう。かといって標準語のままでは、もう1人によそよそしい印象を与えそうだ。

イソップのコウモリなど思い出しつつ、方針はいまだ定まらない。

ひきょうなこうもり
(「わたしはつばさがあるので、とりのなかまです」こうもりはいいました)



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/02/18 11:30

まーちの話。

人に逆らってばかりいるように思われがちな私だが、じつはつられやすい

たとえばテレビの中の人が深々と頭を下げると、つい画面のこっちで会釈してしまう。

無意識にそうしていて気が付くと、周りに誰もいなくても、モノスゴク恥ずかしい。

ただ歩いている時も、油断はできない。

商業施設では、頼みもしないのに軽快な音楽が流れているが、ボンヤリしているとその音楽に合わせてしまうのだ。

♪…しあわっせわ~ あ~るいってこない だ~っからあ~るいってゆっくんだね~♪

さすがに今こんな曲は流れないが、いいトシしてアニメの主題歌に弾んでいたり、流麗なワルツに乗って滑るように3拍子で歩く自分に気付くと、顔から火が出そうになる。

しかし人混みでいきなり立ち止まっては迷惑だ。

そこで長年の経験で、歩調が音楽に合っているのに気付いたら

ぴょこん!

軽く1歩スキップを入れることにしている。

しぜんにリズムが崩れ、歩調が外れるのだが、客観的にはやっぱり、ちょっとヘンかもしれない。

仏頂面のオバサンが、だしぬけにスキップしてあなたを驚かせたら、それはたぶん私である。





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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2019/02/17 11:30

ことわる話。

同窓会のご案内

皆さん、その後お元気ですか?今年も集まりましょう!


今年??

ぜんぜん心当たりのないメールに驚いて発信者を確認すると、高校の同級生の、ハマノ君だった。

去年の春、ひょんなことから同級生数人と会った(→かわった話。)。

正式な同窓会ではないが、まあせっかくだから、と参加したのだ。

どうやら同じ顔ぶれで、今年も集まるらしい。

はァ~…

思わずタメイキが出るのは、前回ビックリするほどつまらなかったからである。

集まったのは男女3人ずつの6人。女1人を除いて、あと4人は卒業以来である。

はじめのうちは、話題も探り探り。

懐かしいなあ、から、今どうしてるの、へえ~そうなんだ、と、だんだん話が弾むのが普通だが、この時は全然そうならなかった。

共通の話題も興味もない、生温い時間が過ぎる。

顔も名前も、聞けばわかるが、今日の今日まで思い出さなかった人たちである。昔つまんなかった人が、年をとって面白くなるわけがない。

このトシになって、仕事でもないのに、退屈な集まりをガマンするなんてマッピラゴメンだ。無い用事を作って速攻でお断りの返事を出した。

ところが翌日。

再送・同窓会のご案内

全員が参加できるように日程変更しました。


ヒャー!タスケテー!

思わず悲鳴をあげた。

どうそうかい
(ラブもなければアゲインもない場合はどうすべきか)




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ごきんじょ | コメント(22) | トラックバック(0) | 2019/02/16 11:30

〇と-の話。

on offはわかる。

なら一目瞭然だ。

何の話かというと、スイッチである。

すいっち

冬のババアの1人暮らしは夜が冷える。

暖めてくれる人を求めるとややこしいし高くつくので、もっぱら電気アンカの世話になるわけだが、このスイッチが問題なのだ。

片っぽが

もう片方が

どっちに倒せば点くのか、わからない。

せめてに色分けしてくれればいいのに、それもない。ノーヒントである。

また、モノがアンカというのも厄介だ。

扇風機ならグルグル回るから、点いたのがすぐ分かる。照明だって、点ければ明るくなる。

ところが、アンカが点いているかどうかは、見た目ではわからないし、暖まるにもしばらく時間がかかるのだ。

点けたつもりでフトンに入り、なかなか暖まらないので、やっとスイッチが入ってないと気付く。

寒いと思いつつそのまま寝てしまい、翌朝フトンの中に、電気ではなく自分の体温で暖まっているアンカを発見することもある。

非常に微妙で複雑な気分になる。

もしやこれがワビサビというものだろうか。俳句でも詠めたら、と思うが、できない。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/02/15 11:30

ばれんの話。

朝のワイドショーの司会者が

今日はバレンですね

と言って

ちゃんとタインデーまで言ってください!

と、女性タレントに叱られていた。

好きな人ではないが、言いたいことは分かる。

バレンタインデーって長すぎる

バレンタインというとこれしかないのか、今ごろよく流れる古い歌に

♪…ば れん たいん で~ き~ いっす♪

というのがあるが、歌がヘタなのを大目に見ても、この間の抜けた、ガッカリ感。

バレンタインデーが5割引になった感じだ。

英語をカタカナに直すと、とかく長くなる。

英語のValentine's dayなら、母音は4つだ。(本来Saintが必要なのはお見逃しください)

クリスマスも日本語だと母音5つになってしまうが、Christmasなら2つである。

人口に膾炙する行事名は短くあらまほしい。

女が高いチョコを食べ、安いチョコを配る日になったバレンタインデー。

もはや日本の行事なのだから、もうバレンでいいじゃん、というのは、乱暴だろうか。

ちょこれーとせんこう
(お仏壇にはチョコレート線香をどうぞ)



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/02/14 11:30

あかいの話。

テレビは水泳選手の病気のニュースで持ちきりだ。

あんなに若く、美しく、強い人が病に倒れるのは、若くなく、美しくなく、軟弱な人間にとってもたいへんショックである。

今は治療もすすんで完治できる病気だが、やはり重病のイメージが強いのは、

あかいぎわく

「赤い疑惑」、私の世代ではこのドラマの影響が強いと思う。

ストーリーはご都合主義の荒唐無稽なものだ。

大学教授の父にフランスのおばさま、ヨットハーバーやらJALでパリ旅行やら、夢のような境遇をかき消す不幸が、主人公を侵す病魔である。

安産型で小麦色の肌のトップアイドルが、ちっとも病人に見えないことなどものともせず、大変な人気だった。

このドラマを見て、日本中の小学生が、再生不良性貧血という長い病名を覚えたのだ。

ドラマの最後は残念ながら悲劇であった。

当時は医療の力及ばぬ部分もあったろうが、なにしろヒロインが雨に濡れたり家出をしたり、無理ばかりしたせいだろう。

今ならお医者様の言うことをよく聞いて養生すれば、先進治療の力で元気になるはずだ。

オリンピックなんかどうでもいい、メダルなんか要らない。

イケエ選手、皆があなたの回復を祈っています。



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/02/13 11:30

ミミズノ本。

世の中まだまだ分からないことは多い。

ミミズの気持ちなどもその1つだ。

いつも思うのだが、ミミズは何がしたくて、土の中から、わざわざ道路に出てくるのだろうか。

雨が降って巣穴が水だらけになると、おぼれそうになって出てくる、という。

しかし、雨上がりにそのまま干からびてしまっているところを見ると、ミミズの避難は失敗に終わったというしかない。

カンカン照りの夏の暑い日にも、やはりミミズは出てくる。

全身粘膜の彼らにとって、熱したコンクリートやアスファルトは地獄のはず。なのになぜ、苦しみしかない場所に現れるのか。

まさか進んで干物になってアリのエサになりたい、という犠牲的精神ではないだろう。

少し調べてみたが、このミミズの自殺行為を、合理的に説明することはできないらしい。

謎に満ちたこの生き物に魅力を感じる科学者はたくさんいて、進化論を提唱したダーウィンも、その一人だった。

だーうぃんのみみずのけんきゅう
(「ダーウィンのミミズの研究」 福音館書店)

ダーウィンが、世界をひっくり返しかねない「進化論」を世に問う一方、地道にミミズの研究を行っていたことは、あまり知られていない。

自宅の裏庭を広範囲に掘り、30年にわたってミミズを観察したダーウィンの研究と人となりを、この本ではさらに検証する。

全編イラストと文章で、写真は出て来ないので、にょろにょろの苦手なかたにもお勧め。

ただし、道路のミミズの謎は、この本を読んでも解けないので、念のため申し添える。

今日はダーウィン生誕210年の誕生日にあたるダーウィンデー

それを記念して、この本↓の紹介をしようと思ったのだが、

みみずとつち
(「ミミズと土」 ダーウィン著 平凡社ライブラリー)

ミミズだけで320ページという、ありえないねちっこさに圧倒され、今日までに読了できなかったため、2015年8月6日の記事に加筆して掲載する。



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/02/12 11:30

ナミヘイ本。

今日は建国記念日

昔で言う紀元節であるが、それにつけても思い出すマンガが「サザエさん」にある。

お休みの日らしく、着物姿でくつろぎながら、

♪くもにそびゆる たかちほの~♪

紀元節の歌を歌っているナミヘイ。

ナマイキに腕組みなどして柱にもたれている長男カツオに向かって

オマエなどこんな歌は知るまいな

と、上機嫌で問うと

知ってますよ キゲンブシでしょう

その答えに顔色を変えたナミヘイが

ばかもーん

キゲンセツと読むんじゃ!

と叱り飛ばし、カツオは逃げていく、というのが4コマめだった。

神武天皇御即位の日も、炭坑節の仲間にされてはサッパリである。

主人公はサザエさんだが、サザエさんをサザエさんたらしめているのは、昭和の父ナミヘイだ。

会社に行くのに帽子をかぶり、家では着物で懐手をし、息子をバカモンと叱るようなお父さんは、もはやマンガの中にしか存在しない。

それにしてもショックなのは、設定によると、彼が私より年下だということである。

なみへいさん
(バーコードでチョビヒゲの54歳)



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ブックガイド | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/02/11 11:30

ノラクロ本。

もうずいぶん前、東京に住んでいたころ、同窓会に出席する父が、1人で泊まりに来た。

せっかくだから歓待したいと考えたが、父が何を喜ぶのか、全然見当がつかない。

食べ物も、音楽も、映画も、何がいいとも言わず、怒りもせず大笑いもせず、黙ーっている父。

アレがステキ、コレがカワイイ、のべつ言う母と違い、父に関する情報は決定的に不足していた。

乏しい記憶を探り、父の書棚を思い浮かべた時、ふと1冊の文庫本を思い出した。

のらくろまんがしゅう

ビジネス書や人生訓の中に交じって、とぼけた顔を見せていた小さなのらくろ

昭和ヒトケタの父は、ふだんマンガを読んだりしなかったから、見つけた時は不思議だった。

そして父がやってきた日。

明日ここに行ってみない?

貰っておいたパンフレット(→田河水泡のらくろ館)を見せると、オヤ、といった表情で

…ふむ…いいな…
 
それだけ言った。

翌日は、朝から都バスを乗り継いで出かけた。

父は黙ったまま、けれども十分に時間をかけて、こじんまりした館内を見て回った。

楽しかったんだかつまらなかったんだか、ちっともわからない。

後日、帰宅した父から礼状が届いた。まるで文例集みたいなかたくるしい文言の間に

懐かしき思い出の一時を過ごし

とあるのが、もしかしたら感想だった、かもしれない。

もうすぐ父の七回忌である。



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ブックガイド | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/02/10 11:30

サンビキ本。

白黒アニメのアトムを見て育った私。(→ あとむの話。

手塚マンガも読んできたが、私の1冊と言えば誰が何と言おうとこれである。

わんだーすりー

名作、話題作の多い中、埋もれてしまった感のあるW3(ワンダースリー)」

無益な戦争を繰り返す地球人の調査のため、銀河連盟から派遣されたW3。彼らの調査結果しだいで、地球は反陽子爆弾で消滅させられることとなる。動物の姿を借りて行動するうち地球人の少年と出会い、その人柄に触れて考えを改めていく。その後、悪の組織の手に渡った反陽子爆弾を取り戻そうと、彼らは少年と協力して立ち向かう。

とまあ、こういうお話なのだが、なんといっても魅力的なのは、賢く有能な女性リーダーだ。

ウサギの身体を借りた彼女は、2人の部下を従えて、強気で任務をこなすキャリアウーマンだが、少年と接するとき、ほほを赤らめ、上目遣い(何しろウサギだから背が低い)

シンイチさん…

などと、いじらしい姿を見せる、いわゆるツンデレ系のヒロインである。

3人組で女子がリーダーという設定は、当時はまだ珍しく、女子のハシクレである私はシビレた。

手塚作品のヒロインは、とかくお色気不足のうらみがあるが、このウサギがまた、なぜか人間の女よりもずっと色っぽいのである。

時代は前後するが、黒澤明の「隠し砦の三悪人」を見た時、三悪人を従えた雪姫の姿に、ウサギのリーダーを思い起こしたことなども懐かしい。

今日で作者手塚治虫の没後、30年になる。



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ブックガイド | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/02/09 11:30
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