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けいかく話。

誰か1人出ることになったから、アナタ参加してください

渡されたパンフレットを見れば、何だかのセミナーである。

出張扱いになるので願ってもないが、学び甲斐のある若い人もいる中、なぜ私?

家がいちばん近いでしょ

そこ?!

まあいい、せいぜいお勉強してこよう。

セミナーは2日連続、うちから私鉄で30分かからない場所で行われる。

カレンダーや路線図を眺めていたら、イイコトを思いついた。

じゅうぶん通えるけど、泊まっちゃう?

会場の最寄は、繁華なターミナル駅。ビジネスホテルや居酒屋ががたくさんあるから、飲み食いにも宿泊にも困らないだろう。

いつもより早く終わって、遅く出ればいいセミナーの日、街のホテルに泊まってゆっくりする。

観光地じゃなくていい、温泉も高級グルメもいらない。

コックピットみたいなシングルに泊まって、チェーンの居酒屋で1人、生ビールなんか飲めたら。

想像だけでもうワクワクだ。

宿泊予約サイトで検索したら、朝食付きで5千円ほどのホテルが、いくらもヒットした。

これはもう、泊まるしかない!

もちろんそんなこと、同僚には言えない。

フフフと含み笑いなどしながら、楽しい秘密の計画が進行中である。

びじねすほてる
(あの狭い部屋をよくこんな広々と撮れるものだ)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/03/21 11:30

まっかな話。

おはようのぺんぎん

今日もまっかっか!皆さん気をつけて!

朝いちばん、意味不明なLINEのメッセージはおばーちゃん。

おばーちゃんが見ている朝のテレビの花粉情報では、多い地域はオレンジ、非常に多い地域は赤く塗られている。

つまり、まっかっかとは、花粉の飛散量が非常に多いこと、なのだ。

おばーちゃんは、杉林の映像を見るだけで鼻がムズムズするほどの花粉症で、この時期は日日の飛散量の多寡に戦々恐々としている。

そんな彼女だが、発症はほんの数年前。

以前は花粉症の存在自体を疑い

花粉症?そんなの昔はなかったわヨ 鼻風邪か、気のせいじゃないの?

などと言いかねない、困った人だったのだ。

だから、70代にして遅い花粉症デビューをしたときは

鼻水が止まらないとか、目がかゆくてたまらないとか、本当だったのねえ…

と、少なからずショックを受けていた。

しょうじきザマーミロと思わないでもない。

それにしても、いったん現実を受け入れてからのおばーちゃんには、目を見張るものがある。

花粉症を改善する薬、食物、そして生活習慣。よいと聞けば積極的に試し、効果があれば友人知己にも惜しみなく分け与える。

同病相憐れむというが、

気のせいじゃない?

などとぬかしていた時とは、まるで別人である。

花粉症はつらいが、彼女の人間的成長という点では、良いことだったのかもしれない。



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/03/20 11:30

しゃしんの話。

通勤電車に華やかな色彩が流れ込んできた。

振袖に袴の、女子学生たち。

ああ、今日が卒業式なんだ。

きゃらきゃらと笑い興じる着飾った集団から、少し離れて乗り込んできたのは、親御さんたちだ。

娘の引き立て役らしい黒の装いの中に、大きなカメラを提げている人も。

貸衣装も着付も、高いお金を支払ったのだから、しっかり証拠写真を残したい気持ちは分かる。

そういえばうちはどうだったかな。

ムスメの大学のときは出なかったから、いちばん最近はムスコの高校の卒業式。

学ランの男子なんて撮り甲斐のないこと甚だしいが、それでもいちおうカメラは持っていたはず。

しかし、撮った写真を見た記憶が無い。心覚えの日付の画像ファイルを見てみた。

ぞろぞろ入場する学生の列の、どれがムスコだか分からず、むやみに撮った写真。

檀上での卒業証書授与のタイミングを、絶妙に逃した写真。

筆文字の看板の前に立つムスコがシカメ面なのは、けっこうな順番待ちをしたからだ。

あんのじょうロクな写真が無い。紙焼きする気が起きなかったのも当然だ。

おまけに、最後に謎の写真が1枚入っていた。

そつぎょうしきのしゃしん

なんだコレ?

たぶんムスコの通学路だが、なんでこんな場所を撮ったんだったか。

眺めることしばし。

…あ!

式の後、友だちとどこかに行くというムスコと別れ、1人の帰り道

そつぎょうしきのしゃしん2

なんでこんなとこに、穴あけパンチ?

そう思って撮ったのだった。

ムスコの写真はロクなのが無かったが、イイモノを見た気がして、満足してファイルを閉じる。



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/03/19 11:30

あおたん話。

久々に自転車で転んだ。

正確には、自転車が転んだのである。

ゆるい坂でズルズルとタイヤが滑り、あー転ぶ…と思ううち、車体が倒れたが、私自身はいち早く足をついたので、倒れずに済んだ。

スリキズこそなかったものの、あとになって見たら、ハンドルが当たったヒザ小僧に、青アザができていた。

あーあ、でっかい青タン

子供の頃、こんな風にアザができると、母に

あーあ、でっかい青タン作って

と、よく言われた。

私としては、作ったつもりはサラサラない。転んだら、勝手にこうなったのだ。

痛い目に遭ったうえに不当な言われようだが、子供の私は反論も思いつかず、ボーッとしていた。

今なら作ったんじゃない、できたんだ、とでも言い返すだろうか。

あーあ、でっかい青タン作っちゃって…

誰にともなくつぶやきながらヒザを撫でたら、できたての青アザは、うっすら熱を持っていた。

あかたん
(こちらは赤タン。春らしくてよろしい)



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もろもろ | コメント(20) | トラックバック(0) | 2019/03/18 11:30

そのごの話。

同じ家に住んでいても、家族の状況で暮らし方は変わる。

たとえば子供が独立すればその部屋が空くし、洗濯物が減れば、狭くてもよく日の当たるベランダへと、干し場が変わる。

小さい家にも動線はあり、ひんぱんに行き来した部屋を、ぱったり通らなくなったりするものだ。

何が言いたいかと言えばコレである。

なにか

天井にくっついた小さなナニカ。

以前はよくこの下を通っていたため、ずっと気になっていた。(→ なにかの話。

気になるならサッサと脚立に乗って掃除しちまえと思うだろうが、そうしないのが私という人間の奥深さである。

とにかく、だいたい毎日、コレ何だろう、と考えていたものを、ムスメが社会人になり、ムスコが家を出て以来、見ない日が増えた。

見ぬもの清し、といい、また去る者は日日に疎し、とも。

謎のナニカのことを考えなくなって久しい。

しかし今朝、何の脈絡もなくふと、アレどうなってるかしら、と思ったのだ。

日々通りすがりに見ていたものを、わざわざ見に行く不思議。

まだあるかな もしかして、もう無くなっているかしら

ときめきに近い心のざわめきをもって、その場所に近づけば

なにか

あった。

数えてみれば、前回記事から、ちょうど3年が経っていた。

だーかーら、掃除しろって!


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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/03/17 11:30

ぐるぐる話。

出かけた先で、懇親会に誘われた。

私は予定外の参加で、アタマ数に入っていないが

いいんですよ キャンセルが出て余裕ありますし

主催者にそう言われ、お言葉に甘える。さほど遠くない会場まで、マイクロバスで移動。

サービスいいですねぇ

バスの隣席の女性に話しかけると

え?ええ…

なんだかビミョーな空気だったが、そのまま会場に入った。

立食の会場に多くない参加者。ドタキャンもいるようだし、あんまり期待しないほうがいいかも。

しかし予想を裏切って、お料理はとてもおいしかった。会費のわりにメニューも大変豪華である。

えいぎょうていし

美味しいお店ですねえ 皆さんよく来られるんですか?

ええ、いつもは近くの本店のほうに…

アラ もっと近くに本店があるんですか

聞き返すと、相手はマズった、という顔になり、ゴニョゴニョ言いながら行ってしまった。

何かあると感じて、主催者の人を捕まえる。

アハハハ… じつは今日も本店の予定だったんですが 昨日食中毒が出ましてね

ええっ?!

営業停止になったんですが、急には代わりの店がなくて…

はあ…

送迎を出すんで、系列店に…ということに…

へえ…

いやー、直前で 慌てましたわ ワハハハ…

あくまで明るいが、営業停止の系列店…かあ。

やけにサービスがいいのも、ドタキャンが出たのも、そのせいだったんだ。

胃腸は丈夫な私だが、お腹がグルグル鳴りはじめた気がした。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/03/16 11:30

ふうらい話。

仕事がらみで、急に決まった旅行。

荷造りもカンタンに、身軽にプイッと出かける。

1泊で用件を済まして来るだけなので、実家の母にも、離れて暮らすムスメとムスコにも、とくに知らせずに出発した。

電車が駅を離れた時、行先は誰も知らないんだと、不思議な解放感を覚える。

風来坊、なんて言葉が、頭に浮かんだ。

ふらっと旅に出る、この感じが、病みつきになる人もいるんだろうなあ。

私はフーテンの寅さんじゃなく、フツーのオバサンだけど、たまに味わうこんな気持はいい。

風は強く、空を雲が流れていく。

楽しく眺める車窓に、工業団地の大きな建物。看板の文字は

ナントカ生協配送センター

アッ!生協!

とたんに現実に引き戻される。

今日は生協の配達日だったのだ。急のことで、配達を停めておかなかった。

保冷箱に入ってはいるが、さいきん暖かくなってきたので、夜昼置くと生モノが心配だ。

慌ててスマホで連絡先を調べ、デッキまで行って電話した。いつものお兄さんは

ご旅行ですか いいですね!

愛想よく、配達日の変更を引き受けてくれた。

さて、生協のお兄さんは、地球上で唯一、私の旅行を知る人になった。なんだか、おかしい。

ふーてんのとらじろう
(「見知らぬ土地を旅する間にゃ、それは人には言えねえ苦労があるのよ」)



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/03/15 11:30

つうはん話。

買い物がキライなので、日々の買い物はもっぱら生協の宅配

生協にないものは通販だが、買い回るのも面倒なので、できるだけ1つところで片付けたい。

たとえばある日届いた段ボールを開けると

あまぞんでおかいもの

輪ゴムで止めてあるのは

みにまないた
小ぶりの木のまな板と
どりるびっと
電動工具のドリルビット、
でぃあなちゅら
そしてカルシウムのサプリ。

どこか遠くの倉庫で、この3つの品物を、まとめて輪ゴムで止めている人は、もしかしたら

みにまないた
「木のまな板に
どりるびっと
ドリルで穴をあけて
でぃあなちゅら
錠剤を詰めるのかな?」

などと、考えていないだろうか。

われながら、ヘンな買い物して、ヘンな想像をする、ヘンなおばさんである。

木にカルシウム詰めてどうすんだ、と自問しつつ、小さくクククと笑う。

1人暮らしも、まもなく3年目だ。



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/03/14 11:30

ジルジル本。

朝いちばん、火の気のない台所。

何の気なしに、コンロにかけたままの鍋のフタを開ける。

昨日の味噌汁は、新キャベツと油揚だった。味噌が底に沈んだ薄色の出汁の中に、半透明に煮えたキャベツが、じっとしている。

あー、ジルジルしたい!

と思った。

「ジルジル」の出典は、東海林さだおである。

学校から帰ると、お母さんは留守。遊びに出る前に何か食べたいショージ君は、台所で昨日の味噌汁を見つける。

コンロにかかった鍋のなかみを、お玉ですくってジカにジルジルとすする。

お母さんには、間違いなく叱られるイケナイ味。

温め直さない、昨日の味噌汁というのがいい。

ショキショキの甘い新キャベツ。時々当たる油揚げを噛めば、冷たいお出汁がジュッとしみ出す。

何十年も前の他人の思い出なのに、今の自分のことみたいにアリアリと想像できる。

食味随筆に定評のある東海林であるが、無理に食べ慣れないものを食べるレポートより、こうしたありふれた食べ物の思い出が秀逸なのだ。

ジルジルの誘惑は強いが、小学生のショージ君ならともかく、50のオバサンではみっともない。ガマンして鍋のフタを置いた。

40冊を超える丸かじりシリーズのうち、新キャベツの味噌汁が載っていたのはどれだったか、手元になくて、わからない。

きゃべつのまるかじり
(うーん、これだったかなあ)



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ブックガイド | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/03/13 11:30

いちごの話。

先日、父の七回忌で帰省したイモート。

夫のコージさんは会社で、娘のメイちゃんは中学の定期試験でお留守番だったため、奈良土産をたくさん買って帰った。

コトカ!コトカ買いたいんだけど どこに売ってる?コトカ

は?なに?イコカだったら駅だけど?

千葉県民のイモートが連発するそれが何なのか、私もおばーちゃんも分からなかった。

もー やーねえ!イチゴよ 奈良のブランド苺!知らないの?

古都華という高級イチゴは有名らしい。

あてにならない姉に見切りをつけたイモートは、サッサとスマホで検索した販売店に出かけた。

コトカ、コトカねえ。

私はブランドにも、果物全般にも、あまり熱心でない。果物でしかもブランドとなると、最も苦手な分野である。

しかし、イモートがあれだけこだわったコトカとやらは、さすがに気になった。

ある日駅を降りて、時々買い物する県産品マーケットの前で、ポップに目がとまった。

美味しいイチゴ 古都華 ¥800

たった9粒で800円は高価だけど、手が出ない値段ではない。ちょうどムスメが帰る週末だし、ケーキを買うと思えばいいか。

遅い夕食のあと、ヘタもそのまま、洗っただけのイチゴをムスメとつまんだ。



!!!


言葉も出ず、親子で見かわす目と目で、驚きを伝えあう。

1個、2個、3個…最後の1個は半分こ。だまーって全部食べ終えたあと

…いいイチゴって…

…スゴイねえ…

いやホント、恐れ入りました。すげえわ、コトカ様。

ことか



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もろもろ | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/03/12 11:30
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