おわりの話。
平成が終わると皆が騒いでいるが、特に感慨はない。
つねづねイベント嫌いでへそ曲がりの私ではあるが、この響かなさ加減は何ゆえだろうか。
まず平成という年号が、合わない衣服のように、いまだにシックリしない。
平成(仮)という感じで、30年以上続いた実感がないのだ。
平成元年、私は既に社会人であった。
契約書や伝票の年号を2重線で訂正して書き直した記憶もはっきりとある。(→ へいせい話。)
つまるところ、平成がやってきた時点で人格形成が完了しており、昭和と同様のインパクトが加わることは無かったということかもしれない。
しかし、思い返せばこの30年。
オトコと知り合い、結婚して、ムスメが生まれ、ムスコが生まれ、そうかと思えば離婚して、その合間に仕事も住まいも転々と変えた。
ボンヤリ子供をしていた昭和の時代より、オバサンからバアサンに向かう令和より、はるかに色々あったはずなのだ。
にもかかわらず、私という人間が、芯のところで変わらなかったことは、もしかしたら自慢に思っていいのだろうか。
いま、ムスメは平成を迎えた時の私と同い年である。
新しい時代、何があっても、今の彼女と変わらずにいてほしいと思われてならない。


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つねづねイベント嫌いでへそ曲がりの私ではあるが、この響かなさ加減は何ゆえだろうか。
まず平成という年号が、合わない衣服のように、いまだにシックリしない。
平成(仮)という感じで、30年以上続いた実感がないのだ。
平成元年、私は既に社会人であった。
契約書や伝票の年号を2重線で訂正して書き直した記憶もはっきりとある。(→ へいせい話。)
つまるところ、平成がやってきた時点で人格形成が完了しており、昭和と同様のインパクトが加わることは無かったということかもしれない。
しかし、思い返せばこの30年。
オトコと知り合い、結婚して、ムスメが生まれ、ムスコが生まれ、そうかと思えば離婚して、その合間に仕事も住まいも転々と変えた。
ボンヤリ子供をしていた昭和の時代より、オバサンからバアサンに向かう令和より、はるかに色々あったはずなのだ。
にもかかわらず、私という人間が、芯のところで変わらなかったことは、もしかしたら自慢に思っていいのだろうか。
いま、ムスメは平成を迎えた時の私と同い年である。
新しい時代、何があっても、今の彼女と変わらずにいてほしいと思われてならない。


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かんしゃの話。
世は黄金週間だが、私は家で仕事。
夕方テレビを点けると、想像力を欠く人々が渋滞や混雑で苦しむ様子が映ったので、ついハナウタを歌いかけたら、とっさに声が出なかった。
そういえば朝からしゃべっていない。
1人暮らしを始めたころは、同じく1人暮らしのおばーちゃんに電話をかけ、健在を確認するのが日課だった。もちろん確認で終わるわけはなく、あれこれとしゃべったものだ。
しかし、新しいもの好きの老母がスマホに換えて、日々の生存確認はLINEに。
今日のように出かけず、届け物もない日は、1日じゅうモノを言わないことも多い。
深い水底に沈んだように静かな、そんな日も人はお腹が減るし、出るものは出る。
ご不浄に入ったら、ちょうどトイレットペーパーが終わった。
ムスメとムスコが家を出ても、紙の減り具合が目に見えて変わらないのは、なんだか不思議だ。
ホルダーから芯を外したら、チラッと何かが目をよぎる。
筒の上に斜めに走る薄墨の印刷の字で

…とうございます まいどありがとうございます まいどあ…
いや、何の感謝?!
意外に大きなボリュームで飛び出した、今日初めての声に、自分で驚いた。

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夕方テレビを点けると、想像力を欠く人々が渋滞や混雑で苦しむ様子が映ったので、ついハナウタを歌いかけたら、とっさに声が出なかった。
そういえば朝からしゃべっていない。
1人暮らしを始めたころは、同じく1人暮らしのおばーちゃんに電話をかけ、健在を確認するのが日課だった。もちろん確認で終わるわけはなく、あれこれとしゃべったものだ。
しかし、新しいもの好きの老母がスマホに換えて、日々の生存確認はLINEに。
今日のように出かけず、届け物もない日は、1日じゅうモノを言わないことも多い。
深い水底に沈んだように静かな、そんな日も人はお腹が減るし、出るものは出る。
ご不浄に入ったら、ちょうどトイレットペーパーが終わった。
ムスメとムスコが家を出ても、紙の減り具合が目に見えて変わらないのは、なんだか不思議だ。
ホルダーから芯を外したら、チラッと何かが目をよぎる。
筒の上に斜めに走る薄墨の印刷の字で

…とうございます まいどありがとうございます まいどあ…
いや、何の感謝?!
意外に大きなボリュームで飛び出した、今日初めての声に、自分で驚いた。

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おんどさ話。
相手との認識のズレを感じる時、温度差がある、と表現するが、私も今、世間一般との温度差を痛切に感じている。
朝。暖かいフトンからシブシブ這い出ての第一声は
さぶっ!
暖房を点けたいところだが、もう4月も末なのだから、とグッとガマン。
ドテラを羽織り、淹れたてのコーヒーをすすりながら、その日着るものを考える。
昨日はセーターの上にジャケットを着たら、玄関を出るなり汗がドッと出て、慌てて引き返したのだった。
あれもこれも、先日来既報の外壁工事(→ はとめの話。)のせいである。
外は春。
しかし、黒いシートに囲まれ、薄暗く寒いわが家で身支度すると、冬装束になってしまうのだ。
世の中と自分の温度差を考えて、着るものを決めねばならぬ。
熟慮の結果、綿の長袖にカーディガンをかさねたが、肌寒くてとても家にはいられない。
少し早いが、急いでカバンを持ち、外に出たら
ビュー!
キャー!!
何だ、今日は外も寒いのか!
衣更えもままならない日々は、まだまだ続く。


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朝。暖かいフトンからシブシブ這い出ての第一声は
さぶっ!
暖房を点けたいところだが、もう4月も末なのだから、とグッとガマン。
ドテラを羽織り、淹れたてのコーヒーをすすりながら、その日着るものを考える。
昨日はセーターの上にジャケットを着たら、玄関を出るなり汗がドッと出て、慌てて引き返したのだった。
あれもこれも、先日来既報の外壁工事(→ はとめの話。)のせいである。
外は春。
しかし、黒いシートに囲まれ、薄暗く寒いわが家で身支度すると、冬装束になってしまうのだ。
世の中と自分の温度差を考えて、着るものを決めねばならぬ。
熟慮の結果、綿の長袖にカーディガンをかさねたが、肌寒くてとても家にはいられない。
少し早いが、急いでカバンを持ち、外に出たら
ビュー!
キャー!!
何だ、今日は外も寒いのか!
衣更えもままならない日々は、まだまだ続く。


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あくびの話。
土曜の朝のお楽しみはチコちゃん。

「チコちゃんに叱られる!」
録画するほどではないが、家にいれば見る。
ぜったい5歳じゃないチコちゃんも、分からないと呆然とするオカムラ君もかわいい。
言われてみればわからないけど、考えてみたことが無いような疑問をうまく探して来るもんだ。
今日の1問目は
なぜ眠くなるとあくびが出る?
昔の子供電話相談室では、脳ミソが酸欠になるから、と聞いたが、今は違うらしい。
何だろう、と考えながら、ふと思う。
そういや最近あくびしないな
試しに1つやってみっか、と、作りあくびを試みたが、やり方が思い出せない。どうやらかなり長く、あくびというものをしてないようだ。
画面ではゲスト回答者が順当に叱られて、チコちゃんがおごそかに答えを言った。
眠くなるとあくびが出るのは … 脳の温度を下げるため~!
チコちゃんは一言でまとめるが、理由はなかなか複雑である。
人は眠る時、脳ミソなど体内の温度が下がる。
退屈や疲れで眠くなると、だんだんに脳ミソが冷えてくるわけだ。
ところが、人はのべつ眠っていいというわけではない。授業で眠れば単位を落とすし、上司の説教中に眠れば仕事を失う。
そこで、眠ってはいけないと強く思った時、脳ミソは温度を上げようとするのだ。
ところが、脳ミソは、過熱すると機能が低下し、はなはだしくは細胞が破壊される。
そこで、あくびで外気を取り入れ、頸動脈に流れる空気を冷やして、脳ミソを冷ますのである。
いったん上げようとした脳ミソの温度を、また下げる、このプロセスがなかなかカッコいい。また1つ賢くなってテレビを切った。
だがしかし、待てよ。
じゃあ、あくびが出ない私は、脳ミソが熱くならないのか?
眠っちゃいけないと思ってないのか?
そんな私はもしかしたら、チコちゃんに叱られるかもしれない。

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「チコちゃんに叱られる!」
録画するほどではないが、家にいれば見る。
ぜったい5歳じゃないチコちゃんも、分からないと呆然とするオカムラ君もかわいい。
言われてみればわからないけど、考えてみたことが無いような疑問をうまく探して来るもんだ。
今日の1問目は
なぜ眠くなるとあくびが出る?
昔の子供電話相談室では、脳ミソが酸欠になるから、と聞いたが、今は違うらしい。
何だろう、と考えながら、ふと思う。
そういや最近あくびしないな
試しに1つやってみっか、と、作りあくびを試みたが、やり方が思い出せない。どうやらかなり長く、あくびというものをしてないようだ。
画面ではゲスト回答者が順当に叱られて、チコちゃんがおごそかに答えを言った。
眠くなるとあくびが出るのは … 脳の温度を下げるため~!
チコちゃんは一言でまとめるが、理由はなかなか複雑である。
人は眠る時、脳ミソなど体内の温度が下がる。
退屈や疲れで眠くなると、だんだんに脳ミソが冷えてくるわけだ。
ところが、人はのべつ眠っていいというわけではない。授業で眠れば単位を落とすし、上司の説教中に眠れば仕事を失う。
そこで、眠ってはいけないと強く思った時、脳ミソは温度を上げようとするのだ。
ところが、脳ミソは、過熱すると機能が低下し、はなはだしくは細胞が破壊される。
そこで、あくびで外気を取り入れ、頸動脈に流れる空気を冷やして、脳ミソを冷ますのである。
いったん上げようとした脳ミソの温度を、また下げる、このプロセスがなかなかカッコいい。また1つ賢くなってテレビを切った。
だがしかし、待てよ。
じゃあ、あくびが出ない私は、脳ミソが熱くならないのか?
眠っちゃいけないと思ってないのか?
そんな私はもしかしたら、チコちゃんに叱られるかもしれない。

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おやすみ話。
10日間の大型連休といっても、とくに予定は無い。
ムスメもムスコもそれぞれ計画があるのか、ウンともスンとも言って来ない。
本でも借りておくかと図書館に行った。
平日なのにいつになく混んでいるのは、同じ考えの人も多いのだろうか。
借りたい本を手に貸出窓口に並んでいると、前の女性が、不意に頓狂な声をあげた。
ちっとも連休じゃないじゃない!
彼女が見ていたのは、窓口に貼ったカレンダー。

つられてつい覗き込むと、なんと10連休中、1日しか休みが無い。
図書館なんてお役所だから、てっきり長く休むもんだと思っていた。
私より少し年上に見える女性は、
休めばいいのに~!休んだって誰も怒らないわよ!
窓口嬢を苦笑させていると思ったら、イキナリ振り向いて
ねえ?!
私に同意を求めたので、しかたなく
そうですねえ
と答える。
女性はその後も、休んじゃいなさいよ、手当は出るの、と余計なおせっかいを続けたが、貸出手続きを終えると、意外にあっさり去っていった。
私の番になって、本をカウンターに置きながら
面白い方でしたね
つい声をかけると、窓口嬢はフフフと笑って
でも有り難いです あんな風に言ってくださって…
そう言いながら、バーコードをピッとやった。
借りた本をカバンに入れながら、せっかく開いてるんだから 連休中にまた来よう、そう思った。

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ムスメもムスコもそれぞれ計画があるのか、ウンともスンとも言って来ない。
本でも借りておくかと図書館に行った。
平日なのにいつになく混んでいるのは、同じ考えの人も多いのだろうか。
借りたい本を手に貸出窓口に並んでいると、前の女性が、不意に頓狂な声をあげた。
ちっとも連休じゃないじゃない!
彼女が見ていたのは、窓口に貼ったカレンダー。

つられてつい覗き込むと、なんと10連休中、1日しか休みが無い。
図書館なんてお役所だから、てっきり長く休むもんだと思っていた。
私より少し年上に見える女性は、
休めばいいのに~!休んだって誰も怒らないわよ!
窓口嬢を苦笑させていると思ったら、イキナリ振り向いて
ねえ?!
私に同意を求めたので、しかたなく
そうですねえ
と答える。
女性はその後も、休んじゃいなさいよ、手当は出るの、と余計なおせっかいを続けたが、貸出手続きを終えると、意外にあっさり去っていった。
私の番になって、本をカウンターに置きながら
面白い方でしたね
つい声をかけると、窓口嬢はフフフと笑って
でも有り難いです あんな風に言ってくださって…
そう言いながら、バーコードをピッとやった。
借りた本をカバンに入れながら、せっかく開いてるんだから 連休中にまた来よう、そう思った。

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たんちょう話。
ムスメのことだけ書いては不公平なので、自分の話もしよう。
私は小さい頃、悲しい曲を聞くと泣いていた。
歌詞の意味が分かる年齢ではない。
曲調が悲しい、つまり短調の曲が流れてくると、次第に悲しい気分になり、しまいにはしゃくりあげるほど泣いてしまう。
そうなると最初になんで泣き出したのか、もうわからない。母に
どうしたの どこか痛いの?
聞かれても、ただ首をふるだけだった。
母もさぞかし困ったことだろう。
BGMが流れるシャレた場所で、ヨソイキを着てさっきまでご機嫌だった子供が、急に泣き出して、いっこう止まないのである。
披露宴で泣きやまない私を、留袖の小脇に抱え、会場の外に逃げたなど、母の語るエピソードは枚挙に暇がない。
しかし、母親の観察力とはえらいものである。
どうやら短調の曲で泣くらしい
ある時母はそう気づいて、さっそく
ねえねえ見て見て この子面白いのよ 悲しい曲聞かせると泣くの!
娘の新しい芸を披露しようとした。
ところが、好奇に満ちた大人の目に囲まれた途端、私はピタリと泣かなくなったという。
そりゃそうだろう。
こういうデリカシーのなさが、母の数多い欠点のひとつだが、おかげで私はあまり泣かない子供になったのである。


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私は小さい頃、悲しい曲を聞くと泣いていた。
歌詞の意味が分かる年齢ではない。
曲調が悲しい、つまり短調の曲が流れてくると、次第に悲しい気分になり、しまいにはしゃくりあげるほど泣いてしまう。
そうなると最初になんで泣き出したのか、もうわからない。母に
どうしたの どこか痛いの?
聞かれても、ただ首をふるだけだった。
母もさぞかし困ったことだろう。
BGMが流れるシャレた場所で、ヨソイキを着てさっきまでご機嫌だった子供が、急に泣き出して、いっこう止まないのである。
披露宴で泣きやまない私を、留袖の小脇に抱え、会場の外に逃げたなど、母の語るエピソードは枚挙に暇がない。
しかし、母親の観察力とはえらいものである。
どうやら短調の曲で泣くらしい
ある時母はそう気づいて、さっそく
ねえねえ見て見て この子面白いのよ 悲しい曲聞かせると泣くの!
娘の新しい芸を披露しようとした。
ところが、好奇に満ちた大人の目に囲まれた途端、私はピタリと泣かなくなったという。
そりゃそうだろう。
こういうデリカシーのなさが、母の数多い欠点のひとつだが、おかげで私はあまり泣かない子供になったのである。


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ぱんじー話。
ニュータウンに住んでいいことは、花壇が整備されていることである。
春は、赤と黄色のチューリップ。
チューリップが植わっているだけで、建物が幼稚園っぽくかわいらしく見えるから、面白い。
背の高いチューリップの足元を埋めるように咲いているのはパンジーだ。

黄色、オレンジ、紫、白…色とりどりの花が、みんなこちらを向いている。
ムスメは小さい頃、コワガリであった。
大きな音や、怖い顔が大の苦手。
テレビでワルモノが出てくるとフスマの陰に隠れるし、大人は見慣れたダルマや、節分の鬼の面も
くわい、くわい!(怖いの意)
と言って、泣いた。
ナマハゲの来ない地方に生まれたことは、彼女にとって何より幸いであったろう。
あるうららかな春の日、お買い物に出たわれわれ親子。
眠くなりそうな日差しの中、小さいムスメの手を引いて歩く、平和そのものの平日の街。
ところが、あるところでムスメの足がピタリと止まったと思うと、
くわい…
小さくつぶやいたまま、動かなくなってしまった。
見回しても、鬼も怪人も、ナマハゲもいない。
くわい?なにがくわい?
尋ねても要領を得ない。
丸っこい手が指さす方には、咲きそろったパンジーの花壇があるだけである。
え、お花?お花がこわいの?
驚いて聞き返すとムスメはこっくりとうなずいて
みんな みてる…
と言った。
たしかに、パンジーの花は、どこから見ても不思議にこっちを向いているし、隈取りをした人の顔に見えなくもない。
そうか、パンジーがこわいか。
お花といえば自動的にかわいいものと思っていた私は、ちょっと不意を突かれた。
そんなコワガリのムスメも25歳。連休は1人で、海外に行くらしい。

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春は、赤と黄色のチューリップ。
チューリップが植わっているだけで、建物が幼稚園っぽくかわいらしく見えるから、面白い。
背の高いチューリップの足元を埋めるように咲いているのはパンジーだ。

黄色、オレンジ、紫、白…色とりどりの花が、みんなこちらを向いている。
ムスメは小さい頃、コワガリであった。
大きな音や、怖い顔が大の苦手。
テレビでワルモノが出てくるとフスマの陰に隠れるし、大人は見慣れたダルマや、節分の鬼の面も
くわい、くわい!(怖いの意)
と言って、泣いた。
ナマハゲの来ない地方に生まれたことは、彼女にとって何より幸いであったろう。
あるうららかな春の日、お買い物に出たわれわれ親子。
眠くなりそうな日差しの中、小さいムスメの手を引いて歩く、平和そのものの平日の街。
ところが、あるところでムスメの足がピタリと止まったと思うと、
くわい…
小さくつぶやいたまま、動かなくなってしまった。
見回しても、鬼も怪人も、ナマハゲもいない。
くわい?なにがくわい?
尋ねても要領を得ない。
丸っこい手が指さす方には、咲きそろったパンジーの花壇があるだけである。
え、お花?お花がこわいの?
驚いて聞き返すとムスメはこっくりとうなずいて
みんな みてる…
と言った。
たしかに、パンジーの花は、どこから見ても不思議にこっちを向いているし、隈取りをした人の顔に見えなくもない。
そうか、パンジーがこわいか。
お花といえば自動的にかわいいものと思っていた私は、ちょっと不意を突かれた。
そんなコワガリのムスメも25歳。連休は1人で、海外に行くらしい。

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けいとら話。
通勤途上、道端に軽トラが停まっていた。
荷台には青いプラスチックコンテナがいくつか。
色褪せた野球帽をかぶったオジサンが運転席から降りてきて、待っていたご夫婦にコンテナの中身を見せている。
タケノコだ。しかも大量。
奥さんの手に、まだ土のついた大きなタケノコを、どんどんのせていく。
いやもうそんな… うちは2人だし…
遠慮する言葉を押し返すように、次々と、まるでパスを出すように手渡されるタケノコは、ラグビーボールみたいだ。
今年は不作というけど、あるところにはあるもんだなあ…
そんな心の声が、聞こえたのだろうか。
信号を待ちながら見とれている私に気づいたオジサンが、大きな1本をいきなりヒョイと掲げ
要る?
みたいな顔をしてみせた。
ビックリして、顔の前で手をパタパタさせると、
あ、そ
という感じで、知人夫婦とのやりとりに戻る。
やがて信号が変わり、横断歩道を渡りながら、あのタケノコ、もらっていたら、どうなったかな、などと考え、フフッと笑う。
そんな春の良き日。


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荷台には青いプラスチックコンテナがいくつか。
色褪せた野球帽をかぶったオジサンが運転席から降りてきて、待っていたご夫婦にコンテナの中身を見せている。
タケノコだ。しかも大量。
奥さんの手に、まだ土のついた大きなタケノコを、どんどんのせていく。
いやもうそんな… うちは2人だし…
遠慮する言葉を押し返すように、次々と、まるでパスを出すように手渡されるタケノコは、ラグビーボールみたいだ。
今年は不作というけど、あるところにはあるもんだなあ…
そんな心の声が、聞こえたのだろうか。
信号を待ちながら見とれている私に気づいたオジサンが、大きな1本をいきなりヒョイと掲げ
要る?
みたいな顔をしてみせた。
ビックリして、顔の前で手をパタパタさせると、
あ、そ
という感じで、知人夫婦とのやりとりに戻る。
やがて信号が変わり、横断歩道を渡りながら、あのタケノコ、もらっていたら、どうなったかな、などと考え、フフッと笑う。
そんな春の良き日。


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あせった話。
もっか外壁工事中のわが家。

建物の外側は足場で囲まれて、カゴの中の生活。洗濯物もやむなく部屋干しだ。
工事がお休みの日は、かろうじて外に干せるので、乾きにくい服は日曜日を狙って洗う。
昨日は厚手の上衣を洗い、ベランダに干した。
夕刻、取り込みに出たら、まだ湿っている。
しかたがない、あとは部屋で、とハンガーを手に取った時、足場のシートの隙間から、傾きかけた日の光が差し込むのが見えた。
もうちょっと高いところで、もうちょっと陽に当てれば、サッパリ乾くかな?
何の気なしに、ちょっと背伸びして手の届く足場に、ハンガーをかけた。
そして今朝。
コーヒーを飲んでいたら、工事車両が敷地に入ってくる音がし始めた。
作業員諸君、今日も工事頑張ってくれたまえよ!
マグを片手にカーテンの隙間から外を覗いて、ハッとした。
あ!足場にハンガーかけたまま!
ベランダに飛び出し、慌ててひっぱると、固い手ごたえがして、かけた上衣だけが取れてきた。
ハンガーが、網状の踏み板に引っかかっている。
最初に引っ張った角度が悪かったのか、食い込んで取れない。
カンカンカン…
作業員諸君が上がってくる、軽い足音。
どうする、私!

(写真を撮っている場合ではない)

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建物の外側は足場で囲まれて、カゴの中の生活。洗濯物もやむなく部屋干しだ。
工事がお休みの日は、かろうじて外に干せるので、乾きにくい服は日曜日を狙って洗う。
昨日は厚手の上衣を洗い、ベランダに干した。
夕刻、取り込みに出たら、まだ湿っている。
しかたがない、あとは部屋で、とハンガーを手に取った時、足場のシートの隙間から、傾きかけた日の光が差し込むのが見えた。
もうちょっと高いところで、もうちょっと陽に当てれば、サッパリ乾くかな?
何の気なしに、ちょっと背伸びして手の届く足場に、ハンガーをかけた。
そして今朝。
コーヒーを飲んでいたら、工事車両が敷地に入ってくる音がし始めた。
作業員諸君、今日も工事頑張ってくれたまえよ!
マグを片手にカーテンの隙間から外を覗いて、ハッとした。
あ!足場にハンガーかけたまま!
ベランダに飛び出し、慌ててひっぱると、固い手ごたえがして、かけた上衣だけが取れてきた。
ハンガーが、網状の踏み板に引っかかっている。
最初に引っ張った角度が悪かったのか、食い込んで取れない。
カンカンカン…
作業員諸君が上がってくる、軽い足音。
どうする、私!

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はとめの話。
陽光溢れる4月、天気は全国的に晴れの予報。
しかしわが家は薄暗く寒い。
先月から始まった外壁工事(→ あしばの話。)のせいだ。
最上階まで黒い工事用シートで包まれた足場は、まるでモノリスのような形状を呈している。
さっそく影響があったのは起床である。
いつもなら、窓からの朝の光で自然に目が覚めるのだが、朝になろうが昼になろうが薄暗い今の状況では、目覚ましが鳴るまで起きられない。
陽光差し込む自慢のリビングも、朝方は暖房が欲しくなるうすら寒さ。いつまで経ってもドテラが仕舞えない。
そんな具合で、終日気分がよろしくない。
根っからのインドア派で、休みには何するでもなく家にいるのが一番好きな私が、出かけたい気分になるのだからよっぽどだ。
明るさは気分だけでなく、健康も左右する。
それでも日が進むにつれ、低値安定ながら、薄暗い部屋にも慣れてくるのだから、人間の適応能力もあんがいバカにならない。
カーテンを開けてまず見る景色がこんな具合でも

まあ、いいお天気!
と思うのだから、われながら大したものだ。
どこを見ているかというと

シートを縛り付けるロープを通す、直径2センチのハトメの穴。これが私の窓である。
穴倉生活は、まだしばらく続く。
工事が完了した日、シートが剥がれたら、まばゆさに目がくらんで倒れてしまうのではないか。
懸念は残るが、今日はとりあえず晴天を楽しみに、出かけることとしよう。

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しかしわが家は薄暗く寒い。
先月から始まった外壁工事(→ あしばの話。)のせいだ。
最上階まで黒い工事用シートで包まれた足場は、まるでモノリスのような形状を呈している。
さっそく影響があったのは起床である。
いつもなら、窓からの朝の光で自然に目が覚めるのだが、朝になろうが昼になろうが薄暗い今の状況では、目覚ましが鳴るまで起きられない。
陽光差し込む自慢のリビングも、朝方は暖房が欲しくなるうすら寒さ。いつまで経ってもドテラが仕舞えない。
そんな具合で、終日気分がよろしくない。
根っからのインドア派で、休みには何するでもなく家にいるのが一番好きな私が、出かけたい気分になるのだからよっぽどだ。
明るさは気分だけでなく、健康も左右する。
それでも日が進むにつれ、低値安定ながら、薄暗い部屋にも慣れてくるのだから、人間の適応能力もあんがいバカにならない。
カーテンを開けてまず見る景色がこんな具合でも

まあ、いいお天気!
と思うのだから、われながら大したものだ。
どこを見ているかというと

シートを縛り付けるロープを通す、直径2センチのハトメの穴。これが私の窓である。
穴倉生活は、まだしばらく続く。
工事が完了した日、シートが剥がれたら、まばゆさに目がくらんで倒れてしまうのではないか。
懸念は残るが、今日はとりあえず晴天を楽しみに、出かけることとしよう。

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