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おきにの話。

半袖の日が増えてきた。

抽斗を開けて、洗って仕舞ってある、お気に入りのTシャツをひっぱりだす。

胸に当てたら、ありゃりゃ、うっすらとシミが。朝の光の中では色合いも白ちゃけて、いっこうにパッとしない。

買ったのはいつだったか、もうずいぶんになる。

深いワイン色の男物のTシャツは、決して高価ではなかったし、特に好きな色でも、すごく似合うわけでもない。

それなのに、なんでお気に入りになったんだったか、遠い記憶をたどった。

思い当たるのは、もう何年も前、これを着ていたら、父が

いい色だな

と言ったことだ。

父は女の身なりに気がつくような人ではない。妻が髪型を変えようが、娘が正月に着物を着ようが、基本ノーコメントである。

珍しいことだったから、記憶に残ったのだろう。

珍しいことだったから、このTシャツは私にとって、ちょっと特別なシャツになったのだ。

それにしても、父が亡くなってもう7年。

さすがにもうお払い箱かな

そう思いながらも、くたびれたTシャツを、つい丁寧に畳んだ。

わいんからーのしゃつ



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/05/21 11:30

もふもふ話。

ショッピングモールのシネコンの前を通りかかったら、ポケモンの映画をやっていた。

ポケットモンスター、略してポケモンのことはほとんど知らない(→ぽけもん話。)が、黄色いのがピカチュウだ、くらいの認識はある。

ポスターの写真にふと違和感をおぼえ、1歩2歩と近づいてみて、驚いた。

めいたんていぴかちゅう
映画「名探偵ピカチュウ」公式サイト

コイツ、毛が生えてるの?

私の知るピカチュウはこのようなものだ。

めいたんていでないぴかちゅう

ツルツルして、押すと凹む。

実在の生物に例えるなら、イルカ的な生き物だと思っていた。

アニメを見ていても、体毛の表現は無かった気がする。

しかし、今回の実写映画、といってもCGだけど、けっこうなモフモフではないか。

このように処理されると、肉球とか、しっぽを上げて走る時のおしりの穴とか、どうなってるのか、にわかに気になりだした。

流行り物全般に冷淡な私であるが、見たい気がして、困っている。

映画「名探偵ピカチュウ」は、全国主要館で絶賛上映中。



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てれびじょん | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/05/20 11:30

BBQの話。

バーベキューに良い思い出はない。

ホコリっぽい戸外で、火に翻弄されながら、焦げた肉を食べる苦痛。

外で食べると美味しいね!などと、負け惜しみ的な感想も聞かれるが、冷静に考えればそんなわけはない。

同じ肉なら、設備の整った室内で、落ち着いて調理したほうが、美味しいに決まっている。

この先、おそらくバーベキューには縁の無い人生を終えるだろう、と思っていた。

ところが今朝、フトンの中でまだウトウトしながら寝返りをうつと、あのニオイがしたのである。

たき火の煙と、焼けた河原の石ころ、しょっぱい焼肉のタレ…。

バーベキューのニオイだ。

ビックリして思わず飛び起き、フトンの上に居直って鼻をクンクンしたが、何も臭わない。

夢か… ニオイの夢ってあるんだな…

そう思って、もう1度フトンにもぐり込むと、またあのニオイがするではないか。

もう、完全に目が覚めた。

もしかして、このニオイ、私の?

いわゆるカレーシューってやつ?


しばしショックで呆然とする。

60に近い50だし、コーネンキだし、あっておかしくないことだけど、なんでよりにもよって、キライなバーベキューのニオイなんだろう。

同じことなら、せめて好物のニオイがよかった。

せっかくの日曜、ゆっくり朝寝のつもりだったが、眠気も吹き飛んでしまった。

なっとう
(納豆のニオイでなくてよかったという考え方もある)



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/05/19 11:30

やめたい話。

外壁工事のため、ベランダに置いてあるブツをどかさねばならぬ。

室内に取り込むと汚しそうなので、順々に大きいゴミ袋に詰めた。

もろもろあるが、植木鉢、移植ゴテ、肥料に土…多いのは園芸用品である。

子供が小さかった頃は、アサガオだのミニトマトだの、学校で育てた植物を持ち帰った。

夏の暑さを避けるグリーンカーテンとして、ゴーヤなどを植え、収穫して喜んでいたこともある。(→ ごーやー話。

人として花のひとつも植えねば、という気持ちで、なんだかんだ買って来ては枯らした

そう、私は園芸が大の苦手なのである。

重ねた植木鉢を手にとれば、枯らした花の、在りし日の美しい記憶が蘇る。

汗を拭き拭き作業を終えて、袋に詰めた園芸用品を持ち上げた時、激しい衝動に襲われた。

このまま捨ててもいいんじゃない?

トマトを収穫しても、喜ぶ子供はもういない。

どんなきれいな花も、今日枯れるか、明日枯らすかと、顔色を見ながら暮らすのが苦痛なのだ。

人生後半に入って、わざわざ苦手なことをやり続けなくていいんじゃないだろうか。

何もないベランダはサッパリして、しょぼくれた鉢が並んでいた時より、よほど私好みである。

しかし、リタイアを機に野菜作り、花づくりを始めたという人はいても、いいトシになって園芸をぶん投げた、なんて話は聞いたことが無い。

もはやゴミにしか見えない園芸用品の袋を前に、今、迷っている。

とうみょう
(水に浸けるだけの豆苗栽培は得意)



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2019/05/18 11:30

みられた話。

お伝えしてきた外壁工事(→ おんどさ話。)は壁面から各戸のベランダへと進む。

サッシと壁面の隙間をシーリングし、床面には防水塗装をするのだが、ベランダに施工するとは、窓のすぐ外に人がいるということである。

ふだんは自分ちだと思っている場所に誰かいるのは、どうも居心地が悪い。

工事中と分かっていても、ガラス越し、うずくまる黒い姿に気付くと、そのたびギョッとする。

くわえて気になるのはやはり視線である。

レースのカーテンを引いているし、明るい外から暗い室内は見にくいとはいえ、どういう加減で見えてしまわないとも限らない。

とはいえ、そんなことだけ気にしては、生きていかれない。

人が往来するベランダの、ガラス1枚内側で、生活は続いているのだ。

身支度をして、朝食を食べ、片付けるとおなじみのテレビ体操の時間。

胸を張り、足を曲げ、運動の効果がしっかり出るよう、マジメに体を動かす。

身体をねじって腕をつきだした時、ベランダにいる黒い姿が見えた。

こちらを見ているような、首の角度。

え?目が合った?

レースのカーテンは引いてあるし、外は晴れて明るいから、見えるはずはない。

だいいち若い作業員さんがオバサンの体操なんか見てもしょうがないよね。

勘違いと分かっていても、なんだか恥ずかしくて、中途で体操を切り上げた。

とそうされたべらんだ

夕方、帰宅してカーテンを開けたら、そこは水族館になっていた。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/05/17 11:30

まえがみ話。

30代になって、前髪をおろすのをやめて以来、髪は分けている。

なんとなく前髪は若者のものという気がする。

中高生が登校前、遅刻ギリギリまで鏡の前で前髪をいじっている、あの感じ。同級生が

前髪が命!

言い切ったのも、若気の至りならではだ。

若者の技巧を凝らした前髪を、昔の大人は

うっとうしい!

と一喝、スキあらば短く切ろう、あるいはピンで止めようとし、対する若者は

おデコを出すなら死ぬ!

とばかりの勢いで抵抗したものだ。

そんなことを思い出したのは、近頃テレビで宣伝している映画のせい。

いねむりいわね
(→ 映画『居眠り磐音』公式サイト

原作小説にも、時代考証にも詳しくないが、この主人公の髪型はOKなのか?

侍というのは、よほど荒れた生活をしていないかぎり、もれなく月代を剃るものだと思っていた。

殺陣の練習など、撮影の苦労を語る主演俳優だが、この髪型のせいで

おデコを出すなら、死ぬ!

と騒ぐ中高生に見えて、プププと笑えてくる。

がちゃがちゃチャンバラの練習する前に、イッパツおデコ見せてみろやと言いたい。

同じ前髪命!であっても、いざ主演映画となればおデコ全開も厭わなかった昭和のアイドルは

たみさん

野菊のように可憐でも、ハラは座っていたのだなあと、改めて見直した。

映画「居眠り磐音」は明日5月17日公開、らしい(見ないけど)。



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てれびじょん | コメント(12) | トラックバック(0) | 2019/05/16 11:30

せらせら話。

子供の頃、母は歌うお母さんだった。

… ♪ えな~いわじゃっさり~るが~ あいあす まいま~ざ~ わっつぃらいび~ ♪ …

MP3もCDも無い時代、音楽といえばレコード。

そんなヒマもテマもない母は、お勝手で、庭先で、家事をしながら好きな歌を歌っていた。

… ♪ けいせら~せら~ われ~ば~いるび~ いるび~ ♪ …

母が若かりし日、ラジオの音量を上げて、少しずつノートに書きとり、覚えたという歌詞。

私とイモートも、いつの間にか歌えるようになった、初めての英語の歌だった。

… ♪ ざふ~ちゃ~のら~ とぅっし~ けせら~せら~ ♪ …

母のせらせらの歌が、ヒチコック映画で金髪のヒロインが歌った劇中歌だと知ったのは、いつのことだったろうか、覚えがない。

一昨日、ドリス デイが亡くなった。

doris day

昨日の京マチ子もそうだが、亡くなったことより、生きていたということがビックリだ。

13日、肺炎のためカリフォルニア州カーメルバレーの自宅で死去、97歳。

私も、けせらせら♪と歌っていた頃の母よりずっと年上になった。

… ♪ うぃら~いび~ぷりってぃ~ うぃら~いび~りっ ♪ …

美人にも、お金持ちにもならなかったけど、今もときどき歌う。

♪ The future's not ours to see

Que sera, sera ♪ 




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むかしむかし | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/05/15 11:30

まめまめ話。

くたびれた日の晩ごはん。

今日はもう、残り物と納豆で食べちゃおう。

コンロに昨日の味噌汁と煮物の鍋をかけ、冷蔵庫から納豆を出す。

食器につけながら、茶色いなあ、と反省して、ビールのおつまみに買った冷凍枝豆も解凍した。

さて、ゴハンだ。1人でも、粗食でも、晩ごはんは嬉しい。

豆腐味噌汁。
とうふのみそしる

厚揚げといんげんの煮物。
あつあげといんげんのにもの

冷凍枝豆
れいとうえだまめ

そして納豆
なっとう

醤油をかけた納豆を混ぜつつ

味噌も醤油も大豆だよね…

考えるとヘンな感じはしたが、食べ始めればいろんな味がして、飽きなくて、最後まで美味しい。

ごちそうさまをして、思った。

和食、恐るべし



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/05/14 11:30

もちかた話。

ぢょん子!何してんのそれ?!

友だちが頓狂な声を上げたので、スマホを見ていた私は驚いて

何が?

と答えた。本当に、何が何だかわからない。

見ていたのだって自分のメール画面だし、非難されるようなことはないつもりである。

それ!持ち方!

へ?モチカタ?

すーまーほ!

言われて手元を見直す。

私のスマホケースはブック型というやつで、二つ折りの表紙の中にスマホをはさむタイプである。

その広げたケースを、私はなんと左手の甲にのせていた。

なんで手の甲!ふつうテノヒラでしょ!

そう言われればそうだな。

なぜだろうと考えたら、手汗である。

合成皮革のスマホケースをテノヒラにのせると、汗でべたついて気持ち悪いので、無意識にこんな持ち方をするようになったらしい。

手の甲を反らして傾け、手前にくる親指でケースの縁を押さえているので、落とすこともない。

汗が気になるほど、夏に近づいてるってことだよね!

と説明したが、友だちは口をとんがらして

ヘンなの!

と、ちっとも納得してくれなかった。

へんなすまほけーす
(次はこんなのがいいかもしれない)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/05/13 11:30

ぶらしの話。

自分の親をあまり褒めるのははしたないが、おばーちゃんは気前がいいと思う。

私の記事をご覧の皆様は、着ない服のお下がりばかりくれる(→ せーたー話。)母親だとお思いだろうが、そうではない。

近場の旅行でもお土産は欠かさないし、誕生日にかぎらず事あるごとにいろんなものをくれる。

有難いことだと思いつつちっとも喜ばない、私は親不孝である。

しかし、親不孝者にだって言い分はある。

先日、デパートに行ったおばーちゃんが、プレゼント包装のカワイイ袋2つ、バッグから出した。

こっちがおねえちゃんの…

渡された1つをありがたく開けてみると、何やらハデな色のトゲトゲしたものが入っている。

へあぶらし

ヘアブラシ???

カワイイでしょ ほらアンタ イギリスが好きだし

ムウ…

あの子はフランスにしたの ウフフ きょうだいお揃いよ

ウウ…

もう1つはイモートの分らしい。

いったい、ヘアブラシが無くて困っている人に会ったことがおありだろうか。

いやしくも頭に毛が生えている人なら、ふつうヘアブラシの1本や2本、持っているものだ。

そこへ新規にもう1本もらって、有難い!嬉しい!というフリをするのは、いかにも難しい。

しかし、家庭の平和のため、なけなしの演技力をふるって新しいヘアブラシを讃えた。

おばーちゃんにとってプレゼントとは、あげたいものをあげることであり、相手の事情はあまり気にならないようだ。

毎朝使って、アタシのこと思い出してネ!

あーハイハイ、ヘアブラシがなくても思い出してますよ、とは、やっぱり言えないのだ。

こんな人相手に、いったいぜんたい何をプレゼントすれば喜ばれるのやら。

今年も悩ましい、今日は母の日



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/05/12 11:30
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