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きけない話。

とぅるるる… とぅるるる…

11時を回って、固定電話が鳴ったので、何ごとかとドキッとする。

胸を押さえて受話器を上げれば、親しい声。

遅くにごめんね~ ワタシ~ カナイ~

友だちのカナイさんだ。

ううん 大丈夫よ 久しぶりね 元気にしてる?

もうずいぶん会えていない。

うん~ 元気元気!

ノンちゃんは?元気にしてる?

カナイさんのお嬢さんはムスメと同い年。もともとのママ友づきあいから、友だちに昇格してもう20年近い。

ムスメの最近のこと、職場のこと、お互いの趣味など話が尽きず、日付も変わりかけて。

夜も遅く、用件らしい用件もないこんな電話。

カナイさんは本当はもっと話したいことがあったはずなのだ。

月に1度はランチしていた彼女と会えなくなったのは、介護のため。

同居のお義父様が要介護となったのに加え、離れて暮らすご実家のお父様が認知症を発症し、手に負えないお母様からSOSが届いた。

いつも元気で、楽しいことが好きで、愚痴がキライなカナイさん。

きっとたくさんつらいことがあるだろうけれど、その終わりを願うことは、親しい人の終わりを願うことになってしまう。

だから彼女はけっして言わないし、私も聞かない。

ハハハ…と笑ったあと、ふうとタメイキをついて

あー 楽しかった また電話していい?

いいよー ワタシ 1人だし 何時でも気にしないで ホントよ

ありがとう、おやすみ、ちょっとスッキリした声が聞こえて、電話はむこうから切れた。

こていでんわ



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/06/20 11:30

するする話。

はー お腹減った…

思わずヒトリゴトの出る仕事帰り。私の目に蠱惑的な光景が飛び込んできた。

ハンバーガー、コーラ、フライドポテト。ファストフードの看板だ。

いいトシをして、私はこの手のジャンクフードが大好物である。

油分、塩分、カロリー、添加物、承知の上だが、ご意見無用である。毎日食べるわけじゃないんだから、もうほっといてほしい。

かろうじて思いとどまったのは

ビールが無い

ただそれだけが理由である。

私がハンバーガーより好きなもの、それがビール。

ファストフードには、ビールがすごく合うのだが、お子様向け業態の宿命として、アルコールは扱わない店がほとんどだ。

でも、疲れた、暑かった、今日みたいな日にはやっぱり、グーッとビールを飲みたい。

A・チーズバーガー オニオンリング コーラ

B・小松菜の煮浸し さつま揚 ビール


このABを天秤にかければ、Bのある自宅へサッサと帰るのがいつものことである。

ところが、店頭から踵を返しかけた時、目の端に黒板の文字が映った。

いつものセットにプラス¥140でビールに変更できます

は?!と思わず二度見。

セットにプラス¥140でビールに変更

へ?!

プラス¥140でビール

シンジラレナイが本当のようだ。

もはや抗うすべもなく、まばゆい照明の店内に、スルスルと吸い込まれた。

ばーがーとびーる
(危うし!50代の健康!)



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/06/19 11:30

わにわに話。

男のアカンボでハトヤのCM状態だという同僚の話(→ たいりょう話。)を聞いた。

そういえばムスコはどうだったろうか。

ムスメが生まれて4年後、久しぶりのアカンボは、またしてもズッシリ重かった。

どうも遺伝的にアカンボがデカくなる体質らしく、私自身も小柄な母を苦しめるデカいアカンボであったので、不平は言えない。

生まれた瞬間から広辞苑より重かったムスコは、米袋並みになるにもそう時間はかからなかった。

しかし、重いだけならムスメだって同じである。

2人の違いは、簡単に言えば協力的か否か、であった。

ムスメは、抱き上げられるとすなおに身を任せ、しんなりと体重を預けてきた。

あ、抱っこですね 分かりました じゃあそういうことで…

と、ちゃんと反応するムスメに対し、ムスコには抱っこされようという気持ちがまったく無い。

抱き上げても棒状に突っ張ったまま

じゃあそういうことで

という了解が生じないのだ。

おまけに、抱かれた状態で、自分の動きたいように動く。

同僚のお孫さんのようにビチビチ暴れこそしないものの、ヘンな風に体重を移動されて、もろともに転びそうになったこともある。

その、全身突っ張った感じと、予期せぬ動きから

この子 ワニみたい…

と、よく思ったものだ。

ワニに触ったこともないのに、なぜそう思うのだろう。

昔、素手でワニを捕まえるぜ!みたいなドキュメンタリー番組を、たしかに見た気がするのだが、検索しても見つからない。

crocodile dundee
(代わりに、久しぶりのこんな人を掲載します)



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ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/06/18 11:30

たいりょう話。

はー疲れた カイシャに来るとホッとするわぁ…

デスクに向かって、自分の肩をモミモミするムラカミさん。

一昨年初孫が生まれ、さいきん職場復帰したお嬢さんの育児の応援に駆り出されている。

男の子って小さくても男ねえ 私 女の子しか知らないから…

そんなに違います?

抱っこしても重いし暴れるし ハトヤみたい

は?はとや?

ハトヤよ コマーシャル、あったでしょう 

♪よん いち にい ろく♪ ですか?(→ はとやの話。

ちがうちがう ♪まえはう~み♪ のほう


(謎に満ちた「三段逆スライド方式」の正体は今も不明)

ハハア、あれですね ♪たい~りょ~えん♪

そうよ マグロみたいにビチビチ… 

ハハハ…そりゃ大変だ!

落としちゃいけないし 焦るわよう

身をよじって逃げるお孫さんを、必死で捕まえるムラカミさんの姿が、アリアリと浮かんだ。

ガンバレ、新米おばあちゃん!



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/06/17 11:30

きがかり話。

2か月以上続いたマンションの大規模修繕工事(→ あしばの話。)も完了に近づいてきた。

今月末には足場も解体され、スッキリ塗り替えた外壁が現れる。

じつはそれは始まりの終わりでしかない。

うちの団地は数棟の集合で、私の住まいはたまたま、真っ先に工事がはじまった棟。

敷地の反対側の棟は、工事どころか足場も組まれていない状態なのだ。

私がジットリ部屋干しに囲まれている時、さんさんと陽光を浴びていた人が、代わりに薄暗い生活に突入すると思うと、いい気味でなくもない。

しかしここに気がかりが1つ。

つばめのす

これから工事が進む棟に、ツバメの巣があるのだ。

そこは居心地がいいらしく、毎年いくつかの巣がかかる。

前年に用済みとなった巣をリフォームして住み着く、ちゃっかり屋もいて、住民は皆ほほえましく見守ってきた。

ところが今年は、ツバメのリフォームと、人間のリフォームの時期が重なったのだ。

工程が順調なのはいいが、ツバメのことを考えると気が気でない。

音や振動、塗料の成分は生育に影響しそうだし、外壁を塗るためには、せっかくの巣を撤去しなければならない。

ヒナがいる状態で、工事がそこまで進んだら、いったいどうなるのか。このところずっとヤキモキしている。

昨日の帰り、すぐ家に入らず、巣を見に行った。

すると、すぐ下に作業着の男性が数人、クリップボードを手に、ボールペンの後ろで巣のほうを指している。

不吉な予感がして近寄ると

いやー 良かった

間に合いましたねー

みんなニコニコしているではないか。

つられて見上げると、いつの間にか、巣は空っぽになっていた。

ツバメのヒナは、無事巣立ったのだ。

工期を大事にする業者だって、ピヨピヨ鳴くヒナを宿なしにするような非情な振舞いは、けっして本意でないに違いない。

なんかいいな、よかったな

そう思いながら、うちに帰った。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/06/16 11:30

あたまの話。

この世には、二種類の女がいる。

美容院で思いどおり言える女と、言えない女だ。

そして私は後者なのである。

ミツカン酢のCMに出てた、ヤスダナルミのような髪型にしたいなあ…

みつかん
(ミツカンのCMは杏さんに取られちゃったのよ)

と思ったこともあるが、美容院の椅子に座ると、どうしても言えなかった。

美容院に行くたび、伸びた分だけ切られ、1か月前の自分に戻ってすごすご帰ってくる。

思えば昔から、美容院では苦汁をなめてきた。

好きな髪型が言えないだけでも大問題だが、大学の時は、美容院のご近所のお嬢様大学の学生と勘違いされていた。

はっきりと否定できぬまま、美容師さんの記憶に刷り込まれて、カット中の会話には苦労した。

学部学科がわからず、本屋でその女子大の赤本を読んでから行った、情けない記憶がある。

しかし、世の中には、ピンクのケープを巻かれたテルテルボーズ状態でも、堂々と思ったことが言える偉大な人もいるのである。

友人のミヤコちゃんがその人。

彼女はかつて、全盛期のコイズミキョウコの写真を持って美容院に行き、

コイズミ

これと同じにしてください!

と言ったという。そんな彼女が勇者でなくして何であろうか。

私は、高知県の女性は酒が強いだけでなく、とんでもなく豪胆である、と信じて疑わないが、その印象はミヤコちゃんによるものが大きい。



本日早朝より他出のため、2014年6月15日の記事を再掲いたします。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/06/15 11:30

アツメル本。

一昨日の記事に、コレクターは男性が多い、というコメントをいただいた。

もちろん女性のコレクターもいるが、お宝鑑定の番組など見ていると、家族が困るほど物を集めてしまう人は、男性が多い気がする。

さいわいうちの身内に、蒐集癖のある者はない。

いちばんの物持ちのおばーちゃんも、好きなものを脈絡なく買う(これはこれで困ったことだが)だけで、コレクションと呼べるものはないようだ。

単なる買い物好きとコレクターの違いは、そこに無いものを欲しがるかどうか、であろう。

お買い物が好きな人はステキなものを目にすると買うが、コレクターは自分の持ち物を眺め、まだ無いものを買う。

コレクションを完全に近づけることが喜びなのだ。

…と、ここまで書いたところで、ヤバいことに気付いた。

私には物故作家の本を探す癖があるのである。

もちろん読むためであり、集めること自体は目的ではない。

なぜ物故作家に限るかといえば、生きている作家は次々と新刊を出す。そんなもんに付き合っていられないのだ。

その点、この世にいない作家の作品は、こんりんざい増えることは無い。お付き合いしていても、心はいたって安らかである。

著作をすべて読み、未読が無くなって、本棚に並ぶ本を眺める満足と安堵。

それはもしかしたら、コレクターの心理に近いのかもしれない。

物故作家のゆいいつの難点は、しだいに世に忘れられ、絶版になることである。

絶版本の相場は天井知らずだが、見た目にはただの薄汚れた古本なので、私が急に死んだらきっと捨てられちゃうだろうなと思うと、ドキドキだ。

しのじょーかー
(この黄ばんだボロい本が6000円)



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ブックガイド | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/06/14 11:30

おなじな話。

昨日アタシ 誕生日だったの

デスクで事務を取りながら、コタニさんが言うので、

わー おめでとうございます~

居合わせたみんなで口々にお祝いを言った。

まあこんなトシで オメデタくもないけどね~

いいじゃないの お誕生日はお目出度いわよ いくつになっても

最年長のイシザキさんの発言には、重みがある。

ひとしきりザワザワして、落ち着いたところで

アンネと同じなのよね 誕生日…

コタニさんが、ポソッと言い添えた。

へえ~ アンネ フランク?

なんかちょっとね つらい目に遭った人じゃない?

ダイジョブですよ、アンネじゃないし!

ミヤケさんがヘンな風に励ます。コタニさんは色白で、アンコが好きな2児の母である。

1年365日、誰かしらとかぶるのは当然だ。

けれど、お誕生日のたび、13歳の誕生日にもらった日記帳に、隠れ家の生活を綴った少女の運命を思うのは、やっぱり少し悲しいかもしれない。

目の前のパソコンでこっそり検索したら、アンネがもし生きていれば、昨日で90歳。

ぼんやり考え込んでいると、前の席のミヤケさんが明るい声を上げた。

あ!シャンシャン!パンダのシャンシャンも 昨日お誕生日です!

どうやら彼女も検索をかけていたらしい。

2歳になった上野のパンダの名前に、コタニさんの丸顔がほころんだ。

たしかに彼女は、アンネよりパンダに似ている。

なんだかわからないが、良かったな、と思った。

しゃんしゃん2さい



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/06/13 11:30

だんじょの話。

意味深なタイトルになってしまったが、大した話ではない。

かねがね、なにごとも女だから、男だからと簡単には決めつけないように心掛けてきた。

たまたま娘と息子を持って、子供の性格も男女差より個人差のほうが大きい、と実感できたせいもある。

女だからしょうがない、とか、男ってやつはこれだから、とか、うかうかと言いたくないのだ。

ところが最近、その考え方がちょっと揺らぐ出来事があった。

ここのところ進めている、持ち物の処分に関し、周囲の人に話すことがある。

すると、女性は全員が気持ちよさそうに

イイね~!捨てちゃえ捨てちゃえ!

と言うのに、男性はやけに慎重派なのだ。

なにも捨てなくても… 娘さんに譲るとか…

とか、

ふだんにもっと使ったら?

とか、

売ったらお小遣いになるのに

とか、なぜかみんな捨てさせたがらないのである。

サンプル数は限られているものの、年齢もバックグラウンドも職業も様々な中で、ほぼ例外がないこの結果。

私としたことが、主義をいったんひっこめざるを得ないのだろうか。

念のため小さい声で言っておくが、

もしかして男って、ケチ?



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/06/12 11:30

キボウノ本。

彼女の名前をはじめて知ったのは、母が読んでいた本。

買ったのか、婦人会のダレソレさんに借りたのか。

主婦の間に、前にアナタが買ってくれたから、今度はワタシが、といった貸し借りが成立した、つつましい時代である。

そんな中にかなりの比率で彼女の著作が含まれていたのは、やはり当時人気があった証拠だろう。

母が手にした本だが、活字に飢えていた少女の私は、もれなくこっそり読んでいた。

はじめはエッセイ。

女が、それも大人の女が、面白くてもいいのだということを知った。

そして、ご多聞に漏れず、屈折したコンプレックスのかたまりだった少女期。

恋愛なんて、標準語の美人がするもので、自分には一生縁がないと思いこんでいた。

オタフクでも、大阪弁でも、美しい恋愛はできるのだと、教えてくれたのが彼女の小説だった。

現実に周りの大人を見ていても、なかなか夢は持てないが

大人になるっていいよ 見る力さえあれば 美しいものはたくさんあるよ

そう言い続ける彼女から、大げさに言えば生きる希望を与えられた、と思う。

田辺聖子が亡くなった。享年91。

どの1冊を挙げるか迷ったが、古典世界の人を親しく感じるきっかけとなったこの本を、著者近影に代えたい。

ふぐるまにっき
(「文車日記」 新潮文庫)



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ブックガイド | コメント(16) | トラックバック(0) | 2019/06/11 11:30
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