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うれしい話。

ない。ヘアーバンドがない。

家にいる時はヘアーバンドで髪をとめている。家事をするにも、仕事で机に向かうにも、髪が垂れるとうっとうしいからだ。

へあーばんど
(モデルは春日野すみれさんです)

オシャレではなく、意味合いとしてはハチマキだから、私にとっては必需品である。

布が輪っかになっただけのものだが、ピッタリ、ちょうどいいのはなかなか無い。

ゆるすぎるとずれてくるし、逆にきついと無意識に外してしまう。

さがしているのは、買った時はきつかったが、使う間にいいかげんにゆるんできた、絶妙に具合のいいヘアーバンドなのだ。

何が何でも見つけ出さねばならない。

捜索のため、最後に外した時のことを思い出そうとした。

いかに貴重なヘアーバンドとはいえ、家の中限定である。出かけるため着替えた、その時か?

いや、その前に、宅配が来た!

応対に出る時に外したはずだ。

玄関のゲタバコの上を見たが、無い

念のためゲタバコの下も覗いたが、無い

脱いであった靴の中まで探したが、無い

他にも心当たりを探しながら過ごしたが、夜になってもヘアーバンドは見つからなかった。

あーあ、また いいのを探さなきゃなあ…

ガッカリしながらネマキに着替えていたら、首の回りにコソッと感触がある。

!!!

ヘアーバンドである。

宅配に応対する時、首にずり下げたのを忘れ、そのまま上から外出着を着ていたらしい。

こんなものを首にはめたまま、出かけてまた帰って来たのか。

出先で会った人たちの顔など思い出すと恥ずかしいにもほどがあるが、驚いたことに、愛用のヘアーバンドを見つけた喜びが、それを上回った。

1日中首にはまっていたヘアーバンドは、体温でホンワカぬくもっていた。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/06/10 11:45

にちよう話。

いつもと同じ時刻に目が覚める。

寝返りひとつ、日曜だ、お休みだ、と思った。

起きなくたっていいんだけど、悲しいかな、このトシになると、腰やら肩やら、いろんなとこがこわばって、ずっと寝ているのもまた苦痛だ。

日曜日は寝てよう日は若い人の話である。

もっとうんと若い、子供のころは日曜日というと早起きした。

学校に行く日は揺り起こされないと起きないのに、お休みというとパッチリ目が覚める。

フトンの中でゴソゴソする気配を察した母が

…もう… まだ寝てなさい…

言われて目をつぶるが、起きたらあれをしよう、これで遊ぼう、と居ても立っても居られない。

それに、今朝はホットケーキと、ゆうべ約束したのだ。

お母さん 早く起きないかなあ…

マクラにのっかってあっちを向いた後頭部に念を送っても、ビクともしない。

…おかーさーん おーかーあーさーん…

父を起こすと叱られるので、小さな声で呼ぶと、母の背中が少し動いたような。

おかーさーん もうねむれない…

母が寝返りをうってこっちを向いたと思うと、小さい声で、しかし見たことがないほど怖い顔で

寝なくていいから寝てなさい!

矛盾したことを言う。

しかたなくギュッと目をつぶり、マクラに頭を乗せれば、自分の心臓の音が聞こえて、コメカミが脈を打った。

頭が痛い、気がする。我慢できずに

…おかーさーん あたまいたい おかーさーん…

もう、この子は!

すっかり腹を立てて、バサッとフトンをよけるのに、続いて私も飛び起きる。

ホントになんで 日曜日に限って…

ブツブツ言いながら身支度する母にまとわりつき

ホットケーキ、 ホットケーキ!

おねだりするのも楽しかった。

思えば母も30代、ずいぶん若かったのだ。

さて、私も起きよう。久しぶりに母の顔でも見に行こうか。

ほっとけーき



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/06/09 11:36

きんうん話。

触る草木を端から枯らす、園芸オンチの私と違って、おばーちゃんは植物を育てるのが得意だ。

自慢の花は、家族LINEで見せてくれる。

あじさい

今朝は、雨に濡れたアジサイの花。続くコメントには

玄関先にアジサイを咲かせると 金運を招くそうです!

とある。すぐさまイモートが

そうなの?!鉢植え、玄関に移動しよう!

と反応した。彼女はおばーちゃん似で、マンションのベランダで花やハーブを育てているのだ。

アジサイに限らず、何にも植える気の無い私は、ふーん、と思っただけで返事をしなかった。

すると、しばらくして

生け花でもいいらしいですよ!

おばーちゃんから続報。明らかに私向けである。

めんどくさいなあ。

じゃあ私は、お金持ちになった2人からお小遣いをもらうことにします

よろしくのすたんぷ

老母相手に大人げなかったか、と反省していると、おばーちゃんからはすばやく

おどろきのすたんぷ

スタンプが返ってきた。

こういう時、口だけでも調子よく乗っておく、ということができないのも、私のダメなところだ。

園芸以外にもニガテはあるなあと思いしらされた、休日の朝であった。



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2019/06/08 11:18

しょうせん話。

関西は私鉄王国などと言われるが、うちは昔から父方、母方、どちらの親戚も、すべて私鉄沿線に住んでいた。

ただ、私鉄同士が連絡しているとは限らないわけで、遠方の身内を訪ねる時は

ショウセンに乗らんならん

と、母はしかめ面をした。

ショウセンは省線、今でいうJR

国鉄の名称がすでに一般的だったが、なじみのないことも手伝って、化石的な「ショウセン」が、うちには生き残っていた。

よく利用したショウセンは、大阪環状線

早くから自動改札やエスカレーターなど、近代的な設備が導入され、沿線開発にも力を入れていた私鉄に比べ、ショウセンは見劣りがした。

不機嫌な駅員が、イライラと切符を切るハサミを動かす改札口を入れば、掃除の不十分なホームには、タバコの吸い殻がいくつも落ちている。

お手洗いは目がしみるほど汚くて、女子供はとても使えず、我慢した。

戦後を引きずったような薄暗いコンコースを抜け、瀟洒で明るい私鉄構内に入ると、空気まで軽く感じて、ホッとしたものだ。

国鉄も、分割・民営化され、近頃は営業努力が見えるようになったが、今でも大阪環状線に乗ると、ショウセンと呼んだ時代を思い出す。

けっしていい思い出ではないのに、なぜか懐かしい。

昭和のシッポを残したオレンジ色の環状線が、本日をもって運転を終了する。

おおさかかんじょうせん



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/06/07 11:30

ふりがな話。

工事中の敷地に、いつの間にか表示が出ている。

ごちゅういねがいます

マンション内大規模修繕工事中
場内の通行時、ご注意願います


頭上高い位置に人がいて、工具を使っているのだから、しごくもっともな掲示である。

いくらへそ曲がりでも、文句は言えまいとお思いだろうが、さにあらず。

ポイントはフリガナなのだ。

だいきぼしゅうぜんこうじちゅう
じょうない つうこうじ ちゅうい ねが


グッと近寄らないと見えない、細い小さい字。

フリガナを読もうとすると、逆に危険度が増す。

だいたい、漢字が読めない人が、「だいきぼしゅうぜん」とか、「じょうないつうこうじ」とか、音を知ったとして意味が分かるだろうか。

海豚にいるかと振るのとは違って、ぜんぜん意味がない。

こういうおためごかしな仕事が、私は一番キライだ。

とはいえ、暑い中働く、現場のお兄ちゃん達には、関わりのないことだから、黙っている。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/06/06 11:30

かばんの話。

衣更えでアチコチひっくり返した勢いで、不要なカバンを処分しようと思い立った。

私は1人、手は2本。

ペルーのエケコ人形じゃあるまいし、こんなにいくつも提げては歩けない。

じゃんじゃん捨てようとカバンの山を崩しかけて早々に気付いた。

ろくすっぽ使ってない新品がやたらある。

忙しくてお金のあった時代、仕事でくたびれると靴を買う癖があった(→ いめるだ話。)。

値がさが張って買った感じがする靴は、衝動買いにピッタリなのだが、じつは通りすがりに靴屋が無いときは、カバンを買っていたのである。

流行も、私の生活も変わっている。新品でも心を鬼にして処分せねば。

ところが、ふだんにはハデすぎるハンドバッグを手に取ったら

これは神戸のそごうで○万○千円だった…

イナズマのごとく具体的な金額が脳裏をよぎる。

デカくて重たいトートバッグは

ニジノマチで○万…

小さすぎるハンドバッグは

免税店で○○ドル…

捨てようと思うカバンに限って、買った場所と(安くない)値段が、アリアリと思い出されるのは、どういうわけだろう。

クローゼットの前には、「使う」と「捨てる」の小さな山と、「保留」の大きい山ができている。

えけこにんぎょう
(こちらが南米ペルーのエケコ人形)



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むかしむかし | コメント(12) | トラックバック(0) | 2019/06/05 11:30

しぱぱぱ話。

ワイドショーの健康コーナー。

先生の指導の下、曲げたり伸ばしたり、体操していた女性タレントが

スクワットうまいでしょ いつも洋式トイレで空気椅子してるから

ニッコニコしてそう言った。

どうやらこの人、おシリが便座に付くのがイヤで、きちんと腰を掛けずに用を足すらしい。

よくそんなこと、テレビで自慢げに言えるなぁ。

おシリを浮かして用を足すとどうなるか。

オムツのとれた子供を洋式便座にかけたことのある母親は、みな知っている。

洋式便器の曲線というのは、奥まで深く座るように設計されている。

中途半端な手前で腰を下ろしてしまうと、出たものは便器の想定外の軌道を描き、想定外の箇所に跳ね返って、あちこちを広範囲に汚すのだ。

つまりこの人はあちこちでご不浄に入るたび

シパパパ…

ヘンな角度にオシッコを飛ばして回っているわけである。

どんなキレイなケツか知らないが、どえらい迷惑だ。

掃除すればいいようなものだが、便座におシリも乗せられない人が、はたしてその手で便座を拭けるだろうか?おおいに疑わしい。

洋式便座が嫌なら、なぜ和式を使うなり、紙を敷いて座るなりできないのか、理解に苦しむ。

美容に心を配り、年齢の割にお美しいので有名らしいが、私の中では、シパパと飛ばす人で決定である。

しぱぱぱのひと
(どーも 美肌だけどシパパと飛ばしてます)



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/06/04 11:30

りゆうの話。

朝の車内が、何だか明るい気がした。

ああ6月だ、衣更えだ。

白い夏服で、無邪気に開放的に見える若い彼らを楽しく眺めながら、長袖が多いことに気付く。

数年前になるが、ムスコも高校時代、半袖シャツは着たがらなかった(→ はんそで話。

せっかく買った半袖がもったいなくて、再三言っても、なぜか頑として着ない。理由を聞いても

ダセエし…

の一言しか答えない。

この車内の学生たちも、そんな風に母親と戦っているのだろうか。

ところが、停車した次の駅で、乗り込んできた学生のひとりが、半袖だった。

はんそでしゃつ

開襟の半袖シャツは、クラシックな味わいもあり、目にも涼しげで、まだ少年っぽい学生によく似あっている。

ほら~ やっぱイイじゃん半袖

半袖の彼は、ちょうど空いていた私の前の吊革につかまったので、つい好もしく見上げて、ちょっとドキッとした。

開いた袖口から、ほっそりした腕の付け根、わき腹まで丸見えなのだ。

わざとではないにしろ、そんな部分を見てしまって、申し訳ない、痛々しい気持ちになる。

そういえば、ムスコもかなり細身である。もしかして、なにかイヤな思いをしたのかもしれない。

卒業して2年以上経って思い当たる、長袖の理由に、チクリと心が痛んだ。



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ごかぞく | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/06/03 11:30

にってい話。

5月6月は修学旅行の季節。

わが街は京都と並ぶ(というか、京都のオマケ的な)修学旅行のメッカである。

全国から学生諸君がここを訪れるわけだが、わが姪っ子も例外ではなかった。

首都圏の中学に通うメイちゃんは、修学旅行の行先を知って

やったー 両方のおばーちゃんに会える♥

と思ったらしい。イモートのダンナは京都出身なのだ。

ところがフタを開けてみると、とんでもない。

スケジュールは分刻みに細かく、移動ごとに確認、点呼。

名ばかりの自由時間はあるものの、まるでRPGのように行くべきポイント、集めるアイテムが決まっている。

おばーちゃんに会って来ようっと、どころの騒ぎではないのだ。

宿に着いてもボンヤリしてはいられない。

旅館内でも、点呼、号令、注意、厳禁の連発。

たとえば他のクラスが風呂に入っているあいだも、活動内容をしおりに記し、反省会をおこない、感想を俳句に詠む。

就寝までの忙しさはドナルド トランプもビックリである。

さらに驚くべきは、2泊3日で大学ノート並みの厚さのこの行程表が、管理側の先生のみならず、生徒本人、各家庭に配られていることだ。

イモートからファクスされてきた行程表を熟読したおばーちゃんは、

2時50分にあの交差点に立ってれば こっち向きに歩いてくるわネ…

ストーカー的に孫娘に会う計画を立てている。

しかそふと
(鹿ソフトは学生に人気だが溶けやすいので注意)



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/06/02 11:30

ためいき話。

6月、爽やかな初夏のはじまり。

晴天の朝、しかし私の気持ちは重かった。表情にも、それが出ていたのだろう。

どうしたんですか?身体の具合でも?

同僚のミヤケさんに聞かれた。

なんでもない… 大丈夫…

小さく答えたけれど、信じてはいないだろう。優しい彼女はそれ以上何も聞かず、ただ心配そうに様子をうかがっている。

ツイてない日は誰にでもある。

大人同士の付き合いでは、深く突っ込まないのが礼儀というものだ。

だから、やっぱり言えない。

けさ、お風呂に入ろうとお湯のスイッチを入れたら、浴槽の栓がはまっていなかったことは。

浴室に入ったら、湯気だけがもうもうとして、お風呂が空っぽだったことは。

シャワーの調子が悪くて、そのまま服を着て来たことは。

やっぱり言えない。

デスクに向かってはぁー、とタメイキをついたら、ミヤケさんがそーっとこっちを見た。

からっぽのおふろ
(今年上半期おそらくもっともショックな光景)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/06/01 11:30
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