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とうひょう話。

合唱の練習は週1回、地域の会場を借りて行われる。

この、会場調達は、グループの役員さんの重要な仕事である。

オオヤケの施設はネットや電話で予約できないし、融通効かしてくれたりもしない。

毎回毎回募集の日に駆けつけ、行列に並んで申し込まないとダメなのだ。

どなたかがそんな苦労をして借りたお部屋で、今週も練習中。

15分の休憩で、隣の方が席を立ちながら

ちょっと…モゴモゴ…行ってきまーす

行先はどのみちご不浄か、コンビニか、詮索する気はなかったが、聞き取れなくて???という顔をしたのだろう、丁寧に言い直してくださった。

センキョ…期日前投票に、ちょっとね

一瞬混乱して、考えて思い当たる。

なるほど!

この会館の下の階に、期日前投票所が設けられているのは知っている。

しかし、歌の練習の中途の15分で、投票に行けるという発想はなかった。

彼女はほんの数分、休憩が終わる前に悠々と戻ってきて

空いてたわよ フフフ…

余裕の笑顔で言った。

まったく、人生の先輩に、学ぶことは多い。

さんいんせん2019



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/07/21 11:30

かかれた話。

今年初めての蚊に刺された

かのばか

場所は団地のエレベーターの中

エレベーターを降りて、いまいましくも刺されたヒジを、反対の手でボリボリ掻きながら考えた。

もしやエレベーター自体に、何か蚊を惹きつけるものがあるのだろうか。

それとも、マンションのエレベーターには蚊を仕込んでおけという法律でもあるのだろうか。

…とまあここまで書いたところで、ヘンな感じがした。

デジャヴ、というのともちょっと違う。

まさかと思って検索したら、あった。

書こうとしたことと寸分違わぬ記事が、2年前すでに書かれていた。(→ さされた話。

ただでさえ狭い日常の些事しか書けない私である。

長くやっていればそういうこともあるだろう、と思いつつ、ショックだ。

しかし、どんなことからも発見はある。

まず、今年は蚊の出現が1か月遅いということ。

さらに前回、エレベーターに蚊を仕込む悪の組織の存在を疑った私が、法律を考えたこと。

それが進歩か退化かは、難しい問題である。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/07/20 11:30

ごどくの話。

往々にして聞き違いのある私(→ だらしな話。)であるが、じつは読み違いも多い。

はるか昔、新聞紙上でバブル崩壊が報じられ始めたころ、バブルをバルブと読み違えていた。

経済を引き締めていたバルブがはじけて、お金がダダ漏れになるところを想像して、えらいことになったと胸を痛めたものである。

さいきんでは雑誌の広告で

身体のニオイをかぐ石鹸

というのを発見した。

ええ~っ!ニオイを~?セッケンが~?

スポンジボブのように顔のある石鹸が、鼻をひこつかせているところを想像し、

ニオイを防ぐ

と、ギリギリで気づかなかったら、うっかり誰かに吹聴するところであった。

流し読みと、暴走する想像力のなせるわざであろう。

そういえば、時々見るサイトの冒頭には

悲しいお知らせはありません

という1行がある。本当は

新しいお知らせはありません

なのだが、はじめに「悲しい…」と読んでしまって以来、そうとしか見えなくなった。

読み違いとは分かっていても、悲しいお知らせが無いのは嬉しいことだ。

悲しいお知らせはありません

ニュースがこの1行で始まる日があればいいけれど、残念ながらそんな日はたぶん、来ない。

すぽんじぼぶ
(スポンジボブは石鹸ではなく海綿)



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/07/19 11:30

だらしな話。

ここのところ休日の外出が続く。

用件は、会いたい人に会ったり、欲しいものを手に入れたり、楽しいことばかり。

しかし私は根っからのインドア派。休みに家にいられないと、だんだんつらくなる。

久しぶりに予定が無いので、いっそ一歩も家を出るまいと決めた。

そうと決めれば思いっきりサボりたい。

家事も最小限にして、本を片手にひっくり返る。

本に飽いたらテレビ。チャンネルを変えながら、リモコンとは素晴らしい発明なりと再確認する。

テレビを点けっぱなしにウトウト、至福の時間。

だらしないデ…

不意に冷水を浴びせられた思いで、飛び起きた。

誰?!

見回したが誰もいない。画面ではアナウンサーが、地域のニュースを読み上げている。

まさか、見えてるの?

…公園一帯の渋滞緩和に 一定の効果が…

カメラ目線のアナウンサーと、目が合った?

…奈良市内では この夏休み期間中…

あっ!

ならしないで

なーんだ、聞き違いかあ。

ホッとしつつも、いいタイミングで叱られた気がする。

ダラダラもいいかげん切り上げ、晩のオカズでも作っておこう。

ならけんないのにゅーす
(…だらしないデ ええかげんにせえ」とのことでした)



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/07/18 11:30

だいなし話。

アチいなア…

ウンザリしながら吊革にぶら下がっていたら、電車が止まって、外の湿気と熱気をまとった人が、また乗ってくる。

私の隣には若い女の子が来た。

リュックサックにスニーカー、耳にはイヤフォンを突っ込んだ、今どきのフツーの子。

私はオバサンなので、若い子を眺めるのが好きだが、それにしてもパッとしない

お年頃なのだから、もうちょっとお洒落すればいいのに、とは要らぬお節介ではある。

次の駅で私の前の席が空いて、座ったらちょうど彼女を見上げる格好になった。

すると意外な発見をした。

ごついリュックの肩ベルトに押しつぶされているが、フリルのかわいいブラウスを着ている。

イヤフォンに紛れているのはきゃしゃなピアスだし、ハイカットのスニーカーの足首からは、繊細なレースの靴下が覗く。

つまりイヤフォンを外し、靴を脱いで荷物を下ろせば、ヒラヒラフリフリの女の子が現れるのだ。

イヤフォン、スニーカー、リュックサックは、いわば外出の装備である。

朝、部屋で身繕いを整えた時は、鏡に映る自分の姿に満足したに違いない。

それが玄関で靴を履き、荷物を持つと、カワイイところがすっかり隠れてしまったのに、気づかずにいるのである。

いやー惜しいねえ、惜しい!

そう思いつつ、何を言えるでもなく、先に降りる彼女を見送った。

わいやれすいやほん
(最近のイヤフォンのこの部分が分からない)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/07/17 11:30

ばにらの話。

立ち仕事で疲れて早寝をしたら、4時に目が覚めてしまった。

このまま起きたら1日長くて仕方がない。目を閉じて、寝返りをうって、とろとろと浅い眠りの底に沈んでいく。

以前の会社は、スーツ着用の堅い社風だった。

出先でガンガンの冷房に当たっても、帰りにはまた、額に汗がにじむ。

社に戻る前に、少し休憩して行こうと、喫茶店に入った。

冷たい飲み物は汗になるから、ホットコーヒーを注文する。隣のテーブルも、私と同年輩の勤め人らしい女性だった。

バッグからハンカチを出して首筋を押さえていると、コーヒーが来た。

シンプルなカップとソーサー、お揃いの小皿にちっちゃな粒が5つ。

お洒落な店で出てくる、四角くない角砂糖かな。

かくざとう

でも持ち上げた手応えは、予想したより軽くて、あっと思った時はもう砂糖じゃないものはコーヒーの水面に浮かんでいた。

卓上を見れば、シュガーポットがちゃんとある。

小皿は、サービスでついてきた小さなお菓子だった。つまんで口に入れたら、たわいなく溶ける。

鼻腔にひろがるバニラの香りを感じながら、ふと目を開けたら、長針が90度動いた目覚ましが目に入った。

たった15分間の、ほんとみたいな二度寝の夢。

もしかしたら、記憶に沈んでいたこんな体験が、昔むかしに本当にあったのだろうか。

もうスーツを着ることのない私に、確かめるすべはないけれど、夢のバニラの香りが、まだそこらに漂っている気がした。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/07/16 11:30

めぐすり話。

梅雨の晴れ間、青い、青い朝の空

夜中の雨がまるで嘘みたいな強い日差しに、街路樹の陰を選んで歩く。

ジョワジョワジョワ…

不意にセミの声。もしかしたら、今年初めてかもしれない。

まぎれもない夏のしるしに、一種感慨が湧いて、つい声のする方を振り仰いだら

…ぴちょん

小さい冷たいものが目の中に飛び込んだ。

とっさに顔をしかめたが、痛くはない。

ゆうべの雨の雫が1つ、ケヤキの枝から落ちてきたようだ。

ハンカチを出して、目の周りを拭こうとしたが、驚いたことにどこも濡れていない。

あんな高い枝から、狙い過たず私の眼の中に落ちてきたのか。

いったいどれくらいの確率だろう?

二階から目薬といえば、とかく物事上手くいかない例えだけれど、こんなこともあるのか。

うつむいて笑いかけたけれど、

ジョワジョワジョワ…

途切れずに続くセミの声を聞くうち

ホントに雨?

という疑念がさした。ホンモノの目薬を、点したほうがいいかもしれない。

にかいからめぐすり



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/07/15 11:30

たいむの話。

休日のショッピングモール。

食堂街を通りかかったら、前は白いパネルで覆われていた空き店の跡に、新しい店ができていた。

たいむ1

旬菜ビュッフェとあるから、食べ放題らしいが、たしかこの場所、前も同じようなバイキング形式の店だったはずだ。

つぶれた店の跡に似たような店を出して、うまくいくものだろうか。外食産業はわからない。

それにしてもこの店名、何と読むんだろう。ラクケイム?ガクケイム?

ヒントはロゴの中にあった。

たいむ2

タイム?なんで?

まさか、のしいこいので、たいむ?

想像を絶する当て字だ。

最初だけ読めばいいんなら、漢字の訓なんてほとんど無意味ではないか。

ガンコジジイさながら、プンプン怒り出しそうになったので、待て待てと思い直す。

発想は柔軟に、何ごともよい面を見よう。

この読み方はもしかしたら無限の可能性を秘めているのではないか。

べたもの夢、で食芋夢

こがる夢、で蛸居夢

ぬきとぬの夢、で狸犬夢


おお、いろいろできるぞ。

しばしあれこれ考えたが、ハッと我に返った。

いったいタヌキとイヌの夢なんて店に、客が来るんだかどうだか。

私の心配を裏付けるがごとく、楽しい憩いの夢は閑散としていた。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/07/14 11:30

はるまき話。

デパートのパッチワーク展に、おばーちゃんのお友だちが出展するので、見に行った。

展覧会は盛況で、コンクール受賞作品や、元アイドルの作品の前には、人だかりができている。

お友だちの作品の写真を撮り、そそくさと会場を後にすると、やれやれランチの時間。久しぶりに中華にしようか、と、意見が一致した。

おばーちゃんはレディースランチ、私は点心ランチ。

女性向けに、白いプレートにチマチマと、オカズが乗っかっている中から、おばーちゃんは揚げ物を1つ、箸にはさみ

ハルマキだわ

と示すので、私も自分のお皿のを箸に刺して

ハルマキだね

そう言って2人、目を合わせ、プププと笑った。

それは6、7年前のこと。

おじーちゃんが亡くなって、ちょっとションボリしていたおばーちゃんを、近場の温泉に誘った。

たいした旅行じゃないが、家にこもっているより、よっぽどいいと思ったのだ。

夏休みにはまだ間があり、電車も宿も空いている。チェックインの後、ゆっくりお風呂に入って、夕食の時間。

安い宿だから、食事も朝晩バイキングである。食べられるものを取って、のんびり食べていたら、

後ろのテーブル 見てごらん

小声で言うおばーちゃんの目が笑っている。

見ないように見ると、お皿を持って戻ってきた女性が、席に着こうとしていた。

はるまき

お皿にはハルマキが7、8本。他には何も取っていないようだ。

彼女は箸をとると、薪のように積み重ねたハルマキを、大変な勢いで次々とかじっていく。

瞬く間に空にしたお皿を手に、女性はまた席を立った。

スゴイでしょ さっきもハルマキだけ食べてたよ

ええーっ?!ハルマキだけ?

シッ!来た!

戻ってきた彼女の手には、またしてもハルマキだけのお皿があった。

そんなにおいしいハルマキなのだろうか。もうお腹はいっぱいだが、好奇心に駆られて、1つだけ取ってきて、食べた。

マズくはないが、まるで普通だった。

よっぽどハルマキが好きだったのかねえ

ハルマキだけがそんなに好きっていうのは かなり珍しいねえ

今でもハルマキを見ると、あの日の話になる。

あの女性は、自分が話題を提供したとは、夢にも思っていないはずだ。

でも、おばーちゃんと私は、これからもハルマキを見るたび、何度も何度も話すだろう。目を合わせて、くすっと笑うだろう。

もしもありがとう、と言えるものならば、言っておきたい気持ちだ。

その人の顔や姿は、まるで覚えていないけれど。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/07/13 11:30

たっぱー話。

タッパーを新しくした。

本来のタッパーウエアではない。正確には密閉容器というべきだろうが、全然ピンと来ないので、タッパーでご勘弁願いたい。

とにかく私がタッパーと呼ぶ容器の、新しいのが猛然と欲しくなったのである。

うちには多すぎるほどタッパーがある。

買った覚えがないほど昔の。誰かが何か入れてくれたまま、返さなかったの。どういう経緯でそこにあるのか、もはや不明なの。

どれもまだ使えるものばかりだが、形や大きさがバラバラで、イラッとすることも多い。

ふだん、あまりモノが欲しくならない私である。たまには物欲に身をゆだねてみよう。

思い切ってバラバラのタッパーをお払い箱にし、同じシリーズを大中小、ずらりと揃えてみた。

みっぺいようき

きちんと収納すると、なかなかの壮観である。

いい気分でリビングに戻り、テレビを点けたら、水族館からの中継をやっていた。

…クラゲの水槽の この白いツブツブ、なんだと思いますか?

画面はクローズアップとなる。

実はこれ、クラゲの赤ちゃんなんです!

へえー

…赤ちゃんクラゲは水温が高いと死んでしまい…

そうなんだー

転瞬、カメラが切り替わり、私は目を疑った。

…こうして 低温で保管しているんですね…

飼育員さんが大事そうに冷蔵庫にしまっているのは、見覚えのある密閉容器。新調したばかりの、私のタッパーではないか。

そうなんだー、どころの話ではない。

ひとんちのタッパーにクラゲ入れんなよ!って、うちのじゃないけど!

もー、まだ新品なのにぃ!って、うちのじゃないけどさ!!




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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/07/12 11:30
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