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やいやい話。

おばーちゃんとケンカした。

私の優れた筆力により、ここでは愛すべき人物に描かれている彼女だが、リアルの母はけっこうなガンコババアである。

ケンカといっても言い合いではない。

理屈っぽい私があれこれ言い立てると、母が黙ってプイッとそっぽを向くという、攻撃側にとってじつに始末の悪いケンカである。

いったん黙ってしまうと、ご機嫌が直るまで、めんどくさい日々が続くのだ。

ひとしきり言いたいことを言ってしまったあと、あーあ、やっちゃった、と思っていると、珍しく母が言い返してきた。

やいやい言いなさんな!

やいやい言う、というのは関西弁だろうか。

子供の頃から、屁理屈をこねると、母の

もう、うるさいねえ やいやい言いなさんな!

の一喝で退けられて来た。

正当な主張をしてるのに、内容を吟味することもなく発言を封じられ、黙らされたのだ。

大人とは理不尽なものなりと思ったものである。

いま振り返ってみれば、子供時分の私は憎たらしいガキであり、言いたくなる気持ちも分からないでもない。

それにしても、久しぶりに言われたなあ。

50過ぎて、80の母に言われた

やいやい言いなさんな!

なんだかおかしくて、プッとふきだしたら、笑いが止まらなくなった。

ケンカの途中でゲラゲラ笑う私を見て、

なんなの いったい…

わけがわからないおばーちゃんは、なおご立腹である。

ちゃうねん



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むかしむかし | コメント(12) | トラックバック(0) | 2019/07/31 11:30

なつかぜ話。

某省庁の外郭団体の小さな事務所にお邪魔した。

働くはリタイアしたあとこちらでお勤めになる、いわゆるアマクダリの皆さん。

オジサンオバサンの域を越えた、オジイサンオバアサンの集まりだ。

シモジモには望めない恵まれた境遇にヒガミ根性が発動しないこともないが、ご一緒にお仕事する限りは有能で気持ちのいい方々である。

応接セットとデスクが3つ、という部屋で、担当の方と向かいあうと、

ゲホゲホ…失礼、夏風邪で…

風邪をひくのは誰でもあることで、謝っていただく必要はない。

奥のデスクからは事務職の方が

セキにはハチミツ大根がいいわよ!

ドコソコ医院で注射して来れば?

気軽に声をかけあい、いい雰囲気なのだが、私はがぜん落ち着かない気分になった。

夏風邪のしつこさは誰も知るところである。

この狭い事務所の閉鎖的な環境で、バッチリ風邪をひいた人と同席するのはいただけない。

しかし、この事務所の人は、うつす・うつされるという心配をまったくしないようだ。

風邪っぴき本人はマスクもしていないし、他の方が気にする様子もない。

感染予防の概念が無いのだろうか。

あるいは、絶対うつらないという確信があるんだろうか。

それとも同僚の風邪は共有するのが、この省庁の常識なのだろうか。

いずれにせよ、風邪のアマクダリはまっぴらごめんと、早々に逃げだした。

なつかぜ



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/07/30 11:30

あんぱん話。

通勤途上の駅構内にベーカリーがあって、帰り道、翌朝食べるパンを求めて立ち寄る。

遅い時間になると、残ったパンを売り切るために、セールになる。

全品100円引きとか、半額とか、セールにもいろんな売り方があるが、ここは店が適当に袋詰めにし、均一300円で売る方式だ。

お買い得なのも嬉しいが、自分で選ぶと買わないパンのおいしさを発見したり、楽しみもある。

いくつか並んでいる袋から、どれにしようか考えていたら、中の1つに国民的ヒーローの、まんまるな笑顔が透けて見える。

あ、アンパン…アンパンしばらく食べてないな

そう思って、彼のいる袋を買って帰った。

翌朝、濃いコーヒーを甘くしないで、パンをお皿にのせ

ボクの顔をお食べよ!

という声はとくに聞こえなかったが、カプリとかじりつく。

あれ?

おなじみの顔の中には、チョコクリームが入っていた。

アンパンじゃないじゃん!

チョコパンは美味しかったが、割り切れないものが残り、次に行った時、レジで

あの…あのパンって、アンパンじゃないんですね…

つい、言ってしまった。

お姉さんは、お釣りを出しながら眉をひそめ

そうなんですよね… 私も前から ちょっと…と思ってたんです

さも重大な告白をするかのように、打ち明けたあと、フフフと笑った。

あんぱんまんのぱん
(「たぶん大人の事情だから、子供のみんなは疑問を持たないようにね!」)


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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2019/07/29 11:30

れんらく話。

週末の朝。起きてダラダラしていると

♪ぺぽん♪

LINEの着信音が鳴った。だいたい通知をオフにしてるので、音が鳴るのは珍しい。

hello すたんぷ

見ると、エミさんからだ。(→ ともだち話。

イギリス在住の彼女とは、9時間の時差があるので、タイミングが悪いことが多く、わざわざ通知音が鳴るようにしてある。

時計を見ると、こっちは10時。

久しぶり~!どしたのこんな夜中に?

よかった!今さ…

いきなり用件。

念のため申し添えるが、彼女からの連絡はお正月以来、8か月ぶり。

あいかわらず、自分のしたい時、言いたいことだけ連絡してくる彼女らしいと、スマホを見ながらニヤニヤしてしまった。

…すっごく暑くて窓を開けてたら、ネズミが入ってきた!どうしたらいいと思う?

ヨーロッパの熱波襲来はニュースでも見ていたが、イギリスも例外でないらしい。

イギリスの家にはクーラーが無い。暑くなって窓を開けても、網戸も無いのだ。

まだそこらにいるの?

わかんない 見えなくなっちゃった

じゃあどうしようもないね 夜中だし

ネズミだろうがクマだろうが、こんなに遠くちゃどうしようもない。

朝になったら誰かに来てもらうといいね

朝まで眠れないよー!

寝なくていいじゃん 休みでしょ 昼寝すれば?

そこまで言うと、少し落ち着いたらしい。

分かった そうする

goodnight すたんぷ

最初と同じくらい唐突に、最後のスタンプ。

何なんだと思いつつ、なんだかおかしくてたまらない。

夜中だから、近所の人には助けを求められず、時差のある日本に連絡してきたことからすると、彼女も彼女なりに気を使ってるんだ。

部屋着でリビングにへたり込むエミさんの姿を想像しながら、スマホを置く。

調べてみたら、週末は英国観測史上2番目の暑さだったらしい。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/07/28 11:30

うなぎの話。

母方の祖父は、生きてれば百になる。

現役時代はヤリテの商売人だったらしいが、私がモノゴコロついたころには、単なる困ったじーさんであった。

買物好きで道楽者。お酒は飲めないのに、キレーなお姐さんのいる夜の街をウロウロする。

中でも好きなのが外食

若いころには、いきなり自家用車に家族を乗せて

今からカニを食べに行くぞ!

なんてこともあったらしい。

道頓堀に「かに道楽」がある時代じゃない。大阪から、日本海までぶっとばして、その日は泊りなのだ。

期末試験前だったじーさんの娘(つまり私の母)は、車の中で泣いたそうだ。

そんな具合だから、もうヨレヨレになってからも、何かっちゅうと外でご飯を食べたがった。

病気して入院してからは、さすがにワガママは言えまいと思っていたのだが、見舞いに行ったら、看護師さんにこう言われた。

おじーちゃんね、どっから出してきたのかしら、千円札を見せてね

アンタな、これでウナギ買うてきておくれ

って言ったんですよ!こんな患者さん、初めて!

恥ずかしくて顔から火が出そうだ。

しかし同時に、流動食になってなおウナギが食べたい!というじーさんの気力には、身内ながらアッパレと尊敬の念もわいた。

戦中戦後を生きた人間の、生への執着ってこうなんだ。

私なら死病の床で「ウナギ!」なんて思えるかなあ。ムリだろうなあ。

今日は土用丑。じーさんを偲んで、元気なうちにウナギのひときれでも食べよう。

ほぼうなぎ
(しかし今の世の中、ウナギは千円では無理)



本日早朝より他出のため、2014年7月31日の記事を再掲いたします。



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むかしむかし | コメント(2) | トラックバック(0) | 2019/07/27 11:30

ばんかい話。

駅前の用件が意外に早く済んだ。夏の夕方はまだ明るくて、帰るのが惜しい。

なんとなく頭に手をやったら、伸びた髪が当たって、そうだ、髪切って行こう、と思った。

予約はないけど、いつもの美容院へ。

ソファでヘアカタログを見ていたら、奥から若々しいさざめきが聞こえる。

やがてアップヘアに浴衣のお嬢さんが2人、下駄の足元を気にしながら、表に出て行った。

ガラスのドアを押さえて、ニコニコ見送った美容師さんが

天神祭、花火ですって… いいですねえ

そうかあ、そんな時季なんだ。花火に浴衣、若いなあ、いいなあ。

そういえば、イベントのためにオシャレする、なんて、ずいぶん長いことしていない。

暑いから、いつもより短めに、とだけ伝えて、テルテルボーズのようにケープを巻かれ、ふだんは読まない女性誌を手に取った。

雑誌を見ていれば、あれこれと話しかけられることはない。

耳のそば、シャキシャキ鳴るハサミのむこうに、隣の席のマダムの声が聞こえた。

…なのよ~ もう5年ぶりかしら~

へー そうですかー 同窓会スかー

担当の美容師さんも、パーマのカーラーをゴムで止めながら、のんびりと返事してやっている。

このトシになるとね~ もう次があるか、ないか…

そんなことないスよー ぜんぜんお元気じゃないスか

だから キレイにして行かないと…

ははー

まだ若い男性の美容師さんは、いまいちピンと来てないふうだ。

あの人、ずいぶん老けたわね、なんて思われたら、もう挽回するチャンスが無いからね!

あ、なーる!

黙って聞きながら、私もなるほどなあ、と思っていた。

毎週会ってる相手なら、先週は疲れてて、とか、言い訳ができる。

でも、めったに会わない人には、その1回が、その後数年の印象になるのだ。

パラパラと音がして目をやると、激しい夕立ちが窓を打っている。浴衣のお嬢さんたちは、大丈夫だろうか。

てんじんまつり2019



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/07/26 11:30

だくおん話。

昨日の記事(→ ぐっずの話。)を書いていて思い出したこと。

さいきん知り合ったホリウチさんと、LINEを交換した。

面と向かって話しているうちは分からなかったが、彼女の表記法がちょっと独特というか、特徴があるのだ。

アレ?と思ったのは、グッツという言葉が登場したとき。

前後の文脈から「グッだと分かった。

よく見ると彼女のビッビッバッバッベッベッである。

一貫して、2つある濁点の後のほうを省くのが、ホリウチルールらしい。

じゃあブッはブッかなあ、などと、楽しく想像していた。

ところが先日、彼女から、

新しいゲージが届いて云々

というメッセージが来たのだ。添えられた写真は愛猫のかわいい姿。

つまり、ージージなのだ。

原語になかった濁点が増えている。

ホリウチルール第2条の登場に、いま私は戸惑っている。

けーじ
(cage(英)…(鳥獣を収容する)檻、かご。



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/07/25 11:30

ぐっずの話。

今日も朝のテレビは同じニュースばかり。

見飽きた顔が映ってない局に変えたら、便利グッズの紹介をやっていた。

芸能と同じくらい興味はないが、不愉快でない分マシかもしれない。

わー、やわらかーい!これが安いお肉?!

女性タレントが大げさに目を見張り、讃えるのは

みーとてんだー

お肉の筋を切って柔らかくする器具らしい。

こういう商品を見たとき、私がいの一番に考えるのは、

どうやって洗うのか?

ということである。

地獄の針の山のように何本もの歯が林立するこの道具を、ケガしないで洗えるものか。清潔に保つことはかなり難しそうだ。

うわー!カンタン!塗りやすーい!

じかぬりばたーすてぃっく

画面が切り替わり、トーストをつぶさずフンワリとバターが塗れる、という道具が映るが、

どうやって洗うのか?

私の関心はやはりそれのみである。

四角な器具の、奥の角っこにバターが詰まったらどうするのか。

しかもバター、つまりアブラ

プラスチック容器の油汚れは、食器洗剤のCMになる。つまりは取れにくいのだ。

想像するだけで憂鬱になる。

あんなものを洗うくらいなら、肉なんか硬くてもいいし、トーストだってぺちゃんこでいい。

便利グッズを開発する人は、自分の作った道具を洗ったことがあるのだろうか。私は疑問に思っている。



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/07/24 11:30

てがみの話。

知人友人との連絡も、メールやLINEの昨今だが、旧型人間の私は、まだ筆マメなほうだ。

年賀状も出すし、ものを送る時は添え状も書く。

しかし、便箋と封筒を使って「お手紙」を出す機会はほとんどない。

「お手紙」は昭和の女学生のタシナミであった。

かわいい便箋や封筒を集め、相手の好きそうなのを選んで送る。

たわいない内容でも、いそいそとした時間はほんとうに楽しいものだった。

どんなことを書いたのか、ちっとも覚えていないが、誰が好きだとか、何がステキだとか、まあ、その程度のことだろう。

若い日のお手紙なんて、歳月の隙間に、花びらの散るようにヒラヒラ消えて行くものだ。

ところが先日、某所で某さんと話していたら、恐るべきことを聞いてしまった。

今までもらったお手紙を

ぜーんぶ取ってあるわよ 

というのである。

さいわい、彼女は学生時代の友人ではないが、それでも某さんに手紙を出したことなかったっけ、と、超高速で記憶をたどってしまった。

だってせっかくいただいたのに 捨てたら申し訳ないでしょう

某さんはそう言うが、

いや、捨てていいから!むしろ頼むから捨てて!

私は心で叫んだ。

帰り道、つらつらと考えるに、私のかつての学校友達の誰かが、某さんのような主義でない、とは言い切れない。

つまり、若き日の私のお手紙が、どこかに後生大事にしまわれている可能性もゼロではないのだ。

そう思うと、にわかにおシリがモゾモゾと、落ち着かない気分になった。

本日、文月ふみの日

ふみのひきって1998



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/07/23 11:30

いってき話。

梅雨入りしたのかしないのか、いまいちピンと来ないまま、続く不順な天候。

降りみ降らずみ、定まらずに迷う。

迷うのは、カサを持つか否かだけではない。

細かな雨、短い距離で、カバンの中のカサをさすか、ささないか。多いに迷うところである。

さいきん知人と一緒に歩く機会が重なり、気づいたことがある。

数人で歩いた場合、降りはじめの最初の1滴が必ず、私に当たるということだ。

たとえば集まりのあと、連れだって会場を出る。

うわー、蒸すわねえ!

これは降るんじゃない?

あ、もう降ってる…いや、やっぱり降ってない?

皆が空を見上げたり、手のひらをかざしたりして

まだ大丈夫みたいね

全員が一応の結論を見た瞬間、

…ポツリ

脳天のツムジあたりに、小さな、けれども確かな感触が。

降ってきたみたい…

控えめに提案するものの、すでに結論に達した集団の意見は変えにくい。

また、自分ひとりカサを広げるのも気がひける。

やがて歩き始めた私の頬に2滴めが触れたと思うと、

キャー! なにコレ!

傘、カサ!

逃げまどうオバサンたちを大粒の雨が襲うのだ。

むろん私もズブ濡れだが、付和雷同の罰だと思い、あきらめている。

あめがぱらぱら



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/07/22 11:30
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