fc2ブログ

おのつく話。

イモートが夕飯の写真をLINEしてきた。

わー、豪華!美味しそうね!

お取り寄せなの~ 私はパック開けただけ


外食もままならぬ中、近所で手に入る材料で、自分で作るご飯にも飽きてきたらしい。

それにしても、こういうことを、お取り寄せと呼ぶようになったのはいつからだろう。

気になるのは、お取り寄せの「お」である。

たとえば、店に無い商品を欲しい客に、店員が

申し訳ありません ただいま在庫にございませんので お取り寄せいたします

これならまったく違和感はない。

ここでの「お」は、客への敬意を表す丁寧語だからだ。

しかし、消費者が、欲しいものを通信販売で買うだけのことなら、「お」の意味はない。

自分が食べるために、北海道のチーズを取り寄せ、熊本の馬刺しを取り寄せ、長野の蕎麦を取り寄せるのに、なんで「お」が要るのか。

自慢げでムカつくような、それでいて軽くバカにする余地もあるような。

この感じは「お受験」の「お」に、ちょっと似ている。

そういえば、会社員時代、来客がデカい車をヘンなところに停め、苦情が来たことがあった。

デキる総務のお姉さんが、すまして

申し訳ございませんが お客様のおベンツ、ご移動いただけますでしょうか

丁重に扱われたおベンツの持ち主はまんざらでもなさそうだったが、机の陰でお腹がヒクヒクするほど、おかしかったのを覚えている。

おべんつ



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/05/21 11:30

かいもの話。

予約取り置きのお知らせ

予約されていた資料の準備が整いました…


嬉しいメールがきた。緊急事態宣言が解除され、閉館していた図書館が貸出を再開したのだ。

さいわい天気はよし、待ちに待った本をさっそく取りに行こう。

しばらく出ないうちに、外は初夏の陽気。

今年はじめての半袖に軽い靴を履いて、ウキウキ歩きだせば、遊歩道の緑が美しい。

久しぶりの街並みを、右に左に眺めていると

ただいま焼き立て!

ぱんやののぼり

閉まってたパン屋さんが、ノボリを立てている。

くんかくんか鼻を動かしたら、香ばしいにおい。たまらずに店の中に吸い込まれた。

セルフサービスのトレイとトングはしまわれていて、お店のお姉さんにあれとこれを、と指さす。

…685円です

マスクでくぐもった声を、レジのデジタル文字で確認し、財布を出すが

…あれ?えっと…あれ?

うまく取り出せずに、マゴマゴしてしまう。

そういえば、前に買物したのはいつだったか。しばらくやらずにいると、こんなことでもヘタクソになるものだろうか。

ゴメンナサイ手間取って… お買物が久しぶりで…

フフフ… 私も レジ打ち忘れそうでした

ビニールシートの向こう、マスクと三角巾で覆われた顔の中で、目だけが笑っている。

ほかほかと、頼もしく温かな紙袋を抱えて、開け放たれたドアから店を出る。

こうして少しずつ、普通が戻ってくるといいな、と思った。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/05/20 11:30

さっぱり話。

今日も家でヒマだから、目新しいものでも作るかな、と思っていたら、テレビに美味しそうなものが映った。

ナントカ酢で 鶏のさっぱり煮

朝ドラ女優が商品を手にニッコリ笑っている。

酢なんか家にあるから、新規に買う気はさらさら無いが、レシピは参考になりそうだ。

商品名で検索したら、すぐ見つかった。

カンタン酢のさっぱり煮
かんたんすのさっぱりに

[1] 手羽元はよく水けをふく
[2] しょうがは薄切り、にんにくは軽くつぶす
[3] 鍋にカンタン酢としょうゆ、[2]を入れ、煮立たせる
[4] [1]とゆで卵を入れ、ふたをして中火で煮汁が少なくなるまで20分煮る
[5] ゆでたブロッコリーを添え[4]を器に盛る


なるほど簡単そうだし、鶏肉もある。すっかり作る気でいると

…おっ、さっぱり煮 うんまーい!

テレビから別の声がしたので、見れば人気俳優が、子役と並んで鶏肉をほおばっている。

なんだ?さっぱり煮、流行ってんのか?

味ぽんのさっぱり煮
あじぽんのさっぱりに

見た目も作り方も、ほとんど同じである。さらに

だしまろ酢のさっぱり煮
だしまろすのさっぱりに

こんなのもあった。材料も作り方も大同小異だ。

ブロッコリー、パプリカ、オクラと、付合せだけ違うのはなぜだろう。

どうやら各社、さっぱり煮を推しているらしいが、さっぱりさっぱり言われるうちに、サッパリにもすっかり食傷した。

今日は何か、コッテリしたものを作って、食べようと思う。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

てれびじょん | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/05/19 11:30

かみどめ話。

アタマが重いと思ったら、ずいぶん長いこと、髪を切っていない。

美容院はタンコブをこしらえて(→ さんぱつ話。)以来、ご無沙汰である。

もともと短いので、困るほどではないが、さすがに鬱陶しい。後ろ手で束ねてみると結べそうだ。

髪を短くしたとき、使わなくなったヘアピンなどは、あらかた処分したが、ダメもとで抽斗を探してみた。

無いだろうと思ったら、いくつか残っている。

それは、子供がくれた髪留めだった。

髪を長くして結っていたころは、お誕生日や母の日に、よく髪留めやゴムをもらった。

おこづかいで買える、ちっちゃな髪留めは、いかにも子供の思いつきそうなプレゼントだ。

手に取れば思い出す、これは、ムスコがくれた、ちょうちょのヘアピン。

こっちはムスメの、ワニさんのヘアゴム。

どれもビーズがキラキラ光って、えらくかわいらしい。あの頃は、こんなのが似合うくらい、私も若かったのだ。

もったいなくて使わずにいたけれど、すぐに毎日つければよかったな。

そのほうが、子供も喜んでくれただろうに。

キラキラのピンで伸びた髪を留めたら、やっぱり嬉しくて、誰かに見せたくなった。

ちょうちょのへあぴん



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/05/18 11:30

まくどの話。

家にいるのが好きなので、出歩けなくてもちっとも不自由はない。

食料や日用品はおなじみの生協さんが持ってきてくれるし、だいたい私は買物がキライである。

このご時世に、スキあらば出かけようとする人の気が知れない、と思っていた。

ところが、ここに来て、ゴキゲンなインドア生活に危機が訪れた。

マクドが食べたい。

自粛で外食産業のCMが減る中、マクドナルドのコマーシャルが、やけに目につくのだ。

車を持たない私はドライブスルーが使えない。

歩いて買いに行ける店舗は、ショッピングモールの閉鎖のため、閉まっている。

そうか、デリバリーというものがあるのか!と、喜び勇んで調べてみれば、なんと配達区域外ではないか。

まっくでりばりー
(ちくしょう、スマイルなどゼロ円でもいらーん!)

食べられないとなると、がぜん食べたくなる。

ああ、マクドが食べたい。

美味しいのかと問われれば、力を込めてNO ! と答えるであろう。

しかし、人は美味しいから食べたくなるわけではないのである。

あの、ぎゅっと押さえて肉汁を絞っているとしか思えない、パサパサのパティ。

製法が疑われる、人工的なピクルスやチーズに、ぜったい身体に悪い物しか入っていないソース。

それらを味のないパンにはさんだ、あんなものをなぜ食べたくなるのだろうか。

小マズいモノ好きな私の性分もある(→ こまずい話。)が、他に似たものが無いせい、かもしれない。

うっかり気を緩めれば、無意識に

マクド…食べたい…

呟きながらヨロヨロ玄関を出そうになる自分を、懸命に抑えている。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

てれびじょん | コメント(16) | トラックバック(0) | 2020/05/17 11:30

いぇにちぇり話。

このご時世に、それぞれ1人住まいのわが家。

いちばんの心配は80代の母であるが、当のご本人は、孫たちを心配している。

とりわけ大学生のムスコが案じられてならないらしい。

帰れる距離にいる社会人のムスメはまだしも、(おばーちゃんが)知らない、遠い街にいるムスコ。

ムスコ君大丈夫かしら ちゃんと食べてるかしら

本人に言うとうるさがられると思うのかして、私のほうに電話してくる。

アンタ 食べるものとか送ってやったら?

あの子のほうが ずっと便利なとこに住んでんの!うちに送ってほしいくらいだよ

えー!?

おばーちゃんは不満そうだ。

そんなに気になるなら おかーさんLINEでもしてやってよ 退屈してるから 喜ぶよ

そーお?いいのかなー… 

ミョーにモジモジしている。その遠慮を、娘の私にもしてほしいものだ。

大丈夫だから、と念を押して電話を切ったら、しばらくしてスマホにLINEが入った。

ムスコ君元気にしてるって!安心しました!

ぐう!のスタンプが押してあるので、良かったね、と返事すると

本を読んだり、イェニチェリいても楽しいって!

イェニチェリ???

おそらく、おばーちゃんのいつもの誤変換(→ としがす話。)であろう。

ムスコは「家にいても楽しい」と書いたにちがいない。

トルコ語でイェニは「新しい」、チェリは「兵隊」。14~19世紀オスマン帝国の常備歩兵軍団で、火器で武装した最精鋭であったという。

80のオバアサンのらくらくスマホに、ナニユエかような語彙が紛れ込んだのかは、不明である。

いぇにちぇり
(軍装に身を固めたイェニチェリの皆さん)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/05/16 11:30

しゅうちの話。

スーツケースを虫干ししようと、窓際にガバーと開いておく。

気になってた風呂場のカビ取りもしてしまおう。

今日も出かける予定が無くて、家の中をアチコチしながら、思った。

1人暮らしは、周知徹底が要らない

もし家族がいたら

カビ取り撒いたから、お風呂入らないでよ!

とか

スーツケース立ててるから、気をつけて通って

とか、注意喚起が必要になる。

口で言っても聞いちゃいないな、と感じた時は、紙に書いて貼り出す。冷蔵庫の食品に

夕飯で使うから食べないで

とか、あるいはもっと簡単に

ママのもの

などと書いていたこともあった。

1人だと、こういう心配を一切せずに済む。気楽だけど、人に伝えるということについて、とかく横着になっているのではないかしら。

気をつけよう、と思いつつ、ご不浄に入った。

ヒャッ!

腰を下ろして、冷たさに飛び上がる。

そうだ、今朝起きたら暖かかったので、暖房便座を切ったのだ。すっかり忘れていた。

もおー そうならそうと言ってよお…

独り言がおかしくて、プププと笑う。

このトシになると、自分のしたことも、ハリガミしたほうがいいのかもしれない。

うぉしゅれっと



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/05/15 11:30

かんきん話。

ムスメの部屋から出てきた、謎の外国紙幣。(→ さつたば話。

もんごるとぅぐるぐ

誰?!と思ったのはCHINGGHIS KHAAN、つまりこれはモンゴルのお金であった。

こんなん出ましたけど~と連絡すると、とうぶん再訪する予定はないとのこと。

だったら、片付け代に、いただいちまおう。

とはいえ、外貨のまま持っていても使えない。両替をせねばならぬ。

ベトナムドンを両替してくれるお店は、いくつか見つかった。

ところが、モンゴルのトゥグルグ(そもそもこの発音が正しいのかどうかも定かでない)を扱う業者が無い。

検索キーワードをいろいろ変えて、やっと見つけた業者は個人名義だった。

うーむ…アヤシイ…

まず、電話でもメールでもなく、LINEで紙幣の写真を送る。

ますますアヤシイ…

説明によれば、外貨と口座番号のメモを郵送すると、おりかえし日本円が振込まれるらしい。

さらにアヤシイ…

しかも少額なら普通郵便でいい、とある。

まったくもってアヤシイ…

どこからどこまでも怪しいニオイしかしないが、私としては珍しく、大胆に腹をくくった。

だまされたところで、どうせ他では両替できないトゥグルグを失うだけのことである。

封筒に紙幣を入れ、切手を貼ってポストに入れる。

さてさて、結果やいかに?



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/05/14 11:30

さつたば話。

本棚の整理に始まった片付けは、しだいに範囲をひろげ、ムスメの部屋に至る。

今では独立したムスメがたまに使うだけなので、ガランドウでもよさそうだが、そうではない。

部屋中わけのわからないモノで、あっぱれお見事な散らかりっぷりである。

いちばんの理由は旅行だろう。

ムスメは休みに旅行するとき、まずうちに帰ってくる。スーツケースを置いているからだ。

アパートから持ってきた少々の衣類をそこに詰めると、翌朝の空港バスで、目的地に旅立つ。

帰りもまた、実家経由である。

旅行中の洗濯物と、ステッカーの増えたスーツケースを残し、わが家から出勤していくのだ。

私にも欠かさず面白いお土産をくれるのは嬉しいが、旅先で買ったものの、アパートには置き場が無い、得体の知れぬモノが、うちに溜まる。

ムスメには帰宅のたび片付けを促すが、いっこうに腰を上げないので、この際ひと通りのところは私がやってしまおう。

明らかなゴミは捨て、他の場所にあるべきものは移動させ、とやっていると、どこか見覚えのあるビニールポーチが出てきた。

開けてみると、そこには札束が!

いや、冗談ではない、本当のお札である。ただ、残念ながら、日本円ではなかった。

べとなむどん

じゅ、じゅうまん?!

ドキドキしたが、よく見ればVIET NAMの文字が読めて、なあんだとなる。

ベトナムの通貨はドン。たしか1円が200ドンほどだから、500円しないくらいか。

しかし、次に出てきたお札にはまた困った。

もんごるとぅぐるぐ

なに?!てか、誰?!



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/05/13 11:30

カレンナ本。

今日も書斎で本棚の整理。

サイズやジャンルで大体分けているはずなのに、棚のヘンなところに、料理の本があった。

くすんだ古本ばかりの中で、異色を放つ新刊書は

かれんのだいどころ
(カレンの台所 滝沢カレン著 サンクチュアリ出版刊)

流行りものには手を出さない私が、つい買ってしまった話題の本。

しかも、モノは使う場所に、をモットーに、料理本は台所に置くと決めているのに、なぜかこの本は本棚に入っている。

まさに異例づくしである。

この著者の特徴は、材料の分量や調理時間を一切書かないことだ。代わりに、非常に独特の比喩を用いている。

昔は目測り手量りということをよく言われたが、その伝で言えば比喩量り、であろうか。

詳細な引用は興味を削ぐので避けるが、帯に挙げてある程度はよいだろう。

例えば唐揚げのレシピでは

お醤油を(鶏肉の)全員に気付かれるくらい

(揚げ油の)キャピキャピ音が高くなってきたら、ほんとに出してくれの合図


じっさいに作らなければ、なかなか言えない目安が示されている。

帯に抜き出したのは、おそらく編集者であろうから、たいして面白くもないが、頁を繰ればこれを上回る驚きの表現がつぎつぎ現れる。

宇宙人が、出来の良くない辞書を記憶し、用例を知らずに言葉を使っているような新鮮さだ。

成人してから日本語を学んだためかと思いきや、幼少期から日本で公教育を受けてきた人らしい。

それにしては、こんな時はフツーこう言うよね、といった言い回しが、一切出てこない。

この人はいったい、他人の言うことを聞かずに育ったのだろうか。

教卓の先生が、学級全体に共通の理解を求めている時、少女だった彼女は長い睫毛の目を伏せて、心の声だけを聞いていたのかもしれない。

そんな孤独に思いを致すと

この本はどうか 台所の片隅にでも置き去りにしてください

あとがきに背いて、書棚に収めたくなるのだ。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

ブックガイド | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/05/12 11:30
« Prev | HOME | Next »