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ぜんごの話。

本日、当地の予想最高気温は38度

大阪や京都には、万事後れを取るわが県なのに、なんで気温ばかり抜きんでるのか。

などとぼやいてもしょうがないので、せめて涼しく過ごす工夫なりとしよう。

ネマキから着替えるのは、夏らしい簡単服。昔で言うアッパッパである。

ボタンもファスナーもベルトもなく、かぶって着るだけのこういう服が、夏はいちばん涼しい。

頭を通そうとして、少し考えた。

これ、どっちが前かな?

この服で迷うのは初めてではない。着ようとするたび、どっちが前か決めかねて、けっきょく毎回どうでもいいや、となる。

前後の区別が無いデザインのせいである。

ふつう洋服の襟ぐりは前が深く、後ろが浅いものだが、この服にはその差が無い。

模様が細かくて、柄で見分けることもできない。

背中にタグがあるだろう!と思いきや、難儀なことに既製服でなく、ハンドメイドなのだ。

いや、厳密には、前後の差はある。

片側の中央にはタックが、反対側にはギャザーが寄せてある、という違いだ。

(参考画像)こちらがタック
たっく

こちらがギャザー
ぎゃざー

なんとなくタックを背中にして着てみるが、かといって前にギャザーがあるのもシックリしない。

落ち着かないこと甚だしい。

ハンドメイドなら、作った人に聞いてみれば、とお思いかもしれない。

実はそれがもっとも難儀な点であって、この服を縫ったのは私なのである。

あー、どっちが前だったっけかなあ…

結論は、今日も出ない。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/08/21 11:30

くらげの話。

父は結婚が遅かったので、長女の私は、35歳で生まれた。

育児は女の仕事という昔ニンゲンなうえ、その頃日本は高度成長期、サラリーマンがモーレツに働いていた時代。

朝は子どもの寝ているうちに出て行き、帰りは子どもが寝たあと。土曜日だって仕事がある。

おとーさんに遊んでもらう」なんてめったにないし、父親は親しみ深い存在じゃなかった。

それでも夏休みはみんなで海に出かけた。

「二十四の瞳」とオリーブの島小豆島の民宿が気に入って、何年か続けて行っていた。

家庭的な宿だが、部屋のもうすぐそこが海で、着替えてすぐ飛び出し、一日中遊ぶ。

すこし時期が遅かったのか、クラゲの多い年があった。

刺されたらすぐ水道水で洗えば、ウソのように痛みは引くのだが、何度も刺されてイヤになった私とイモートは、砂浜でふてくされていた。

すると、海の中に立っている父が、おーいと何か合図している。つかみ出すようにして、大きなモーションで何かを投げてよこした。

砂浜に、不思議なゼリーのようなものがボテンと落ちた。

クラゲだ。動くこともできず、カサを裏返しにひっくりかえっている。

チクチクと不快な目に遭わせるものの、情けない正体を見て、私たちはコーフンした。

やっつけよう!クラゲ退治だ!

父が投げてよこすクラゲを、熱い砂に埋める。それだけのことに、暗くなるまで熱中した。娘たちはずいぶん小さかったし、父も若かった。

世の中が落ち着く頃には、父は初老を過ぎていた。気づけば父は「おじーちゃん」だった。

ずーっとそうだった気がするが、おじーちゃんにだって若い父親のときはあったのだ。

海の中に立ち、つかんだクラゲを高く高く掲げて見せた、父はもういない。

あの時の父は、今の私よりずっと年下だったんだな、などと思う、夏の終わり。

おくりび
(今年は奈良の大文字送り火も縮小で実施された)



本日多忙のため2014年8月20日の記事を再掲いたします。



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むかしむかし | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/08/20 11:30

ぶんめい話。

新型ウィルスの影響で在宅時間が増えたので、出かける時はなるたけ歩くようにしている。

駅までの道も、バスや自転車に乗らずに歩く。

もちろん暑いが、どうせ用件を済ませて帰るだけだし、人に会う時はマスクをかけるので、赤鬼のような顔も気にならない。

直射日光と水分補給さえ注意すれば、あえて汗をかくのもわるくない。おかげで体重は、減らないまでも増えもせず、体調も良好である。

そんなわけで3カ月近く、自転車に乗らずにいたのだが、駅前に急用ができた。

午後には家に宅配が来るので、急いで戻らねばならない。ここは、久しぶりに自転車の出番か。

かけっ放しのカバーを外せば、わが愛機白鹿号が

待ってたぜ相棒!

懐かしげに、鈍い銀色を放っている。

おもむろにサドルにまたがり、ペダルを漕ぎだせば、木陰の風が頬を撫でて、おお、涼しい!

左右の景色が飛びさる速さ!徒歩とは比べ物にならぬスピードだ。

あっという間に到着し、あっという間に用事が済んで、あっという間に家に戻る。

自転車とはまさに文明の利器なり!

ちょうどイモートから電話があったので、その感激をコーフン気味に伝えたところ

おねーちゃん大丈夫?暑すぎてアタマ煮えてない?

本気で心配された。

じぇいくのじてんしゃ 




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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/08/19 11:30

しょさいの話。

今、こうして向かうのは、引越しの後、慌てて買ったパソコンデスクで、いかにも趣が無い。

隣の電話台は、ファクス付き電話とモデム、そのコード類でごちゃごちゃだ。

この辺りをサッパリと、かつ、目に快くしたい。

そもそも私は、映画「My Fair Lady」の教授の書斎みたいなのが好みなのである。

きょうじゅのしょさい
(さすがにマンションに螺旋階段は無理)

とはいえ使えるお金にも限りがある。

どうしたもんかなあと思いつつ、掃除機を押してムスメの部屋に入った時、ピンとひらめいた。

ムスメが使った、ライティングデスク。もともと叔父のおさがりで、古いけれどモノは悪くない。上下に棚があって、収納も十分である。

これをリビングに運び、パソコンや電話機、事務関係のファイルを収めれば…

たちまちステキな書斎のイメージが浮かぶ。

ムスメにもいちおう承諾を得て、さあ移動だ。

高さがあるので、そのままでは扉を通らない。横にして運ばねばならないようだ。

ぐっと力を入れ、デスクをそろそろ倒す。ふだん使わない筋肉が、緊張するのがわかる。

どうにか床に寝かせた時には、50代の1日分の体力を使い果たしていた。

1日目はこれで終了。

次の日は、デスクの背後の壁の掃除で終わった。

3日目になって、重大なことに気づく。

ライティングデスクの背面は板張りで、パソコンや電話のコードが出せないのだ。スッキリ収めるには、穴を開けねばならない。

電動ドリルや糸ノコや、物騒な道具を振り回し、周囲をオガクズだらけにして、その日も暮れた。

廊下を傷つけないよう、古いタオルを噛ませて、ようようリビングまで引きずってきたところで、5日目の今日になった。

ステキとは程遠い状態で、なおかつこの暑い中、倒したデスクを起こすという大仕事が、まだ残っている。考えただけで、ダラダラ汗が出そうだ。

理想の書斎への道は、かくも遠いのである。



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2020/08/18 11:30

ごまつぶ話。

お皿洗いはイヤだけど、真夏は別だ。

流れる水が気持ちよくて、いつもよりていねいに、洗い具合を確かめながらすすぐ。

ゆっくりだと、ふだん見ないものに目がとまる。

それは器の底に溜まった胡麻の粒

いろんな料理にかけるが、お箸でつまめないので、どうしても数粒、残ってしまうのだ。

これって栄養豊富なんだよね…

もったいない、と貧乏性がささやく。

たとえば、しょうゆ、ポン酢といった調味料が、お皿に残るということはままある。

こうした液体の場合、食材の上をひととおり通過した結果なので、いちおうは味付けの機能を発揮した、とも考えられる。

しかし胡麻は固体である。

同じビンの中、ひとしく可能性に満ちていた胡麻のツブツブ。

1粒は口に運ばれ、咀嚼され、栄養として吸収されるのに、別の1粒は、箸に触れることもなく、洗い水に突っ込まれ、排水溝に直行する。

両者の質になんら差は無いのに、なんと残酷な、運命の落差であろうか。

ゴマツブほどの小さな問題ではあるが、大きなものを含んでいる気がする。

ごま
(この中のどれかに悲しい未来が待っている)



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/08/17 11:30

けいかく話。

先週、京都五山の送り火が、何者かによって勝手に灯される騒ぎがあった。

数十分にわたって、離れた街なかからも、大文字の形に光る電灯を確認できたらしいから、かなり大掛かりの悪戯である。

関係者は驚き、怒り心頭だというが、私はとくに驚かない。やりおったなという感じである。

それというのも、この手の悪戯は、京都の学生の間で、定期的に話題になるからだ。

はるか昔、送り火見物にかこつけた、学生たちの屋上ビールパーティー。

点々と文字を描く火を見ながら、誰かが言った。

ねーねー、あの大の字の右肩のとこにさ、松明を持って立ったら どうかな?

右肩?…あー、イヌモンジ!

ござんおくりび2

こういうことね。

それよりさ あの大の字の足の間にさ…

ハハ…フトモンジ!

ハハハ… バカ―!

ござんおくりび3

松明は危ないから、焚火はどうか。見つからないよう近づくには…毎回、計画は盛り上がるが、もちろん実行に移すことはない。

しょせん無責任な若者の、口だけの戯事である。

しかし今年、どこかの誰かが、計画を計画で終わらせなかったのだ。

それは、新型ウィルスの影響で、送り火で図形や字を描くのが中止されたことと、きっと無関係ではないだろう。

2020年の、五山の送り火。

「大切な人のため、送り火は家から」を合言葉に、規模を大幅に縮小し、今夜点火される。

(→五山送り火 公式サイト



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/08/16 11:30

しばった話。

週末は団地の古紙回収

ふだんならお店で買うものも、さいきんは通販なので、段ボールが溜まっている。

十字に紐をかけ、キュッと締めて縛る。緩まないように縛るには、段ボールを重ねるところから、ちょっとした工夫が必要だ。

そういえば、これも教えてないかも…

ふと、しばらく会わないムスメのことを考えた。

あれは彼女が小学校の頃。もう1人でお風呂に入っていたから、高学年になっていただろう。

出てくるときに、ボタボタしずくを垂らしているので、注意した。

タオルが脱衣所にある、などと言い訳するから

手を伸ばしてタオルを取って、中で拭いてから上がればいいでしょ

そう言うと

だってそんなの 教えてもらってない!

しずくの垂れる前髪の下の、しんから驚いた顔に、私も驚いた。

私だって、そんなこと誰にも教わっていない。教えないとできない、という発想が、新鮮だった。

脱衣所をぬらさずにお風呂を出るには。

緩まないように、段ボールを縛るには。

いろんなことを考えて、工夫して、このトシになったのだ。

キッチリ束ねた段ボールを抱えてゴミステーションに行くと、崩壊寸前ユルユルの束が、ようよう立てかけてあった。

ここにも、教わってない人がいる。

ムスメは通販の段ボール、どうしてるのかな。教えてやりたいが、今となっては余計なおせっかいだろう。

ここも、ムスメの住む町も、今日は猛暑日の予想。

ままぞん



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ごかぞく | コメント(18) | トラックバック(0) | 2020/08/15 11:30

ならでは話。

洗濯機を回してもいい時刻っていつ頃だろう?

日差しが強くなる前に干し終えるには、6時台に洗いたいところだが、機械音がどれほど聞こえるものか、気になる。

せっかくの盆休み、朝寝を楽しむご近所を、起こしてしまっては申し訳ないしなあ。

集合住宅ならではの悩みを悩みつつも、洗濯を終えた。

洗濯物を抱えてベランダに出れば、朝の空気は、まだ、かろうじてヒンヤリしている。

ハンガーを竿にかけていると、サッシの開く音。

うちのマンションは変形で、角度によってはお隣の姿が見える。

チラリと目をやると、如雨露を持った奥さんだ。おたがい夏らしい格好だから、あまりジロジロ見ないほうがいい。

これもまた、集合住宅ならではの配慮である。

オハヨ~ゴザイマス~

目は合わせず、小声であいさつすると

あ、おはようござ…

さらに小さな声が返ってきた。

手にした如雨露を足元に置き、お花に水もやらずに、そそくさと引っ込んでしまう。

悪いことした 声なんかかけなきゃよかったな けど、無視するのも感じ悪いしな…

われながら、こういう時のふるまいが、ヘタクソだなあと思う。

反省しながら洗濯物を干し終え、ヤレヤレと部屋に戻って、なんとなく髪に手をやる。

ハッ!

洗顔の時、髪を上げるヘアバンド。顔にかかる髪がうっとうしいので、暑い日はそのままのことも多い。

ねこみみへあばんど

百円均一で、つい買ったこれには、猫耳がついている。

お隣の奥さんは、朝っぱらから猫耳のオバハンを見て、ショックを受けたに違いない。

穴があったら入りたい、とはこのことだが、集合住宅に穴は掘れないのである。



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ごきんじょ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/08/14 11:30

8・1・3本。

お盆休みも出かける予定は無いので、できるだけ涼しくして家にいる。

エアコンなしのわが家で「涼しく」とは、日除けを下ろし、電気も点けず真っ暗の中、他人様にはお見せできない薄着でいる、という意味だ。

テレビは発熱するから見ないし、加熱調理も最低限。ビールも汗をかくから、氷水で済ます。

そんな具合で、真夏の家計費は異常に低い。

GO TOしないぶん、浮いたお金で買物でもしてやろうと、ネットの古書店を見ていたら、見覚えのある男の顔に出くわした。

813.jpg
(「8・1・3の謎」南洋一郎著 ポプラ社)

モノクルにシルクハット、蝶ネクタイのいでたちは変わらねど、シリーズの各巻で微妙に顔立ちが違い、この巻のルパンがいちばん、いい男だ。

田舎の小学校の、薄暗い図書室。

貧弱な蔵書の中で、ゆいいつ光輝を放っていたのが、この怪盗ルパン全集だった。

見返しのポケットに差し込まれた、貸出カードには、私の借りた日付が並んで、卒業までに何度、この全集を読んだだろう。

華やかなパリの社交界。オーケストラの音楽に、厚地のカーテンが揺れて、黒いドレスの妖女と、奪われた秘宝。白馬に引かれた馬車が疾走する。

何もかもが、知らない世界だった。

なかでもこの「8・1・3」は、読んで興奮し、驚いて声を上げた、初めての本なのだ。

昔のあの本に、クリックでまた手が届くと思うと、読んでみたい気もする。

いや、よそう。きっと落胆する、それが怖い。

過ぎ去った50年近い年月は、やはり長すぎた。



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ブックガイド | コメント(18) | トラックバック(0) | 2020/08/13 11:30

だだもれ話。

外でよく手を洗うようになると、家での手洗いの頻度も上がる。

暑さも手伝ってか、台所の流しで、洗面所で、気づけばザバザバ手を洗っている。

ところが、それにつれて、蛇口の閉め忘れが起こった。常に無いことだ。

はじめて洗面所で、水がダラダラ出ているのに気づいたときは、蛇口の故障と思った。

パッキングか何かだろうか、とりあえず蛇口を閉めるほうに動かすと、アラ不思議、水はピタリと止まるではないか。

閉め忘れ?まさかね…

この時点で私は、蛇口よりも自分を信じていたのだ。

しかし、事件は1度で終わらなかった。

もはや事態は連続ダダ漏れ事件の様相を呈し、対応が急がれる。

心を静めて深く座し、考えてみてもわからない。

こういう時はじっさい行動に移し、そこから原因を探るに如くはないだろう。

なるべくさりげなく、洗面所に向かい、蛇口を動かし、流水の下で手をこすり合わせる。

しばらく洗ったら、タオルに手を…アッ!

ついに真実が明らかとなる時が来た。

その原因はなんと、水を止める前に、手を拭いていたことであった。

そして、手を拭くとホッとして、ついそのまま立ち去ってしまう。それこそが連続ダダ漏れ事件の真相だったのである。

なんでそうなるかは不明だが、どうやら濡れた手で蛇口に触れることに、抵抗があるらしい。

かくなる上は、やることは一つ。白紙をひろげて

節水

2つの文字を黒々と書き、鏡に貼りつけた。

おゆのじゃぐち



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/08/12 11:30
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