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ぴったり話。

ノンアルコールビールを片手に、久々の焼肉

炭火に爆ぜる肉の脂、薄い煙の香にウキウキしつつ、頭の隅に小さな心配があった。

フトコロ具合が心細いのだ。

ここはいつもニコニコ現金払い

流行りのなんちゃらペイはおろか、クレジットカードさえ受付けない、キャッシュレス時代に逆行する店だ。

今日は焼肉と決めて、仕事の帰り、ちゃんとATMに寄ったのに、駅でウッカリ、ICカードに現金でチャージしてしまった。

残った金額は、足りるか、足りないか、なんともビミョーである。

まるで足りないなら、またATMに走るしかないが、ひょっとして大丈夫じゃない?という気もして、ついそのまま店に来てしまった。

大丈夫じゃないか、と思ったには、理由がある。

前回来た時は、子供と一緒だった。

子供ったって、ハタチを超えた社会人と大学生。もちろん勘定は私持ちだけど、足りなければ借りればいいと思ってたのに、支払いの段になって

え~?サイフ置いてきちゃった~

オレも手ぶら…

ギリギリしか持ってない私も私だけど、揃いも揃ってスマホだけって、どういうことだ。

ドキドキして伝票を見たら、ちょうど私の財布にあった紙幣と、ピッタリ同じ金額であった。

じつはそんなことが1度や2度ではない。

腹ペコで来ていっぱい食べても、そうでもなくても、この店のお勘定は私のフトコロ具合と絶妙にリンクしているのだ。

テレパシーで、客の所持金を読み取っているとしか思えない。

だとすれば、時代遅れどころか、とんでもない最先端の店なのかもしれない。

さて、今回の支払いは、いくらになるだろうか?

やきにく



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/09/30 11:30

あわあわ話。

もう3カ月、好きなビールを飲んでいない。

暑すぎるとビールが要らない、と気づいたのは、2年ほど前。(→びーるの話。

以来、真夏は炭酸水を食事の伴としてきたのだが、今年になって禁断のジャンルに手を出した。

ノンアルコールビールというやつである。

出始めのころ、付き合いでたまたま口にしたのが、人工的な風味でいただけなかったこともあり、

酔わないビールに何の意味がある!

むやみに敵視していた。

それが、ちかごろ各社が競って新製品を発売するものだから、つい買ってみたのだ。

飲んでみると、これがなかなか、悪くない。

もともと違いが分からない私。ビールも発泡酒も、泡が立てば何でもいいとばかり、節操無く飲んでいたのだから、ノンアルコールも同じなのだ。

むしろ酔わないほうが体調もよく、気分も軽い。

お酒で憂さを晴らすこともなく、アルコールの力を借りなくてもご陽気で居られるのは、けっこうなことだし、有難いと思う。

そしてついに来るべきものが来た。

久しぶりの焼肉に、ウキウキと出かけ、予約の席に着く。まず飲み物の注文を取りに来た店員さんに、ちょっと考えて

えと この…ノンアルコールビールを…

さて、わが後半生は、アルコール抜きとなるか?

なまびーる



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もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/09/29 11:30

ようかん話。

生協の配達日の前、8割方空っぽの冷蔵庫の隅っこにうずくまる黒いものは、水ようかん

夏の終わり、投げ売りになっていた5個入りの、4個が残っている。

水ようかんは好物で、今年もせっせと食べたが、最後に買ったこれは好みじゃなかった。

1個食べてみたら、甘くて、固くて、重たい。

ツルッと軽いのど越しが水ようかんの良さなのに、こしあんみたいにモッタリして、いただけないのだ。

食べる気のせぬまま刻々と近づく賞味期限

4個も残って、困ったなあ、と容器をひっくり返し、成分表示を見ていたら、ふとひらめいた。

もしや、溶かせばナントカなるのでは?

思いついたら、チャレンジクッキング!

器にあけた水ようかんに追加の水を注ぎ、ラップしてレンジにかける。

顔面に降り注ぐ電磁波をものともせず、ガラス越しに見守っていると、しだいにヨウカンの角が崩れはじめた。

ブクブクとあぶくが出たら取り出して、ぐるぐる混ぜたあと、氷水のボウルに容器を沈める。

粗熱を取ったら冷蔵庫に移してしばし。

はやる胸を押さえて、匙を入れれば、

ぷるん てろん

そうそう、これよ これ!

好みの味になったうえ、水を加えたため、全体の量は倍増している。

こうなると、残った3個が貴重な食材に見えてくるから、ゲンキンなものである。

みずようかん



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ちゃれんじ | コメント(15) | トラックバック(0) | 2020/09/28 11:30

かくだい話。

ショッピングモールで、無印良品に寄った。

ステキなものがいっぱいあって、必要なものは1個もない店は、お金を使わない時間つぶしだ。

しばらく来ないうちに見慣れない商品も出ていて、なかなか見ごたえがある。

平日の店内を見渡せば、私のようなブラブラ組は少数派で、ちゃんと用事のある人が、みな真剣に品定めをしていた。

好きなのは収納用品のコーナー。

こんな風にタテヨコの規格の合う箱や抽斗で空間を埋めたら、テトリスのようで、さぞかし気分がいいだろう、と想像する。(想像するだけ)

今日はそこに先客がいた。私と同年輩の女性だ。

棚にギッチリ詰まったプラケースの、サイズが気になるらしい。

しばしラベルを凝視していたが、ふと手を伸ばし、親指と人差し指でラベルの字に触れた。

2本の指をひゅっひゅっと広げるしぐさ。スマホの画面を拡大する、アレだ。

むろん紙のラベルの字は大きくなどならない。

彼女は、ギョッとして1歩2歩と後ずさりをすると、キョロキョロ周囲を見回す。

あわててアサッテの方角に視線を振り向け、私は何も見てませんよ、という風を装った。

名も知らぬわが友よ、わかるよ、わかる。

むじるしのらべる
(売場に虫メガネを備えたら一定の需要はあると思う)



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ごきんじょ | コメント(13) | トラックバック(0) | 2020/09/27 11:30

だしぬけ話。

今年もまたやられた。驚かされた。

何にってヒガンバナにである。

毎日通る、駅までの遊歩道の植込。

同じ場所に同じように咲くのに、毎年驚く。なんでああイキナリ、あんなにまっかっかに咲くのだろう。

火花がはぜたようなあの姿には、美しい以前に、人をギョッとさせる何かがある。

「ほころびかけた」とか、「成長途上の」なんて状態は、ヒガンバナには無い。

いきなり存在して、いきなり満開。それがヒガンバナというものである。

セミが部屋に飛び込むとか、霧の車道にサルがしゃがんでたり、網戸に寝ぼけたカラスが引っかかった(全部経験済み)なら、驚くのも当然だ。

動物に比べてアクティブさゼロの植物に、ギョギョギョと驚かされるのは、ちょっとくやしい。

ぶつくさ言ってたら、同僚のイシザキさんいわく

自分ちの庭でもビックリするもんね 自分で植えて、あそこに咲く、もうすぐ咲くと知ってても、いざ咲くとビックリ!

やっぱりちょっと、くやしそうである。

ひがんばな



今朝またビックリさせられたので、2013年9月20日の記事を再掲載いたします。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/09/26 11:30

いじわる話。

雨の日のゴミ出しはゆううつ。

止まないか、せめて小降りにならないかと、空とにらめっこするうちに、いつもより遅くなった。いかんいかん、収集車が行ってしまう。

片手にゴミ袋、片手にカサを持ち、シブシブ玄関を出る。

足元を気にしながらしばらく歩き、ふと視線を上げると、隣の棟からゴミ袋を持った人が現れた。

いつもと違う時間だからか、見慣れない人だ。

黒いカバンを提げたサラリーマン風の男性だが、半袖ワイシャツから出た細い腕が寒そうで、多分本人も失敗したと思っていることだろう。

オハヨウゴザイマス~

私のアイサツは無視された。いまどきは、知らない者にアイサツしない人は多い。

半袖はチョコチョコ早足で、私の前に出る。

ゴミステーションに先に到着した男は、扉を開けて自分のゴミ袋を放り込むと、こちらをチラッと見てから

ガチャン!

音を立てて扉を閉め、ご丁寧に掛け金をかけた。

かけがね

きー、イジワル!!

半袖の後姿に中指を立ててやりたい気持を、こらえたのは五十女の分別というものである。

代わりに

ありゃ出世しないネ… 会社じゃ冷や飯食ってんじゃないの…

ブツブツひとり言を言うくらいは、ご勘弁願いたい。



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ごきんじょ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2020/09/25 11:30

さよなら話。

団地の渡り廊下を、黒い小さな影がくぐっていく。

つばめとぶ

ツバメだ。

一瞬そう思ったけれど、見間違いかもしれない。

ここには毎年、ツバメの巣がいくつもできる。たくさんのヒナが生まれて、エサを運ぶ親ツバメの往来がにぎやかしい。

しかし、ヒナが自分で飛べるようになると、巣は用済みになり、飛び交う姿も見られなくなる。

ツバメは集まり、南へ帰る日まで、平城宮跡の広い草原で、群れで暮らすのだ。

このあたりで空を切って飛ぶツバメを見なくなって、ずいぶん経つ。

やっぱり見間違いだよね。そう思った時、さきほどの方角から、同じ黒い影が戻ってきた。

間違いじゃない、ツバメだ。

群れが南へ渡ろうというこの時期、たったひとり、なんで戻ってきたのだろう?

今年生まれたツバメの仔が、初めての旅の前に、生まれ育った場所を見に、帰って来たのかしら、なんて想像してみる。

日々を懸命に生きる野生動物に、そんな感傷は無いのだろうけれど。

飛び去った影は遠い空に消えて、今度こそ、もう戻っては来ない。

行ってらっしゃい、どうかよい旅を。

そしてまた来年、あいましょう。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/09/24 11:30

できない話。

うちは定期的に宅配便が来る。

担当の配達員さんは、若者、中年、いろいろだが、声のデカいオオニタさん(→たくはい話。)のような個性派は、意外に少ない。

ほぼ毎日見ても、なかなか顔と名前が一致せず、覚えたころに配置換えになるかんじだ。

今の担当は、初老のオジサン。

オオニタさんとは違って静かだが、別の問題がある。

ある時は、午前中指定の荷物を、連絡もなく午後遅くに持ってくる。

別の日、午前中は出かけるから、と午後指定にしておくと、なぜか朝の早よからやってくる。

午後なら居るのに、不在票を入れるものだから、余計な電話の1本もかけねばならない。

要は全然デキない人なのだ。

時節柄宅配業界もお忙しいのだろうから、けっして無理を言うつもりはないし、少々の不手際なら笑って受け入れる用意はあるが

遅くなりまして…

時間指定を見逃しまして…


いいトシのオジサンに、泣きそうな顔でペコペコ謝られるのも、こっちが意地悪してるみたいで、いい気分じゃない。

応対するのも面倒で、受取無しで黙って玄関先に置いてもらう、置き配指定にしてみた。

生協はとうにそうしているし、1日中家にいる日なら、時々様子を見ればいいことだ。

来られるときに来て置いて行くほうが、デキないオジサンも助かるだろう。

さて、置き配の荷物が来る日。

♪ぴんぽーん♪

ドアチャイムが鳴ったので出てみると、オジサンが段ボール箱を持って立っているではないか。

あのねえ、置き配って…

言いかけた言葉は、すでに泣き顔になりかけているオジサンを見て、タメイキに変わった。

しなくていい仕事を増やすのもまた、デキない人の特徴なのである。

おおにたあつし
(今思えばオオニタさんはデキる人だった)



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ごきんじょ | コメント(7) | トラックバック(0) | 2020/09/23 11:30

まいなん話。

4連休も後半。

野菜のおすそ分けと、コーヒーメーカーをもらいに(→いただく話。)実家へ行く。

マイド~!

なるたけ景気よく茶の間に入ると、おばーちゃんはテレビ鑑賞中だった。

お茶が出たから、勝手にお菓子の缶を開け、ボリボリやりながら一緒に画面を見た。

連休で混雑する観光地や、空港が映る。

すごい行列ね~え

大丈夫な理由なんかなんもないのに みんな勇気あるなア!

慣れるって 怖いわねエ!

旅行の予定も、自家用車もないわが家では、渋滞も行列も他人事だ。

あれこれ言いあってると、やがて画面が変わり

マイナンバーカード お早めに!

近頃やけによく見るコマーシャルが流れた。

この、タチヒロシのお手当も税金?

だろうね 総務省のCMだからね

やーねモッタイナイ 字でいいのよ、字で…

ハハ… たしかに… そういやおかーさん、これやってんの?マイナンバー

やんないやんない!別に要らないし…

うんうん

ホントに必要なら「これからはこうするから」って 決めればいいだけのことでしょ

そっかー

役人に国民なんか小銭で釣れると思われるのもシャクじゃない

ハハハ…おかーさん! ハハハ…

笑っている私だって、ポイントの申請はおろか、マイナンバーカードも持っていない。

この人と私は、ほんとに親子なんだなと思うのは、こういう時である。

まいなんうさぎ
(このキャラクターもどこかズルそうで信用できない)



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てれびじょん | コメント(12) | トラックバック(0) | 2020/09/22 11:30

いただく話。

朝が涼しいので、ホットコーヒーが飲みたい。

夏じゅう飲んだアイスコーヒーもなくなったから、コーヒーメーカーを出そう。

お勝手の収納の、炊飯器の後ろ、夏の初めにしまった場所から、コードでぐるぐる巻きのコーヒーメーカーを…

あっ!

ガチャン!

寝ぼけていたのか、見事に落っことした。

ガラスのサーバーは粉々。

優雅なコーヒータイムどころか、朝っぱらから後片付けをする羽目になった。

情けない1日になりそうな予感を吹き飛ばすため、物事の良い面を考えることにする。

あのコーヒーメーカーはけっこう長いこと使ったし、安さにひかれて買ったから、色やデザインはイマイチだった。

次はよく調べて、ステキなのを選ぼう。

新しい道具を買うことを思ったら、ゲンキンなもので、たちまち気分がよくなった。

ウキウキと、インスタントコーヒーなど飲んでいると

♪じりり… じりり…♪

受話器を上げたら、

モシモシ私… またお野菜もらったんだけど…

あー、そうだ、おばーちゃんがいた…。

気づいたからには、聞かねばならない。何でも持ってる、この人に。(→ たずねる話。

おかーさん コーヒーメーカー 使ってないの、ある? うちの壊れちゃっ…

あるよ

みなまで言わせぬ即答である。

世間は敬老の日。父に母に、贈り物をする方も多いだろう。

不肖の娘のワタクシは、野菜とコーヒーメーカーを、老母にもらいに行ってまいります。

あるよ



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/09/21 11:30
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