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Oのじの話。

よく似たセーターだな、とは思ったのだ。

夕方のショッピングモールで、前を行く背中は、私よりかなり小柄な女性。

ちょっと脇に避けて、買ったものを自分のバッグに入れているらしい。

混雑する通路を抜けようと、早足でその人を追い越したところで、不意に、さらにその前にいた、男性が振り返った。

…おい…

言いかけた口が、Oの字に開いて固まる。

えらく驚いているが、ぜんぜん知らないオッサンに、いきなりオイ、と呼ばれた私もビックリだ。

なんだろうね、と思いつつ、固まってしまったオジサンの横を通過しながら

ああ!奥さんと間違ったのか!

気がついて、無性におかしくなる。

オジサンは、追い越した女性の旦那様なのだ。

セーターを見て奥さんだと思ったら、ひと回りもふた回りもデカい女で、そりゃ驚いたろう。

ぽっかり空いた口を思い出し、マスクの中でニヤニヤしてしまった。

おーのじ



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/12/11 11:30

みらのの話。

朝が冷えるので、しぶしぶマフラーを巻いて出かけた。

冬のオシャレといえばかならず登場するが、身体に固定せず、ヒラヒラするのがどうも苦手だ。

首筋がゾッとするのがつらくて使うようになったけれど、若いころは、真冬でも首を出して平気で外出していたものである。

上着と違って巻くだけなので、落とす、忘れる、ろくな思い出が無い。

駅までの道を歩きだすと、あんのじょう、振動につれて、グルグル巻きのマフラーが緩んできた。

後ろに回した端っこがパサッと前に垂れて、イライラする。

首に巻き付いた部分に手を突っ込み、垂れた端をつかんで引っぱり出したら、結び目ができた。

ドイツのパンみたいだが、仕方がない。

なんとなくムッとしたまま、事務所に入ったら

おはよ~ あらオシャレね ミラノ巻き

は???

混乱していると、この人はいつもいつも、しょうがないわねエ、という表情の同僚は

マフラーよ ミラノ巻きっていうの!

へ?このドイツパンが ミラノ巻き?

席に着くなり、メールを見る前に画像検索をしたことは、秘密である。

みらのまき
(これが正統派・ミラノ巻きだ!)



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/12/10 11:30

ごみだし話。

新型ウィルスの感染がまた拡大したため、出かける予定ががくんと減った。

日々のメモに書く(→めもめも話。)ことも

12/8 不燃ゴミ

仕事以外はゴミ出しの予定ばかり。書くことの少なさについ

12/10 燃えるゴミ

先のゴミ出しまで書くようになった。

ゴミ出しは、割と好きである。要らないものを家から出すと、風通しがよくなり、ちょっと元気になれる気がするのだ。

まずリビングのゴミ袋を縛って…

今後のゴミを考えながら床に就き

台所のゴミ袋に 洗面所のゴミをまとめて…

朝もまず、ゴミのことを考える。

今朝も起きるなり、身支度もそうそうにゴミ箱を集め、口を縛った袋を両手に、玄関を出た。

はりきって、ゴミステーションに向かう。

オハヨウゴザイマース!

出勤途上のご近所さんに声をかけると、戸惑ったように目をそらされた。

声が大きすぎたかしら、と少し反省しつつ、ゴミステーションにつくと

ごみすてーしょん

アレ?

ガランドウの扉には、しっかり南京錠。

アッ、今日、水曜?!

燃えるゴミは明日だった。

さっきの元気なアイサツを思い出すと、頬が燃えるように熱い。

誰にも会いませんように、祈りつつ目を伏せる帰り道。両手の袋がどんどん重くなる。

先取りはほどほどにせねば、自戒しきりである。



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/12/09 11:30

あらまき話。

いいかげん今年のお歳暮を贈らないと、と重い腰を上げた。

毎年だいたい同じものだが、先様の家族構成が変わったら、品物も変えないとご迷惑になる。

さてどうしようかとカタログを眺めたら、オーガニックやら有機栽培やら、今風の品物に混じり、どかんと1尾の新巻鮭が載っている。

こういう伝統的な贈物も、まだまだ人気があるんだと、なんとなく嬉しくなる。

懐かしい新巻には、恨めしい思い出もある。

30年ちかく前、亭主の仕事関係から、立派な新巻をいただいたことがあった。

おりしも臨月のお腹を抱えた、まだ初々しい若妻(私)は、途方に暮れた。

冷蔵庫にも、冷凍庫にも、入らないのである。

切り身にしようにも、こんなデカい魚を下ろした経験が無い。

そもそも前方にせり出したお腹のせいで、まな板の前に立つことすら容易でない。

それに、悪阻は山を越していたものの、なまぐさ物を触るのは、やっぱり気が進まなかった。

とりあえず、ラップを使い切る勢いでグルグル巻きにし、他のものをなんとか移動して、冷蔵庫に詰め込んだ。

アレをどうしよう…と、考えながら、床についた翌朝、未明。

イテテテテ…

陣痛がやってきたのだ。

そのまま入院、出産。数日後ほやほやのアカンボを抱いてうちに戻ると、新生児の世話に紛れ、鮭のことはすっかり忘れていた。

ひと切れたりとも食べた覚えはないが、あの鮭、いったいどこに行ったんだろう?

あらまきさけ
(吊るしたままなら尻尾から切ればいいのにと昔から思っている名画)



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むかしむかし | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/12/08 11:30

とうぼう話。

警察が来るから 車で逃げる…

髪を振り乱して、父がそう言うのである。

そんな、おとーさん危ないわ 20年以上運転してないのに!

母よ、心配するのはそこか。警察の部分はスルーなのか。

え、でも車って…もう廃車にしたんじゃ…?

なんか色々おかしいが、首をひねっているうちに、父はサッと出て行ってしまった。

警察って… どうしよう!

何をやらかしたか分からないが、高齢運転者の事故が大きく報じられる昨今である。

まず考えたのは、苗字のことであった。

うちの姓は珍しい。ニュースやネットでとりあげられれば、あそこのうち、とすぐ知れるだろう。

離婚して旧姓に戻したため、同じ姓を名乗っているムスメやムスコに、影響があるかもしれない。

きっと会社で聞かれるよね… 亭主の姓のままにしとけばよかった…

それにしても、運転しないので油断していたが、父はまだ免許証を持っていたのか。

かえすがえす免許の返納をさせておくべきだった。悔やんでも悔やみきれない。

それにしては、83歳で亡くなったはずの、父が妙に若々しい。

髪は黒かったし、いつものノロノロ歩きではなく、動きもやけに素早かった。子供の頃見ていた、40代の父としか思えない。

じゃあ私は子供?でも、社会人のムスメやムスコがいて…。

ああ、夢か!
 
起きてしばらく、まだドキドキしていた。

七回忌も過ぎたのに犯罪者役をやらされて、父はあの世でさぞかし怒っていることだろう。

とうぼうしゃ
(おそらくはこのドラマを見たことが原因)



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てれびじょん | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/12/07 11:30

やったぜ話。

自転車置場に向かう途中、頭上を行く人影。

2棟を結ぶ渡り廊下を歩く、細身の姿は20代くらいの若者だ。

高齢化の進む団地で、お昼のこの時間、若い人を見ること自体ちょっと珍しい。ひょいひょいと、踊るような足取りで、なんだか楽しそうである。

宅配便の人?でも制服じゃないか…

そのまま下を通り抜けようとした瞬間、とつぜんの大きなアクションにおどろく。

握った両手を腰にグッと引きつけ

よっしゃあー やったぜ!

声こそ聞こえないが、そんな表情の若者の手には封筒らしきもの。

就職か、進学か、彼にとって嬉しい通知が、郵便で届いたのだろう。

まさか目撃者がいるとは知らず、家に着くまでガマンできなくて、喜びを爆発させたんだな。

あんまり嬉しそうだから、見ず知らずの私まで、つられてウキウキした気分になる。

自転車を漕ぎだせば、澄んだ青空が広がって。

若者の将来に幸あれ、なんて、ガラにもなくそんなことを思った。

あおぞらにひこうき



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/12/06 11:30

ぼたんの話。

新型ウィルスの影響で、家籠りが続くので、しばらく中断していた片付けを再開した。

着古した衣類を袋に詰めながら、ちょっと迷う。

ボタン… ボタンなあ…

ぼたん

ビンボー性の私は、古着を捨てる時、ついボタンを外してとっておく癖があった。

デザインのポイントになるような洒落たボタンは、別の服につけることもあるが、シャツのボタンなどは溜まる一方なので、最近はやめている。

抽斗の中の、ずっしり重い缶には、大小色々なボタンが入っていて

これはOLん時のスーツについてたやつ… こっちはムスメの、夏のワンピースの…

思い出を挙げはじめたら、キリが無い。

マズい、このままでは、大掃除で昔のマンガを読んでしまう、あの状態に陥りそうだ。

あわてて缶のフタを閉めかけた時

★キラリーン★彡

小さく、目の端でスパークしたのは、やや大ぶりの、ありふれた白いボタン

それを握った手で、さっきゴミ袋に詰めたパジャマを、急いで引っぱり出す。

だいぶくたびれて、前開きのボタンホールが緩み、寝てる間にボタンが外れてしまうので、処分を決めたものだ。

パジャマについているボタンと比べると、缶から出したボタンが、わずかに大きい。

コレをコレに付替えれば

なんともビンボくさく、しかもメンドクサイが、思いついたら止められない。

ボロいパジャマのボタンを1つ1つ外し、ひと回り大きいボタンを縫い付ける。ボタンホールに、新しいボタンを通せば、おお、バッチリだ!

パジャマから外したボタンは、もちろん缶の中に、大事にしまった。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2020/12/05 11:30

ひゃっきん話。

ひょんなことで、出先で時間が空いた。時節柄、飲食店に入るのもなあ、と思っていたら、近くに時々行く百円均一があるのを思い出した。

とくに買うものは無いが、百円均一というものは、必要ができてから急に出かけてもダメだ。

新製品や売れ筋商品を定期的に見回っていてこそ、お得に買物できるのである。

ちょうどいい、パトロールとシャレこもう。

フロアに足を踏みこんだ瞬間、おかしい、と思った。

なんだかパアッと明るいのだ。

ひゃくきん

以前はこんな風↑に、ごちゃごちゃ詰め込まれていた商品が、目通りの高さに整理されて並ぶ。棚は白いものに替えられ、通路は楽に通れる広さ。

面積は同じだが、売場の配置が変わったらしい。

文房具を見たいのに、心覚えの場所には無い。

困るなあ…ワタシになんの断りもなく…

フラフラと心細く、店内をうろつくうち、不意にノートやペンの並ぶ一角に出る。よく見れば、当たり前だが、モノ自体はおなじみの百均商品だ。

やれやれ、やっぱり百均じゃないか…

ホッとしたのもつかの間、グルグル歩いたものだから、どこから来たのか分からなくなった。

これではパトロールではなく、探検である。

ようやく出口を見つけて、迷路から抜け出し

今日はこのくらいにしといたらあ!

ヤケクソの捨て台詞を、心の中でつぶやくころには、次の予定の時間が迫っていた。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/12/04 11:30

かさこそ話。

ヒンヤリ冷えこんだ朝。

しばらく外出が続いたが、今日は家にいられるから、たまった家事を片付けよう。

不思議に穏やかな、静謐な気分は、テレビも点けず、音楽もかけずにいるからだろうか。

こちらの部屋、あちらの部屋と、カーテンを開けて回りながら

なんだか 森の中にいるようだわ…

白雪姫みたいなヒトリゴトを言ってしまった。

洗いあがった洗濯物をカゴに入れていると

…カサ コソ…

落ち葉を踏む、小さな足音がした。

誰? リスかしら それともウサギ…

家の中にリスがいたら大変だが、白雪姫だから、気にしない。

洗濯物を干し終えて部屋に戻り、朝食のお皿を洗って、フキンの抽斗に手を伸ばすと

…カサ コソ…

あ、また。

迷子の仔鹿さん 出ていらっしゃい!

♪い~つか おうじさまが~♪と歌い出したいところだが、残念ながらここで我に返る。

カサコソいっているのは、今シーズン初めて穿いた、ナイロンのズボンなのである。

魔法が解けた白雪姫は、フリースに暖パンのオバサンに戻った。

もりのしらゆきひめ



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/12/03 11:30

おわった話。

はぁー…終わったぁ…

ATMから吐き出された、通帳の数字を見て、思わずほっと溜息が出た。

ムスコの後期授業料の引落が、無事済んだのだ。

遠い町の大学に通うムスコは4年生。つまりこれが、最後の授業料である。

ここに至るまでには、まあいろいろあった。

1人でよくやったよな、と思う半面、子供に負担をかけた自覚もある。

さいわいムスメもムスコも健康で、運よくあまりお金のかからない学校に進んでくれたし、高価な塾や習い事もしなかった。

それでも毎度、スコスコ支払えるとは限らない。薄い財布を握りしめ、胸の底が冷たくなるような、綱渡りみたいな思いもした。

ムスメもムスコも何も言わないが、お金さえあれば選べた将来を、あきらめさせたかもしれない。

それは、この先ずっと、私が親として忘れてならない、2人への負い目である。

ムスメに続いて、来春はムスコも社会人になる。

「お母さん」の仕事も、最終盤だ。

ATMのひとたち1
(ありがとうございました またのご利用を…)



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ごかぞく | コメント(18) | トラックバック(0) | 2020/12/02 11:30
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