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でぐちの話。

地球上が閉塞感に覆われたこの1年。右往左往しながら、考えた。

それは、出口は必ずある、ということ。

いつものドアが開かなくても、他のドアを探せばいい。

ドアが無ければ、窓がある。

どんな小さな窓でも、そこから自由に心を飛ばすことができるのが、人というものだ。

日々に小さな窓を探しながら、来年も過ごしたい。

皆様どうか、良いお年を!

ひじょうぐちがある



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もろもろ | トラックバック(0) | 2020/12/31 11:30

ほかほか話。

取り込んだ洗濯物を畳もうとしたら、まだヒヤッと湿っている。

朝に干したのに乾かないなんて、冬だなあ

ハンガーに戻しかけたが、ちょっと考えて、リビングのホットカーペットの上に広げた。

こうしておけばすぐホカホカになる。

子供がいたころ、こんな風に広げれば、たちまち蹴散らかされて、乾かすどころじゃなかった。

今は1人だから、置いたものは、私が動かすまで絶対に動かない。

当たり前なんだけど、それを当たり前に思うようになったのは、わりに最近だ。

しばらくして触ってみると、シャツもパンツも、フワフワに乾いていたので、そのままカーペットの上に座って、畳み始める。

おしりが暖かくて、洗濯物がホッカホカ。

四角く畳んだバスタオルに頬を当てたら、とってもいい気持ちで、ついコロンと寝転がった。

年末だけど、何にもしない

台所からは、クリームシチューのにおい。

それぞれの町で、元気にやってるらしい、ムスメと、ムスコ。

不幸を数えるのは簡単だけど、私はシアワセだ。

まとまりなくそんなことを思いながら、ぐーんと手足を伸ばした。

タオル越しのホットカーペットの熱が、おだやかに眠気を誘って、今年が暮れていく。

たおる



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もろもろ | コメント(17) | トラックバック(0) | 2020/12/30 11:30

おーらい話。

外食はもちろん、コンビニの買い食いすらしなくなって、自分の作った料理にも飽きてきた。

ちょうど買物があるから、駅前に出て持ち帰りのお弁当でも買って来よう。

お弁当には、ちょっと心当たりがある。

子供たちがうちにいたころ、夕飯を兼ねて時々行った居酒屋。先日通りかかったら、このご時世で、お昼のお弁当販売を始めていた。

いつかまた、安心して飲みにいける日まで、つぶれずにいてほしい。

ヨシ!お弁当で、及ばずながら応援だ!

ハリキって自転車をこぎ、まずは百円均一を目指す。先日、お友だちが

それなら百均にあるわよ テレビで見た!

私の探していた物を教えてくれたのだ。

混んだフロアでやっと見つけた店員さんに、商品の所在を聞くと

あーあれ…テレビで紹介されて 売り切れちゃって

ガッカリして、店を出る。いや、待て待て、まだお弁当があるじゃないか。

居酒屋の前についたが、様子がおかしい。

数日前に通りかかった時は、テーブルと立て看板を出して、エプロン姿のお姉さんが

お弁当いかがですか~!

元気な声を出していたのに、今は人影もない。

落とした肩を押すように、ひゅーと寒い風が商店街を抜けていく。しょんぼり帰りかけた時

あ、もヒトツあった 百円均一…

半分ほどの規模のお店が、駅の反対側にあるのを思い出した。ダメもとで見に行こう。

空いた店内、大きな百均よりやる気のない女店員が、ぐんにゃり指さした先に

あった!

ちゃんと欲しかった商品があった。

喜び勇んで、自転車置場に向かう途中、さっきの居酒屋の前を通ると、ガラガラと音がする。

あれ?

閉まっていた引き戸が開き、看板とテーブルを引き出す人の姿があった。

なんだ、まだ時間が早かったのか。

いろいろガッカリしたが、結果オーライだった日。居酒屋のカラアゲ弁当は、おいしかった。

つなかんすぷーん
(私が探し求めていた商品→つなかん話。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/12/29 11:30

ふぉんとの話。

ときどき通る道がある。

そこを通るのは、あんまり嬉しくない用事のときなので、楽しいイメージは無い。

うんざりしながら、トボトボと歩くわけだが、途中、なぜかちょっと元気の出る一角がある。

お花が咲いてるわけでも、かわいい動物がいるわけでもない。

オシャレなお店もないし、ステキな壁画もない。

ただの空き店舗なのである。

窓の向こうにガランと何もない店内が見え、ガラスには不動産屋のパネルが貼ってある。

楽しい要素は何もない、殺風景な場所だ。

もちろんそんなところに足を止めることはないし、スーッと通過するだけなのに、通り抜けた後、少しだけ気分が明るくなっている。

あまりにもわずかな感情の動きなので、今まで気にも留めなかったのだが、その理由が分かった。

うるとらありま
(55周年ウルトラマンと有馬記念がコラボ!)

怪獣って馬より小さいのか、と、つい揚げ足をとってしまう広告の、字体である。

往年の正義のヒーローシリーズに使われている、このフォントにまずご注目いただきたい。

そして件の空き店舗のパネルがこちら。

うるとら?ほーむ
(電話番号は架空のものです)

大小のバランスなど、かなり近づけている。

電話すれば、正義の営業マンがジュワッ!と飛んできてくれる、かもしれない。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2020/12/28 11:30

ぎんこう話。

ずいぶん家に籠ったので、年末のアレコレを片付けに街に出た。最後に回ったのが銀行である。

番号札を取り、椅子に掛けて待つ。

窓口嬢はテキパキ処理を続けているが、混雑で待ち時間が長いのは致し方ない。

思えば私も気が長くなったものだ。

この土地に越してきてすぐの頃は、待たされるのがイヤで、いつもイライラしていた。

それもそのはず、それまで住んでいたのは歩く速さ世界一の、セッカチの集まる街。

人を待たせれば、待つ間の時給を請求されかねないし、それが普通だと思っていた。

その日も私は、混んだ銀行でイライラしていた。

座る気分にもなれず、ロビーに仁王立ち、早くやれ、とばかりにカウンターの中をにらむ。

その様子を見て、警備のオジサンが寄ってくる。

もうチョットかかりますんで、おかけになって お待ちくださいナァ~

えらくノンビリした口調に、イライラが増す。

ずっと待ってるんです!もうチョットって あとどれくらいですか!

キツい口調にも、オジサンは気分を害した様子もなく、あいかわらずノンビリと

まあオクサン、そう急がんでも

およそ待たせるほうが言うことではない。

ふつうなら怒りだすところだが、私も疲れていた。こんな相手に怒ったって仕方がない。

身体から力が抜けて、無性におかしくなった。

オジサンと顔を見合わせ、アハハ…!と声を出して笑っていたら、私の番号が呼ばれた。

それからというもの、銀行で、役所で、待たされてイライラしそうになるたび

まあオクサン、そう急がんでも

オジサンの言葉をまねてみる。

私もこの土地の人間になったかな、なんて思いながら。


(店内のテレビに「南都家の一族」が流れていて退屈しないし)



本日早朝より他出のため、2016年12月27日の記事に加筆・再掲いたします。



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2020/12/27 11:30

せーるす話。

今年も残すところ1週間を切ったが、私は全くの平常運転だ。

大掃除もせず、買出しにも行かず、どっかりリビングのソファに根を下ろしている。

♪ぴんぽーん♪

しぶしぶ腰を上げて応対すると

どーも モロトモ生命のシライでーす 

インターフォンから元気な声が流れてきた。

この地区担当のシライさんは、私と同じシングルマザーで、ムスコの同級生のお母さんでもある。(→はつゆき話。

年末のこの時期になると、来年のカレンダーを持って、契約の確認にやって来る。

お久しぶりでーす!お変わりないですか?

はーい シライさんも…

ハイ、お元気でーす…と言いたいとこですけど…

えっ?

さいきん不整脈が…

アラ、大変!

窓から見ていると、彼女はいつも駆け足でやってきて、駆け足で去っていく。

近況を聞くのも仕事なのだろうけど、忙しい歳末に、あまり引き留めるのも…と思ったのだが。

不整脈の治療のこと。

お嬢さんが、専門学校を出て医療事務の仕事をしていること。

クリスマス、どこも行けなかったけど、車でライトアップを見に行ったこと。

早口でひとしきり話した後

あー、楽しかった じゃあまた来年!

カレンダーを手渡し、マスクの中でニコッと笑ったと思うと、身をひるがえし、かつかつヒールを鳴らして、もう行ってしまった。

見下ろすと、走って車に戻る、後姿が見える。

生保のセールスだからと、しょうじき警戒していたところもある。それも10年近く続いて、最近はなんだか、彼女の来訪が楽しみになってきた。

お互い元気で、来年も会いましょう。

よいお年を!

ぴんぐーのかれんだー



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2020/12/26 11:30

オウジノ本。

祖父母の家に遊びに行くと、まずは探検だ。

長く使われていない部屋は、湿っぽく冷たい。

叔父の部屋には、見たこともない美人女優のピンナップやペナント、革のかびた登山用具。

上の叔母の部屋の窓には、自分で縫ったらしきカーテンがかかり、モクメンを固く詰めたバンビのぬいぐるみが、丸い目でこちらを見ている。

間取りに余裕があるせいか、子供世代はめいめい自分の持物を残しており、そんな忘れられた品物を、宝探しのように見つけては、眺める。

手にとってはあった場所にそっと戻す、それだけのことがとても楽しかった。

いちばん最後に家を出た下の叔母が残したのが、硝子戸の付いた小さな書棚だ。

編み物に英文タイプ、切手収集や海外文通…趣味の実用書を引っぱりだして、ホコリくさいページを繰るたのしみ。

大人の顔しか知らない叔母の、娘時代を思う。

中にはもっと小さかった頃に読んだらしい、お話の本も何冊か混じっていた。

書名に惹かれて手に取った小さな本は、茶色の粗末な段ボールの函入り。

赤い模様の表紙を開けば、すっかり黄ばんだページの上、はかなげな少年が風に吹かれ、瞳のない小さな目で、こちらを見ていた。

初めて読んだその本が、なんだか手放しがたくて、つい、こっそり部屋から持ち出した。

ちょうだい、と言えば、きっと祖母は許しただろうに、なぜか言えなくて、黙って手提げに入れたその本は、今も私の書棚にある。

ほしのおうじさま

戦後間もないクリスマスに創刊された岩波少年文庫は、70周年。(→少年文庫創刊70年特設サイト

懐かしい祖父母の家も、今は無い。



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ブックガイド | コメント(4) | トラックバック(0) | 2020/12/25 11:30

おてがみ話。

子供の頃、うちに来たサンタは、希望を聞いてくれるタイプではなく、先方で決めたプレゼントを持ってくる人であった。(→ ドリトル本。

中身は何だろうとワクワクしながら、包みを開くときの気持ちは忘れられない。

それだけで嬉しかったけれど、ある時友だちに聞いたか、本で読んだか、サンタに、欲しいものを手紙で伝える、という文化を知ったのである。

あんまり物を欲しがらない子供の私が、夢に見るほど欲しいおもちゃが、1つだけあった。

ママレンジだ。

ままれんじ

♪マーマーレンジ ママレンジ
♪エプロンつけて クッキング
♪ホンワカホカホカ ホットケーキ
♪ちっちゃな ママがクッキング


子供番組のあとのCMには、文字通りクギヅケになった。

CMを見た母は子供だまし、と顔をしかめたから、お誕生日にはもらえそうにない。

サンタさん ママレンジくれないかな…

そんなムシのいい希望が、子供の頭に浮かんだことは想像に難くない。初めてのサンタへの手紙には、どんなことを書いたのだったか。

宛先が分からないから、ポストに入れられず、ずっとこっそり持っていた手紙を、クリスマスイブに枕元に置いた。

ドキドキして起きた、クリスマスの朝。

置かれていたプレゼントは、ママレンジではなかったけれど、手紙は無くなっている。

サンタさんだって準備があるし その日に言われても困るよね

お手紙見てくれたから 来年はママレンジ…


子供の発想は、どこまでもムシがいい。

残念ながら翌年、私がママレンジを手にすることはなく、憧れは今も憧れのままなのだった。



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むかしむかし | コメント(16) | トラックバック(0) | 2020/12/24 11:30

けーきの話。

明日はクリスマスイブ

何にもないけどケーキくらいは、と、地元のケーキ屋でパンフレットを貰ってきた。

パティシエが、なんだかの賞を獲ったということで、有名な店だ。

いろんなケーキが並んで、どれもが美味しそうで迷う。眺めるうちに、面倒になってきた。

ガトードナントカとか、クーベルチュールとか、フランボワーズとかクレームカントカとか、なんかもう、うるさい。

今どきのことだから、どうせ、どれを食べたって美味しいのだ。

どんなに美味しくたって、どうせ、すぐに忘れるのだ。

ゴージャスなカタログをぶん投げて、考える。

そんなにおいしくなくっても いいんだけどな…

遠い昔、子供の頃はケーキといえばケーキで、こんなに選択肢は無かった。

箱を開けた瞬間、サンタの乗っかった位置を確認する。ドレンチェリー、アラザン、アンゼリカ、バタークリームでこしらえたバラの花。

家族で半分を食べて、残りは大事に箱に戻され

また明日ね!

もっと食べたいイモートと私に、母が釘をさす。

懐かしいけれど、あの頃のケーキが今あっても、食べられたものじゃないだろう。

スポンジはカサカサだし、飾りは甘いだけの砂糖のカタマリ。食べ過ぎると翌朝頭が痛くなる。きっとバターの質も悪かったのだと思う。

それでもなお、ケーキは毎年楽しみだった。

今は誰でも、何でも選べるけれど、誰もがいつも欲しいものを探して、見つけられずにいる。

世の中、贅沢になったなあ。

だけど、昔より良くなったか、といえば、それは分からない。

むかしのくりすますけーき
(クリームの上の赤や緑の丸いやつがドレンチェリー)



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2020/12/23 11:30

れしぴの話。

と、いうわけで、(→とうじの話。カボチャを煮た。

かぼちゃのにもの

うちのカボチャの煮物は、角切りベーコンとカボチャをブイヨンで煮て、柔らかくなったら醤油を少しと、バターを落とす。

カボチャの甘っぽいのが苦手な人も食べられる、洋風のレシピだ。

初めて食べたのは大学の頃。

ある日、理学部のパコちゃんの部屋に行ったら、とってもいいにおいがした。

ゴメン、ご飯だった?

女子寮はキッチンが共同で、作ったものを部屋に持ち帰って食べる。

カボチャ煮たんだ 食べてく?

パコちゃんはお料理にマメで、作ったものをよくお裾分けしてくれる。でも私は、芋やカボチャが苦手で、言われたときはウーンと思ったのだ。

しかし、彼女のカボチャ煮は、今まで食べたことのある煮物と違った。

おいしーい!なにこれ、バター?

うん、あと醤油とブイヨン…

ベーコンも合うね!

私はその時、初めて、カボチャをおいしい、と思ったのである。

その後、大学を卒業し、それぞれに社会人となっても、ずっと連絡は取り合っていた。

自分で料理するようになって、教わったレシピでカボチャを煮た時は、ハガキを出した。

元気ですか?私は元気です。今日、パコちゃんのカボチャ作りました。美味しくできたよ…

結婚して子供を持っても、時々会っていたのに、ひょんなことからケンカした。

ほんの些細な行き違いだったけれど、タイミングも悪かったのだ。

仲直りの機会もないまま、年賀状も来なくなって、もう10年が経つ。

小柄で気が強いけど、きちょうめんで世話好きで、家庭的なパコちゃん。この先、会うこともないだろうが、カボチャを煮ると思い出す。

遠い町で彼女も、彼女の家族のために、カボチャを煮たのだろうか。



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2020/12/22 11:30
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