でぐちの話。
地球上が閉塞感に覆われたこの1年。右往左往しながら、考えた。
それは、出口は必ずある、ということ。
いつものドアが開かなくても、他のドアを探せばいい。
ドアが無ければ、窓がある。
どんな小さな窓でも、そこから自由に心を飛ばすことができるのが、人というものだ。
日々に小さな窓を探しながら、来年も過ごしたい。
皆様どうか、良いお年を!

実家に帰っておりますため、コメント欄は閉じております
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それは、出口は必ずある、ということ。
いつものドアが開かなくても、他のドアを探せばいい。
ドアが無ければ、窓がある。
どんな小さな窓でも、そこから自由に心を飛ばすことができるのが、人というものだ。
日々に小さな窓を探しながら、来年も過ごしたい。
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ほかほか話。
取り込んだ洗濯物を畳もうとしたら、まだヒヤッと湿っている。
朝に干したのに乾かないなんて、冬だなあ。
ハンガーに戻しかけたが、ちょっと考えて、リビングのホットカーペットの上に広げた。
こうしておけばすぐホカホカになる。
子供がいたころ、こんな風に広げれば、たちまち蹴散らかされて、乾かすどころじゃなかった。
今は1人だから、置いたものは、私が動かすまで絶対に動かない。
当たり前なんだけど、それを当たり前に思うようになったのは、わりに最近だ。
しばらくして触ってみると、シャツもパンツも、フワフワに乾いていたので、そのままカーペットの上に座って、畳み始める。
おしりが暖かくて、洗濯物がホッカホカ。
四角く畳んだバスタオルに頬を当てたら、とってもいい気持ちで、ついコロンと寝転がった。
年末だけど、何にもしない。
台所からは、クリームシチューのにおい。
それぞれの町で、元気にやってるらしい、ムスメと、ムスコ。
不幸を数えるのは簡単だけど、私はシアワセだ。
まとまりなくそんなことを思いながら、ぐーんと手足を伸ばした。
タオル越しのホットカーペットの熱が、おだやかに眠気を誘って、今年が暮れていく。


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朝に干したのに乾かないなんて、冬だなあ。
ハンガーに戻しかけたが、ちょっと考えて、リビングのホットカーペットの上に広げた。
こうしておけばすぐホカホカになる。
子供がいたころ、こんな風に広げれば、たちまち蹴散らかされて、乾かすどころじゃなかった。
今は1人だから、置いたものは、私が動かすまで絶対に動かない。
当たり前なんだけど、それを当たり前に思うようになったのは、わりに最近だ。
しばらくして触ってみると、シャツもパンツも、フワフワに乾いていたので、そのままカーペットの上に座って、畳み始める。
おしりが暖かくて、洗濯物がホッカホカ。
四角く畳んだバスタオルに頬を当てたら、とってもいい気持ちで、ついコロンと寝転がった。
年末だけど、何にもしない。
台所からは、クリームシチューのにおい。
それぞれの町で、元気にやってるらしい、ムスメと、ムスコ。
不幸を数えるのは簡単だけど、私はシアワセだ。
まとまりなくそんなことを思いながら、ぐーんと手足を伸ばした。
タオル越しのホットカーペットの熱が、おだやかに眠気を誘って、今年が暮れていく。


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おーらい話。
外食はもちろん、コンビニの買い食いすらしなくなって、自分の作った料理にも飽きてきた。
ちょうど買物があるから、駅前に出て持ち帰りのお弁当でも買って来よう。
お弁当には、ちょっと心当たりがある。
子供たちがうちにいたころ、夕飯を兼ねて時々行った居酒屋。先日通りかかったら、このご時世で、お昼のお弁当販売を始めていた。
いつかまた、安心して飲みにいける日まで、つぶれずにいてほしい。
ヨシ!お弁当で、及ばずながら応援だ!
ハリキって自転車をこぎ、まずは百円均一を目指す。先日、お友だちが
それなら百均にあるわよ テレビで見た!
私の探していた物を教えてくれたのだ。
混んだフロアでやっと見つけた店員さんに、商品の所在を聞くと
あーあれ…テレビで紹介されて 売り切れちゃって
ガッカリして、店を出る。いや、待て待て、まだお弁当があるじゃないか。
居酒屋の前についたが、様子がおかしい。
数日前に通りかかった時は、テーブルと立て看板を出して、エプロン姿のお姉さんが
お弁当いかがですか~!
元気な声を出していたのに、今は人影もない。
落とした肩を押すように、ひゅーと寒い風が商店街を抜けていく。しょんぼり帰りかけた時
あ、もヒトツあった 百円均一…
半分ほどの規模のお店が、駅の反対側にあるのを思い出した。ダメもとで見に行こう。
空いた店内、大きな百均よりやる気のない女店員が、ぐんにゃり指さした先に
あった!
ちゃんと欲しかった商品があった。
喜び勇んで、自転車置場に向かう途中、さっきの居酒屋の前を通ると、ガラガラと音がする。
あれ?
閉まっていた引き戸が開き、看板とテーブルを引き出す人の姿があった。
なんだ、まだ時間が早かったのか。
いろいろガッカリしたが、結果オーライだった日。居酒屋のカラアゲ弁当は、おいしかった。

(私が探し求めていた商品→つなかん話。)

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ちょうど買物があるから、駅前に出て持ち帰りのお弁当でも買って来よう。
お弁当には、ちょっと心当たりがある。
子供たちがうちにいたころ、夕飯を兼ねて時々行った居酒屋。先日通りかかったら、このご時世で、お昼のお弁当販売を始めていた。
いつかまた、安心して飲みにいける日まで、つぶれずにいてほしい。
ヨシ!お弁当で、及ばずながら応援だ!
ハリキって自転車をこぎ、まずは百円均一を目指す。先日、お友だちが
それなら百均にあるわよ テレビで見た!
私の探していた物を教えてくれたのだ。
混んだフロアでやっと見つけた店員さんに、商品の所在を聞くと
あーあれ…テレビで紹介されて 売り切れちゃって
ガッカリして、店を出る。いや、待て待て、まだお弁当があるじゃないか。
居酒屋の前についたが、様子がおかしい。
数日前に通りかかった時は、テーブルと立て看板を出して、エプロン姿のお姉さんが
お弁当いかがですか~!
元気な声を出していたのに、今は人影もない。
落とした肩を押すように、ひゅーと寒い風が商店街を抜けていく。しょんぼり帰りかけた時
あ、もヒトツあった 百円均一…
半分ほどの規模のお店が、駅の反対側にあるのを思い出した。ダメもとで見に行こう。
空いた店内、大きな百均よりやる気のない女店員が、ぐんにゃり指さした先に
あった!
ちゃんと欲しかった商品があった。
喜び勇んで、自転車置場に向かう途中、さっきの居酒屋の前を通ると、ガラガラと音がする。
あれ?
閉まっていた引き戸が開き、看板とテーブルを引き出す人の姿があった。
なんだ、まだ時間が早かったのか。
いろいろガッカリしたが、結果オーライだった日。居酒屋のカラアゲ弁当は、おいしかった。

(私が探し求めていた商品→つなかん話。)

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ふぉんとの話。
ときどき通る道がある。
そこを通るのは、あんまり嬉しくない用事のときなので、楽しいイメージは無い。
うんざりしながら、トボトボと歩くわけだが、途中、なぜかちょっと元気の出る一角がある。
お花が咲いてるわけでも、かわいい動物がいるわけでもない。
オシャレなお店もないし、ステキな壁画もない。
ただの空き店舗なのである。
窓の向こうにガランと何もない店内が見え、ガラスには不動産屋のパネルが貼ってある。
楽しい要素は何もない、殺風景な場所だ。
もちろんそんなところに足を止めることはないし、スーッと通過するだけなのに、通り抜けた後、少しだけ気分が明るくなっている。
あまりにもわずかな感情の動きなので、今まで気にも留めなかったのだが、その理由が分かった。

(55周年ウルトラマンと有馬記念がコラボ!)
怪獣って馬より小さいのか、と、つい揚げ足をとってしまう広告の、字体である。
往年の正義のヒーローシリーズに使われている、このフォントにまずご注目いただきたい。
そして件の空き店舗のパネルがこちら。

(電話番号は架空のものです)
大小のバランスなど、かなり近づけている。
電話すれば、正義の営業マンがジュワッ!と飛んできてくれる、かもしれない。

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そこを通るのは、あんまり嬉しくない用事のときなので、楽しいイメージは無い。
うんざりしながら、トボトボと歩くわけだが、途中、なぜかちょっと元気の出る一角がある。
お花が咲いてるわけでも、かわいい動物がいるわけでもない。
オシャレなお店もないし、ステキな壁画もない。
ただの空き店舗なのである。
窓の向こうにガランと何もない店内が見え、ガラスには不動産屋のパネルが貼ってある。
楽しい要素は何もない、殺風景な場所だ。
もちろんそんなところに足を止めることはないし、スーッと通過するだけなのに、通り抜けた後、少しだけ気分が明るくなっている。
あまりにもわずかな感情の動きなので、今まで気にも留めなかったのだが、その理由が分かった。

(55周年ウルトラマンと有馬記念がコラボ!)
怪獣って馬より小さいのか、と、つい揚げ足をとってしまう広告の、字体である。
往年の正義のヒーローシリーズに使われている、このフォントにまずご注目いただきたい。
そして件の空き店舗のパネルがこちら。

(電話番号は架空のものです)
大小のバランスなど、かなり近づけている。
電話すれば、正義の営業マンがジュワッ!と飛んできてくれる、かもしれない。

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ぎんこう話。
ずいぶん家に籠ったので、年末のアレコレを片付けに街に出た。最後に回ったのが銀行である。
番号札を取り、椅子に掛けて待つ。
窓口嬢はテキパキ処理を続けているが、混雑で待ち時間が長いのは致し方ない。
思えば私も気が長くなったものだ。
この土地に越してきてすぐの頃は、待たされるのがイヤで、いつもイライラしていた。
それもそのはず、それまで住んでいたのは歩く速さ世界一の、セッカチの集まる街。
人を待たせれば、待つ間の時給を請求されかねないし、それが普通だと思っていた。
その日も私は、混んだ銀行でイライラしていた。
座る気分にもなれず、ロビーに仁王立ち、早くやれ、とばかりにカウンターの中をにらむ。
その様子を見て、警備のオジサンが寄ってくる。
もうチョットかかりますんで、おかけになって お待ちくださいナァ~
えらくノンビリした口調に、イライラが増す。
ずっと待ってるんです!もうチョットって あとどれくらいですか!
キツい口調にも、オジサンは気分を害した様子もなく、あいかわらずノンビリと
まあオクサン、そう急がんでも…
およそ待たせるほうが言うことではない。
ふつうなら怒りだすところだが、私も疲れていた。こんな相手に怒ったって仕方がない。
身体から力が抜けて、無性におかしくなった。
オジサンと顔を見合わせ、アハハ…!と声を出して笑っていたら、私の番号が呼ばれた。
それからというもの、銀行で、役所で、待たされてイライラしそうになるたび
まあオクサン、そう急がんでも…
オジサンの言葉をまねてみる。
私もこの土地の人間になったかな、なんて思いながら。
(店内のテレビに「南都家の一族」が流れていて退屈しないし)
本日早朝より他出のため、2016年12月27日の記事に加筆・再掲いたします。

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番号札を取り、椅子に掛けて待つ。
窓口嬢はテキパキ処理を続けているが、混雑で待ち時間が長いのは致し方ない。
思えば私も気が長くなったものだ。
この土地に越してきてすぐの頃は、待たされるのがイヤで、いつもイライラしていた。
それもそのはず、それまで住んでいたのは歩く速さ世界一の、セッカチの集まる街。
人を待たせれば、待つ間の時給を請求されかねないし、それが普通だと思っていた。
その日も私は、混んだ銀行でイライラしていた。
座る気分にもなれず、ロビーに仁王立ち、早くやれ、とばかりにカウンターの中をにらむ。
その様子を見て、警備のオジサンが寄ってくる。
もうチョットかかりますんで、おかけになって お待ちくださいナァ~
えらくノンビリした口調に、イライラが増す。
ずっと待ってるんです!もうチョットって あとどれくらいですか!
キツい口調にも、オジサンは気分を害した様子もなく、あいかわらずノンビリと
まあオクサン、そう急がんでも…
およそ待たせるほうが言うことではない。
ふつうなら怒りだすところだが、私も疲れていた。こんな相手に怒ったって仕方がない。
身体から力が抜けて、無性におかしくなった。
オジサンと顔を見合わせ、アハハ…!と声を出して笑っていたら、私の番号が呼ばれた。
それからというもの、銀行で、役所で、待たされてイライラしそうになるたび
まあオクサン、そう急がんでも…
オジサンの言葉をまねてみる。
私もこの土地の人間になったかな、なんて思いながら。
(店内のテレビに「南都家の一族」が流れていて退屈しないし)
本日早朝より他出のため、2016年12月27日の記事に加筆・再掲いたします。

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せーるす話。
今年も残すところ1週間を切ったが、私は全くの平常運転だ。
大掃除もせず、買出しにも行かず、どっかりリビングのソファに根を下ろしている。
♪ぴんぽーん♪
しぶしぶ腰を上げて応対すると
どーも モロトモ生命のシライでーす
インターフォンから元気な声が流れてきた。
この地区担当のシライさんは、私と同じシングルマザーで、ムスコの同級生のお母さんでもある。(→はつゆき話。)
年末のこの時期になると、来年のカレンダーを持って、契約の確認にやって来る。
お久しぶりでーす!お変わりないですか?
はーい シライさんも…
ハイ、お元気でーす…と言いたいとこですけど…
えっ?
さいきん不整脈が…
アラ、大変!
窓から見ていると、彼女はいつも駆け足でやってきて、駆け足で去っていく。
近況を聞くのも仕事なのだろうけど、忙しい歳末に、あまり引き留めるのも…と思ったのだが。
不整脈の治療のこと。
お嬢さんが、専門学校を出て医療事務の仕事をしていること。
クリスマス、どこも行けなかったけど、車でライトアップを見に行ったこと。
早口でひとしきり話した後
あー、楽しかった じゃあまた来年!
カレンダーを手渡し、マスクの中でニコッと笑ったと思うと、身をひるがえし、かつかつヒールを鳴らして、もう行ってしまった。
見下ろすと、走って車に戻る、後姿が見える。
生保のセールスだからと、しょうじき警戒していたところもある。それも10年近く続いて、最近はなんだか、彼女の来訪が楽しみになってきた。
お互い元気で、来年も会いましょう。
よいお年を!


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大掃除もせず、買出しにも行かず、どっかりリビングのソファに根を下ろしている。
♪ぴんぽーん♪
しぶしぶ腰を上げて応対すると
どーも モロトモ生命のシライでーす
インターフォンから元気な声が流れてきた。
この地区担当のシライさんは、私と同じシングルマザーで、ムスコの同級生のお母さんでもある。(→はつゆき話。)
年末のこの時期になると、来年のカレンダーを持って、契約の確認にやって来る。
お久しぶりでーす!お変わりないですか?
はーい シライさんも…
ハイ、お元気でーす…と言いたいとこですけど…
えっ?
さいきん不整脈が…
アラ、大変!
窓から見ていると、彼女はいつも駆け足でやってきて、駆け足で去っていく。
近況を聞くのも仕事なのだろうけど、忙しい歳末に、あまり引き留めるのも…と思ったのだが。
不整脈の治療のこと。
お嬢さんが、専門学校を出て医療事務の仕事をしていること。
クリスマス、どこも行けなかったけど、車でライトアップを見に行ったこと。
早口でひとしきり話した後
あー、楽しかった じゃあまた来年!
カレンダーを手渡し、マスクの中でニコッと笑ったと思うと、身をひるがえし、かつかつヒールを鳴らして、もう行ってしまった。
見下ろすと、走って車に戻る、後姿が見える。
生保のセールスだからと、しょうじき警戒していたところもある。それも10年近く続いて、最近はなんだか、彼女の来訪が楽しみになってきた。
お互い元気で、来年も会いましょう。
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オウジノ本。
祖父母の家に遊びに行くと、まずは探検だ。
長く使われていない部屋は、湿っぽく冷たい。
叔父の部屋には、見たこともない美人女優のピンナップやペナント、革のかびた登山用具。
上の叔母の部屋の窓には、自分で縫ったらしきカーテンがかかり、モクメンを固く詰めたバンビのぬいぐるみが、丸い目でこちらを見ている。
間取りに余裕があるせいか、子供世代はめいめい自分の持物を残しており、そんな忘れられた品物を、宝探しのように見つけては、眺める。
手にとってはあった場所にそっと戻す、それだけのことがとても楽しかった。
いちばん最後に家を出た下の叔母が残したのが、硝子戸の付いた小さな書棚だ。
編み物に英文タイプ、切手収集や海外文通…趣味の実用書を引っぱりだして、ホコリくさいページを繰るたのしみ。
大人の顔しか知らない叔母の、娘時代を思う。
中にはもっと小さかった頃に読んだらしい、お話の本も何冊か混じっていた。
書名に惹かれて手に取った小さな本は、茶色の粗末な段ボールの函入り。
赤い模様の表紙を開けば、すっかり黄ばんだページの上、はかなげな少年が風に吹かれ、瞳のない小さな目で、こちらを見ていた。
初めて読んだその本が、なんだか手放しがたくて、つい、こっそり部屋から持ち出した。
ちょうだい、と言えば、きっと祖母は許しただろうに、なぜか言えなくて、黙って手提げに入れたその本は、今も私の書棚にある。

戦後間もないクリスマスに創刊された岩波少年文庫は、70周年。(→少年文庫創刊70年特設サイト)
懐かしい祖父母の家も、今は無い。

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長く使われていない部屋は、湿っぽく冷たい。
叔父の部屋には、見たこともない美人女優のピンナップやペナント、革のかびた登山用具。
上の叔母の部屋の窓には、自分で縫ったらしきカーテンがかかり、モクメンを固く詰めたバンビのぬいぐるみが、丸い目でこちらを見ている。
間取りに余裕があるせいか、子供世代はめいめい自分の持物を残しており、そんな忘れられた品物を、宝探しのように見つけては、眺める。
手にとってはあった場所にそっと戻す、それだけのことがとても楽しかった。
いちばん最後に家を出た下の叔母が残したのが、硝子戸の付いた小さな書棚だ。
編み物に英文タイプ、切手収集や海外文通…趣味の実用書を引っぱりだして、ホコリくさいページを繰るたのしみ。
大人の顔しか知らない叔母の、娘時代を思う。
中にはもっと小さかった頃に読んだらしい、お話の本も何冊か混じっていた。
書名に惹かれて手に取った小さな本は、茶色の粗末な段ボールの函入り。
赤い模様の表紙を開けば、すっかり黄ばんだページの上、はかなげな少年が風に吹かれ、瞳のない小さな目で、こちらを見ていた。
初めて読んだその本が、なんだか手放しがたくて、つい、こっそり部屋から持ち出した。
ちょうだい、と言えば、きっと祖母は許しただろうに、なぜか言えなくて、黙って手提げに入れたその本は、今も私の書棚にある。

戦後間もないクリスマスに創刊された岩波少年文庫は、70周年。(→少年文庫創刊70年特設サイト)
懐かしい祖父母の家も、今は無い。

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おてがみ話。
子供の頃、うちに来たサンタは、希望を聞いてくれるタイプではなく、先方で決めたプレゼントを持ってくる人であった。(→ ドリトル本。)
中身は何だろうとワクワクしながら、包みを開くときの気持ちは忘れられない。
それだけで嬉しかったけれど、ある時友だちに聞いたか、本で読んだか、サンタに、欲しいものを手紙で伝える、という文化を知ったのである。
あんまり物を欲しがらない子供の私が、夢に見るほど欲しいおもちゃが、1つだけあった。
ママレンジだ。

♪マーマーレンジ ママレンジ
♪エプロンつけて クッキング
♪ホンワカホカホカ ホットケーキ
♪ちっちゃな ママがクッキング
子供番組のあとのCMには、文字通りクギヅケになった。
CMを見た母は子供だまし、と顔をしかめたから、お誕生日にはもらえそうにない。
サンタさん ママレンジくれないかな…
そんなムシのいい希望が、子供の頭に浮かんだことは想像に難くない。初めてのサンタへの手紙には、どんなことを書いたのだったか。
宛先が分からないから、ポストに入れられず、ずっとこっそり持っていた手紙を、クリスマスイブに枕元に置いた。
ドキドキして起きた、クリスマスの朝。
置かれていたプレゼントは、ママレンジではなかったけれど、手紙は無くなっている。
サンタさんだって準備があるし その日に言われても困るよね
お手紙見てくれたから 来年はママレンジ…
子供の発想は、どこまでもムシがいい。
残念ながら翌年、私がママレンジを手にすることはなく、憧れは今も憧れのままなのだった。

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中身は何だろうとワクワクしながら、包みを開くときの気持ちは忘れられない。
それだけで嬉しかったけれど、ある時友だちに聞いたか、本で読んだか、サンタに、欲しいものを手紙で伝える、という文化を知ったのである。
あんまり物を欲しがらない子供の私が、夢に見るほど欲しいおもちゃが、1つだけあった。
ママレンジだ。

♪マーマーレンジ ママレンジ
♪エプロンつけて クッキング
♪ホンワカホカホカ ホットケーキ
♪ちっちゃな ママがクッキング
子供番組のあとのCMには、文字通りクギヅケになった。
CMを見た母は子供だまし、と顔をしかめたから、お誕生日にはもらえそうにない。
サンタさん ママレンジくれないかな…
そんなムシのいい希望が、子供の頭に浮かんだことは想像に難くない。初めてのサンタへの手紙には、どんなことを書いたのだったか。
宛先が分からないから、ポストに入れられず、ずっとこっそり持っていた手紙を、クリスマスイブに枕元に置いた。
ドキドキして起きた、クリスマスの朝。
置かれていたプレゼントは、ママレンジではなかったけれど、手紙は無くなっている。
サンタさんだって準備があるし その日に言われても困るよね
お手紙見てくれたから 来年はママレンジ…
子供の発想は、どこまでもムシがいい。
残念ながら翌年、私がママレンジを手にすることはなく、憧れは今も憧れのままなのだった。

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けーきの話。
明日はクリスマスイブ。
何にもないけどケーキくらいは、と、地元のケーキ屋でパンフレットを貰ってきた。
パティシエが、なんだかの賞を獲ったということで、有名な店だ。
いろんなケーキが並んで、どれもが美味しそうで迷う。眺めるうちに、面倒になってきた。
ガトードナントカとか、クーベルチュールとか、フランボワーズとかクレームカントカとか、なんかもう、うるさい。
今どきのことだから、どうせ、どれを食べたって美味しいのだ。
どんなに美味しくたって、どうせ、すぐに忘れるのだ。
ゴージャスなカタログをぶん投げて、考える。
そんなにおいしくなくっても いいんだけどな…
遠い昔、子供の頃はケーキといえばケーキで、こんなに選択肢は無かった。
箱を開けた瞬間、サンタの乗っかった位置を確認する。ドレンチェリー、アラザン、アンゼリカ、バタークリームでこしらえたバラの花。
家族で半分を食べて、残りは大事に箱に戻され
また明日ね!
もっと食べたいイモートと私に、母が釘をさす。
懐かしいけれど、あの頃のケーキが今あっても、食べられたものじゃないだろう。
スポンジはカサカサだし、飾りは甘いだけの砂糖のカタマリ。食べ過ぎると翌朝頭が痛くなる。きっとバターの質も悪かったのだと思う。
それでもなお、ケーキは毎年楽しみだった。
今は誰でも、何でも選べるけれど、誰もがいつも欲しいものを探して、見つけられずにいる。
世の中、贅沢になったなあ。
だけど、昔より良くなったか、といえば、それは分からない。

(クリームの上の赤や緑の丸いやつがドレンチェリー)

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何にもないけどケーキくらいは、と、地元のケーキ屋でパンフレットを貰ってきた。
パティシエが、なんだかの賞を獲ったということで、有名な店だ。
いろんなケーキが並んで、どれもが美味しそうで迷う。眺めるうちに、面倒になってきた。
ガトードナントカとか、クーベルチュールとか、フランボワーズとかクレームカントカとか、なんかもう、うるさい。
今どきのことだから、どうせ、どれを食べたって美味しいのだ。
どんなに美味しくたって、どうせ、すぐに忘れるのだ。
ゴージャスなカタログをぶん投げて、考える。
そんなにおいしくなくっても いいんだけどな…
遠い昔、子供の頃はケーキといえばケーキで、こんなに選択肢は無かった。
箱を開けた瞬間、サンタの乗っかった位置を確認する。ドレンチェリー、アラザン、アンゼリカ、バタークリームでこしらえたバラの花。
家族で半分を食べて、残りは大事に箱に戻され
また明日ね!
もっと食べたいイモートと私に、母が釘をさす。
懐かしいけれど、あの頃のケーキが今あっても、食べられたものじゃないだろう。
スポンジはカサカサだし、飾りは甘いだけの砂糖のカタマリ。食べ過ぎると翌朝頭が痛くなる。きっとバターの質も悪かったのだと思う。
それでもなお、ケーキは毎年楽しみだった。
今は誰でも、何でも選べるけれど、誰もがいつも欲しいものを探して、見つけられずにいる。
世の中、贅沢になったなあ。
だけど、昔より良くなったか、といえば、それは分からない。

(クリームの上の赤や緑の丸いやつがドレンチェリー)

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れしぴの話。
と、いうわけで、(→とうじの話。)カボチャを煮た。

うちのカボチャの煮物は、角切りベーコンとカボチャをブイヨンで煮て、柔らかくなったら醤油を少しと、バターを落とす。
カボチャの甘っぽいのが苦手な人も食べられる、洋風のレシピだ。
初めて食べたのは大学の頃。
ある日、理学部のパコちゃんの部屋に行ったら、とってもいいにおいがした。
ゴメン、ご飯だった?
女子寮はキッチンが共同で、作ったものを部屋に持ち帰って食べる。
カボチャ煮たんだ 食べてく?
パコちゃんはお料理にマメで、作ったものをよくお裾分けしてくれる。でも私は、芋やカボチャが苦手で、言われたときはウーンと思ったのだ。
しかし、彼女のカボチャ煮は、今まで食べたことのある煮物と違った。
おいしーい!なにこれ、バター?
うん、あと醤油とブイヨン…
ベーコンも合うね!
私はその時、初めて、カボチャをおいしい、と思ったのである。
その後、大学を卒業し、それぞれに社会人となっても、ずっと連絡は取り合っていた。
自分で料理するようになって、教わったレシピでカボチャを煮た時は、ハガキを出した。
元気ですか?私は元気です。今日、パコちゃんのカボチャ作りました。美味しくできたよ…
結婚して子供を持っても、時々会っていたのに、ひょんなことからケンカした。
ほんの些細な行き違いだったけれど、タイミングも悪かったのだ。
仲直りの機会もないまま、年賀状も来なくなって、もう10年が経つ。
小柄で気が強いけど、きちょうめんで世話好きで、家庭的なパコちゃん。この先、会うこともないだろうが、カボチャを煮ると思い出す。
遠い町で彼女も、彼女の家族のために、カボチャを煮たのだろうか。

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うちのカボチャの煮物は、角切りベーコンとカボチャをブイヨンで煮て、柔らかくなったら醤油を少しと、バターを落とす。
カボチャの甘っぽいのが苦手な人も食べられる、洋風のレシピだ。
初めて食べたのは大学の頃。
ある日、理学部のパコちゃんの部屋に行ったら、とってもいいにおいがした。
ゴメン、ご飯だった?
女子寮はキッチンが共同で、作ったものを部屋に持ち帰って食べる。
カボチャ煮たんだ 食べてく?
パコちゃんはお料理にマメで、作ったものをよくお裾分けしてくれる。でも私は、芋やカボチャが苦手で、言われたときはウーンと思ったのだ。
しかし、彼女のカボチャ煮は、今まで食べたことのある煮物と違った。
おいしーい!なにこれ、バター?
うん、あと醤油とブイヨン…
ベーコンも合うね!
私はその時、初めて、カボチャをおいしい、と思ったのである。
その後、大学を卒業し、それぞれに社会人となっても、ずっと連絡は取り合っていた。
自分で料理するようになって、教わったレシピでカボチャを煮た時は、ハガキを出した。
元気ですか?私は元気です。今日、パコちゃんのカボチャ作りました。美味しくできたよ…
結婚して子供を持っても、時々会っていたのに、ひょんなことからケンカした。
ほんの些細な行き違いだったけれど、タイミングも悪かったのだ。
仲直りの機会もないまま、年賀状も来なくなって、もう10年が経つ。
小柄で気が強いけど、きちょうめんで世話好きで、家庭的なパコちゃん。この先、会うこともないだろうが、カボチャを煮ると思い出す。
遠い町で彼女も、彼女の家族のために、カボチャを煮たのだろうか。

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