カバカバ本。
2年というもの、旅行らしい旅行をしていない。
もともとインドア派で、出かけないのはそう苦にならないが、県境はおろか、市境も越えない生活が、息苦しくなってきたのだろうか。
ふと気づけば旅行記のたぐいを手にしている。
感動の絶景や、立派なテーマなど要らない。
フラリと思い立って出かける、目的らしい目的もない、はかない旅に惹かれる。
先日手にしたのがこの本。

桜散るあなたも河馬になりなさい
カバの連作で知られる俳人が、全国で飼育されているカバを、訪ね歩いた記録である。
カバが好きだから、カバを見に行くという、単純な目的がいい。
飼育員に怪しまれながら、檻の前で1時間もカバを見つめるという、孤独なバカバカしさもいい。
孫もいるいいオジサンがひとり、カバを見つめる図がなんとも味わい深く、楽しく読んでいたら
運転していたカミさんが…
ふいに奥さんが飛び出してきて、驚いた。
なーんだ、ひとりじゃないのか。
しかも、運転手させてんのか。
そう知って読むと、ちょくちょく一人称の「私」が「私たち」になっている。
筆者への関心が、しゅるしゅるとしぼむ。
奥さんがいいなら、別にいいんだけど、カバ見るくらいひとりで行きゃいいのに。
亭主の趣味に付き合わされる奥さんの感想も聞きたいが、そういうことは書いてないのであった。

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もともとインドア派で、出かけないのはそう苦にならないが、県境はおろか、市境も越えない生活が、息苦しくなってきたのだろうか。
ふと気づけば旅行記のたぐいを手にしている。
感動の絶景や、立派なテーマなど要らない。
フラリと思い立って出かける、目的らしい目的もない、はかない旅に惹かれる。
先日手にしたのがこの本。

桜散るあなたも河馬になりなさい
カバの連作で知られる俳人が、全国で飼育されているカバを、訪ね歩いた記録である。
カバが好きだから、カバを見に行くという、単純な目的がいい。
飼育員に怪しまれながら、檻の前で1時間もカバを見つめるという、孤独なバカバカしさもいい。
孫もいるいいオジサンがひとり、カバを見つめる図がなんとも味わい深く、楽しく読んでいたら
運転していたカミさんが…
ふいに奥さんが飛び出してきて、驚いた。
なーんだ、ひとりじゃないのか。
しかも、運転手させてんのか。
そう知って読むと、ちょくちょく一人称の「私」が「私たち」になっている。
筆者への関心が、しゅるしゅるとしぼむ。
奥さんがいいなら、別にいいんだけど、カバ見るくらいひとりで行きゃいいのに。
亭主の趣味に付き合わされる奥さんの感想も聞きたいが、そういうことは書いてないのであった。

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がらがら話。
平日のショッピングモールは、予想より混んでいた。
人の少ないところを選んで歩き、なんとかトイレにたどり着く。
個室に入って、マスクをとって、呼気に蒸れた顔を冷ます、ホッとするひと時。
…ガラガラ…
隣の個室から、紙を引く音が聞こえる。
…ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
なっげえな!
あたりをはばかることなく、延々と引き出される紙の音の、あまりの大きさに
もしかして私、紙の使用量少なすぎ?
逆に不安になりだしたとき、反対側の隣から
…クスッ…
思わずこぼれたらしい、笑い声が聞こえて、ちょっと安心した。
その声が聞こえたか、いったんは途絶えた音が
…ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ…
また鳴りはじめ、さっき以上に長く続いている。
もしかしたら、ただ用を足しただけでなく、大量の紙が必要になるような大変なことが、隣で起きているのだろうか。
どこかに通報すべきかと思ったけれど、どこにすればいいか分からない。迷いながらも自分の用を済ませて、個室を出た。

(きっとひと巻き使い切っていると思う)

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人の少ないところを選んで歩き、なんとかトイレにたどり着く。
個室に入って、マスクをとって、呼気に蒸れた顔を冷ます、ホッとするひと時。
…ガラガラ…
隣の個室から、紙を引く音が聞こえる。
…ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
なっげえな!
あたりをはばかることなく、延々と引き出される紙の音の、あまりの大きさに
もしかして私、紙の使用量少なすぎ?
逆に不安になりだしたとき、反対側の隣から
…クスッ…
思わずこぼれたらしい、笑い声が聞こえて、ちょっと安心した。
その声が聞こえたか、いったんは途絶えた音が
…ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ…
また鳴りはじめ、さっき以上に長く続いている。
もしかしたら、ただ用を足しただけでなく、大量の紙が必要になるような大変なことが、隣で起きているのだろうか。
どこかに通報すべきかと思ったけれど、どこにすればいいか分からない。迷いながらも自分の用を済ませて、個室を出た。

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くどくの話。
日曜朝のニュースショー。
画面では、コメンテーターが昨今の情勢について、雄弁に語っている。
終始大マジメに番組が進む中、なぜかテレビの前で薄笑いになるのは
クドクの人だ…
思い出してしまうからだ。
ゲスト席にご立派におさまりかえっているこの人が、まだ若かった頃。
それは10年余も昔になるだろうが、出始めたばかりのテレビで
…その クドクテンを…
口走ったのを聞いて、最初は何のことか、分からなかった。
口説く店?功徳天?
話題は何だったのか、覚えていないが、その後も2度3度と連呼されて、気がついた。

句読点のことなのだ。
たしかに、口に出して発音することは少ないかもしれない。それにしても、学校で習って、卒業して、それまで誰にも直されなかったのだろうか。
そう思うとちょっと貴重な気がする。
あれからずいぶん経つが、今のこの人は、この言葉をどう読むか、もう知ってるのかしら。
エラそうにしてると、周囲の人が間違いを指摘しにくいから
ここのクドクテン、どうするかな
あんがい間違ったままかもしれない。

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画面では、コメンテーターが昨今の情勢について、雄弁に語っている。
終始大マジメに番組が進む中、なぜかテレビの前で薄笑いになるのは
クドクの人だ…
思い出してしまうからだ。
ゲスト席にご立派におさまりかえっているこの人が、まだ若かった頃。
それは10年余も昔になるだろうが、出始めたばかりのテレビで
…その クドクテンを…
口走ったのを聞いて、最初は何のことか、分からなかった。
口説く店?功徳天?
話題は何だったのか、覚えていないが、その後も2度3度と連呼されて、気がついた。

句読点のことなのだ。
たしかに、口に出して発音することは少ないかもしれない。それにしても、学校で習って、卒業して、それまで誰にも直されなかったのだろうか。
そう思うとちょっと貴重な気がする。
あれからずいぶん経つが、今のこの人は、この言葉をどう読むか、もう知ってるのかしら。
エラそうにしてると、周囲の人が間違いを指摘しにくいから
ここのクドクテン、どうするかな
あんがい間違ったままかもしれない。

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うりいえ話。
最寄り駅に着いたときは、もう暗くなっていた。
昼は暑さ厳しいけれど、吹き渡る風はもう真夏のものではない。暗闇がヒンヤリ湿り気を含んで、虫の声がそこここに聞こえる。
飲みに行くことも無くなって、この時刻に出歩くのも久しぶりだ。
夜遊び気分で、家までの道を歩く。
街路樹が吐き出す夜気に混じって、どこからか、木の香が漂ってきた。
樹木ではない。木材の、それも古い材の匂いだ。
ああ、あそこかな…
なんとなく心当たりがあった。
初夏に泡立つように咲く、ツツジの垣のある家。
数年前まで住民がいたが、いつの間にかガレージに車が無くなった。
溜まったチラシがポストから覗くようになって、玄関先に雑草が生えはじめたと思ったら、売家の看板が貼り出された。
この辺りは開発から20年ほどが経ち、建替えや取壊しが目立つ。
新築のころは働き盛りだった住民も、高齢になって同じように暮らしていくのは難しいのだろう。
建替えになるのはまだいいほうだ。
スクラップアンドビルド、などというが、スクラップアンドそのままとなることも多い。
区画された住宅地に、歯抜けのように増えていく空き地。
あの豪奢なツツジの生垣はどうなっただろう。
見ないで済むなら見たくなくて、いつもは曲がらない角を、曲がった。


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昼は暑さ厳しいけれど、吹き渡る風はもう真夏のものではない。暗闇がヒンヤリ湿り気を含んで、虫の声がそこここに聞こえる。
飲みに行くことも無くなって、この時刻に出歩くのも久しぶりだ。
夜遊び気分で、家までの道を歩く。
街路樹が吐き出す夜気に混じって、どこからか、木の香が漂ってきた。
樹木ではない。木材の、それも古い材の匂いだ。
ああ、あそこかな…
なんとなく心当たりがあった。
初夏に泡立つように咲く、ツツジの垣のある家。
数年前まで住民がいたが、いつの間にかガレージに車が無くなった。
溜まったチラシがポストから覗くようになって、玄関先に雑草が生えはじめたと思ったら、売家の看板が貼り出された。
この辺りは開発から20年ほどが経ち、建替えや取壊しが目立つ。
新築のころは働き盛りだった住民も、高齢になって同じように暮らしていくのは難しいのだろう。
建替えになるのはまだいいほうだ。
スクラップアンドビルド、などというが、スクラップアンドそのままとなることも多い。
区画された住宅地に、歯抜けのように増えていく空き地。
あの豪奢なツツジの生垣はどうなっただろう。
見ないで済むなら見たくなくて、いつもは曲がらない角を、曲がった。


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つらいよ話。
テレビっ子のわりに、サスペンスの再放送を除き、ドラマはほとんど見ない。
筋を追うのがめんどくさいのだ。
特にキライなのは、欠点のある主人公が、にもかかわらず、あるいはそれゆえに、周囲にむやみに愛される話である。
そういう人はだいたい、性懲りもなく同じ過ちを繰り返す。(→ろーらの話。)
今日してしまった失敗を、明日に生かす。弱点を克服できないまでも、反省し、改善に努める。
人生って、生きるって、そういうことじゃないのか!
自分のことは棚に上げて、画面のこちら側で憤懣やるかたなき私である。
そんな主人公の典型が、この人。

チャンネル権が父にあった子供の頃、否も応もなく見せられたせいで、今もあまり好きではない。
いちばん気に食わないのは題名である。
「男はつらいよ」って、いったい何がつらいんだ。
そもそもが刻苦勉励、志望校に受かるとか、家族を養うとか、毎日会社に行くとか、つらいことを避けて逃げ出した人だろう。
逃げ出すのは悪いことじゃない。私自身、今までいろんなつらいことから逃げてきた。
だけど、彼みたいに逃げられたら、つらくはないじゃあないか。
主人公に振り回される妹や、人生に疲れ、ひと時のささやかな安らぎを彼に求める、マドンナたちのほうが、よっぽどつらい。
つまり、正しくは「女はつらいよ」なのである。
今日は「男はつらいよ」の日。
1969年の今日、映画「男はつらいよ」シリーズの第1作が公開された。

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筋を追うのがめんどくさいのだ。
特にキライなのは、欠点のある主人公が、にもかかわらず、あるいはそれゆえに、周囲にむやみに愛される話である。
そういう人はだいたい、性懲りもなく同じ過ちを繰り返す。(→ろーらの話。)
今日してしまった失敗を、明日に生かす。弱点を克服できないまでも、反省し、改善に努める。
人生って、生きるって、そういうことじゃないのか!
自分のことは棚に上げて、画面のこちら側で憤懣やるかたなき私である。
そんな主人公の典型が、この人。

チャンネル権が父にあった子供の頃、否も応もなく見せられたせいで、今もあまり好きではない。
いちばん気に食わないのは題名である。
「男はつらいよ」って、いったい何がつらいんだ。
そもそもが刻苦勉励、志望校に受かるとか、家族を養うとか、毎日会社に行くとか、つらいことを避けて逃げ出した人だろう。
逃げ出すのは悪いことじゃない。私自身、今までいろんなつらいことから逃げてきた。
だけど、彼みたいに逃げられたら、つらくはないじゃあないか。
主人公に振り回される妹や、人生に疲れ、ひと時のささやかな安らぎを彼に求める、マドンナたちのほうが、よっぽどつらい。
つまり、正しくは「女はつらいよ」なのである。
今日は「男はつらいよ」の日。
1969年の今日、映画「男はつらいよ」シリーズの第1作が公開された。

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すいはん話。
ゲリラ豪雨の話をしていたときのこと
え?今 何てった?
調子よく話していたのに、急に聞き返された。
は?えー、あわてて炊飯器を って…
だからなんで 炊飯器と夕立に関係あるわけ?
あーごめんごめん うち、ベランダでゴハン炊いてんだよね
そうなのだ。
ご飯を炊くと、湯気が出る。
冬ならいいが、この季節、高温の蒸気が部屋に溜まるのはつらい。いったんこもった熱気を追い払うのは、またひと苦労なのだ。
だから 延長コードで ベランダに出してから スイッチ入れてんの
へえー
返事はあったものの、いっこうに感心しない、という顔である。
おかしな人だと思われただけらしい。
炊飯器を外に出すだけで、体感室温で3度は違うのだが、こうなった相手に言っても無駄である。
ねえ~聞いて聞いて!ぢょん子さんったらね…
うかつにも、彼女に、夕飯どきの話題を提供してしまったようである。


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え?今 何てった?
調子よく話していたのに、急に聞き返された。
は?えー、あわてて炊飯器を って…
だからなんで 炊飯器と夕立に関係あるわけ?
あーごめんごめん うち、ベランダでゴハン炊いてんだよね
そうなのだ。
ご飯を炊くと、湯気が出る。
冬ならいいが、この季節、高温の蒸気が部屋に溜まるのはつらい。いったんこもった熱気を追い払うのは、またひと苦労なのだ。
だから 延長コードで ベランダに出してから スイッチ入れてんの
へえー
返事はあったものの、いっこうに感心しない、という顔である。
おかしな人だと思われただけらしい。
炊飯器を外に出すだけで、体感室温で3度は違うのだが、こうなった相手に言っても無駄である。
ねえ~聞いて聞いて!ぢょん子さんったらね…
うかつにも、彼女に、夕飯どきの話題を提供してしまったようである。


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めんくい話。
少しだけ暑さが引いた日のお昼。
お湯を沸かすのもイヤで、食べる気がしなかったインスタントラーメンを、久しぶりに作ろう。
バリバリと袋を開け、スープの小袋を取り出してから、鍋に麺を入れる。
煮えるまでの間に、冷蔵庫に首を突っ込み
何か入れるもん… ラーメンに入れるもん…
モヤシや焼豚はないけど、ハムとネギがあった。
収穫を手にコンロ前に戻ると、調理台に点々と、白いものが落ちている。

麺のカケラだ。
鍋に入れる時、袋をさかさまにしたので、こぼれたらしい。
無意識につまんで、口に入れた。
粉と、塩と、うっすら揚げ油の味。
ちょっとマズいものが好きな私は、こういうのも平気である。安いラーメンだと、茹でる前の乾麺のほうが好きかもしれない。
かといって、1袋全部、茹でないままで食べたら、きっとイヤになるだろう。
たまたまポロッとこぼれたのを、ポリッと食べるくらいが、ちょうどいい。
そういうことって他にもあるよな、と思ったけれど、それが何なのかは思いつかなかった。
鍋の中では、こぼれなかった麺が煮えている。
今日は即席ラーメン記念日。

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お湯を沸かすのもイヤで、食べる気がしなかったインスタントラーメンを、久しぶりに作ろう。
バリバリと袋を開け、スープの小袋を取り出してから、鍋に麺を入れる。
煮えるまでの間に、冷蔵庫に首を突っ込み
何か入れるもん… ラーメンに入れるもん…
モヤシや焼豚はないけど、ハムとネギがあった。
収穫を手にコンロ前に戻ると、調理台に点々と、白いものが落ちている。

麺のカケラだ。
鍋に入れる時、袋をさかさまにしたので、こぼれたらしい。
無意識につまんで、口に入れた。
粉と、塩と、うっすら揚げ油の味。
ちょっとマズいものが好きな私は、こういうのも平気である。安いラーメンだと、茹でる前の乾麺のほうが好きかもしれない。
かといって、1袋全部、茹でないままで食べたら、きっとイヤになるだろう。
たまたまポロッとこぼれたのを、ポリッと食べるくらいが、ちょうどいい。
そういうことって他にもあるよな、と思ったけれど、それが何なのかは思いつかなかった。
鍋の中では、こぼれなかった麺が煮えている。
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せんてい話。
髪が伸びて、ボウボウになってきた。
カチューシャで上げたり、ゴムで結わいたりしてきたが、もはやごまかしきれない。
感染者が過去最高を更新する中、気が進まないが、いよいよ切らねばならないようだ。
最小限の移動と時間で済ませるため、いつぞやのカット専門店(→かっとの話。)に行こう。
清潔で広い店内、券売機で支払を済ませ、キッチリ仕切られたブースに入れば、世間話もなく仕事に入る美容師さん。
以前なら味気なく感じたことが、今は安心感になる。
あっという間にカットが終わり、シャンプー代わりの掃除機で吸われて、店を出た。
軽くなった後頭部を撫でながら、ウインドウに映るわが姿を見れば、イマイチなような気もするが、なにしろ千円だから、文句は言えない。
美容師さんの当たりはずれもある。
若い頃は、美容院のあと、ためつすがめつ、鏡で出来栄えを確かめた。納得できなくて翌日、別の美容院に行ったこともあった。
このトシになると、そんな情熱も失せて、少々の不出来にはビクともしない。
髪なんてどうせ1カ月で元の木阿弥なのだ。
伸びた分が無くなって、サッパリしてれば大満足のOK牧場である。
これはアレだな、植木の剪定だな。
人生は、どんどん簡単になっていく。

(誰でもいいとはいえこういう人はやはり困る)

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カチューシャで上げたり、ゴムで結わいたりしてきたが、もはやごまかしきれない。
感染者が過去最高を更新する中、気が進まないが、いよいよ切らねばならないようだ。
最小限の移動と時間で済ませるため、いつぞやのカット専門店(→かっとの話。)に行こう。
清潔で広い店内、券売機で支払を済ませ、キッチリ仕切られたブースに入れば、世間話もなく仕事に入る美容師さん。
以前なら味気なく感じたことが、今は安心感になる。
あっという間にカットが終わり、シャンプー代わりの掃除機で吸われて、店を出た。
軽くなった後頭部を撫でながら、ウインドウに映るわが姿を見れば、イマイチなような気もするが、なにしろ千円だから、文句は言えない。
美容師さんの当たりはずれもある。
若い頃は、美容院のあと、ためつすがめつ、鏡で出来栄えを確かめた。納得できなくて翌日、別の美容院に行ったこともあった。
このトシになると、そんな情熱も失せて、少々の不出来にはビクともしない。
髪なんてどうせ1カ月で元の木阿弥なのだ。
伸びた分が無くなって、サッパリしてれば大満足のOK牧場である。
これはアレだな、植木の剪定だな。
人生は、どんどん簡単になっていく。

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おくらの話。
朝のワイドショー、人気の漫才師が、旬の野菜料理を紹介するコーナーの
…オクラやないか!
…そしたらオクラやないかあ…
今日の野菜はオクラ。
そういえば、今年はオクラを食べていない。
安いし、栄養はあるし、調理は簡単だし、私のために生えているような野菜なのに、すっかり存在を忘れていた。
忘れた理由は、おばーちゃんが去年まで、庭に植えていたからではないか、と思う。
植えたことがある方はご存知だろうが、オクラの花は大変きれいである。

クリーム色の芙蓉のような、はかなげな花が咲いて、そのうえ実が食べられるというお得感からか、実家では毎夏、オクラが栽培されていた。
しかし、やはり植えたことのある方はご存知であろうが、オクラの実の成長は大変速い。
花が散ったと思ったら、あっという間に見慣れた形になり、うっかりすると食べるには大きすぎ、固すぎる巨大なオクラが出来上がる。
そのため、オクラの実が生りはじめると、老母はアタフタしていた。
3日にあげず収穫に追われ、食べきれぬオクラの行き先に悩み、ついに
今年はやめとくわ もうシンドイから
という仕儀に相成った。
もらって食べるだけだったから、オクラを買う習慣が無い。そのせいで、食べていなかったのだ。
たぶん母は、来年もオクラを植えないだろう。
そろそろ自分でお金を出して、オクラを買うようにしなければならない。
手始めに今日、スーパーに行ってみるか。

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…オクラやないか!
…そしたらオクラやないかあ…
今日の野菜はオクラ。
そういえば、今年はオクラを食べていない。
安いし、栄養はあるし、調理は簡単だし、私のために生えているような野菜なのに、すっかり存在を忘れていた。
忘れた理由は、おばーちゃんが去年まで、庭に植えていたからではないか、と思う。
植えたことがある方はご存知だろうが、オクラの花は大変きれいである。

クリーム色の芙蓉のような、はかなげな花が咲いて、そのうえ実が食べられるというお得感からか、実家では毎夏、オクラが栽培されていた。
しかし、やはり植えたことのある方はご存知であろうが、オクラの実の成長は大変速い。
花が散ったと思ったら、あっという間に見慣れた形になり、うっかりすると食べるには大きすぎ、固すぎる巨大なオクラが出来上がる。
そのため、オクラの実が生りはじめると、老母はアタフタしていた。
3日にあげず収穫に追われ、食べきれぬオクラの行き先に悩み、ついに
今年はやめとくわ もうシンドイから
という仕儀に相成った。
もらって食べるだけだったから、オクラを買う習慣が無い。そのせいで、食べていなかったのだ。
たぶん母は、来年もオクラを植えないだろう。
そろそろ自分でお金を出して、オクラを買うようにしなければならない。
手始めに今日、スーパーに行ってみるか。

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メイジン本。
歴史の本を読んでいると、時代を担った人たちの若さに驚く。
もとより、30代で国を変えた維新の英傑に、自分をなぞらえるつもりはないが、若いなあ!と、感慨を覚えることはたまにある。
はじめてそれを感じたのは、日曜洋画劇場で見た「ロミオとジュリエット」。
ジュリエットを演じた女優が、当時15歳だと知った時、何とも言えない気持ちになった。
あの感情は何だったんだろう。
ハリウッド女優と田舎の高校生じゃ、およそかけ離れていて、嫉妬もないし、羨望とも違う。
あるいは、自分はまだ何者でもない、という焦燥だろうか。
30年以上経つけれど、あの気持ちは鮮やかに覚えていて、思い出すたびあの日の自分を、ぎゅっと抱きしめてやりたくなる。
それに似た気持を感じたのが、かつて愛読した、この本。

(「父の詫び状」 文春文庫)
ここでの記事に他の著書を紹介した(→ 「すぐみた話。」 )こともある。
学生のころ、この著者の一連のエッセイを、熱心に読んだものだ。
無駄のない文章、鮮やかな結末、まさに「突然現れてほとんど名人」である。
しかし、どんなエピソードにもオチがつく巧みさや、窮屈すぎるほどの美意識が鼻につくようになり、少しく離れている間に、あの事故が起きた。
誤解を恐れずに言うが、なるほど、と思った。
巧すぎる文章には、早い結末がふさわしい。痛ましい事故だが、いったんそうなると、他に彼女の退場のしかたはなかったように思えてしまう。
彼女が亡くなったのは、40年前の今日。51歳だった。
自分が、その年齢を越えてしまったことに、ある感慨がある。
そして、それが何の感情なのか、この年になってもまだ、うまく説明はできないのだ。

向田 邦子(1929年11月28日 - 1981年8月22日)
著者没後40年に際し、2015年8月22日の記事に加筆再掲載いたします。

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もとより、30代で国を変えた維新の英傑に、自分をなぞらえるつもりはないが、若いなあ!と、感慨を覚えることはたまにある。
はじめてそれを感じたのは、日曜洋画劇場で見た「ロミオとジュリエット」。
ジュリエットを演じた女優が、当時15歳だと知った時、何とも言えない気持ちになった。
あの感情は何だったんだろう。
ハリウッド女優と田舎の高校生じゃ、およそかけ離れていて、嫉妬もないし、羨望とも違う。
あるいは、自分はまだ何者でもない、という焦燥だろうか。
30年以上経つけれど、あの気持ちは鮮やかに覚えていて、思い出すたびあの日の自分を、ぎゅっと抱きしめてやりたくなる。
それに似た気持を感じたのが、かつて愛読した、この本。

(「父の詫び状」 文春文庫)
ここでの記事に他の著書を紹介した(→ 「すぐみた話。」 )こともある。
学生のころ、この著者の一連のエッセイを、熱心に読んだものだ。
無駄のない文章、鮮やかな結末、まさに「突然現れてほとんど名人」である。
しかし、どんなエピソードにもオチがつく巧みさや、窮屈すぎるほどの美意識が鼻につくようになり、少しく離れている間に、あの事故が起きた。
誤解を恐れずに言うが、なるほど、と思った。
巧すぎる文章には、早い結末がふさわしい。痛ましい事故だが、いったんそうなると、他に彼女の退場のしかたはなかったように思えてしまう。
彼女が亡くなったのは、40年前の今日。51歳だった。
自分が、その年齢を越えてしまったことに、ある感慨がある。
そして、それが何の感情なのか、この年になってもまだ、うまく説明はできないのだ。

向田 邦子(1929年11月28日 - 1981年8月22日)
著者没後40年に際し、2015年8月22日の記事に加筆再掲載いたします。

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