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ふりこみ話。

今日は選挙

しかし私はずっしりとソファに腰を下ろし、山のごとく動かない。

取り立てて用もない、仕事も休みの日曜日、投票に行かないのは、偏に会場のせいである。

都会は知らず、ここいらでは投票会場はだいたい小学校の体育館

そして、郊外の小学校というやつは、なぜか丘の上にある。

丘といっても住宅地だから、急坂があるわけじゃない。なにしろ小学生が毎日通う場所だ。

だらだら坂を、だらだら登って投票し、だらだら降りてうちに帰る。

自分の子供も小学校とご縁が切れて長くなり

何やってんだ私?

なんだかバカバカしくなってきた。

そんな時、合唱団のお友だちが、練習の合間のほんの数分で、期日前投票を済ませてきた(→とうひょう話。)のを見て

スゴイ!かっこいい!

そのスマートさに感激したのである。

不在者投票が名前を変えたことは知っていても、そんなに気軽なものとは思わなかった。

それ以来、投票券が届くとすぐにカバンに入れ、買物の帰りに、図書館の返却のついでに、出先で思いつき次第、フラリと投票してくる。

通販の振込伝票が来たみたいな感覚だ。

いつまでに振り込まなきゃ、という期日があるのも似ている。

そのうちコンビニで、振込じゃない投票ができるようになっても、私は驚かないだろう。

はろうぃんどーなつ2021
(地味な話題なのでハロウィン限定ドーナツの写真をお届けします)



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2021/10/31 11:30

わかった話。

最近パソコンが遅い。

ぱそこん

ムスコが大学に入る前の年に買ったのだから、足掛け6年になる。

反応が遅くなっただけではない。

いつの間にかDVDドライブのトレイが開かなくなって、時々中からキューンと不吉な音がする。

前触れもなく画面が真っ暗になり、強制終了して再起動しないと動かない。

あれこれ工夫して切り抜けているわけだが、急いでいる時など本当にイライラする。

デスクに向かって毒づいていると

新しいの買ったんでしょ? そっち使えば~

寒くなったので、冬の服を取りに来たムスメが、ソファにひっくり返って、スマホから目も離さずに言った。

そうなのだ。

何でもぶっ壊れるまで使う私だが、パソコンと冷蔵庫だけは、経験上早めに買い替えた方がいい、と知っている。

だから、一念発起して新しいパソコンを注文したのは、夏の日差しがギラギラと軒を焼きはじめたころだった。

以来数か月

リビングのピアノの下に置いたパソコンの箱は、封も切らずそのままである。

開けない理由は、億劫だから。

新しいパソコンを使い始める時のあれこれが、ちゃんとできる自信がないから。

古いのがまだ使えているから。

なんだかんだ言って、1日が1週間になり、1か月が数か月になって、今に至る。

うーん…めんどくさい…

らしくないじゃん おばーちゃんみたい

ギャッ!それだけは言われたくなかった。

買ったものを、箱も開けずに死蔵するのは、母の得意技。(→ねかせた話。

わざわざ買ってきて、使わないなんて信じられない、早く開けなよ、とあきれていると

アンタも私のトシになればわかるわよ

不吉な予言をされた。

さて私は今日、パソコンの箱を開けるだろうか?

アンタも私のトシになればわかるわよ

わかったのか?わかりたくはない、けれど。



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2021/10/30 11:30

はりたい話。

冬を前に、先日、遅ればせながら新型ウィルスのワクチン接種の2回目が済んだ。

心配した副反応も、接種箇所の痛み程度で、ひとまずヤレヤレというところである。

ほっとしたのもつかの間、小さな悩みが、あらたに生まれた。

せっしゅけん1

どなたも見覚えがおありの、この1枚の紙。

下部左部分が接種券のシールになっており、接種が済んだ今ははがされて、空白になっている。

問題はその右側である。

予防接種済証、というその部分には、2回の接種の日付と接種場所が記され、ワクチンのロットを示すシールが貼り付けられている。

接種が終わった後も大切に保管してください。

赤字の指示に背くつもりなどさらさらないが、気になるのは、この部分もまた、シールになっていること。

シールというのは貼るものである。

台紙からペロンと剝がれて、裏にはノリがついている、この状態で保管するのが、落ち着かなくていたたまれないのだ。

どこか、しっかりした場所に貼り付けたい。

ノートのような薄い紙ではなく、できれば、少なくとも1ミリ以上はある、カードのような厚紙に貼ったうえで、保管したい。

すぐにでもそうしたい衝動に駆られるのだが

せっしゅけん2

シールは剝がさずに、この用紙を接種場所にお持ちください。

指示には従ったものの、

シールは剝がさずに

この文言が、接種後も有効なのか否か。

市役所に問い合わせるべきか、迷っている。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/10/29 11:30

がむての話。

百円均一の前で、私はボンヤリしていた。

買うものがあったのだ。

買うものがある、それだけは確かで、でもそれが何なのか、ちっとも思い出せない。

なけなしの記憶を絞り出して何かを求め、帰宅した瞬間、本当に必要なものを思い出す。

なぜ百均の店では毎度毎度こうなるのだろう。

ほぼあきらめて、棚のあいだをフラフラ漂流していたら、今日は奇跡が訪れた。

ガムテだ!

がむて

いわゆるガムテープ、正しくは粘着クラフトテープが終わりになったのを思い出せた。

たいして荷物も出さないのに、なぜガムテが減っていくかといえば、本来でない使い方のせいだ。

まずはゴミ捨て

住所や個人情報の含まれる紙ゴミは、以前はシュレッダーにかけていた。

しかし、際限ない作業と、シュレッダーの故障をきっかけに、バカバカしくなって止めた。

代わりに不要な封筒に詰め、ガムテでグルグル巻きにして、燃えるゴミに出すことにした。

年賀状も、3年経過したらガムテで巻いて捨てる。収集車に運ばれてスグ燃やされるのだから、庭の焚火で焼くのと同じことである。

そして、いまひとつの用途が虫退治

キャーキャー騒いでも、誰も何ともしてくれない1人暮らし。

平和裏に退場いただける虫については捕虫網が活躍するが、網で捕れないニョロニョロ系の虫にはガムテである。

そっと忍び寄り、まず背中からガムテにくっつけて捕獲。腹側からもう1枚のガムテを貼り付け、完全に密封して捨てる。

ベランダででっかいムカデに遭遇したときは、捕獲はあきらめ、床面にガムテで貼り付けた。要はうちに入ってこなければいいのだ。

アレもそろそろ はがして捨てないと…

レジで110円を支払いながら、夏から貼りつけてあるムカデを思い出す、晩秋。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2021/10/28 11:30

てでぃべあ話。

英国フェアがあるみたいね、とおばーちゃんが言う。

老舗百貨店の催事の中でも、とくに英国フェアは彼女のお気に入り。

人混みにもまれてタータンチェックやショートブレッドに散財するのが、母の毎年のお楽しみ(→ふぇあの話。)だった。

新型ウィルス騒動で、催事場での開催は取りやめとなり、オンラインでのイベントとなっていたのだが、緊急事態宣言の解除により

今年はあるのよ

ニンマリ嬉しそうなおばーちゃんである。

すこし先の話ではあるが、そうと決まれば随行せねばならぬ。

しかしその前に、言っておくことがあった。

今年はクマを買っちゃダメよ!

はろっずのべあ

孫のメイちゃんに、その年のクリスマスベアを買うのも、英国フェアでの恒例である。

えー、なんでーと不満そうな母に

おかーさん メイちゃんはもう高2だよ!いつまでもちっちゃい子じゃないの

現実を告げるのは少し心が痛んだ。

関東に住むイモート一家とも、もう長いこと会えていない。最後に会った時、メイちゃんは、まだ幼さの残る中学生だった。

ティーネイジャーの成長は速く、変化も激しい。

私たちの知るメイちゃんと、今の彼女は、きっと見違えるほどの別人であろう。

今日はテディベアズ デー

テディベアの名の由来となったアメリカ26代大統領、セオドア ルーズベルトの誕生日である。



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/10/27 11:30

きめつの話。

お互いワクチンも打ったし、お茶ぐらいいいでしょう、と、ミドリちゃんと会うことにした。

どうしてた~、久しぶり~、とひとしきり近況を報告し合った後、いきなり

そーいえばキメツノヤイバって見た?

へ?何?いきなり…アナタは見たの

見ない見ない 分かってるでしょ?

ミドリちゃんは筋金入りのヅカファンだ。

そっちこそ 分かってるでしょ アタシの流行りものギライ…

だよね~ ダメもとでとは思ったんだけどさ

聞いてどうすんの?

どういう話か あらすじだけでも教わっとこうかと…

ハハハ…無理無理…

彼女の周りには、あの有名なアニメ映画を観て、感激した人が多いらしい。

じゃあその人に聞けば、と言うと

最初に観たフリしちゃったもんだから いまさら聞けないのよ~

なるほどね。

人気のアニメを、1秒も観ていない者同士。

市松模様のハッピの子が主人公なんでしょ

ピンクの女の子は妹らしいわね

大正時代のお話なんだって

ええ~っ?じゃあ 真剣振っちゃおかしくない?ファンタジーと思ってたわ

まあ100年前なんて ほぼファンタジーよね…

それでも延々話が続いて、とぎれることがないのが、オバサンのおそろしいところである。

むげんれっしゃ
(じゃあこのボーボー燃えてる人は主人公じゃないのか)



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2021/10/26 11:30

すのじの話。

寝床から出るのが億劫な季節になってきた。

目を覚ましてしばらく、あたたかなフトンの中でモゾモゾする、至福のひと時。

仰向けに寝返りを打ち、両手をひろげて伸びをしたら、左足のふくらはぎあたりが痒かったので、右足の親指でポリポリと掻く。

天井を見ながら

あ、今私…す…

すのじ

自分が、ひらがなの「す」の形になっていることに気づいた。

フトンの外では、まずアリエナイ体形だ。いや、やってもいいんだけど、人には見られたくない。

そういえば、と、「す」の形のまま考えた。

むかし、朝の通勤電車に乗っていた頃のこと。

片手にカバン、片手に吊革をつかんで、満員の中でもまれていると、靴が片方脱げそうになった。

履きなおそうとカカトを浮かせたら、そのまま足が下ろせなくなったのである。

…イヤミのシェー…

いやみのしぇー

人知れずシェーのポーズになったOLを乗せて、満員電車は走る。

おかしくておかしくて、シェーのまま笑いをこらえ、プルプル震えている私を、隣にいたオジサンが気味悪そうに見ていた。

もう、あんな時間に通勤することはないだろう。

すの字をほどいて、ひとつ寝返りを打ったら、甘美な二度寝に沈んでいく。



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2021/10/25 11:30

マンボウ本。

数が多いことを、つい「ゴマンとある」などと言ってしまう。

両親も周囲の人も、そんな言い方はしない。

どうやら、子供の頃「どくとるマンボウ」を読んだせいらしい。

どくとるまんぼう

(「どくとるマンボウ航海記」 中公文庫)

その頃筆者は既にその文名を馳せ、ベストセラー「どくとるマンボウ」は文庫化されていた。

小遣いの乏しい中学生は、それすら易々とは買えず、古本屋の50円均一棚を探しに探した。

何が面白かったのだろう、いうならば、いちびる以外の笑わせ方を知った、ということだろうか。

いちびるというのは、関西弁で「図に乗ってふざける」という意味である。

学校のどのクラスにも、面白い、と言われる子は必ずいて、皆を笑わせている。

すっとんきょうな発言や、こっけいな表情、度を超えた悪ふざけ。

いちびりと呼ばれるそんな同級生につい笑わされながらも、人を笑わせるなんてあんまり立派なことじゃない、と思っていた。

しかし、どくとるマンボウはいちびらない。

何しろインテリでお医者さまで、偉大な歌人を父親に持つ芥川賞作家なのである。

教養があって、上品で、終始大マジメなのに、なおかつオモシロイ。

中学生の私はその不思議に驚き、新しい感覚に目を開かれた思いだった。

残念なことに躁病期に入って、どくとるマンボウもいちびり始めたので、生意気になりだした私は興ざめし、新刊は読まなくなった。

小さな田舎の古本屋に通って集めた初期の文庫本も、いつの間にか散逸して手元にはもう無い。



没後10年を記念し、2015年10月24日の記事を再掲載いたします。



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/10/24 11:30

なんどめ話。

今日は実家。

まいど―!と勝手口を入り、茶の間のいつもの位置に。生前は父がいた場所に、いつの間にか私が座るようになった。

ここのうちも、1日中テレビが点いている。

色のいいお茶が出て、画面を見るともなく眺めていると

あそさんふんか

阿蘇山噴火のニュースが流れた。

立ち上る噴煙の映像に目を奪われていたら、

…ワタシら行けなかったもんねエ 阿蘇山…

柿の種をつまみつつ、おばーちゃんが言い出した。

遡ること70年。

おばーちゃんの学校では、修学旅行の行き先は九州であった。

雄大な阿蘇の外輪山、草千里の眺望を楽しみにしていた、女学生たち。しかし、阿蘇山はコースから外されてしまったのである。

なぜならば、前年度の学生が阿蘇を訪れたその時、とつぜんの噴火が起こったからだ。

運悪く、旅行中の1人の少女を噴石が直撃し、亡くなってしまった。

だからうちの高校は 阿蘇には行かなかったの

恐ろしいね~! そんなことあるんだね~!

アイヅチを打つのは何度めだろうか。

そう、この話は初めてではない。

火山のニュースや、修学旅行の話題が出るたび、何度も、何十度も、聞いた話なのである。

…阿蘇山 行きたかったわ~

切り出した瞬間から、全貌が分かっている話を、しかし私は遮ることはしない。

この先も、さまざまな機会をとらえて、母はこの話をするだろう。

そのたびに私は、初めて聞いたような顔をして、怖いね、恐ろしいねとアイヅチを打つだろう。

あと何回、この話が聞けるだろうと思いながら。



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ごかぞく | コメント(10) | トラックバック(0) | 2021/10/23 11:30

ないしょの話。

持病のお薬をいただきに、かかりつけのヒカワ医院へ。

問診と血圧測定を済ませ、会計を待っていると、看護師さんが、こころなしか身を縮めるように、チョコチョコと1人の患者さんに近づく。

斜め後ろの椅子にかけている、高齢の男性だ。

辺りをはばかるヒソヒソ声で、相談のご様子。

聞き耳を立てるわけではないが、なにしろすぐ後ろだから、飛び飛びに聞こえてくる。

…ワクチンが… 今年は半分しか… 

ははーん。

この医院は新型ウィルスのワクチンはやっていないから、ワクチンと言えばインフルエンザのことだろう。

わくちん

報道では、今年はインフルエンザワクチンの供給が不足しているやに聞く。

あまり多くの予約を受付けられないのか、そういえば、例年ならこの季節、待合室に貼り出されるポスターが見当たらない。

…さんは去年も… なのでお声がけを…

毎年受けている高齢者に、優先してワクチンを回しますよ、というお話なのだ。

そりゃあ、他聞がはばかられるはずだ。

私は、子供の受験とか、よほどな事情のある時以外、インフルエンザの予防接種は受けない。

だからってお声がかからなくても、怒ったりしないのになあ。

まあ、みんなが我も我もとワクチンを頼んできたら、困っちゃうという事情も分かるけれども。

医院運営の大変さについて、さまざまに思いを巡らしていたら

インフルエンザでっか そしたらお願いしましょうかなア!

看護師さんのせっかくの気遣いは、お爺さんの大声でふっとんだ。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/10/22 11:30
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