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ゆうぐれ話。

レースのカーテンが、魔訶不思議な色に透けている。

時計を見れば、もう夕方。

夕焼けかしらとベランダに出てみて、思わず息をのんだ。

あきはゆうぐれ

こんな夕焼け、はじめてだ。

我を忘れて、しばらく見とれていたが、別の不思議がわいてきた。

ぜったい見たことないはずなのに、どこかで見た気がするのはなぜだろう?

冷えてきた肩をさすり、記憶をたどりながら、部屋に戻りかけたとき

♪ ~

頭の中にピアノの前奏が聞こえ、続いて

♪ Mama~ …

bohemian rhapsody

あっ!これだ!



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/11/20 11:30

ゆづるの話。

右足首を負傷中の男子フィギュアスケート、羽生結弦選手が、グランプリシリーズ最終のロシア杯も欠場することが発表されました…

羽生選手について知ることはほとんどない。

運動音痴の私にとっては、氷の上で飛んだり跳ねたりするだけで驚きであり、何回回ったかなど、もはや興味の外である。

ひとつ気になるのは、この人がとても寒そうであることだ。

氷は冷たいだろうし あんなに瘦せてんだから あったかい服着せてやればいいのに…

顔面蒼白、鼻を赤くしている彼を見ると、いつも思う。

私の身近には、寒そうな男がもうひとりいる。

ぼうにんげん
(ご無沙汰しております棒人間です)

ムスコは棒人間と揶揄される痩せ男で、しかも薄着である。

襟のあるシャツやタートルネックのセーターは、オエッとなると言って着ない。

真冬に細い首を出してフラフラ歩くムスコを見ると、こっちがゾクゾクしてくるのだ。

共通点は痩せていて寒そう、というだけで、スケートなんて絶対無理なインドア派だが

アイツのこと『ハニュウ君似の美青年』だって

ええっ?誰が?

アタシの友だち~

ムスメが言うのだ。

以前、ムスメの関係するイベントに、ムスコが顔を出したことがあって

その時のイメージが固定しちゃったみたい~

あんな丸顔のどこがハニュウ…

薄暗かったからかな~

影が差したのだろうか。

つきのみちかけ
(月の満ち欠けの要領ではないかと思われる)

写真見してやんなさいよ

オトートの写真なんか持ってないよ~フツー

ああ、日本のどこかで、とんでもない誤解が起きている。



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/11/19 11:30

しばしも話。

呆れた父に放り出された私(→しょうぎの話。)は、せいせいして友だちとの約束に出かけた。

シバシモ行ってきまーす!

だからシバシモって何なのよ!

母の声が追いかけてきても、振り返らず、返事もせずに飛び出す。

ゴム飛びは、外遊びがキライな私が、唯一熱中した遊びである。

腰~!

耳~!


宣言した高さに友だちが掲げたゴムを、ただ飛び越えるゴムだん。

あやとりのように足をゴムに絡ませたり、ひっかけたり、ぴょんぴょん飛んで遊ぶのも楽しい。

「キューピーちゃん」は「権兵衛さんの赤ちゃん」と同じ「リパブリック讃歌」のメロディーで

♪頭のとんがらかったキューピーちゃん
♪今日は先生の真似をして
♪郵便ポストに突き当たり
♪これは失敬 ごめんなさい


散文的な替え歌に合わせて、ゴムを飛ぶ。

しかし断然人気があったのはシバシモである。

柴犬ではない。暫でも、芝浜でもない。

シバシモやる?

やるやる!


今日も今日とて、女子が集まると、暗号のようなやりとりから、遊びが始まる。

母はながらく、その意味をはかりかねていたが、たまたまうちの前で遊んだ時

しばしも休まず槌打つ響き
♪飛び散る火花よ走る湯玉
♪ふいごの風さえ息をも継がず
♪仕事に精出す村の鍛冶屋


唱歌に合わせてぴょんぴょん飛ぶ子供たちを目にして、ナルホドと腑に落ちた風だった。


(覚えているのとちょっと歌詞が違う)



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/11/18 11:30

しょうぎの話。

将棋の藤井聡太三冠が、19歳3か月で最年少四冠を達成した。

ふじいそうた7だん

「か月」の付く若い人(→かげつの話。)の活躍は、門外漢にもまぶしく嬉しいニュースだ。

私は駒の動かし方も知らないが、亡くなった父は、囲碁・将棋など、勝負事の好きな人だった。

ある日珍しく家にいた父に捕まり、盤の前に座らされた。今から将棋を教える、というのだ。

友達とゴム飛びの約束があるのに、迷惑千万な話だが、いつも子供にかまわない父が、わざわざ言い出すのが特別に思えて、素直に従った。

まずは実戦と、言われるまま枡目に駒を並べる。

ああしろ、こうしろ言われながら、取られたり、取らせてもらったりしていると、わからないなりにちょっぴり面白くなってきた。

コレでアレを取ろう、と駒を動かしかけると

そこはダメだ そこは行かれない

父は心なしかムッとしている。

取られると思ってあんなこと言ってら、と、私は断固その駒を動かし、父の駒を取った。

バカ!そんな動かし方があるか!

いきなりバカと言われて私は不服である。

なんで?

なんでじゃない!こっちにしか進めないんだ!それが決まりだ!

なんで?

なんででもだ!

プレーヤーがルールに疑義を持ってはゲームは成立しない。父はサジを投げ、私は追い払われた。

あとになって、父は詰め将棋など並べながら

アイツはどうも、仕方のないやつだ…

独り言をいっていた、と母が笑っていた。

私に将棋を教えよう、という辛抱強い人は、その後の人生でも現れなかった。

9×9の枡目のなかは、未知の世界のままである。



本日11月17日は将棋の日につき、2016年6月6日の記事に加筆掲載いたします。



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むかしむかし | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/11/17 11:30

てんちょう話。

買物を終えてスーパーを出たら、両手に袋を提げて愛機青嵐号を目で探す。

いつもの駐輪場のいつもの場所。しかし今日は、なんだか様子が違った。

ひと目見てわかるくらい人が多いし、全員が、なにやらふくれっ面をしている。

何だろうと思いつつ自分の自転車を出そうとしたら、理由が分かった。

前輪のロックが外れない

この店の駐輪場は、よくある個別ロック方式。

ちゅうりんじょう

前輪を所定の位置に突っ込んで停めると、ガチャンとロックがかかり、一定時間を経過すると有料になるタイプのものである。

そのロックを解除する、精算機が壊れているらしい。

周辺にとどまっているのは、自転車を人質に取られて、帰るに帰れない人たちなのだ。

スマホを出して、深刻そうに話す女性。

精算機の前では、小太りのおじさんが、駐車場のガードマンに

早く何とかしろよ!

かさにかかって大声を出す。お腹立ちはわかるけど、警備員相手に怒ったって、と思っていたら

店長 店長呼べよ!

おじさんはさらにヒートアップしていく。

誰かが店内に告げに行ったらしい。スーパーの制服を着た、若い男性が出てきて

機械の管理会社に連絡していますので しばらくお待ちください

事態の鎮静化を図ったが

しばらくって いつまでだよ!こっちゃ買物してんだ!

おそらく一番長く待っているらしい、おじさんの怒りは収まらない。

溶けたらどうしてくれる!

ぷぷぷ、おじさん、アイス買ったのね。

店長を呼べ 店長を!

店長が好きだねエ。店長が来ても、機械は直らないと思うけどねエ。

けっきょく「しばらく」は15分くらいだった。工具箱を提げた2人の作業員の

長くお待ちなのはどなたですか?

問いかけに、小学生のようにピシッと手を挙げたおじさんは、テキパキ外されたボロいシルバーの自転車にまたがり、あっという間に姿を消した。

店長は?店長に、会わなくていいの?

おじさんのおかげで、怒らずに済んだな。そう思いながら、カギを外した。



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/11/16 11:30

へろうの話。

歩きながらふと、確認したいことを思い出したので、道の脇によけた。

並木の幹にもたれて、スマホをバッグから出し、画面を指で送っていたら

へっろう?

だしぬけに声をかけられた。

は?

ちょっとびっくりして、声のほうを見ると、私と同年配の女性がニコニコ

…blah blah blah…

英語で話しながら近寄ってくる。

何?何のセールス?

警戒色を強めつつ固まっていたら

…アラごめんなさい 人違い(こっちは日本語)

見違えるような真顔になったと思うと、踵を返して去っていった。

どうやら私に似た誰かと間違われたらしい。

地味で特徴のない顔立ちの私は、マスク生活が始まってから、すでに何度か人違いをされている(→そらにの話。)。

かねがね、うちの周辺に似た人がいるらしい、とは思っていたのだが

私に似た人、外人?

ますく
(ちなみに私の顔は平坦で典型的な日本人顔)



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2021/11/15 11:30

こうかい話。

フトンの中で、自然に目が覚めた。

まとまった仕事が片付いて、起きてもいいが起きなくてもいい、日曜の朝。

二度寝しようとモゾモゾ寝返りを打って

あ、今日、ケツアツだ…

ふとテレビのことを思い出す。

毎週見ている健康番組の先週の予告で、たしか今日は血圧の話だと言っていた。

私の血圧は、まだ薬を飲むほどじゃないけど

これ以上 上がったらダメだよ

かかりつけのヒカワ先生にも注意されている。

テレビ番組のヒント程度でも、少し気をつけておいた方がいいだろうか。

しかし、フトンの外のひんやりした空気が、その気を削ぐ。

うーん… ま いっか… 

こういう時、必ず安易な方に流れる自分の性質は、誰よりも自分がよくわかっている。

もう1回寝返りを打とうとしたとき

…しなかった時のほうが 人の後悔は大きい

生命保険のCMで、誰かが言っていた言葉が浮かんだ。

そうだよな!

にわかに出たやる気が失せないうちに、フトンをはねのけ、ガバリと飛び起きて、テレビを点けたら、番組はすでに始まっていて

フトンの中で ゆっくり体を動かしてから…

白衣の先生の解説中だった。

急に飛び起きると 血圧急上昇に…

えーと、これは、行動した後悔、なのかな?


(言ってた「誰か」はバナナマンの設楽さんでした)



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/11/14 11:30

おすしの話。

このうちに引越してきて、戸外で時々、聞きなれないメロディーが流れるのに気づいた。

♪…ぴろぴろぺろぺろ ぴろぴろぺ~ろ~ ぽぽぽぴろぴろぺろぺろり~…♪

なんだかのんきな、電子音である。

正体がわからぬまま、しばらく経ったある日の買物帰り、例のメロディーが聞こえてきた。

♪…ぴろぴろぺろぺろ ぴろぴろぺ~ろ~…♪

音のする方を見れば、なんとパトカーである。

♪…ぽぽぽぴろぴろぺろぺろり~…♪

ランプも光らせず、低速で走っているから、パトロールのようだ。

それにしても、この曲は何だろう。疑問は意外に早く解けた。

職場で郵便物を大量に出すことがあり、並んで封入作業をしていた時

♪…ひふひふへほへほ ひふひふへ~ほ~…♪

オオウチさん!それ!その曲何?

鼻歌まじりで調子よく作業していたオオウチさんは、私の勢いに面食らいつつ

何って… イカのお寿司

は?イカの?

うん 「イカのおすし一人前」 知らない?

聞けばこの曲は、県警のオリジナル曲で、地元では知られているらしい。

そして、歌詞の「イカのおすし一人前」とは

知らない人についていかない

知らない人の車にらない

「助けて!」とおごえをだす

その場からぐにげる

近くの大人にらせる

一人で遊ばない

出かけるにおうちの人に行き先を言う


子供の安全の心得を、短くつづめた合言葉なのだそうだ。



真面目そうな警察署員が踊る、イカのおすしダンスも公開されている。

バカにするのは簡単だけど、この歌ができたのは平成16年

全国に大きなショックを与えた、 小1女児誘拐殺人事件が、他ならぬこの県で起きた、その年だと知れば、気軽く茶化す気持にはなれない。

9日宮城県の子ども園に刃物男が侵入した事件では、「いかのおすしが届きました」という合言葉が、子供を守ったという。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/11/13 11:30

ちやほや話。

朝のワイドショーを点けたら、いつもの司会者が、知らない人を囲んでニコニコしている。

週に1度のインタビューコーナーだ。

今日のゲストはミステリ作家らしいが、すぐにチャンネルを変えた。

私はこのコーナーがキライなのである。

どこの誰が来ようとも、その人を好きでも嫌いでも、関係ない。

興味あるゲストの時は、ちょっと後ろ髪引かれる思いもあるが、それでも見ない。

簡単に言うと、出演者が寄ってたかってゲストをチヤホヤするのを見るのがイヤなのである。

わざわざ番組に呼ぶくらいだから、仕事で立派な成果があるのだろうし、それについてチヤホヤするなら、何の異存もない。

しかしこういう番組では、往々にしてそれとは関係ない部分をむやみにホメる。

有名人の私生活には興味があるでしょう、ということなのだろう。

しかし、作家のフダン着とか、俳優の朝ゴハンとか、歌手のソージのしかたとか、チヤホヤするほどのもんですか。

コダワリのナントカの紹介も多いけど、元来「こだわる」なんて恥ずかしいことで、他人様に知らせるようなことじゃない。

別にフツーじゃんと思うような事柄を、いかにも興味ありげに聞く司会者。

そしていちばんイヤなのは、チヤホヤされて、まんざらでもない風なゲストの顔だ。

もともと好意を持っていた人までキライになってしまいそうで、だから私はあのコーナーを見ないのである。

ちょうよはなよ
(「チヤホヤ」の語源が「蝶よ花よ」というのは本当だろうか)



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/11/12 11:30

れしぴの話。

テレビで、雑誌で、毎日さまざまな目新しい料理が紹介されている。

エスニックや創作料理など、食材や調味料を見ただけでは味の想像がつかないものもある。

ああいうのを見て、実際に作ってみる人ってどれくらいいるのだろうか?

私の場合、料理番組を見ても、主婦雑誌を読んでも、

へえ~、こういうのあるんだ~

面白がったら終わりで、その日の料理に影響することは、まずない。

テレビや雑誌の情報は、それはそれとして、私は私の普段作る料理しか作らない。

たとえばサンマとクレソンのアヒージョ風煮込み(仮)というものを初めて見て、おいしそう!と思うには相当の想像力が要る。

  ※ 雑誌を繰りながらテキトーに考えたもので実在の料理ではありません

そこを何とかクリアして作ってみたとして、問題は、ソレが果たして正解かどうか、である。

レシピに首っ引きで作ったソレが、本物のサンマとクレソンのアヒージョ風煮込み(仮)である、という保証はどこにもない。

美味しくってもマズくても、なにしろ正解がないから、これはこんなモノなのかも…と思って終わりになる。

その曖昧さが困るのである。

ここまで書いて、ハタと気づき、念のためサンマとクレソンのアヒージョ風煮込み(仮)をネット検索してみたところ、驚いたことに、いくつか類似のレシピがヒットするではないか。

さんまのあひーじょ

世の料理研究家の皆さんのあくなき探求心に驚嘆するとともに、これだけ連発した以上、今夜はサンマとクレソンのアヒージョ風煮込み(仮)を作るべきか、迷っている私である。



本日早朝より多忙のため、2015年11月11日の記事を再掲載いたします。もとよりサンマとクレソンのアヒージョ風煮込み(仮)を作る予定はございません。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/11/11 11:30
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