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あてなの話。

さて年賀状準備の続き。

昨日は印刷だけで疲れ果て、宛名書きは今日になった。

公私ともに手書きは減る一方のこのごろ、まとまって字を書く貴重な機会。今年の年賀状を見ながら、ヘタクソなりに1枚1枚記していく。

知ってる人の名前、知らない街の住所。いい人の住む街の名は、素敵に見える。

アイウエオ順に束ねた今年の年賀状、最後のワタナベさんまで宛名を書き終えたら

ふー…

ちょっと寂しいため息が出た。

3年前まで、最後の1枚はセンセイだった。

小学校5年を担任してくださった、私の恩師。

黒板で見慣れた達筆は、リタイアされても変わることなく、毎年の年賀状で先生の美しい字を拝見すると、ピリリと緊張するものがあった。

子供のころセンセイに何度も直された癖字が、直らぬままに大人になってしまった私の、せめてもの努力、それが

センセイのハガキは最後に

だったのである。

日ごろ横着して字を書かない私も、何十枚かの宛名を書くうちに、多少は書き慣れてマシになる。

だから、アイウエオ順では前半になるセンセイのハガキは、いつも最後に書く。

そんな習慣も、途絶えて3年。

私が出した年賀状が、あて所不明で戻ってきたのだ。(→もどった話。

施設に入られたか、亡くなったか。知りたくないから、それは調べない。

記憶の中のセンセイは、今も黒板の前で、すっと背筋を伸ばして立っておられる。

ねんがはがき2022




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もろもろ | コメント(7) | トラックバック(0) | 2021/12/21 11:30

ぷりんと話。

そろそろ年賀状をこしらえねばならない。

未年の素材集(→がじょうの話。)を、また使ってやろうと思っていた。ハガキが52円のころからだから、我ながら物持ちがいい。

ところが、今年買い替えたパソコンにCD-ROMを入れるところが無いではないか。

とうに償却期限の来たCDのために、外付CDドライブに投資するというのも

もったいないような…そうでもないような…

ブツブツ言いながら愛用の冊子を捨て、ネットの無料素材を探してどうにかこうにかでっち上げたら、まずは試し刷りである。

うーん…

ハガキ大に刷ってみると字が小さすぎる

若いころならともかく、50代後半の私。友人知人も老眼の始まるお年頃である。細かい字は配慮を欠くというものであろう。

パソコンに向かって修正作業を行い

よしよし…

読みやすくなったのを確認して、いよいよ印刷。物持ちの良い私は、プリンタも相当な年代物で

ブーーン…ガコッ!…ブーーン…

ときおり異音の混じる印刷作業は、スリル満点だ。なんとか数十枚を刷り終え

ふー、ヤレヤレ…

額の汗をぬぐい(何の汗だ)、達成感とともに刷り上がったハガキを眺める…と…

ああーっ!

なんたることか、修正前の小さい字バージョンではないか。

しかし老眼世代の私には、ハガキを交換して刷り直す気力体力は、もはや残っていないのである。

ガックリ床に膝を落としてしばし。やがてムクリと起き上がり

…ま、しょーがないか!

このあきらめの早さも、老眼世代ならでは、かもしれない。

ろうがん



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2021/12/20 11:30

さいあい話。

洗濯など終えて、ヤレヤレと腰を下ろし、スマホを開けたら

おはよー!最終回見た?

カナイさんのLINEメッセージに

ヤバい!

思わず声が出た。

最終回、というのは昨夜放映のドラマである。

2か月ほど前の電話で、その日が初回のドラマのキャストが面白そうなので、見てみようかという話になったのだ。

約束通り初回はオンタイムで視聴、翌朝LINEで感想を交換した。

2回目からは録画予約をして、万全の構え。

しかし、続き物が続かない私は、録画したことですっかり安心してしまった。

5回目の放映のあと、カナイさんから

やっぱり弟だったね!なんだかわからなくなってきたわ~

LINEが来たときは

弟?誰?

内心疑問に思いつつ、

そうだね~ ますますわからなくなってきたね~

無難に返しておいたのだ。

ちょっと焦ったものの、そんなことはすぐ忘れ、見ないまま録画が溜まって、ついに最終回。

いまさら見てないとはとても言えない。

録画なの 今日ゆっくり見るわ!

慌てて返信すると

じゃあネタバレしちゃ悪いね あとでね!

いそいで録画した最終回を見たが、なにしろ10回のうち8回見てないから、何が何だか、誰が誰だか、さっぱりわからない。

かといって、これから残りを見る気力も、時間も無いのである。

どうする私!

ドラマよりサスペンスな、休日の朝。

さいあい



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てれびじょん | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/12/19 11:30

へいてん話。

人と会うために、久しぶりの通りを歩く。

あーれー?ここってこんな風だったかな?

もともとなじみのある街ではない。唯一心あての、何度か入ったことのある、ステキな喫茶店を探しながら歩くが、見つからない。

いいトシして迷子か、と覚悟しかけたとき

もしもし~ 今どこですか?

携帯が鳴って、事なきを得た。

帰り道にその場所が分かったのは、用件が済んだ余裕からだったろうか。

ポットにたっぷりの紅茶を出してくれた古い喫茶店は、白いシートで囲まれた空間になっていた。

あーあ…残念…

思わず、周りに聞こえるヒトリゴトが出る。

新型ウィルスの騒動が影響しているのか、どうかわからないが、ここのところ見慣れた店の閉店が続く。

ひと月ほど前、創業200年という地元書店が閉店したときはガックリきた。

もちろん、私などに言える筋合いはない。

喫茶店には年に何度も来なかったし、本はつい、ネットで買ってしまう。

支える行動をせずに、閉店ばかり惜しむなんて、店の人にしてみれば、勝手にもほどがある。

風が吹き込む胸を抱えて、駅までを歩く。

以前来た時より、シャッターの閉まっている店が多いのは、やっぱり気のせいじゃない。

別の工事現場の前では、制服の女学生がふたり、カラフルなポスターに見入っていた。

キャラキャラと楽しげなのは、若者向けの店ができるらしい。

若さとは、新しい店ができる楽しみ。

年を取るということは、無くなった店を惜しむ寂しさ。

そんなことを考えながら、北風の街をまだ歩く。

とよすみしょてんのかんばん
(「江戸時代から続く老舗書店、10月末で歴史に幕」)



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2021/12/18 11:30

うちまた話。

雨の出勤、気になるのは、ズボンのすそ。

昔は舗装されてない道も多かったから、泥ハネはしょっちゅうだったが、同じように学校に行って帰る友だちの中でも、私の泥ハネはひどかった。

まったく…どんな歩き方してるんだか…

雨が降るたび、母に叱られたものだ。

大人になった今は、さすがにそんなことはない。

舗装した路面にも、晴れた日は見えない凸凹があって、凸の部分を選んで歩く。おしゃべりに夢中だった子供時代に比べれば

アタシも進歩したもんだ…

そんなことを思いつつ、水溜りをまたいだら、もうひとつ気づいて、おかしくなった。

内股になってるな

理由は分かっている。ウルトラアイだ。

NHKの科学教養番組「ウルトラアイ」。

身近な問題をテーマに、科学的な検証や実験を行い、生活の中の疑問を解決する番組だった。

見ていた私は中学生か高校生だったか、泥ハネがテーマの回があった。

その検証によると、泥ハネは、一方の足が上がるとき、反対の足につくのだという。つまり右足についたハネは、左足が上げたものなのだ。

それを防ぐには内股歩きがよい、という。

スローモーションカメラが和装女性の足元をとらえ、内股の草履の底についた泥は、みごとに左右に逃げて、白足袋を汚さなかった。

映像の印象は鮮明で、記憶は長く消えない。

以来じつに40年の長きにわたり、私は水溜りの道を内股で歩いているわけである。

効果があるか、ないかは、もうどうでもいい。

ただ、あのときテレビを見ていた人が、どこかで同じように歩いているかもしれないと考えると、雨の日が少しだけ、楽しくなる。

うるとらあい
(ウルトラアイと言ってもこっちではない)



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てれびじょん | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/12/17 11:30

ウサギノ本。

35才の女性が250冊の絵本を自費印刷し、友達や家族に配った。

優れた観察眼と確かなデッサン力に支えられた作品は評判を呼び、商業出版されて大ヒットする。

資産家の両親から自立することを願っていた彼女に訪れた、遅いチャンスだった。

喜ばしいことに思えるかもしれない。しかしその前には大きな挫折があった。

幼いころから身近にたくさんの動物を飼育してきた彼女は、時には動物を解剖し、剥製にして骨格を研究するなど、博物学に興味を持っていた。

女性の高等教育の必要性が、ようやく認識し始められた時代。

彼女がとりわけ興味を惹かれた菌類の精緻なスケッチを、他の研究者も当初は評価したが、研究が本格化するにつれ、彼らの態度は掌を反すように冷たくなった。

学会への参加も許されず、提出した論文は代読、それもタイトルのみだったという。

オヤジのやることといったら、昔も今も同じだ。

若い女が、ヒラヒラ周囲を飛び回っている間は目尻を下げていて、自分たちの領域に入ろうとした途端、スクラム組んで排除にやっきになる。

心血注いだ論文を黙殺された、彼女の失望は想像するに余りある。

1901年12月16日は、ビアトリクス ポターが絵本作家となった日。

ポターが創った小さなウサギは、120年の時を超え、国境を越えて、今も愛され続けている。

ぴーたーらびっとのおはなし
(「The Tale of Peter Rabbit」 1902)



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ブックガイド | コメント(12) | トラックバック(0) | 2021/12/16 11:30

はいすい話。

ことのほか冷え込む朝。

…ゴゴー--…

出かける予定がないので、いつも以上にダラダラしていたら、遠くで異音がした。

なんだろ?

何気なく窓辺に寄り、下を見て

ギャッ!聞いてないよ~!

どこかで聞いたような悲鳴をあげるや、がぜん私の動きは活発になった。

まず洗面所に走り、寝ぼけた顔を冷水で洗いながら、洗面器周りを使ったタオルで拭く。

ドテラを脱ぎネマキを脱ぎ、ふだん着に着替えたら、脱いだものを洗濯カゴに押し込んで、ついでに洗濯機周りをざっと片付ける。

返す刀で風呂場に向かい、熱いお湯で浴槽とタイルを流して、排水口をチェック。

残るは難関の台所だ。

昨夜サボった食器洗いを、皿も小鉢も割れんばかりの勢いで済ませ、ゴミ受けを外してゴシゴシと洗わねばならない。

怒涛の数分が過ぎ、肩で息をしながら、濡れた手を拭いたタオルを洗濯機に入れた。

はぁ~…

…ゴゴー--…

外では異音が続いているが、ここまでやっておけば安心…だ…けど

来ない

予期した訪問者は、いっこうにやって来ない。

サンダルをつっかけ、階段を下りたら、そこに停まっていたのは

こうあつせんじょうしゃ

高圧洗浄車である。

マンション住まいならご存じだろう、排水管洗浄にやってくる、おなじみの作業車だ。

立っていた作業着の男性に

あのー うちは何時ごろ…

あ、今日は屋外の雨水管の清掃なんで お宅には伺いませんよ~

聞いてないはずである。

さっき駆け下りた階段をボンヤリ上がり、玄関を開けて見回せば、家事の大半が終わった我が家。

なんだかサッパリして、逆に居心地が悪かった。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2021/12/15 11:30

こよみの話。

日付にまつわる記事を書くことがけっこう多い。

最近だと、12月7日、クリスマスツリーの日の記事(→かざりの話。)なんかがそうである。

何を書こうかな、困ったなと思うこともあるわけで、そういう時にきっかけになる○○の日というのは、正直ありがたい。

この春買い替えたスマートフォンが

今日は高圧洗浄車の日です

頼みもしないのに教えてくれるのも、日付の記事が増えた理由かもしれない。

今日も今日とて、日付を検索してみると

12月14日は忠臣蔵の日です

元禄15年12月14日、赤穂浪士の吉良邸討入があった。

私も60年近く日本で生きてきたから、忠臣蔵に関して2つや3つのエピソードは思い浮かぶし、紹介したい本もある。

しかし、記事にするについて気になるのが、暦の問題なのだ。

元禄15年12月14日は、西暦では1703年1月30日

はたして、2021年の今、

12月14日は忠臣蔵の日でーす!

言ってしまっていいのだろうか。

細かいことが気になる性分が邪魔をして、書くのをためらってしまう。

いきおい旧暦の時代の記事は少なくなり、明治以降、もしくは西洋に関する記事が増える。

私の記事がミョーにハイカラに見えるとしたら、それは暦のせいだと思う。

だいしょう



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もろもろ | コメント(11) | トラックバック(0) | 2021/12/14 11:30

ばぢょんこ話。

衣更えの時、ボロい服をバカスカ捨てたものだから、着るものが足りない。

年末も近く、混み合うショッピングセンターに出かけるのも気が進まないので、ネットで調達することにした。

通販サイトを開いて、テキトーに見繕った商品をカートに入れたら、決済画面に進み

あ… アタシ ばぢょん子だった…

忘れてたことを思い出す。

このサイトを最初に利用したのは、ずいぶん前だが、当時はパソコンに不慣れだったこともあり、入力に苦心した。

送料を確認して、郵便番号に住所、メールアドレスと、クレジットカード番号と…。

おっかなびっくり必要事項を埋めて、やれやれとENTERキーを押したあと

アレ?ああー!

なんと、いちばん最初の姓名の欄を、間違えていることに気づく。

(正)   【姓】でんば  【名】ぢょん子
 ↓
(誤)   【姓】でん   【名】ばぢょん子


ヘンなところでtabキーを押したらしい。

訂正したくても、ただでさえ消耗したネット初心者には、とうてい無理だった。

なるようになれ…

数日後、不着にもならず、無事に我が家に届いた荷物の送り状を見ると

でん ばぢょん子様

ビミョーに間隔がある…。

以来ときどき買物するこのサイトで、私の名前はずっと、ばぢょん子である。

ほしかったぱーか
(このパーカが欲しかったが子供服だった)



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/12/13 11:30

けだまの話。

さて、アレはどこにしまったかな?

探し物はこの毛玉とりである。

けだまとり

リンゴひと切れほどの櫛みたいなものでセーターをこすると、表面の毛玉が取れる便利グッズを、どこにしまったか思い出せない。

しまい場所が分からなくなるには、理由がある。

ひとつめは、あんまり使わないこと。

気候の温暖化で、冬場もセーターを着なくなり、毛玉を気にすることが減ったせいで、毛玉とりの出番は久しぶりである。

それから、分類がビミョーなこと。

衣類に関連しては、たとえば洗濯、収納といった分類が考えられる。

繕うという点で、裁縫道具などもそうだ。

しかし毛玉とりは、どの分類にも、入りそうで入らない。

大きければそれなりの存在感を示すだろうが、なにしろ小さなものだ。仲間外れだなと思いつつ、スッと入れればしまえてしまう。

その、スッ、が曲者なのだ。

しだいに考えは、どこか、ではなく、どう分類したか、に移っていく。

衣類の手入れ…あっ、アイロンの周りかな?

前にセーターをしまった時…防虫剤のとこ?


捜索は広からぬ家じゅうに及び、やがて

…あったあ!

ハサミやカッターなど、文房具と一緒の抽斗に入っている、毛玉とりを見つけた。

どうやら前回は、何かを切り取る道具という分類であったらしい。

気になっていた毛玉をとったら、さて今度はどんな分類でしまうかな。



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もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2021/12/12 11:30
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