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かかった話。

おばーちゃんのお友だちが、新型ウィルスに感染した。

自宅療養中に、電話をかけてきたらしいから、軽症なのだろうが、いよいよ身近に迫った脅威に、老母は震撼している。

ショックで血圧が上がったなんていうから心配になって、顔を見に行った。

…とりあえずさ おかーさんはワクチンの3回目も終わってるし 治療薬も…

もるぬぴらびる

そのが怖いのよ!

へ?

お友だちも、薬を処方されて、飲んだところが

副作用がすごくて 死ぬかと思ったんだって!

新型ウィルス感染そのものより、治療薬の副作用におびえている。

小さな肩を丸めて委縮している母の姿を見たら、なんだか腹が立ってきた

感染したのはお気の毒だけど、聞かれもしないのに言いふらす人は、私は好きではない。

死ぬかと思ったとか、そもそも病気にかかってもない者を、怖がらせるなんてどういうつもりだ。

副作用の相談なら、何の知識もない友だちなんかじゃなく、医者にすればいい。

そう、思ったことを言うと

だってそんな 向こうは大変で…

なにやら心外そうなおばーちゃんに、つい続けて

アンタの話で血圧上がってフラフラよって その人に電話してやれば?

これは、完全に余計だった。ションボリしていたはずのおばーちゃんが

アタシの友だちにそんなひどい… ほっといてちょうだい!

プンプン怒り出したので、早々に逃げだす。

元気が出たので、良かった気もするが、えーと、この場合、やっぱり私が悪いですか?



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ごかぞく | コメント(14) | トラックバック(0) | 2022/02/18 11:30

すきむど話。

人の勧めで、このごろ牛乳を低脂肪にかえた。

ずっと前、間違って買った低脂肪牛乳はシャバシャバで、飲む気がしなかったが、技術の進歩か、飲む側の味覚の退化か、とくにマズくはない。

低脂肪牛乳を意識したのは、在外の時代。

借家に入ったら、そこには家主が住んでいたころからの業者が付いていて、牛乳屋さんもその中のひとつだった。

玄関のブザーを押して、やってきたミルクマンがくれた用紙には

full cream □
semi-skimmed □
skimmed □


3種類の欄に、印を付けるようになっていた。

子供も小さかったし、おいしそうな響きに惹かれてfull creamを選ぶと、翌朝から銀紙でキャップをした瓶の牛乳がとどく。

ミルクマンの持ってくる牛乳は、均質加工されないノンホモ牛乳。フタの裏には、濃いクリームがくっついていて、おいしかった。

こんなおいしい牛乳があるのに、わざわざ脱脂乳を飲む人の気がしれない。

紅茶に入れる牛乳の脂肪ごとき、削ったところで何ほどの目方も減らないだろうに。

そのころはまあ、そんな風に考えていたわけだ。

あれから20有余年、私もトシをとった。

美味しくもマズくもない、低脂肪牛乳入りのコーヒーを飲みながら、何やら感無量である。

すきむど
(左からfull cream、semi-skimmed、skimmed)



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2022/02/17 11:30

おいこす話。

窓の外、短い冬の日が暮れ始めたのに気づいて、あわてて帰り支度をする。

まだ後片付けがあるミミ先生を残して、そそくさと失礼した。

先生とお会いするようになって、もうすぐ3年になる。

同年配の女性同士、もっと親しくなってもよさそうなものだが、仕事上の立場の違いもあるから、線引きはなかなか難しい。

雑談の時間もそうは取れないので、これまでのお付合いで分かったことといえば、だいたいの年齢と出身地くらいのものだ。

お住まいは私と同じ沿線らしい。

以前、たまたま帰りの電車が一緒になった時は、いささか話題に窮した。

私は図々しく見えてあんがい遠慮がちで、個人的な事柄を聞くのが苦手だし、ミミ先生はそもそも口重な方である。

先に私の降りる駅に着いて、シツレイシマスと言いながら、少々ホッとしたのを覚えている。

けっして好かぬ人だというわけではない。

ただ、雑談のできる相手ではない、というだけのことなのだが、分かっていただけるだろうか。

ボンヤリ考えながら、駅への道を歩く。

ほほに当たる風が冷たくて、道の端によけたら、背後から向こう端を、スッと追い越していく背中が見えた。

ほっそりした体を包む個性的なジャケット、独特な色のストール。

ストールとマスクで顔は見えないが、ミミ先生だ。

遅くなったので、いつもの電車に乗るために、急いでらしたのだと思う。

気安い間柄なら、ポンと肩をたたき、ぢょん子さん、とひと声かけたことだろう。そうはならないあたりが、われわれの微妙な距離を示している。

さっきまで会っていた人に黙って追い越されるなんて、ショックな状況かもしれない。

でも私は、ふしぎに嫌な気持にはならなかったし、大人っぽい配慮がむしろありがたかった。

ただ、たまたま先生で、たまたま私だからああなっただけで、一般化はできないだろうとは思う。

次にお会いするのが楽しみな、そんな帰り道。

よるのまち



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2022/02/15 11:30

がりれお話。

…今日はガリレオ ガリレイの誕生日です… 

点いていたテレビの声に、ふと耳をとめる。

がりれおがりれい
(Galileo Galilei、1564.2.15-1642.1.8)

ガリレオ ガリレイね。

物理が苦手な私には、その偉大さはわからないが、名前には前々から引っかかっていた。

姓と名が1文字違いってすごくないか?

ガリレオと、ガリレイ。4文字のうち3文字が同じである。

日本人に置き換えれば、たとえばヤマモト ヤマモリ(仮名)という感じだろうか。

うーん、ヤマモトさんはいても、ヤマモリさんはいないかな。

4文字の姓でいろいろ考えてみた。(日本の苗字ランキングより無作為に抜き出したもので、他意はございません)

ワタナベ ワタナオ

コバヤシ コバヤス

ナカムラ ナカムネ


現実にはいそうにない(いらしたらごめんなさい)お名前ばかりで、なかなかうまくいかない。

おっ、これはどうだろう。

タカハシ タカハル

いいぞ、いいじゃないか。姓も名も見たことあるし、現実味がある。

タカハシ タカハル(仮名)さん!

貴方を日本のガリレオ ガリレイに認定します!

もし学生だったら、物理の勉強ガンバってください。陰ながら応援しております。



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2022/02/15 11:30

かみのけ話。

本日少々バッチいお話ですので注意してお読みください。



子供が帰ってくると、ちょっとビックリする。

お風呂をたてて、せっかくだからと先に入れてやり、あとで入って浴槽を撫でてみたら、手触りがザラッとするのである。

忘れていたが、そういえば浴槽って、こんな風に汚れるものだった。

私だけならこうはならないから、年齢も60近くなると新陳代謝が衰えてくるのだろうか。

驚くことはそれだけではない。

彼らが去った後、掃除機をかけると、ギョッとするほど大量の毛髪が集まるのだ。

リビングと寝室でノビているだけの人間のどこから、これだけの髪が抜けるのであろう。

あたかも、私の目を盗み、家じゅう頭を掻きむしって回ったがごとくである。

むろん私のも混じっているが、違いは一目瞭然だ。若者の髪は、細くとも猛々しいハリがある。

私の抜け毛はヘナヘナで、つまむのに苦労する。髪を梳いたあとの片付けは、老眼の進行もあってめんどくさくなる一方だ。

白髪が生えていても驚かないが、抜け毛が白いとショックなのはなぜだろうと考えつつ、スマホを開ければ、おばーちゃんからLINE。

ムスコ君のチョコレート買ったけど つぎはいつ帰ってくるの?

そうか、今日はヴァレンタインデイか。

たまにしか会わない孫にチョコを買ってくる母もどうかと思うが、まるで忘れてた私も問題だなと思いながら、さあ、知らないと答えた。

ちょこれーと



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2022/02/14 11:30

かみのて話。

ハタキを使っていたら、テレビの上に座っていたカエルが落ちた。

すわるかえる

本物ではなく、ムスメが前にガチャガチャでとってきたオモチャである。

けっこうな距離を飛んで、テレビ台の後ろの隙間に入ったので、手が届きそうにない。

かけてあったフックにハタキを戻し、隣のフックにかけてあるマジックハンドをとった。

魔法の手なんて大げさだが、なんの気なしに買ったものだ。

必要なものがあって百円均一に行き、レジまでプラプラ歩く途中

へえ~ こんなものが100円…

発見してもふだんなら買わないだろう。しかし、その前日のできごとが、私に手を伸ばさせた。

洗濯機と壁の隙間に、クツシタが片っぽ落ちたのだ。落ちたクツシタを拾う、それだけのことに、どれだけ難儀したことか。

もし昨日 これがあったら…

人はそれを衝動買いと呼ぶやもしれぬ。

難儀しつつ、落ちたクツシタは拾えたのだから、冷静に考えればマジックハンドの必要性はもはや無いのである。

気がつけば私は、いささかオモチャじみたそれを持って、レジに並んでいた。心の片隅では、早晩ゴミになることを覚悟しながら。

ところが、意外なことに、マジックハンドの出番はあった。毎日というわけではないが

ああそうだ アレがあった…

思い出す機会がコンスタントにあるうえ

あーよかった 助かった

ホッとすることも、けっして少なくないのである。

なんにでも心の名前を付ける癖のある私は、この器具を孫の手ならぬ、神の手と呼んでいる。

まじっくはんど



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もろもろ | コメント(14) | トラックバック(0) | 2022/02/13 11:30

かみのめ話。

紙の目をご存じであろうか。

例えば新聞に、ためになる記事が載っている。

周囲を見回して、ハサミが無ければ、私のように不精な人は、ちぎっておこう、と思うわけだが、これがなかなか思うに任せない。

紙面に対して縦の方向は裂けやすいのに、横向けにまっすぐちぎるのはまず無理だ。

あげくにギザギザ、ヘンテコな形の紙片と、ズタズタになった元の新聞を手に、タメイキをついた経験のある方も多いのではないだろうか。

おそらく抄紙の際に紙の原料が流れる方向が関係しているであろう、あの裂けやすい方向、あれが新聞紙の「紙の目」なのである。

コピー紙、ノートや本、どんな紙にも目はある。

あまり聞かないが、食品などのプラスチック包装にも、目があると感じることがある。

はるかいろ1

このところの寒さで、連日お世話になったカイロは、青マルの箇所に切り口がある。

ところがこの位置が、目と合っていない。切り口から引っ張ると

はるかいろ2

ふつう想像するのと、違う方向に裂けるのだ。

開封自体に差支えはないけれど、地味にめんどくさいというか、ほんのちょっと不快になる。

それでも人間は慣れるものである。

ヘンな方向に袋が開いても気にならなくなり、平常心で数日、カイロが無くなったので、買い置きの新しい箱を開けた。

さあ切り口から、ヘンな方向に…アレ?

はるかいろ3

いい感じにスッと袋が裂けた。わざとなのか、偶然か、包装材料の方向が変わったらしい。

そして今、カイロの袋を開封するのが、自分でもおかしいくらい、いい気分なのだ。

当然切れる方向に、袋が切れる。それだけのことがこんなに楽しいなんて、われながら、つくづく安上がりな性分である。



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2022/02/12 11:30

おまけの話。

オマケに弱い人がいる。

私自身は、今でこそ強い意志の力によって、オマケにつられて物を買うことはないが、はじめからそうではなかった。

要らないものにお金を使い、痛い経験を積んで、こんにちのワタクシがあるのである。

それでもなお、オマケという言葉には甘美な響きを感じざるをえない。

それは幼い日に深く刷り込まれた、思い出のせいであろう。

そう、グリコのおまけ

ぐりこのおまけ

母は駄菓子を嫌ったので、私は10円玉を握っておばあちゃんのいるお店で買い物をするという、昭和っぽい経験をほとんどしていない。

友だちが、謎の添加物で舌を真っ赤にしたり、三角クジのあたりはずれで喜んだりガッカリしたりするのを、ただ横で見ていた。

幼い射幸心をそそる唯一のものが、グリコのオマケだったのである。

イモートと私にひと箱ずつのグリコ。

フィルムをはがすと、すぐにでも箱を開けたい気持を押さえて、まずはキャラメルを1つ、ほっぺに入れる。

甘いキャラメルの味が少しずつ口の中に広がるのを感じながら、小さなオマケの箱を開ける。

白やピンクが目に飛び込んでくると、

あ!女の子のおもちゃだ!

心が弾んだし、青や緑がまず見えたら

えー、また自動車?

ちょっとガッカリした。

隣でイモートが取り出したオマケを横目で見て

うー、あっちが良かった…

いじましくうらやんで、子供ながらに自己嫌悪をおぼえることもある。

今日、グリコは百周年

物持ちのいい私は、あの頃のオマケを、まだ缶に入れて、ひそかにしまっている。



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むかしむかし | コメント(16) | トラックバック(0) | 2022/02/11 11:30

こっちょう話。

こんな文章でも、けっこう推敲はする。

いちばん悩むのは短く詰める作業で、ダラダラ書く癖のある私は、無心に書いていると、同じことでもとんでもない長さになってしまう。

次に多いのは、表現の置き換えだ。

例えば昨日の記事で

>言わせてもらえばヤジウマ根性である。

というくだりがあるが、ここは最初

私に言わせりゃ愚の骨頂である。

となっていた。

勢いで書き出したものの、読み返してみると刺激的かしらという気がする。

そこで、挑戦口調の「言わせりゃ」を「言わせれば」と言い換え、表現も変えて

私に言わせれば下の下である。

こうしてみた。

しかし、せっかく大好きな「愚の骨頂」を引っ込めたのに、べつだん穏やかにもならず、仕方なくさらに書き換えて、この文章に落ち着いたのだ。

大好きな?そう、私はこの「愚の骨頂」という言葉が、ミョーに好きである。

なぜなら昔むかし、誰かが「愚の彫刻」と言ったのを、大笑いしたことがあるからだ。

ただの言い損ないなのか、あるいは本人の思い込みか。誰が言ったのかさえ、もはや記憶のかなたであるが

愚の彫刻というものがあるとしたら、どんな形だろうか?

今も時々、考えたりする。

かんがえるひと



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2022/02/10 11:30

れーずん話。

私の好物のひとつに、ブドウパンがある。

どこの店でなければ、ということはない。ただ、フツーの店に売っている、フツーの干しブドウが入った、フツーのパンでいい。

パンならドコのナニじゃなくちゃとか、ソコのアレに限るとか、血道をあげることじゃない。

そこらで買えるものを食べて満足するのが立派な大人であり、入手困難のパンに行列するなんて、言わせてもらえばヤジウマ根性である。

とまあいつになく力説したものの、だからといって誰がパンをくれるわけでもない。明日のぶんが無いので買いに行こう。

ブドウパンにもいろんなタイプがあるが、最近は片手で食べられるロールパンを買うことが多い。

いつもの店の、いつもの棚の、いつものパンを…

ねおれーずんばたーろーる

アレ?無い?

特売のとき以外、2、3袋がいつも並んでいる心覚えの場所が、空になっている。

ちょうど補充に回ってきた店員さんに聞いたら

あー、アレ… 

なぜか半笑いである。

聞けば朝のワイドショーで、ブドウパンのランキングが放送され、見た人が買っていくのか、今日はブドウパンが売れているらしい。

私もそんなヤジウマの1人だと思われたのか。

いや、違うし!いつも買ってるし!

心で叫びつつも、表面は平静に

へえ~ じゃあランキング1位…

イエ、これは2位か3位でしたけどね

にべもなく否定され、思わずムッとしてしまうあたり、私もまだまだである。



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てれびじょん | コメント(14) | トラックバック(0) | 2022/02/09 11:30
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