たよりの話。
ムスメちゃんとムスコ君、元気~?
久しぶりに会った人に聞かれた。
特に親しくしているつもりはないが、同年輩のお子さんがいるせいか、子供に興味があるらしい。
何も言ってこないから 元気だと思うけど
ま~たまた~!
よくわからない相槌に、めんくらっていると
そんな 他人事みたいに!ハハハ…
さもおかしそうに笑いだした。
いやいや、他人事でしょう、大人だし。
風邪もひくだろうし、二日酔もするだろうけど、そんなこと親に言ってくるかね?
ゲラゲラ笑いに私が同調しないので、彼女は真顔に戻って
えー 子供どうしてるか 気にならない?
なんと彼女は三日にあげず、LINEや電話で離れて暮らす息子さんの様子を聞くというから、今度はこっちが驚いた。
だって心配じゃない?
そりゃあ私だって、我が子だから、どうしてるかな、とは思う。ふたりの住むあたりの天気予報を見れば、寒いかな、と思ったりもする。
でもそれは、あくまでフンワリ、全体の話。
子供の人生の行方は気になるけれど、個々の状況は自分でなんとかしていくしかないし、なんとかするだろう、と信じてもいる。
総論心配・各論安心というところだ。
私は優等生だったが、それでも若いころは、親に黙っていろいろとやらかした。
若気の至りじゃ片付かない、とんでもない失敗もした。
しかし、そのどれも、親には告げないまま切り抜けて、なんとか今日があるわけだ。
もし今、かつての私と同じような、あんなことやこんなことを、わが子がいちいちご注進してきたとしたら、血圧が上がってしょうがない。
離れたところで、隠れてやってくれるからこそ、私も枕を高くして眠れるのである。
最新の息子さん情報をつぎつぎと披露してくれた彼女には
便りの無いのは良い便りっていうしね
などと言葉を濁しておいた。


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久しぶりに会った人に聞かれた。
特に親しくしているつもりはないが、同年輩のお子さんがいるせいか、子供に興味があるらしい。
何も言ってこないから 元気だと思うけど
ま~たまた~!
よくわからない相槌に、めんくらっていると
そんな 他人事みたいに!ハハハ…
さもおかしそうに笑いだした。
いやいや、他人事でしょう、大人だし。
風邪もひくだろうし、二日酔もするだろうけど、そんなこと親に言ってくるかね?
ゲラゲラ笑いに私が同調しないので、彼女は真顔に戻って
えー 子供どうしてるか 気にならない?
なんと彼女は三日にあげず、LINEや電話で離れて暮らす息子さんの様子を聞くというから、今度はこっちが驚いた。
だって心配じゃない?
そりゃあ私だって、我が子だから、どうしてるかな、とは思う。ふたりの住むあたりの天気予報を見れば、寒いかな、と思ったりもする。
でもそれは、あくまでフンワリ、全体の話。
子供の人生の行方は気になるけれど、個々の状況は自分でなんとかしていくしかないし、なんとかするだろう、と信じてもいる。
総論心配・各論安心というところだ。
私は優等生だったが、それでも若いころは、親に黙っていろいろとやらかした。
若気の至りじゃ片付かない、とんでもない失敗もした。
しかし、そのどれも、親には告げないまま切り抜けて、なんとか今日があるわけだ。
もし今、かつての私と同じような、あんなことやこんなことを、わが子がいちいちご注進してきたとしたら、血圧が上がってしょうがない。
離れたところで、隠れてやってくれるからこそ、私も枕を高くして眠れるのである。
最新の息子さん情報をつぎつぎと披露してくれた彼女には
便りの無いのは良い便りっていうしね
などと言葉を濁しておいた。


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がいしょく話。
今日はお弁当持ちだった。
自分用だから、ありあわせのパンにテキトーな具を挟んだ、いい加減なサンドイッチだ。
ポットに淹れてきた紅茶を甘くして、パクパクと食べた。
長い午後の仕事も、つつがなく終え、軽くなったお弁当袋を提げて
夕飯、何にしよう…
帰宅の途上、考えるのも、いつもの習慣だ。
記事をお読みいただく方にはうすうす察せられることと思うが、私はぜんぜんグルメではない。
食べ歩きは面倒だし、お金がかかる。かといって料理に凝るわけでもない。
お金や手間をかけて、美味しいものを食べたいという気持が欠如しているのだろう。
作り慣れたメニューを、十年一日のごとく繰り返し、作っちゃ食べ、食べちゃ作る。そんな食生活にじゅうぶん満足している。
玉子はあるし 鶏肉は冷凍が…
冷蔵庫の在庫を思い浮かべているとき
外食がしたい!
不意にものすごく大きな心の声が響いた。
思わず周囲を見回したが、心の声だから、むろん誰にも聞こえない。
人が作ったもん食べたい!
そう、美食がしたいわけではない。ただただ自分が作ったものに飽きたのである。
仕方ない、心の声に従い、今夜は外食に決めた。

(たぶん今日はバーガーキング)

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自分用だから、ありあわせのパンにテキトーな具を挟んだ、いい加減なサンドイッチだ。
ポットに淹れてきた紅茶を甘くして、パクパクと食べた。
長い午後の仕事も、つつがなく終え、軽くなったお弁当袋を提げて
夕飯、何にしよう…
帰宅の途上、考えるのも、いつもの習慣だ。
記事をお読みいただく方にはうすうす察せられることと思うが、私はぜんぜんグルメではない。
食べ歩きは面倒だし、お金がかかる。かといって料理に凝るわけでもない。
お金や手間をかけて、美味しいものを食べたいという気持が欠如しているのだろう。
作り慣れたメニューを、十年一日のごとく繰り返し、作っちゃ食べ、食べちゃ作る。そんな食生活にじゅうぶん満足している。
玉子はあるし 鶏肉は冷凍が…
冷蔵庫の在庫を思い浮かべているとき
外食がしたい!
不意にものすごく大きな心の声が響いた。
思わず周囲を見回したが、心の声だから、むろん誰にも聞こえない。
人が作ったもん食べたい!
そう、美食がしたいわけではない。ただただ自分が作ったものに飽きたのである。
仕方ない、心の声に従い、今夜は外食に決めた。

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ごまかす話。
お菓子も、ラーメンも、冷凍チャーハンも、近頃のテレビはなんでもランキングだ。
今朝は焼肉のたれのベスト5。
買物ついでに、ランクインした商品を手に取ってみたものの
あー…これ…
われながらビミョーな反応をして、買わずに棚に戻した。
見ていたのはココ↓

ビン越しに、点々と見えるゴマ粒である。
いつも思うのだが、あれは一体全体何の意味があるのだろうか?
フタを開けてビンを傾ければ、ドドドと流れ出すたれに混じって、ゴマがお皿に出てくる。
お肉をたれに浸けると、数粒が付着するものの、ほとんどはお皿に残ってしまう。
残った皿はシンクに下げられ、スポンジで洗われ、ゴマ粒は洗剤もろとも、あえなく下水へ流れていくのである。
運よく口に入ったゴマ粒だって、消化されているかどうか怪しいものだ。
なにしろ小さいものだ。お肉に隠れて噛み潰されることもなく胃に入り、腸を通過し、さようならと出て行っているに違いない。
皿の上や消化器内を通過するだけなら、そもそもあの粒がゴマである必然性はないではないか。
食品である必要すら、無いかもしれない。
私はケチなので、ゴマの行く末を想像すると、やりきれない。
そんなわけで、焼肉のたれの購入には、二の足を踏んでしまったのであった。

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今朝は焼肉のたれのベスト5。
買物ついでに、ランクインした商品を手に取ってみたものの
あー…これ…
われながらビミョーな反応をして、買わずに棚に戻した。
見ていたのはココ↓

ビン越しに、点々と見えるゴマ粒である。
いつも思うのだが、あれは一体全体何の意味があるのだろうか?
フタを開けてビンを傾ければ、ドドドと流れ出すたれに混じって、ゴマがお皿に出てくる。
お肉をたれに浸けると、数粒が付着するものの、ほとんどはお皿に残ってしまう。
残った皿はシンクに下げられ、スポンジで洗われ、ゴマ粒は洗剤もろとも、あえなく下水へ流れていくのである。
運よく口に入ったゴマ粒だって、消化されているかどうか怪しいものだ。
なにしろ小さいものだ。お肉に隠れて噛み潰されることもなく胃に入り、腸を通過し、さようならと出て行っているに違いない。
皿の上や消化器内を通過するだけなら、そもそもあの粒がゴマである必然性はないではないか。
食品である必要すら、無いかもしれない。
私はケチなので、ゴマの行く末を想像すると、やりきれない。
そんなわけで、焼肉のたれの購入には、二の足を踏んでしまったのであった。

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かにばる話。
相変わらず、ネット広告がうるさい。
何の広告が出るかは、おおむね検索行動の傾向によるようだが、なぜこれが?と疑問がわくことも多い(→ぱんちん話。)。
ちかごろまた、不可解な広告が出るようになったので、表示の設定を調べてみた。
劇場、アートに書籍、辞書、挙がっている項目は、どれも心当たりが…

うーん…うー… ん?

カーニバル?

人生において、今の今まで、カーニバルについて考えたことは無い。
1秒も無いと断言できる。
カーニバルといえば、遠い地球の反対側で、おへそを出して踊ったり、仲間とワラワラ群れたりしているのを、人ごみをかきわけて観るもの。
かたや、家でひとり、静かにしているのが好きな私。
へそ出しで盛り上がるのも、人ごみにもまれるのも、まっぴらごめんである。
なぜカーニバル情報が必要だと判断されたのか、見当もつかないが、せっかくなので調べてみた。
リオデジャネイロ市とサンパウロ市は、今日25日から予定されていた恒例のサンバチームによるパレードを、4月末に延期しました。オミクロン変異株の拡大で、衛生条件が整わないというのが延期の理由です。

(「以上、奈良からお伝えいたしました」)

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何の広告が出るかは、おおむね検索行動の傾向によるようだが、なぜこれが?と疑問がわくことも多い(→ぱんちん話。)。
ちかごろまた、不可解な広告が出るようになったので、表示の設定を調べてみた。
劇場、アートに書籍、辞書、挙がっている項目は、どれも心当たりが…

うーん…うー… ん?

カーニバル?

人生において、今の今まで、カーニバルについて考えたことは無い。
1秒も無いと断言できる。
カーニバルといえば、遠い地球の反対側で、おへそを出して踊ったり、仲間とワラワラ群れたりしているのを、人ごみをかきわけて観るもの。
かたや、家でひとり、静かにしているのが好きな私。
へそ出しで盛り上がるのも、人ごみにもまれるのも、まっぴらごめんである。
なぜカーニバル情報が必要だと判断されたのか、見当もつかないが、せっかくなので調べてみた。
リオデジャネイロ市とサンパウロ市は、今日25日から予定されていた恒例のサンバチームによるパレードを、4月末に延期しました。オミクロン変異株の拡大で、衛生条件が整わないというのが延期の理由です。

(「以上、奈良からお伝えいたしました」)

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まふらー話。
自動ドアが開くと、いきなり寒い外気。あわててごそごそとカバンを探った。
巻いてきたマフラーがある…あるはず…ない?
朝、玄関を出たときはあった。
駅に着いたとき…あったような気がする。
電車を降りたとき…あった…かな?
どうも記憶がおぼろげである。ひとつだけ確かなのは、マフラーを失くしたということ。
参ったなあ…
とぼとぼと歩き出せば、風がことのほか冷たくて、肩をすくめ、足を速めた。
商店街のアーケードに入って少しホッとしたが、しかし困った。電車に乗って、うちに着くころには、きっともっと寒くなるだろう。
洋品店のウインドウの中の、暖かそうなコートが目に入る。いやいや、こんなことでいちいち服を買っていたら、えらい不経済である。
駅の売店で、カイロでも買おうと決めて歩き出すと、ぱっと見には何屋かわからない、おかしな店に出くわした。
統一感のない、雑多な品物が、歩道にこぼれ出ている、そこは
リサイクルショップにこにこ
よくある全国チェーンのリサイクルショップではなく、物持ちのオジサンが思いつきで始めたような、薄暗い感じの店である。
こわごわ覗いてみると、奥に古本と古雑誌の山がある。古書店に出ない掘り出し物があるかも、と、足を踏み入れた。
木彫りの置物があり、茶道具の桐箱があると思えば、カラフルなおもちゃがとぼけた顔を並べて、店内はまさにカオスであった。
隅の300円均一のワゴンには、贈答用らしい、箱入のタオルが積まれている。
うちのも300円で買ってくれないかな…
埒もないことを考えつつ、近づくと、タオルとは違う箱が、ひとつだけ紛れ込んでいる。
百貨店のマークの付いた、黄ばんだ箱の中身は、マフラーではないか。
こ…これも300円ですか?
動揺を悟られぬよう、つとめて声を押さえて尋ねたら、退屈顔の店番のおばさんは
ふわい~
アクビを押さえながら、答えた。お金を払って、店を出たものの、なんだか後ろから
やっぱりマチガイでした~
追いかけてこられそうで、つい、小走りで商店街を抜ける。
改札を通って、駅のトイレに入り、ふるえる手で箱を開けると

ブランドものの、新品の、しかもカシミヤのマフラーがあらわれた。
そこからの帰り道が、来た道より暖かかったのは、気のせいではない。

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巻いてきたマフラーがある…あるはず…ない?
朝、玄関を出たときはあった。
駅に着いたとき…あったような気がする。
電車を降りたとき…あった…かな?
どうも記憶がおぼろげである。ひとつだけ確かなのは、マフラーを失くしたということ。
参ったなあ…
とぼとぼと歩き出せば、風がことのほか冷たくて、肩をすくめ、足を速めた。
商店街のアーケードに入って少しホッとしたが、しかし困った。電車に乗って、うちに着くころには、きっともっと寒くなるだろう。
洋品店のウインドウの中の、暖かそうなコートが目に入る。いやいや、こんなことでいちいち服を買っていたら、えらい不経済である。
駅の売店で、カイロでも買おうと決めて歩き出すと、ぱっと見には何屋かわからない、おかしな店に出くわした。
統一感のない、雑多な品物が、歩道にこぼれ出ている、そこは
リサイクルショップにこにこ
よくある全国チェーンのリサイクルショップではなく、物持ちのオジサンが思いつきで始めたような、薄暗い感じの店である。
こわごわ覗いてみると、奥に古本と古雑誌の山がある。古書店に出ない掘り出し物があるかも、と、足を踏み入れた。
木彫りの置物があり、茶道具の桐箱があると思えば、カラフルなおもちゃがとぼけた顔を並べて、店内はまさにカオスであった。
隅の300円均一のワゴンには、贈答用らしい、箱入のタオルが積まれている。
うちのも300円で買ってくれないかな…
埒もないことを考えつつ、近づくと、タオルとは違う箱が、ひとつだけ紛れ込んでいる。
百貨店のマークの付いた、黄ばんだ箱の中身は、マフラーではないか。
こ…これも300円ですか?
動揺を悟られぬよう、つとめて声を押さえて尋ねたら、退屈顔の店番のおばさんは
ふわい~
アクビを押さえながら、答えた。お金を払って、店を出たものの、なんだか後ろから
やっぱりマチガイでした~
追いかけてこられそうで、つい、小走りで商店街を抜ける。
改札を通って、駅のトイレに入り、ふるえる手で箱を開けると

ブランドものの、新品の、しかもカシミヤのマフラーがあらわれた。
そこからの帰り道が、来た道より暖かかったのは、気のせいではない。

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しょうわな話。
お天気いいし 寒いけどお墓に行かない?
朝、おばーちゃんからの電話。
父の命日は、毎年ふたりで墓参するのだが、今年はめずらしく雪が降った。
山の上の墓苑は風が強い。老母に風邪でもひかせては大変なので、当日は見送ったのである。
いいけど今日、祝日だよ?
カレンダーの文字は赤色。
わが町は観光地で、祝日は人出が多い。道も混むし、バスが遅れるから、なるたけウロウロしないようにしている。
えっ?何の?
何のって… 何だっけな…
あらためてカレンダーの今日の欄を見直す。
えーッと…天皇誕生日だね
ええ~っ?!4月じゃない!
おかーさん、4月29日は昭和だから!
えらそーにしてるけど、じつは私だって全然ピンと来ないし、考えないと分からない。
私にしろ、母にしろ、生まれてから人となるまで、ずーっと天皇誕生日は4月だったのだ。
いきなり2月なんて言われても 困っちゃうわよね~
そうよね~
相槌を打ちつつ、母と私には平成の30年間が無かったことになっていることに気づき
リンダ困っちゃう~
またも昭和な感想を述べるワタクシであった。

(錦織圭君に似てて 困っちゃうな~)

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朝、おばーちゃんからの電話。
父の命日は、毎年ふたりで墓参するのだが、今年はめずらしく雪が降った。
山の上の墓苑は風が強い。老母に風邪でもひかせては大変なので、当日は見送ったのである。
いいけど今日、祝日だよ?
カレンダーの文字は赤色。
わが町は観光地で、祝日は人出が多い。道も混むし、バスが遅れるから、なるたけウロウロしないようにしている。
えっ?何の?
何のって… 何だっけな…
あらためてカレンダーの今日の欄を見直す。
えーッと…天皇誕生日だね
ええ~っ?!4月じゃない!
おかーさん、4月29日は昭和だから!
えらそーにしてるけど、じつは私だって全然ピンと来ないし、考えないと分からない。
私にしろ、母にしろ、生まれてから人となるまで、ずーっと天皇誕生日は4月だったのだ。
いきなり2月なんて言われても 困っちゃうわよね~
そうよね~
相槌を打ちつつ、母と私には平成の30年間が無かったことになっていることに気づき
リンダ困っちゃう~
またも昭和な感想を述べるワタクシであった。

(錦織圭君に似てて 困っちゃうな~)

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オバサン本。
最初に持ち帰ったのは、イモートだったと思う。
やせっぽちのオバサンが描かれた表紙の、タイトルは「ハリスおばさんパリへ行く」。

生真面目な優等生だったその頃の私なら、たぶん選ばなかった、おかしげな挿絵。
子供部屋に放り出してあったその本を手に取ったのは、ただ読むものが無かったからだ。
ロンドンに住む、掃除婦のハリスおばさん。
掃除に通う上流婦人の部屋で、はじめて目にしたディオールのドレスに心を奪われる。
それから、実に3年。働きづめに働き、つましい暮らしをさらに詰めたうえに、幸運も重なって、ついに彼女はパリのディオールの店の前に立つ。
ひと目で下層階級とわかる、美しくも若くもないおばさん。モードの最先端にはあまりにも場違いで、読んでいるこちらまでが恥ずかしくなる。
とうぜん、出会った誰もかれも、はじめは彼女に冷たく当たった。
しかし、その正直さ、まっすぐな情熱、さらには強靭な人生哲学に打たれ、やがてハリスおばさんを味方してやるようになるのだ。
思いがけず手にした夢の時間と、海の泡のような美しいドレス。
シワシワのおばさんがそれをまとった姿は、想像の中とはいえ、いささかグロテスクではあるが、同時に勇気が湧く。
人はいくつになっても夢を持ち、いくつになってもそれを実現できるのだ。
著者は、夢を夢で終わらせず、ほろ苦い幕切れも準備していた。小学生の私がどこまで理解できたかは、わからない。
いま、正真正銘のオバサンになっても、心のどこかに希望を抱いて生きていられるのは、遠い昔のハリスおばさんのおかげが、少しはあるかもしれない。

(猫の日に際し、同じ著者の切なく美しい猫のお話「ジェニィ」もご紹介します)

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やせっぽちのオバサンが描かれた表紙の、タイトルは「ハリスおばさんパリへ行く」。

生真面目な優等生だったその頃の私なら、たぶん選ばなかった、おかしげな挿絵。
子供部屋に放り出してあったその本を手に取ったのは、ただ読むものが無かったからだ。
ロンドンに住む、掃除婦のハリスおばさん。
掃除に通う上流婦人の部屋で、はじめて目にしたディオールのドレスに心を奪われる。
それから、実に3年。働きづめに働き、つましい暮らしをさらに詰めたうえに、幸運も重なって、ついに彼女はパリのディオールの店の前に立つ。
ひと目で下層階級とわかる、美しくも若くもないおばさん。モードの最先端にはあまりにも場違いで、読んでいるこちらまでが恥ずかしくなる。
とうぜん、出会った誰もかれも、はじめは彼女に冷たく当たった。
しかし、その正直さ、まっすぐな情熱、さらには強靭な人生哲学に打たれ、やがてハリスおばさんを味方してやるようになるのだ。
思いがけず手にした夢の時間と、海の泡のような美しいドレス。
シワシワのおばさんがそれをまとった姿は、想像の中とはいえ、いささかグロテスクではあるが、同時に勇気が湧く。
人はいくつになっても夢を持ち、いくつになってもそれを実現できるのだ。
著者は、夢を夢で終わらせず、ほろ苦い幕切れも準備していた。小学生の私がどこまで理解できたかは、わからない。
いま、正真正銘のオバサンになっても、心のどこかに希望を抱いて生きていられるのは、遠い昔のハリスおばさんのおかげが、少しはあるかもしれない。

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かっちん話。
…はー ヤレヤレ…
オリンピックも終わり、平常通りに戻ったテレビの前に、お皿を置いてホッと落ち着いた。
再放送のサスペンスドラマを見つつ食べる、遅めの昼ごはんほどおいしいものがあるだろうか。
いつものレトルトカレーだけど、いつもよりも楽しみなのは、昨日の残りのトンカツがあるから。そう、カツカレーである。
カツカレーは嬉しい。そして忙しい。
チマチマした性格の私は、カレーを食べる時、カレーとゴハンの配分を非常に考える。ラッキョウをどこで挟むか、なども迷うところだ。
カツカレーの場合、さらにカレーのかかったカツ、カレーのかからないカツ、それぞれを、いつ、どのように食べるかの問題が加わる。
ウキウキとスプーンをとり、程よく混ぜたカレーとゴハンを、まずひと口。
…おいしい!
さあ、カツだ。
ひと切れは大きめなので、スプーンで半分にし…
かっちん! (ポロリ)
え?
意気込む手先に力が入ったのか、スプーンはカツの表面を滑り、お皿の縁に当たって、割れた。
えええ???
粗忽に生きて50有余年、いろんな皿や鉢を割ってきたけれど、食事中に割ったのははじめてだ。
ショックでしばらく固まっていたが
…どうした!しっかりしろ!
画面のフナコシエ―イチローの声に、我に返る。

あらためて眺めると、欠けたお皿の縁はポロリと外側に落ちて、中身は無事なようだ。

そーっと欠けた側を向こうに回してみた。
…大丈夫か!
画面からは、フナコシ氏の力強い励まし。
うん、大丈夫そうだよ、フナコシさん
念のために、スプーンは新しいのに取り換えて、食事を続行した。

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オリンピックも終わり、平常通りに戻ったテレビの前に、お皿を置いてホッと落ち着いた。
再放送のサスペンスドラマを見つつ食べる、遅めの昼ごはんほどおいしいものがあるだろうか。
いつものレトルトカレーだけど、いつもよりも楽しみなのは、昨日の残りのトンカツがあるから。そう、カツカレーである。
カツカレーは嬉しい。そして忙しい。
チマチマした性格の私は、カレーを食べる時、カレーとゴハンの配分を非常に考える。ラッキョウをどこで挟むか、なども迷うところだ。
カツカレーの場合、さらにカレーのかかったカツ、カレーのかからないカツ、それぞれを、いつ、どのように食べるかの問題が加わる。
ウキウキとスプーンをとり、程よく混ぜたカレーとゴハンを、まずひと口。
…おいしい!
さあ、カツだ。
ひと切れは大きめなので、スプーンで半分にし…
かっちん! (ポロリ)
え?
意気込む手先に力が入ったのか、スプーンはカツの表面を滑り、お皿の縁に当たって、割れた。
えええ???
粗忽に生きて50有余年、いろんな皿や鉢を割ってきたけれど、食事中に割ったのははじめてだ。
ショックでしばらく固まっていたが
…どうした!しっかりしろ!
画面のフナコシエ―イチローの声に、我に返る。

あらためて眺めると、欠けたお皿の縁はポロリと外側に落ちて、中身は無事なようだ。

そーっと欠けた側を向こうに回してみた。
…大丈夫か!
画面からは、フナコシ氏の力強い励まし。
うん、大丈夫そうだよ、フナコシさん
念のために、スプーンは新しいのに取り換えて、食事を続行した。

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のぞいた話。
新聞は取っていないが、チラシは断りなくポストに投げ込まれる。自動車、パチンコ、宗教…。どれも右から左へゴミになる。
たまに眺めるのは不動産のチラシくらいだ。
売買の予定が無くても、近隣の土地やマンションの取引価格くらいは知っておきたい。
新築物件や、すっかり値崩れした住宅地。建ってかなり経つのに、意外に値下がりしていないと
学区がいいから…いや、イオンが近いからかな…
原因を考えたりする。
ココも下がったなァ…
見覚えのあるマンションの価格に、驚いた。
今の家を決める時、比較の対象になった物件。立地も広さも似たような感じで、どっちにするか、けっこう迷ったのだ。
間取りが魅力的で、そっちにしようかなと思ったこともあった。
ではなぜ、そっちではなく、こっちにしたのか。
理由はペットボトルだった。
そのマンションの下見を終えた後、バス停でバスを待ちながら、ふと振り返った。

石垣に組んだ、コンクリートの擁壁。そこに開いた、水抜きパイプの穴の中に何かが見える。
空のペットボトルが、こちらに底を見せて、突っ込んであるのだ。
気になって他を覗くと、ここにも、その横にも、手の届く範囲のパイプ穴、すべてにペットボトルが入っている。
その時は、ふう~ん、くらいのものだったが、やがてやってきたバスに乗り込んでから、だんだん気味が悪くなってきた。
建物はキレイだけど、なんだかあそこはイヤだ。
最寄り駅に着くころには、気持は決まっていた。
それから15年以上、今の家に住んで、後悔したことは一度もない。

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たまに眺めるのは不動産のチラシくらいだ。
売買の予定が無くても、近隣の土地やマンションの取引価格くらいは知っておきたい。
新築物件や、すっかり値崩れした住宅地。建ってかなり経つのに、意外に値下がりしていないと
学区がいいから…いや、イオンが近いからかな…
原因を考えたりする。
ココも下がったなァ…
見覚えのあるマンションの価格に、驚いた。
今の家を決める時、比較の対象になった物件。立地も広さも似たような感じで、どっちにするか、けっこう迷ったのだ。
間取りが魅力的で、そっちにしようかなと思ったこともあった。
ではなぜ、そっちではなく、こっちにしたのか。
理由はペットボトルだった。
そのマンションの下見を終えた後、バス停でバスを待ちながら、ふと振り返った。

石垣に組んだ、コンクリートの擁壁。そこに開いた、水抜きパイプの穴の中に何かが見える。
空のペットボトルが、こちらに底を見せて、突っ込んであるのだ。
気になって他を覗くと、ここにも、その横にも、手の届く範囲のパイプ穴、すべてにペットボトルが入っている。
その時は、ふう~ん、くらいのものだったが、やがてやってきたバスに乗り込んでから、だんだん気味が悪くなってきた。
建物はキレイだけど、なんだかあそこはイヤだ。
最寄り駅に着くころには、気持は決まっていた。
それから15年以上、今の家に住んで、後悔したことは一度もない。

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みじんの話。
ぶんぶんチョッパーが便利よ、と言われた。

こんな風にハンドルを引くと、入れたものをたちまち微塵に切ってくれる便利グッズ。
安いのヨ、ゼッタイ買わなきゃとススメてくれる人に生返事をしながら
ゼッタイ買わない…
内心では思っていた。
チョップできるということは、鋭い刃がついているはずで、それが怖い。
はるか昔の新婚時代、結婚祝にいただいたフードプロセッサーも、ろくに使いこなせず処分した。
使うのはまだしも、後で刃を取り外して洗うのが、怖くて怖くて手が出ない。
あんな怖い思いをするくらいなら、微塵切りなぞしなくていい。それくらいの気持でいる。
刃が怖いなら包丁はどうだ、とお思いだろうが、これが不思議に怖くない。
ちゃんと砥石なんかも持っていて、夜更けてからシャーシャーと包丁を砥ぎ、ひひひと笑うさまは、さながらヤマンバだ。
包丁とぶんぶんチョッパーの何が違うのか。
思いつくのはスピードの違いだろうか。
高速で回転し、肉や野菜をずたずたに切り裂く鋭い刃を想像しただけで、恐ろしくて居ても立ってもいられない。
もし、そこに、指を突っ込んだら…
キャー!!!
じっさい、使用中は手を入れたりできない構造になっていることは、ちゃんと分かっている。
分かっているのだが、イメージのなかで
キャー!!!
と、なってしまうのは止められない。
そんなわけで、うちの食卓には、微塵切りは登場しないのであった。

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こんな風にハンドルを引くと、入れたものをたちまち微塵に切ってくれる便利グッズ。
安いのヨ、ゼッタイ買わなきゃとススメてくれる人に生返事をしながら
ゼッタイ買わない…
内心では思っていた。
チョップできるということは、鋭い刃がついているはずで、それが怖い。
はるか昔の新婚時代、結婚祝にいただいたフードプロセッサーも、ろくに使いこなせず処分した。
使うのはまだしも、後で刃を取り外して洗うのが、怖くて怖くて手が出ない。
あんな怖い思いをするくらいなら、微塵切りなぞしなくていい。それくらいの気持でいる。
刃が怖いなら包丁はどうだ、とお思いだろうが、これが不思議に怖くない。
ちゃんと砥石なんかも持っていて、夜更けてからシャーシャーと包丁を砥ぎ、ひひひと笑うさまは、さながらヤマンバだ。
包丁とぶんぶんチョッパーの何が違うのか。
思いつくのはスピードの違いだろうか。
高速で回転し、肉や野菜をずたずたに切り裂く鋭い刃を想像しただけで、恐ろしくて居ても立ってもいられない。
もし、そこに、指を突っ込んだら…
キャー!!!
じっさい、使用中は手を入れたりできない構造になっていることは、ちゃんと分かっている。
分かっているのだが、イメージのなかで
キャー!!!
と、なってしまうのは止められない。
そんなわけで、うちの食卓には、微塵切りは登場しないのであった。

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