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おやすみ話。

大型連休といっても、とくに予定は無い。

ムスメもムスコもそれぞれ計画があるのか、ウンともスンとも言って来ないし、本でも借りておくかと図書館に行った。

いつになく混んでいるのは、同じ考えの人も多いのだろうか。

借りたい本を手に貸出窓口に並んでいると、前の女性が、不意に頓狂な声をあげた。

ちっとも連休じゃないじゃない!

彼女が見ていたのは、窓口に貼ったカレンダー。

としょかんかれんだー2022

つられてつい覗き込むと、なんと10連休中、1日しか休みが無い。図書館なんてお役所だから、てっきり長く休むもんだと思っていた。

私より少し年上に見える女性は、

休めばいいのに~!休んだって誰も怒らないわよ!

応対している窓口嬢を苦笑させていると思ったら、イキナリ振り向いて

ねえ?!

私に同意を求めたので、しかたなく

そうですねえ 

と答える。

女性はその後も、休んじゃいなさいよ、手当は出るの、と余計なおせっかいを続けたが、貸出手続を終えると、意外にあっさり去っていった。

私の番になったので、本をカウンターに置いて

面白い方でしたね

つい声をかけると、窓口嬢はフフフと笑って

でも有り難いです あんな風に言ってくださって…

バーコードをピッとやった。

借りた本をカバンに入れながら、せっかく開いてるんだから、連休中にまた来よう、そう思った。



本日は図書館記念日につき、2019年4月26日の記事に加筆再掲載いたします。



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2022/04/30 11:30

だばーの話。

平日のショッピングモール。

おひるには少し早いが、あとの予定もある。ここで済ませて行こうと、レストラン街に向かう。

しかし人が多い

なぜか学齢期の子供がチラホラ見える。リモート授業も減ったはずなのに、学校はどうした。

さっさと入らないと、つまらない店に行列する羽目になる。急いで店を決めよう。

見回すと洋食系のファミリーレストランがある。おいしくもマズくもない、普通の店だ。

ここにしようかな…

歩を進めかけたとき、店の前のノボリが目にとまった。

さらだばー

サラダバー

新型ウィルスの騒動で、ビュッフェは休むところが多かったが、復活したのだろうか。

この手のコーナーがあると店内が落ち着かないし、わざわざ立って取りに行くほど、サラダを食べたいわけでもない。

なにより「サラダバー」という言葉がキライである。

特に後半、ダバーの部分。

虚心坦懐に聞いていただきたい。

ダバーッ!

これは、ひっくり返し、盛大にこぼす音だ。

何をひっくり返すのかとダバーの前を見れば、「サラ」つまりである。

皿ダバー。

飲食の場において、これほど不吉なフレーズがあるだろうか。

踵を返して、斜め向かいの蕎麦屋に入った。落ち着いた雰囲気に、ホッとして見回すと、レジ横に古風な日めくりカレンダーが下がっている。

 4月
29


あれ?赤い…今日、祝日?



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もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2022/04/29 11:30

けつあつ話。

名前を呼ばれて診察室に入ると、いつもの先生が

どうですか 調子は…

セカセカとカルテをめくる。

変わりありません、と答えつつ、手渡したのは、血圧手帳

前回は持ってくるのを忘れたうえに

どうせ とびとびにしか測ってないし…

言い訳したら、余計に叱られてしまったのだ。

お、今回は優秀優秀…

数字で埋まったページに満足げな先生。

仕事辞めましたから

朝ごはん前、あるいは夜の入浴の前、10分ほど安静にしてから血圧計をつける。

それだけのことだが、ゴミ出しもあるし、水一杯飲むにもウロウロせねばならぬひとり暮らしでは、なかなか難しい。

気づけば出勤の時刻、ということがままあった。

しかし、早出の仕事をひとつ辞めたので

おかげさまで 毎日測れるようになりました~ 年金減りましたけど

何気なく報告して、診察は終わり。

処方箋を待っていたら、診察室を辞去したときの、先生の表情が頭に浮かんだ。

なんかビミョーな顔してらしたような…

その前の会話を思い浮かべる。

もしや、血圧測るために、辞めたと思われた?

えらい誤解だが、まさか診察室に引き返すわけにもいかず、会計して医院を出た。

けつあつけい
(血圧計が壊れましたと言って叱られたこともある)



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ごきんじょ | コメント(5) | トラックバック(0) | 2022/04/28 11:30

くりーむ話。

はー、ヤレヤレ、電車は空いている。

ホッとして腰をかけ、膝に乗せたバッグの上に両手を揃えたら、カサカサで気になった。

ビルのエントランスやお店の入口、今日もあっちこっちで手を消毒したから、そのせいだろう。

バッグから、かねて準備のチューブを取り出し、手のひらに絞ってすりこむ。

新型ウィルスの騒動以来、ハンドクリームの使用量は格段に増えた。

以前は外出から帰ったときや、水仕事のあとなど、うちで使っていたハンドクリームを、持ち歩くようになったのもこの2年ほどのことだ。

世の中の変化とともに、習慣も変わっていくのだなあ…

しみじみ指先をマッサージしていたら、ふと視線を感じた。

前の座席の女性が、私の手元を、無遠慮なほどにマジマジと見ている。

なんてことを!

強い非難を含んだ視線である。

電車で化粧する人が批判的に見られるのはわかるけど、ハンドクリームもダメなのか。

私より若く見えるけど、厳しい人だなあ。

塗ったハンドクリームもなじんだので、手を動かすのをやめ、目を閉じた。

よけいな匂いもしないし、さらっとしたクリームだな

アタシも使ってるのよ 面白いでしょ?

友だちが笑いながら、くれたものだ。

面白いよね…ハッ!

ふえきはんどくりーむ

友だちがくれたのはこれ

誰でも使ったことのある、おなじみの糊のチューブに、ハンドクリームを詰めた面白商品だ。

女性がギョッとするのも無理はない。断り書きはあるものの、遠目には、私はを手に塗りたくるアブないオバサンである。

降りる駅のアナウンスが聞こえて、再び目を開けた時、彼女はもう居なかった。



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もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2022/04/27 11:30

としきく話。

思わぬことでトシがバレてしまったアベさん(→うさぎの話。)だが、そういえば、うちの母も、昔は干支を隠していた。

ねーねー おかーさんって なにどし?

なにげなく聞くと

お母さんはねエ…ねこ年!

小さい時はへえ~なんて言っていたが、小学生になれば、そんなのではダマされない。

なんでそんな嘘をつくんだろうと不思議に思って聞くと

教えたらアンタ 友だちに言うでしょ

言うかなあ。

そしたら友だちは 帰っておうちで言うでしょ

そりゃ言うかもしれないけど。

そしたら ユキちゃんやセイちゃんのお母さんに お母さんのトシがわかるじゃないの

そういうことか、と、納得したわけではない。

なぜ干支を隠すか、という問題が、なぜ年齢を隠すかという疑問に変わっただけだった。

どんなお年寄りも、若い時はあったのだ。

若い時代がもう済んだだけなのに、どうして恥ずかしがったり、引け目に感じたりするのだろう?

このトシになっても、その気持はわからない。

ところが最近、やたらトシを聞く人に会った。

私はフツーに答えたのだが、相手が返事を聞いて、急に敬語になったので、ちょっと驚いた。

自分より年上だったから、らしい。

気になって観察してるとこの人、年下とわかった相手には、いきなり態度がデカくなる。

どうやら年齢で上下関係を決めているようだ。

中学生か!

こういう人にはあんまりトシを教えたくないな、と、はじめて思ったことだった。

どうしてじゅうにしにねこどしはないの
(「どうして十二支にネコ年はないの?」オーゲル著 徳間書店刊)



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ごきんじょ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2022/04/26 11:30

うさぎの話。

月に1度のお稽古。

腰が痛いから今日は着席で…すみませんネ

ここに通い始めて10年以上。

お若く見えてらっしゃるが、考えてみれば先生もご高齢だ。腰痛も出るだろう。

母と同じくらいかしら、などと想像していたら、アベさんが

いや~ん かわいい~ん❤

スマホのストラップか何か、先生の持物に目をとめて、騒いでいる。

いつも先生にまとわりついてキャーキャー言う、悪い意味で女っぽい人だ。

いただき物で…私、卯年ですのでね

見れば確かにかわいい、ウサギのマスコット。

そうか、先生、やっぱりおばーちゃんと同い年だ。80過ぎには見えない。やっぱり心がけのいいかたは違うなあ。

欲し~い! アタシもウサギ年だから❤

騒いでないで早くお稽古に入ろうよ、と思いつつ

あれ?この人…?

ふと疑問が兆した。

かねてより漏れ聞く話題から、私よりは年上と察せられたが、かといって、先生やおばーちゃんと同年とも思えない。

じゃあ70歳

私以外の他の人も、全員、瞬時に同じ結論に至ったらしい。お教室が、ミョーに静かになった。

さすがのアベさんも、雰囲気がおかしいと感じたのか、騒ぐのを止めて席に着いた。

…では始めましょうか

先生の声を合図に、皆、マジメにそれぞれの課題に向かい合う。

ぴょんちゃん
(薬局のウサギは最近あまり見なくなった)



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2022/04/25 11:30

アカゲノ本。

今ほど多様な価値観のなかった、学生時代。

運動が苦手で、人を惹きつける快活さもない私は、選択の余地なく、文学少女になった。

昼休みに外にも出ず、本を読んでいる女子は、各クラスに2、3人いる。

似たもの同士、話すようになると、彼女たちの多くが「赤毛のアン」のファンだった。

文学全集に掲載された抄訳しか読んでいなかったので、いそいで文庫本のシリーズを買って読んだ。これもお付き合いである。

正直なところ、私はこのヒロインが、あまり好きになれない。

登場するなり自分の理屈で、さんざん周囲を振り回したあげく、見栄や物欲や好奇心には必ず負けてしまう。

「想像の余地」というキーワードはステキだけれど、だったらなぜ、同時に失敗の可能性を予測しないのか、不審に思えた。

そもそも夢見がちな女の子などより、働き手が欲しかった老兄妹の負担は、増す一方である。

悲観的な私は、読みながら心配していたが、あんのじょう心臓が悪かったらしきマシューは、早々に亡くなってしまうではないか。

とはいえ読めばやはり先が気になるから、「アンの青春」「…愛情」「…幸福」と次々と読破したものの、残念ながら第一印象は拭えなかった。

お付き合いで読んだ、という経緯も、出会いとしてはよろしくなかったかもしれない。

まあ、私ごときが好きでも嫌いでも、名作の誉れ高き本作の、かすり傷にもならぬであろう。

今日で作者モンゴメリの没後80年になる。

あかげのあん



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ブックガイド | コメント(4) | トラックバック(0) | 2022/04/24 11:30

さっする話。

土曜の朝はチコちゃん。

ちこちゃんにしかられる

ミニコーナーで、地域によることばの解釈の違いをとりあげていた。

行けたら行く

という返事は、関東では文字通り条件が許せば行く、という意味である。

しかし、関西では違う。私自身、人を誘って

行けたら行くわ~

と言われたら

あー、行く気ないんだな

察するし、逆に当日、来たらビックリするだろう。

こうした水面下の察する競争が、より高度に、日々繰り広げられるのが、古都京都である。

いわゆる京のブブ漬け問題。

人んちにお邪魔していて

ブブ漬けでもどーどす?

言われたらハッと察して、慌てて帰らなければならないという、アレである。

都市伝説っていうか、冗談みたいなものでしょ

関東出身の友人は言うが、とんでもない。もし京都人に、じっさいにブブ漬けを持ち出されたら、しんねり冷たい響きに、震え上がることだろう。

そういえば、学生時代の女子寮の管理人さんが、京女であった。

近畿圏以外の出身の子には

言葉が優しくッて いいおばさんじゃない?

おおむね好評だったが、大阪や神戸から来てる子は

あの人怖い…

みな、非常に警戒していた。

京都弁とイントネーションが似た言語圏の出身だと、あの、何とも言えない微妙なニュアンスが、ちょっとわかるのだ。

たとえば試験勉強で夜更かしして、寝坊した朝。

玄関前で掃除している管理人さんが、ニコニコと声をかけてくる。

ま~ま~ 若い人はよう寝られて よろしなあ~

これを文字通り、いいね、と言われたと思ったら大間違いで

こちとら朝から働いてるってのに昼過ぎまでグースカ寝やがって!

非難なのである。もちろん、だからといって

うっせえババア!

などと怒鳴り返してはならない。

エヘヘと曖昧な笑みを浮かべ、とっととその場を去るのが、正解なのである



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てれびじょん | コメント(16) | トラックバック(0) | 2022/04/23 11:30

アノコロ本。

その本が出ているのは、もうせんから知っていた。調べたら、初版発行は5年も前である。

ネットで書影を見たし、書店でも手に取って

分厚い本だなあ…

予想以上のボリュームに驚いたのを覚えている。

好きな著者であるにもかかわらず、今日に至るまで読まずにいるのは、この本が著者没後に出た、単行本未収録エッセイ集であるからだ。

著作家が亡くなった後、本にまとめなかった作品を寄せ集め、売り出すことはよくある。

人気作家の訃報を追っかけるように新刊が出たりすると、あさましいというか、商魂たくましいというか、なにやら無残な気持になる。

この本はそんなことはなくて、没後じつに25年を経過して、やっと編まれた文集である。

帯に大きく、待望の作品集」とあるのも、読者が待ったというよりは、出版社が

いや~、待ったよぉ~

言っているようで、おかしい。

遺族にはおそらく、著者自身の推敲の手の入らない文章を、本のかたちにすることに、ためらいがあったのだと思う。

そして、私がこの本を読まないのもそのためだ。

本人が、出ると思っていなかった文章を、亡くなったからといって読むのは、気が進まない。

載せない理由があったかもしれない文章を、断りもなく読むのは、申し訳ない気がする。

好きな書き手だからこそ、なおさらである。

まだ読まない、そしてこれからも読まない本。

そんな本もある。

あのころ



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2022/04/22 11:30

かいしゃの話。

ア…

画面では、美人女優が笑顔で製品を勧めている。よく見るCMだし、べつだん嫌いな人ではない。

にもかかわらず引っかかったのは、前にムスメが帰ってきたとき

アタシ この会社大ッキライ!

顔をしかめていたからだ。

会社の取引先で、やりとりのある数人の社員が

どいつもこいつもロクでもない…

のだそうだ。

ムスメは私に似て粗忽者だし、他人様にやたらエラソーにできるとは思えないけれど、吐き捨てた口ぶりからも、先方は相当ヒドいらしい。

そこそこ有名な会社なのに、みんなダメなやつ、なんてことあるだろうか。

いや、ある。あった。

はるか昔、会社勤めのころの、取引先の某社がそうだった。

費用をケチるわりに注文は多く、やいやい文句を言うくせに、何を言いたいかわからず、おまけに言うことが毎回変わる。

それが特定のひとりじゃなくて、出てくるやつ出てくるやつ、みんな同じなのである。

社風って、自由闊達とか、ボトムアップとか、いいことばかりじゃないんだなと思ったりした。

そんな会社なのに、つぶれる気配もなく、いま現在も存続しているから、不思議なものだ。

まあ、考えてみればお互いさまで

マッタクどいつもこいつもロクでもない…

こちらも思われていたに違いない。

人に合う合わないがあるように、会社同士にも相性がある。

社風とか、国民性とか、形はないけれど強いものは、たしかに存在する。

ムスメに嫌われたこの会社も、他では愛されていて、だからこそCMも出せるわけなのだろう。

かいしゃ
(「会社」で検索すると、かならず出てくるビルの林立する画像)



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てれびじょん | コメント(10) | トラックバック(0) | 2022/04/21 11:30
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