ノハナシ本。
ブログをつけていることは、隠しているわけではないけれど、周囲にはあまり話していない。
なかでもネタの宝庫おばーちゃんには、絶対に秘密である。
先日、ひょんなことで、知人にブログの存在を知られた。さっそく読んだらしく、2、3の感想をくれたあと
あのタイトルはアレ?イジューイン?
は?
教えてくれたその本はコレ↓

(「のはなし」伊集院光著 宝島社刊)
「○○」の話と題する挿話を、五十音順に並べたエッセイ集だ。
私が毎回のタイトルを「○○○○話。」としたのは、毎日書くなら、何かひとつ制限があるほうが書きやすいだろう、と思っただけである。
なんとなく親近感をおぼえて、読んでみた。
立川談志に会ったエピソードがいい。
噺家だった著者は、談志の噺に衝撃を受け、自分はとてもこうはなれない、と思い知らされて落語を辞めた。
ラジオ番組で人気を得たのち、ゲストに迎える機会があって、興奮気味にその旨を伝えたところ
上手い理屈が見つかったじゃねえか
ズバリと返されたというのだ。
人は新しく動き出すとき、つい誰かのおかげで、とか、誰かのせいで、と言いたくなる。
もちろん、他人の言動が、きっかけとなり、判断の材料になることもあるだろう。しかし、本当の本当の理由は、自分の中にしかないのである。
この話だけじゃなく、短い文章のどれもにちゃんと落ちがあって、面白い本だった。
そりゃそうだ、噺家からラジオパーソナリティーになった、いわば言葉のプロだ。
こんな本に倣ったと思われちゃマズい、ひじょーにマズい。某さんには、力を込めて否定しておきたい。
本日、落ちナシ!

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なかでもネタの宝庫おばーちゃんには、絶対に秘密である。
先日、ひょんなことで、知人にブログの存在を知られた。さっそく読んだらしく、2、3の感想をくれたあと
あのタイトルはアレ?イジューイン?
は?
教えてくれたその本はコレ↓

(「のはなし」伊集院光著 宝島社刊)
「○○」の話と題する挿話を、五十音順に並べたエッセイ集だ。
私が毎回のタイトルを「○○○○話。」としたのは、毎日書くなら、何かひとつ制限があるほうが書きやすいだろう、と思っただけである。
なんとなく親近感をおぼえて、読んでみた。
立川談志に会ったエピソードがいい。
噺家だった著者は、談志の噺に衝撃を受け、自分はとてもこうはなれない、と思い知らされて落語を辞めた。
ラジオ番組で人気を得たのち、ゲストに迎える機会があって、興奮気味にその旨を伝えたところ
上手い理屈が見つかったじゃねえか
ズバリと返されたというのだ。
人は新しく動き出すとき、つい誰かのおかげで、とか、誰かのせいで、と言いたくなる。
もちろん、他人の言動が、きっかけとなり、判断の材料になることもあるだろう。しかし、本当の本当の理由は、自分の中にしかないのである。
この話だけじゃなく、短い文章のどれもにちゃんと落ちがあって、面白い本だった。
そりゃそうだ、噺家からラジオパーソナリティーになった、いわば言葉のプロだ。
こんな本に倣ったと思われちゃマズい、ひじょーにマズい。某さんには、力を込めて否定しておきたい。
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40ねん話。
高校時代の美術の先生の個展がある、と同級生に聞いた。退職後に創作に専念され、専業の画家になっておられるらしい。
ずいぶんと長くお会いしないし、このところ仕事以外に出かけていないので、見に行きたい。
場所は、オフィス街の大通りを1本入ったビルの中の画廊。

古いビルディングを改装してオシャレな店舗にした、こういう物件が多い地区だ。
木の手すりを頼りに、うす暗く急な階段をのぼれば、ドアを開放した明るい一角。
イーゼルに載せたカンバスに、センセイのお名前が書かれている。
外観に不似合いな、眩しいライティングに目を細めつつ足を踏み入れると、狭いスペースに小太りのオジサンが2人、窮屈に立っていた。
1人は画廊の主、もう1人がセンセイだ。
センセイ ご無沙汰しております…
ご挨拶すると、センセイは記入したばかりの芳名帳に目をやって
おお、おお…
懐かしげに名前を呼んでくださった。
まずはひと回り、作品を拝見する。
会場の明るさはライトのせいだけではなく、多用された明るい原色のためでもあった。
記憶にあるセンセイの作風は、寒村や漁港を、黒や土色の絵具を使い、荒いタッチで厚塗りした、暗い絵だったから、驚いた、と言うと
ワシもいろいろ 思うところはあって…
パサパサの髪、黒縁のメガネ、ちっともお変わりにならないセンセイを見ていると、若かりし日のあれこれが思い出されて、懐かしい。
しかし、どうやらセンセイのほうは、私の名前しか覚えてらっしゃらないようだ。話しているうちに、話の端々から、うすうす感じる。
卒業以来、じつに40年。
センセイの画風はがらりと変わり、女子高生だった私も、いまや還暦近いオバハンである。
なにかシミジミして、帰り道はゆっくり歩いた。

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ずいぶんと長くお会いしないし、このところ仕事以外に出かけていないので、見に行きたい。
場所は、オフィス街の大通りを1本入ったビルの中の画廊。

古いビルディングを改装してオシャレな店舗にした、こういう物件が多い地区だ。
木の手すりを頼りに、うす暗く急な階段をのぼれば、ドアを開放した明るい一角。
イーゼルに載せたカンバスに、センセイのお名前が書かれている。
外観に不似合いな、眩しいライティングに目を細めつつ足を踏み入れると、狭いスペースに小太りのオジサンが2人、窮屈に立っていた。
1人は画廊の主、もう1人がセンセイだ。
センセイ ご無沙汰しております…
ご挨拶すると、センセイは記入したばかりの芳名帳に目をやって
おお、おお…
懐かしげに名前を呼んでくださった。
まずはひと回り、作品を拝見する。
会場の明るさはライトのせいだけではなく、多用された明るい原色のためでもあった。
記憶にあるセンセイの作風は、寒村や漁港を、黒や土色の絵具を使い、荒いタッチで厚塗りした、暗い絵だったから、驚いた、と言うと
ワシもいろいろ 思うところはあって…
パサパサの髪、黒縁のメガネ、ちっともお変わりにならないセンセイを見ていると、若かりし日のあれこれが思い出されて、懐かしい。
しかし、どうやらセンセイのほうは、私の名前しか覚えてらっしゃらないようだ。話しているうちに、話の端々から、うすうす感じる。
卒業以来、じつに40年。
センセイの画風はがらりと変わり、女子高生だった私も、いまや還暦近いオバハンである。
なにかシミジミして、帰り道はゆっくり歩いた。

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もどかし話。
夏場、なにかと使うもみ海苔。

たくさん買うと使い切る前に湿気てしまうので、これくらいの小さな缶がちょうどいい。
おひるのお蕎麦にパラパラかけて使い終わり、空き缶をゴミ箱に入れようと思ったら

アラ?まだ残ってる…
缶を逆さに振っても、出てこない。
よく見ると、缶の胴と底のつなぎ目に、はさまっているようだ。
缶ビールほどの細い缶で、手が入らない。ならばと箸を突っ込んでみたが、薄い海苔だから、箸でしっかりつかんで引っ張れない。
うーむ…
1センチやそこらの破片ならともかく、6~7センチはたっぷりある、立派な海苔である。
なにしろ私はケチなので、食物がそのままゴミになるのは、どうにも我慢できないのである。
悪戦苦闘、隔靴掻痒、試行錯誤の数分が経過。
💡!
やにわに立ち上がり、道具箱をガサガサ探して、手にしたはピンセット。
さっきまでの苦労がウソのように、あっさり取れた。
あらゆる精密作業に!
ピンセットのケースに書いてある文字に
あらゆるにもほどがあるな…
フフフと笑って、海苔の欠片を口の中に入れたら、ほんのりと磯の香がした。

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たくさん買うと使い切る前に湿気てしまうので、これくらいの小さな缶がちょうどいい。
おひるのお蕎麦にパラパラかけて使い終わり、空き缶をゴミ箱に入れようと思ったら

アラ?まだ残ってる…
缶を逆さに振っても、出てこない。
よく見ると、缶の胴と底のつなぎ目に、はさまっているようだ。
缶ビールほどの細い缶で、手が入らない。ならばと箸を突っ込んでみたが、薄い海苔だから、箸でしっかりつかんで引っ張れない。
うーむ…
1センチやそこらの破片ならともかく、6~7センチはたっぷりある、立派な海苔である。
なにしろ私はケチなので、食物がそのままゴミになるのは、どうにも我慢できないのである。
悪戦苦闘、隔靴掻痒、試行錯誤の数分が経過。
💡!
やにわに立ち上がり、道具箱をガサガサ探して、手にしたはピンセット。
さっきまでの苦労がウソのように、あっさり取れた。
あらゆる精密作業に!
ピンセットのケースに書いてある文字に
あらゆるにもほどがあるな…
フフフと笑って、海苔の欠片を口の中に入れたら、ほんのりと磯の香がした。

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せみとり話。
…じゃんじゃんじゃんじゃんじゃんじゃんじゃん…
連休最終日、セミの声で目覚めた。
今年は少なそう、という根拠のない希望的観測を裏切り、いきなりの爆鳴きである。
雨が続いて気温は低めなのに、耳が暑い。
昼の暑さが思いやられて、ウンザリしながら身支度をし、バスに乗った。
冷房の風にホッとして、座席に身を委ねる。
…つぎ とまります…
車内アナウンスのあと停まったバス停で、60代くらいの女性が乗ってきた。ぴったり身に合ったアイボリーのスーツを着た、オシャレな人だ。
真っ白なレースのブラウスの胸元には
!!!
でかいクマゼミがとまっているではないか。
セミの1匹や2匹に悲鳴を上げる私ではないが、車内では話が別だ。
驚いたセミが、耳をつんざく声を上げつつ、ガラス窓にぶち当たっては、四方八方に飛び回る状況を考えたら、総身がこわばる。
虫が苦手な人なら、ショックで半狂乱になりかねない。ひどいことになる前に、捕まえてあげようかと、あらためて女性の胸元に目をやると
…なあんだ…
それは、光るガラスの羽の黒い鳥が2羽、頭を寄せる姿を模した、素敵なブローチだった。

(似た感じのをネットで検索しました)
大きさといい、白と黒の配色といい、クマゼミにソックリだ。
失礼! 動かないで!
あっけにとられた女性からブローチをむしり取る自分を想像したら、プルプルと震えが来た。

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連休最終日、セミの声で目覚めた。
今年は少なそう、という根拠のない希望的観測を裏切り、いきなりの爆鳴きである。
雨が続いて気温は低めなのに、耳が暑い。
昼の暑さが思いやられて、ウンザリしながら身支度をし、バスに乗った。
冷房の風にホッとして、座席に身を委ねる。
…つぎ とまります…
車内アナウンスのあと停まったバス停で、60代くらいの女性が乗ってきた。ぴったり身に合ったアイボリーのスーツを着た、オシャレな人だ。
真っ白なレースのブラウスの胸元には
!!!
でかいクマゼミがとまっているではないか。
セミの1匹や2匹に悲鳴を上げる私ではないが、車内では話が別だ。
驚いたセミが、耳をつんざく声を上げつつ、ガラス窓にぶち当たっては、四方八方に飛び回る状況を考えたら、総身がこわばる。
虫が苦手な人なら、ショックで半狂乱になりかねない。ひどいことになる前に、捕まえてあげようかと、あらためて女性の胸元に目をやると
…なあんだ…
それは、光るガラスの羽の黒い鳥が2羽、頭を寄せる姿を模した、素敵なブローチだった。

(似た感じのをネットで検索しました)
大きさといい、白と黒の配色といい、クマゼミにソックリだ。
失礼! 動かないで!
あっけにとられた女性からブローチをむしり取る自分を想像したら、プルプルと震えが来た。

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ぎおんの話。
テレビを点けたら、浴衣姿のレポーターがマイク片手にそぞろ歩いている。
ああ、今年はあるんだ。
疫病退散を祈る、京都八坂神社の祇園祭。3年ぶりに山鉾巡行が行われるようだ。
疫病退散なら、休まないでやんなきゃダメじゃん、などと、見に行く気がない私がとやかく言うべきことではない。
若いころ京都で過ごし、今も私鉄で1時間かからない場所に住みながら、このお祭りにはさっぱり縁がない(→よいやま話。)。
大学に入ってすぐのころ、宵山だったか、宵々山だったか、1度見に行ったきりだ。
豪奢な山や鉾を巡り、老舗や旧家がとっておきの調度を飾る店先を、物珍しく眺めて
たいした持物自慢だなァ
感心して、それっきりである。
それより何より、蒸し暑さと人出の多さに疲れ
1回見りゃいいや…
思ってしまって、今日に至る。
そういえば、ムスメもムスコも、今はうちよりも、もっと近い場所に住んでいる。
別件で連絡してきたムスコに
そういえばアンタ見に行ったことあんの?
何の気なしに聞いてみたら
無い 予定も無い
にべもない返事であった。
ムスメにも聞いてみようかな、と思ったけれど、やめておこう。
あの子は浴衣が着られるはずだから 素敵な人と行ってるといいな
自分のことは棚に上げて、ムシのいい母親だ。
扇風機の涼しい風に当たりつつ眺める画面では、ぞろぞろと行列が始まっている。


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ああ、今年はあるんだ。
疫病退散を祈る、京都八坂神社の祇園祭。3年ぶりに山鉾巡行が行われるようだ。
疫病退散なら、休まないでやんなきゃダメじゃん、などと、見に行く気がない私がとやかく言うべきことではない。
若いころ京都で過ごし、今も私鉄で1時間かからない場所に住みながら、このお祭りにはさっぱり縁がない(→よいやま話。)。
大学に入ってすぐのころ、宵山だったか、宵々山だったか、1度見に行ったきりだ。
豪奢な山や鉾を巡り、老舗や旧家がとっておきの調度を飾る店先を、物珍しく眺めて
たいした持物自慢だなァ
感心して、それっきりである。
それより何より、蒸し暑さと人出の多さに疲れ
1回見りゃいいや…
思ってしまって、今日に至る。
そういえば、ムスメもムスコも、今はうちよりも、もっと近い場所に住んでいる。
別件で連絡してきたムスコに
そういえばアンタ見に行ったことあんの?
何の気なしに聞いてみたら
無い 予定も無い
にべもない返事であった。
ムスメにも聞いてみようかな、と思ったけれど、やめておこう。
あの子は浴衣が着られるはずだから 素敵な人と行ってるといいな
自分のことは棚に上げて、ムシのいい母親だ。
扇風機の涼しい風に当たりつつ眺める画面では、ぞろぞろと行列が始まっている。


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よばれる話。
土曜の朝はチコちゃん。

…先生をつい、お母さんと呼んでしまうのはどうして?
ハハハ…あるある。
クラスメイトが元気よく手を上げて
ハイハイハイ おかーさん!
ひときわ大声で言ってしまい、みんなに笑われて顔を赤くしていたことなど思い出す。
そういえば、昔はよく、母に
クミコ!…あ、ちがった、ぢょん子!
叔母の名前で呼ばれた。
当時は、成人のおばちゃんと、子供の自分を間違えるなんて、なんでだろうと不思議だった。
顔だってぜんぜん似ていない。
いま自分が母親になってみると、うちにいる小さい子を、かつて周りをウロウロしていた妹の名で呼んでしまうのは、わりに自然なことに思える。
末っ子のクミコおばちゃんは、私が子供のころはまだ大学生で、祖父母の家にいた。
本を読ませてくれたり、レコードをかけてくれたり、遊びに行くとかまってもらって、楽しかった思い出ばかりだ。
しかしその後、いろいろと事情があって、おばちゃんは身内との連絡を絶ってしまった。
悲しいかな、去る者は日日に疎し。
クミコおばちゃんが、家族の話題に上らなくなり、長い年月が経つ。
先生をお母さんと呼んでしまうのは 心の辞書で 隣に並んでいるから~!
つまり、世話をしてくれる親しい大人という点で、母親と先生の存在が似ているので、混同が生まれるのだという。
母の心の辞書に、叔母はもういないのだろうか。
私と呼び違えることも、すっかりなくなった。

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…先生をつい、お母さんと呼んでしまうのはどうして?
ハハハ…あるある。
クラスメイトが元気よく手を上げて
ハイハイハイ おかーさん!
ひときわ大声で言ってしまい、みんなに笑われて顔を赤くしていたことなど思い出す。
そういえば、昔はよく、母に
クミコ!…あ、ちがった、ぢょん子!
叔母の名前で呼ばれた。
当時は、成人のおばちゃんと、子供の自分を間違えるなんて、なんでだろうと不思議だった。
顔だってぜんぜん似ていない。
いま自分が母親になってみると、うちにいる小さい子を、かつて周りをウロウロしていた妹の名で呼んでしまうのは、わりに自然なことに思える。
末っ子のクミコおばちゃんは、私が子供のころはまだ大学生で、祖父母の家にいた。
本を読ませてくれたり、レコードをかけてくれたり、遊びに行くとかまってもらって、楽しかった思い出ばかりだ。
しかしその後、いろいろと事情があって、おばちゃんは身内との連絡を絶ってしまった。
悲しいかな、去る者は日日に疎し。
クミコおばちゃんが、家族の話題に上らなくなり、長い年月が経つ。
先生をお母さんと呼んでしまうのは 心の辞書で 隣に並んでいるから~!
つまり、世話をしてくれる親しい大人という点で、母親と先生の存在が似ているので、混同が生まれるのだという。
母の心の辞書に、叔母はもういないのだろうか。
私と呼び違えることも、すっかりなくなった。

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ゆでたま話。

週1度の生協の配達で、玉子が1パック届く。
10個を使い切らずに次が来た時には、残ってるのをまとめて茹でる。
茹で玉子にはいろんな使い道があるし、ちょっと時間の経った玉子のほうが剥きやすいからだ。
朝、冷蔵庫を覗くと、今日もいくつか玉子が残っていた。
しかし、私の朝は忙しい。
水を張った鍋に玉子を入れて火にかけたら、バタバタと他へ行ってしまう。
ある日は洗濯物を干し、ある日はタオルを交換してと、することがたくさんあるのである。
ひとしきり立ち働いたあとで台所に戻ると、鍋はグラグラと煮立っていて
あっちっち~
お湯を捨て、水道の水を注いで冷まし、さっそく1個にひびを入れ、ぺりぺりと剥く。
さーてどうかな 固茹でかな~
タイマーをセットしていないので、剥いてみるまでわからない。
お、ラッキー半熟!
白身はしっかりと、黄身が透明感あるオレンジに固まりはじめた、好みの茹で加減だ。
いつもうまくいくとは限らない。硫黄のにおう、カッチカチの固ゆでになることも、剥けないほどデロンデロンのこともある。
ちゃんと計って作れば、と10人が10人が思うだろうけれど、ギャンブルも宝くじもやらない私の、これはちょっとした楽しみなのだ。
ゴキゲンで冷蔵庫を開けたら
♪ゆでたまごつく~ろ~♪
聞いたことのあるメロディーが、替え歌になってこぼれた。
季節感ゼロだけど、雪だるまも、茹で玉子も、白くて丸いもの同士、まあいっか。
残りの茹で玉子をしまって、ドアを閉める。

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なつかし話。
タオルにパジャマに食器、腐らない日用品に関して、私に選択の余地はない。
老母が長年、ノホーズに買い集めた在庫を、四の五の言わず順々に使う。それが彼女の娘に生まれついた運命なのである。
先日、友だちにキューリをもらったから分けてやる、というので
いつも野菜だけくれるんなら ありがたいのに
内心は押し隠して、出て行った。
待合せのバス停で、見慣れた小柄な姿に近づく。
あら~ 懐かしい…
会うのはちょっと久しぶりだが、懐かしがられるほどではないはず、と首をひねると
その日傘 懐かしいわ~
何年か前、買ったばかりのお気に入りを失くして以来、使っていたおばーちゃんのお下がりの日傘だった(→なくした話。)。
そう言うご本人は、いつ買ったのか、またしても見慣れない日傘を小脇に抱えている。
プッ…ツン
コメカミのあたり、何かがブチ切れる音が、確かに聞こえた。
うわの空で、キューリの他にも、コマゴマ頼まないものが入った紙袋を受け取って、最寄の喫茶店でアイスコーヒーを飲んだあと、うちに帰った。
着替えもせずにパソコンを開けて、以前から
いいなあ 素敵だなあ でも高いなあ
思っていた日傘を、ポチリと購入する。
お下がりの日傘なんか、すぐブン投げてやろう。ちょうど明日は、燃えないゴミの日だ。

Claude Monet (1840-1926)

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老母が長年、ノホーズに買い集めた在庫を、四の五の言わず順々に使う。それが彼女の娘に生まれついた運命なのである。
先日、友だちにキューリをもらったから分けてやる、というので
いつも野菜だけくれるんなら ありがたいのに
内心は押し隠して、出て行った。
待合せのバス停で、見慣れた小柄な姿に近づく。
あら~ 懐かしい…
会うのはちょっと久しぶりだが、懐かしがられるほどではないはず、と首をひねると
その日傘 懐かしいわ~
何年か前、買ったばかりのお気に入りを失くして以来、使っていたおばーちゃんのお下がりの日傘だった(→なくした話。)。
そう言うご本人は、いつ買ったのか、またしても見慣れない日傘を小脇に抱えている。
プッ…ツン
コメカミのあたり、何かがブチ切れる音が、確かに聞こえた。
うわの空で、キューリの他にも、コマゴマ頼まないものが入った紙袋を受け取って、最寄の喫茶店でアイスコーヒーを飲んだあと、うちに帰った。
着替えもせずにパソコンを開けて、以前から
いいなあ 素敵だなあ でも高いなあ
思っていた日傘を、ポチリと購入する。
お下がりの日傘なんか、すぐブン投げてやろう。ちょうど明日は、燃えないゴミの日だ。

Claude Monet (1840-1926)

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こどくの話。
忙しい日々…ひとりになったとき…ふとした瞬間 コドクを感じることはありませんか…
点けっぱなしのテレビから、なにやら聞こえて
朝から湿っぽいなァ
呟いて、スイッチを切る。
ポットに麦茶を移していたら、洗濯機がとまったので、ベランダに干しに出る。
あっつ~い…
日差しに顔をしかめつつ、洗濯物を干しながら
そうだ!アレを試してみよう!
いいことを思いついた。
新しい日傘が、昨日届いたのである。ずっと母のお下がりだったので、久しぶりの新調だ。
タグを外して、ベランダに持って出た日傘を広げてみると
おおお…!
99%遮光素材が作る、真っ暗な日陰。
さすが、新製品の機能は素晴らしいと、満足して部屋に戻れば
おっと 体操体操…
日課のテレビ体操の時間だ。さっき消したテレビを、急いで点ける。
画面の先生の指示通りに、大真面目に手を振り、身体を曲げていると
オヤ…
床に落ちた小さな欠片が目に付いてつまみ上げた。さっき掃除機をかけたばかりなのに
これ、何だろう?
ゴミの正体に、ひとり首をひねる。
今日も予定では、誰とも口を利かない。コドクっちゃコドクだけれども、私の毎日はやかましい。
わりに仕合せな孤独やな
殿山泰司が、誰だかの小説を読んで、もらしていた感想を思い出したりする。


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点けっぱなしのテレビから、なにやら聞こえて
朝から湿っぽいなァ
呟いて、スイッチを切る。
ポットに麦茶を移していたら、洗濯機がとまったので、ベランダに干しに出る。
あっつ~い…
日差しに顔をしかめつつ、洗濯物を干しながら
そうだ!アレを試してみよう!
いいことを思いついた。
新しい日傘が、昨日届いたのである。ずっと母のお下がりだったので、久しぶりの新調だ。
タグを外して、ベランダに持って出た日傘を広げてみると
おおお…!
99%遮光素材が作る、真っ暗な日陰。
さすが、新製品の機能は素晴らしいと、満足して部屋に戻れば
おっと 体操体操…
日課のテレビ体操の時間だ。さっき消したテレビを、急いで点ける。
画面の先生の指示通りに、大真面目に手を振り、身体を曲げていると
オヤ…
床に落ちた小さな欠片が目に付いてつまみ上げた。さっき掃除機をかけたばかりなのに
これ、何だろう?
ゴミの正体に、ひとり首をひねる。
今日も予定では、誰とも口を利かない。コドクっちゃコドクだけれども、私の毎日はやかましい。
わりに仕合せな孤独やな
殿山泰司が、誰だかの小説を読んで、もらしていた感想を思い出したりする。


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つみきの話。
朝、今年初めてのセミの声を聴いた。
例年より遅い気がするのは、梅雨開けが早かったせいだろう。
夏といえばセミが鳴くものと思っているが、そういえば鳴かない夏もあった、と、ふと思い出す。
海外赴任が決まったとき、まだ幼稚園にも上がっていなかったムスメに
日本語を忘れないようにね
教育ババの義母がくれた餞別は、昔ながらのあいうえおの積木だった。
祖母の思いをよそに、不熱心な母親が教えないものだから、ひらがなはちっとも覚えなかったが、積木じたいは気に入ってよく遊んだと思う。
地域の育児グループで仲良くなったニッキーが、ある日子供連れで遊びに来た。
ムスメと同い年のアレックスが、暖炉の前に出しっぱなしの積木に、さっそく興味を示す。
謎の記号を書いた木の板をひっくり返すと、色とりどりの絵があるのがお気に召したようだ。
あひる… さかな… りんご…
描かれたものの名前を、元気よく言っていたが
まま~ これなに?
差し上げて見せたのは、せの字の積木だった。

うーん… ハエかしら?
ニッキーの答えに、そうだ、そういえばここにはセミがいない、とはじめて気づいた。
ねえぢょん子、これ何?虫よね?
聞かれてたちまち困る。
まず、英語の名前がわからない。指で大きさを示したり、夏の虫で…木にとまって…おっきな声で鳴いて…しどろもどろで説明すると
大きな声?鳴くの?!
あんがいな勢いで驚かれた。
今ならスマホで動画を出して、難なく済むところだ。こんな小さなエピソードにも、ずいぶん長い時の流れを感じたりする。

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例年より遅い気がするのは、梅雨開けが早かったせいだろう。
夏といえばセミが鳴くものと思っているが、そういえば鳴かない夏もあった、と、ふと思い出す。
海外赴任が決まったとき、まだ幼稚園にも上がっていなかったムスメに
日本語を忘れないようにね
教育ババの義母がくれた餞別は、昔ながらのあいうえおの積木だった。
祖母の思いをよそに、不熱心な母親が教えないものだから、ひらがなはちっとも覚えなかったが、積木じたいは気に入ってよく遊んだと思う。
地域の育児グループで仲良くなったニッキーが、ある日子供連れで遊びに来た。
ムスメと同い年のアレックスが、暖炉の前に出しっぱなしの積木に、さっそく興味を示す。
謎の記号を書いた木の板をひっくり返すと、色とりどりの絵があるのがお気に召したようだ。
あひる… さかな… りんご…
描かれたものの名前を、元気よく言っていたが
まま~ これなに?
差し上げて見せたのは、せの字の積木だった。

うーん… ハエかしら?
ニッキーの答えに、そうだ、そういえばここにはセミがいない、とはじめて気づいた。
ねえぢょん子、これ何?虫よね?
聞かれてたちまち困る。
まず、英語の名前がわからない。指で大きさを示したり、夏の虫で…木にとまって…おっきな声で鳴いて…しどろもどろで説明すると
大きな声?鳴くの?!
あんがいな勢いで驚かれた。
今ならスマホで動画を出して、難なく済むところだ。こんな小さなエピソードにも、ずいぶん長い時の流れを感じたりする。

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