fc2ブログ

てすりの話。

つかず離れずで 距離をとって

身の周りでこうした表現を時々聞く。

この年になると、若いころからの友人との付合いが難しくなるようだ。

同じ環境で共に学び、遊んでいた友も、場所も境遇も異なる長い年月を過ごして、考え方、感じ方の違いが広がり、ついに

今はつかず離れず、距離をとっているの…

言われてハアハアと返事しつつ、じつはあんまりピンと来ない。

つかず、は分かる。問題は離れずのほうだ。

いやいや、会ってて面白くないような人なんか 離れりゃいいじゃん?

もしも私が友達の立場なら、ケンカ別れのほうがよっぽどいい。

じっさい、つかず離れずをやられてるな、と感じたこともあるが、そんな人に限って自分の都合で連絡してきたりするので、いい気はしない。

話は変わって、某日某所。

私はあるビルの外階段を下りていた。

サスペンスドラマの導入部で、被害者が突き落とされるような、殺風景な階段だ。

背後に人の気配はないが、念のため手すりは持ちたい。

ところがこの手すりが、塗料の加減か、なんだかネバネバしているのである。

誰が触ったかわからないし、キモチワルいけど、かといって被害者になるのは気が進まない。

危なくなったら掴めるよう、手すりから5センチくらいのところに手をかざしながら下りる。

ぶじ、ネバネバに触れずに地面に到着したとき

ああ、これがつかず離れずということか!

ポンと膝を打った。

てすり




にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



スポンサーサイト



ごきんじょ | コメント(5) | トラックバック(0) | 2022/09/30 11:30

うろこの話。

朝起きてパソコンを開けたら、ひとつ大事なメールが来ていた。

来月予定の出張が、中止という連絡だ。

先週からのやりとりで、やっぱりな、という感じではあるのだが、新型ウィルスの騒動があって、久しぶりの出張だったから、ちょっと残念。

ついボンヤリして、ふと我に返れば

あ、しまった!

今日はゴミの日である。結んであった袋を掴んで、慌てて飛び出した。

早足でゴミステーションに向かいながら

予約…キャンセルしないとなあ…

日帰りは無理な距離なので、新幹線のほか、宿も取ってあった。キャンセル料のかからないうちに連絡しておかないといけない。

収集にも間に合って、手ぶらの戻り道、風はすっかり冷たく

ああ、秋だなァ…

見上げる空には、うろこ雲

この空のつづく先を思うと

どこか遠くへ行きたいなァ…

なんともいえない気持が、胸にこみあげてくる。

宿も、電車も、とってあるんだ。

なんにも用事は無いけれど、行っちゃおうかな、あの街に。

そんなことを考えながら、うちに帰った。

あきのくも



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2022/09/29 11:30

やさしい話。

アッサリしてますね 食べやすい

お料理の試食をしたタレントのニコニコ顔に

あ、こりゃ薄味で 食べた気がしないんだな

思うのは、たぶんテレビの見過ぎである。

私は食物にあんまり関心が無いので、年がら年中何かを食べさせられ、何かしら言わねばならないのは、さぞかし難行苦行だろうと想像する。

オイシイの一本槍では場がもたない。

いかな美味珍味であろうとも、好みは人それぞれだし、好きなものでも食べたくないタイミングもあるだろう。

お金のためとはいえ、テレビに出るのもご苦労である。

画面のこちら側で悪戦苦闘を拝見しながら、ウマくもマズくもないものを、仏頂面で黙って食べていられる境遇を、有難くも幸せに思う。

懐かしい味ですね!

実家で食べるようなシロート料理かあ…

とっても優しい味

あー、どこがおいしいかわかんない寝ぼけた味なのね

まあ、想像は自由である。

とつげきとなりのばんごはん
(この人は不味い時「なかなかの味」と言ったらしい)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



てれびじょん | コメント(17) | トラックバック(0) | 2022/09/28 11:30

きりかえ話。

今年はうまくいった、と、思う。

いや、コーヒーの話。

私は違いの分からない女なので、特価品の豆を、安物のコーヒーメーカーで淹れた、おそらくは、地上最低レベルのコーヒーを飲んでいる。

ただし、お湯を沸かすのも暑い夏の間だけ、ペットボトルのアイスコーヒーにする。

秋風が吹き始めると、またコーヒーメーカーを出すのだが、その切替えどきが悩ましい。

レギュラーコーヒーの大袋を開封したら、とたんに暑さがぶり返す。

かといってまたアイスを買い足すと、朝っぱらからゾーッと鳥肌をたてることになる。

あれこれ考えるほどに裏目に出る、私はそういう人間なのだ。(→れいこー話。

もう、よけいなことは考えず、思い立った時にコーヒーメーカーを出してしまおう。ダラダラ汗をかきながら、ホットコーヒーもいいじゃないか。

もはやその境地に達しつつある。

うまくやろうなんて考えなければ 逆にうまくいくのかもな

熱いコーヒーを味わいながら、そんなことを思っていると

♪ぴん ぽ~ん♪

宅配が来た。

あいすこーひー1だーす

でやっ!セールで注文したの、忘れてた!



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2022/09/27 11:30

りもりも話。

青いイルカのマイクロバスが道の向こう側に停まる。小学生のころムスコもお世話になった、スイミングスクールの送迎バスだ。

待っていた数人の子供を乗せて走り出すバスを、ちょっぴり懐かしい気持ちで見送った。

黄色いスイムキャップをかぶり、水しぶきを上げていたムスコの姿を思い浮かべ、シミジミしようと思ったのに、何かが目の端に引っかかる。

り・も・り(あとに何か続く)

バスの窓ガラスに、1枚ずつ紙を貼って、そう書いてあったのだ。

だけど、りもりって何?

もとより浅学の身ゆえ、絶対に無い、とは言い切れないが、わが国語には「りもり」で始まる言葉は、存在しないように思う。

見間違い?「」ではなく「」?

しかし「いもい」でも、思い当たる言葉はない。

帰ってからも気になって、家事が手につかない。

ムスコの通った時分から変更がないとすれば、バスはまもなく、帰りの子供を乗せてくるはずだ。

時刻を見はからって、確かめに行くことにした。

子供を迎えに来たお母さんですよ~という雰囲気で(ちょっとトシ食ってるけど)バス停で待っていると、見慣れたバスがやってくる。

見逃すまじと窓に目を凝らすと

元・気・も・り・も・り・!

そして、さっき私が読んだ反対側は

!・り・も・り・も・気・元

いったい誰に向けてのメッセージだろう?

スイミングで健康になろう!ということなのか。わざわざ両側に書くほどの文句とも思えないが。

以来、「リモリモキゲン」という言葉が、頭にこびりついて離れなくなってしまった。

くたびれた時など、つい

ハア~… リモリモキゲンだわぁ…

つぶやいてしまう。そう、「リモリモキゲン」は「元気モリモリ」のなのである。

たーゃじす
(「ターャジス」をどう発音すればいいのか誰か教えてほしい)



季節の変わり目、少々リモリモキゲンなので、2015年9月26日の記事を再掲載いたします。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2022/09/26 11:30

せつやく話。

3連休は結局、どこへも行かず家にいた。

外出しなくても、洗濯や片付けや、ちょっとした用事だけで、日々は過ぎていく。

他の皆さんがお休みを楽しんでいると思えば、寂しい気もするが

うちは節約、セツヤク

出かけても、外食しても、お金は飛んでいく。

でも、このように引きこもっていれば、せいぜいテレビの電気代だけで過ごせるのだ。

そう、節約、セツヤク

スマホのメールを見ていたら、固定電話が鳴ったので応答し、母からの頼まれごとを思い出して、パソコンの画面を開ける。

コマゴマした用事が、気持よく片付く。

テレビを点けたら、賑わいを取り戻しはじめた観光地を、そぞろ歩く人の姿が映ったけれど

いや、節約、セツヤク

こうして家にいれば、財布の紐は緩まない。

お金は使わずに済む…のか?

メールは、探していた商品の入荷案内だった。

電話は、水道の工事業者さんからの連絡。部品込の見積もりを知らしてきた。

母の頼み事はネット注文で、代金は当分立替えである。

あれやこれや、15分ほどで、合計20万円に近い出費が決まった勘定になる。

むむむ…節約、セツヤクは…

晴天に誘われ、フラフラ出かけていれば、ソフトクリーム代くらいで済んだのかもしれない。

さいふのひも



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



もろもろ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2022/09/25 11:30

しましま話。

朝夕が冷えてきたので、タオルケットを洗って片付け、掛フトンを使うことにした。

半日干して湿気を飛ばしたフトンをカバーに入れながら

あー…やっぱりダサい このシマシマ…

タメイキをつく。

この布団カバーは、昨シーズン最終のセールで買った。

もうひとつの候補とさんざん迷って決めたのだが、ダサいシマシマのこちらを買ったのは、つまり安さに目がくらんだのである。

外に持って歩くわけでなし 使う時は目をつぶってるんだから 安いのが一番!

そう自分に言い聞かせるのもむなしい。

だいたい、安物に限って、よけいな模様があるのはなぜだろう。何の工夫もない無地の商品ほど、2割増しお値段が高いのは、永遠の謎である。

見れば見るほど気が滅入るので、サッサと寝てしまおうと、シマシマ模様のフトンにもぐり、目を閉じた。

夜半、肌寒さに目が覚めた。年甲斐もなく、フトンをはねてしまったようだ。

蹴飛ばしたフトンはタテヨコ不明で、襟元まで引っ張り上げると足がにゅっと出たりするが、ネボケマナコでフトンを探ったら

あ… たしかこのシマシマ…

シマシマの方向でフトンのタテヨコがわかる。

無事、つま先までフトンに包まれた私は

ダサいシマシマにも いいとこあるじゃん…

やすらかに、深い眠りに落ちて行った。

じっかのふとんかばー
(実家の布団カバーはなぜか窓があいている)



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



もろもろ | コメント(12) | トラックバック(0) | 2022/09/24 11:30

ひだりて話。

ズボラのようで、やりだすとしつこい性格の私。

ひょんなことで始まった、利き手じゃない手を使うチャレンジ(→れんしゅう話。)は、まだまだ続いている。

なにげない動作を、左右逆にする。些細なことだが、発見もある。

利き手が器用とは限らない、というのもそのひとつ。

たとえば髪を乾かすとき、私はふだん、利き手にドライヤーを、反対の手にヘアブラシを持つ。

逆にすると、ドライヤーは動かせても、ヘアブラシでうまくセットするのは至難の業なのだ。

つまり、髪を乾かす、という作業においては、利き手じゃないほうの手が器用に働いている、ということになる。

字を書いたり、食事をしたり、目立つ作業に使うため、利き手は器用だ、と思われがちだけれど、じゃないほうの手も健闘しているのである。

余談だが、トイレットペーパーをかならず左手で取っている、ということにも気づいた。

といれっとぺーぱーほるだー


うちのご不浄は、便座に腰かけて右側にトイレットペーパーがあり、右手で取るのが自然なのに、なぜかわざわざ身体をねじって取っている。

遠い昔、国際問題を考えて、左手にしたことを思い出した。

ガイドブックか何かで読んだ知識に

インドでは、左手は『不浄の手』といわれ、握手や食事のときには使わない

つまり、ご不浄では左手を使うのである。

若く野望に満ちた私は、将来国際的に活躍するにあたり、10億を超える南アジア文化圏の方々との無用の摩擦を避けるため

早めに直しておこう…

要らんことを考えたのであった。

やってみると、右にある紙を右の手で取るのは、大変快適である

私も還暦を前に、インドで活躍する心配もないようだし、これからはこうしようと思う。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



もろもろ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2022/09/23 11:30

てんらん話。

行こうかな、と思っていた展覧会の、会期が終わりに近づいている。

混雑も夏休み中ほどではなかろうし、並ぶにしても今の気候なら、暑いときよりは楽だろう。

今回を逃すと、たぶん一生見られない気もする。

にもかかわらず躊躇するのは、あの、ちっちゃなウサギのせいなのだ。

遡ること10年前、同じ画家の大々的な展覧会があったとき、売店でこんなものを買った。

しんじゅのみみかざりのみっふぃー
(耳の位置はそこじゃないだろう→真珠の耳飾りの少女

どんなに感激しようとも、ハガキしか買わない私なのに、気の迷いとしか思えない。

この画家は日本人に好まれるらしい。

さほど時を置かずに、別の作品をメインに据えた展覧会が回ってきたとき

ぎゅうにゅうをそそぐみっふぃー
(→牛乳を注ぐ女

当然といえば当然ながら、またしてもこんなものを買ってしまった。

そして今回。事前のリサーチにより

てがみをよむみっふぃー
(→窓辺で手紙を読む女

こんな商品があることがすでに分かっている。

展覧会に行けば、私はまたフラフラと、安からぬこのウサギを買ってしまうことであろう。

そう考えると、足を向けるのがためらわれる。

会期は日曜日まで。3連休の天候と混雑を考えれば、今日が最後のチャンスである。

さあ、どうする私!



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



もろもろ | コメント(16) | トラックバック(0) | 2022/09/22 11:30

だんじき話。

今日は年に1度の特定検診

けんしんぱすぽーと

夏の暑さも落ち着いた、この時期に受けることにしている。

朝起きて、冷蔵庫を見たら

絶食!

自分で書いたマジックの文字が、警告していた。

そうそう、採血があるから、朝ごはんは抜きなのだ。習慣で行動しがちな私は、うっかりすると、流れるようにいつもの朝食を摂ってしまう。

以前、たらふく食べてしまったときは、平謝りで予約を取り直した。

それにしてもお腹が減った

昨日、夕方の遅い時間にお付き合いで食べたケーキが、思いのほか大きくて、ご飯の時間になってもお腹が空かず、そのまま寝てしまったのだ。

帰りに買った美味しそうなデニッシュが、パン籠にのっているのも恨めしい。

やけになってガブガブ水を飲み、フラフラ医院に出かける。

受付を終え、名前を呼ばれるのを待つあいだも

終わったらゴハン… 終わったらパン…

血圧計を腕に巻かれながらも

終わったらゴハン… 終わったらパン…

注射器を腕に刺されつつも

終わったらゴハン… 終わったらパン…

考えるのは食べることばかり。

ベッドに横たわり、心電図をとられているとき、ふと

採血が済んだら食べていいんじゃないの?

よけいなことを思いついたとたん、心臓の拍動が大きくなった気がして、焦った。

たしかに、バッグにはのど飴が入っているが、さすがの私も医院の中では食べない。

だいいち慌ててノドに詰めでもしたら、のちのち語り草である。

すべて終わって、医院の自動ドアが開くと、つい小走りになった。

お腹が減って走るなんて、何年ぶりだろう。

われながらおかしくて、ハハハと笑ったら、すれ違う犬の散歩の人が、驚いて振り返った。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング



もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2022/09/21 11:30
 | HOME | Next »