たいおん話。
猖獗をきわめた新型ウィルスも、ようやく落着きを見せ、街に人が戻りはじめた。
マスクをかけない人も増えたし、建物の入口に立つ消毒液も、もう見向きもされない。
しかし、やりだすとしつこい性格の私は、あいかわらずシュッとやる(→しょうどく話。)し、

サーモカメラには、律儀にオデコを差し出す。
それにしても、こういうカメラ、じっさい引っかかるのは見たことが無い。熱があったらどうなるんだろう、とかねがね疑問に思っている。
青く青く空が晴れた日。
さしたる用もなけれども、フラフラ浮かれ出る。
マスクをせずに家を出たけれど、人が増えてきたので、ポケットにあったマスクをかけた。
日差しが強くて、汗ばむほどだ。
日傘 さして来ればよかったかな
いささか後悔しながら上着を脱いで小脇に抱え、歩き続ける。
あっちい~
ショッピングセンターに着いたときは、暑がりの私の額には汗がにじんでいた。
ドアの前で消毒液に手を差し出し、カメラに顔を…
ビービー ビービー…
かつて聞いたことのない警報音が鳴り響くなか
あわわわ…
慌てふためいているオバサンを見たかた、それは私です。(しばらくして汗が引いたら平熱でした)

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

マスクをかけない人も増えたし、建物の入口に立つ消毒液も、もう見向きもされない。
しかし、やりだすとしつこい性格の私は、あいかわらずシュッとやる(→しょうどく話。)し、

サーモカメラには、律儀にオデコを差し出す。
それにしても、こういうカメラ、じっさい引っかかるのは見たことが無い。熱があったらどうなるんだろう、とかねがね疑問に思っている。
青く青く空が晴れた日。
さしたる用もなけれども、フラフラ浮かれ出る。
マスクをせずに家を出たけれど、人が増えてきたので、ポケットにあったマスクをかけた。
日差しが強くて、汗ばむほどだ。
日傘 さして来ればよかったかな
いささか後悔しながら上着を脱いで小脇に抱え、歩き続ける。
あっちい~
ショッピングセンターに着いたときは、暑がりの私の額には汗がにじんでいた。
ドアの前で消毒液に手を差し出し、カメラに顔を…
ビービー ビービー…
かつて聞いたことのない警報音が鳴り響くなか
あわわわ…
慌てふためいているオバサンを見たかた、それは私です。(しばらくして汗が引いたら平熱でした)

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

ひんじの話。
♪ふんふんふ~ん♪
本を取り出そうと、鼻歌交じりに書棚を開く。
♪ふんふん…あれ?こっちか…
下段の扉を開けたとき
ガタン!
ええっ!
何が起きたか、しばらく分からなかった。
落ちた…
なんと、正面のガラス扉が、外れたのである。
よく見ると、2つある蝶番の2つとも壊れているではないか。買って40年近い書棚だから、金具も寿命が来たとみえる。
困ったなァ…
古いは古いが、けっこう高かった。買い直す余裕はないし、中にはギッチリ本が詰まっている。
直せないものか、壊れた蝶番をしげしげ眺めたら

慣れ親しんだ書棚にこんな特殊な形状の金具がついていたとは、今の今まで知らなかった。
こんな蝶番 どこに売ってんだ…
しかも、丸い側は単にネジ止めでなく、木部を浅く削ってピッタリ嵌めこまれている。
テキトーな部品では嵌まらないということだ。
こりゃ シロートには無理だワ…
直せる当てもないガラス扉を、邪魔にならない隅っこに立てかけ、シオシオとリビングに戻る。
ホコリが入るけど、扉ナシで使うしかないか。
低い位置だから ガラスも割れなかったし ケガが無くてよかったと思わなきゃ…
なんとか気分を引き立てようとしたが、心は晴れない。
鬱々とパソコンに向かうも、頭の中は書棚のことばかり、ムダと知りつつ検索してしまい…

あった…
いや~Amazonすげえ、Amazonすごいわ。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

本を取り出そうと、鼻歌交じりに書棚を開く。
♪ふんふん…あれ?こっちか…
下段の扉を開けたとき
ガタン!
ええっ!
何が起きたか、しばらく分からなかった。
落ちた…
なんと、正面のガラス扉が、外れたのである。
よく見ると、2つある蝶番の2つとも壊れているではないか。買って40年近い書棚だから、金具も寿命が来たとみえる。
困ったなァ…
古いは古いが、けっこう高かった。買い直す余裕はないし、中にはギッチリ本が詰まっている。
直せないものか、壊れた蝶番をしげしげ眺めたら

慣れ親しんだ書棚にこんな特殊な形状の金具がついていたとは、今の今まで知らなかった。
こんな蝶番 どこに売ってんだ…
しかも、丸い側は単にネジ止めでなく、木部を浅く削ってピッタリ嵌めこまれている。
テキトーな部品では嵌まらないということだ。
こりゃ シロートには無理だワ…
直せる当てもないガラス扉を、邪魔にならない隅っこに立てかけ、シオシオとリビングに戻る。
ホコリが入るけど、扉ナシで使うしかないか。
低い位置だから ガラスも割れなかったし ケガが無くてよかったと思わなきゃ…
なんとか気分を引き立てようとしたが、心は晴れない。
鬱々とパソコンに向かうも、頭の中は書棚のことばかり、ムダと知りつつ検索してしまい…

あった…
いや~Amazonすげえ、Amazonすごいわ。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

のらいぬ話。
ちょうど今頃の季節だったろう、良く晴れた日曜の朝。
タバコを切らして買いに出た父が、帰ってきたと思うと
オイ…オイ…
お勝手にいる母を呼んだ。前掛けで手を拭き拭き、茶の間に顔を出した母に
しばらく 子供らを出すな
父はムッとした顔で告げた。
え?なんでですの?
いぶかしげな母に、父曰く
表の道で 野良犬がつるんどる…
まァいやだ!
母が顔をしかめてチラッと私のほうを見たので、マンガに熱中して聞こえない風を装う。
父は父で、子供にはわかるまいと思ったようだが、残念!私はちょっとマセていた。
犬もネコも、自由にうろついていた時代のこと。
今、若いきれいなお嬢さんが
○ちゃんとは 高校のころからつるんでて~
などとおっしゃるのを耳にすると、意味が違うと知りつつ、ギョッとしてしまう私である。


にほんブログ村

日記・雑談ランキング

タバコを切らして買いに出た父が、帰ってきたと思うと
オイ…オイ…
お勝手にいる母を呼んだ。前掛けで手を拭き拭き、茶の間に顔を出した母に
しばらく 子供らを出すな
父はムッとした顔で告げた。
え?なんでですの?
いぶかしげな母に、父曰く
表の道で 野良犬がつるんどる…
まァいやだ!
母が顔をしかめてチラッと私のほうを見たので、マンガに熱中して聞こえない風を装う。
父は父で、子供にはわかるまいと思ったようだが、残念!私はちょっとマセていた。
犬もネコも、自由にうろついていた時代のこと。
今、若いきれいなお嬢さんが
○ちゃんとは 高校のころからつるんでて~
などとおっしゃるのを耳にすると、意味が違うと知りつつ、ギョッとしてしまう私である。


にほんブログ村

日記・雑談ランキング

どさどさ話。
はー ヤレヤレ…
疲れて帰った夕方、1日提げてまわったバッグをリビングの真ん中にポスッと落とす。
ジーッとファスナーを開け、逆さにして
どさどさどさ…
中身を全部出した。
サイフ、ケイタイ、家のカギなど、明日も必要なものを戻し、使ったハンドタオルは洗濯カゴへ。
カーペットの上に残った丸めたレシート、アメの包み紙、歪んだゼムクリップなど、細かいゴミを拾い集めて、くずかごに捨てる。
流行りの言葉で言えば、帰宅時のルーティンというやつだ。
急ぎ処理すべき用件や、忘れかけていた雑務を、ここで思い出すことも多い。
この作業、みんなやってると思っていたのだが
えー毎日?やらないよ~
バッグを替える時くらいかな~
周囲に聞くと、あんがいそうでもないらしい。
持ち帰ったバッグの中を、翌朝出勤するまで一瞥もせず、グーグー寝ている大胆な人もいた。
忘れ物、失くしものがないかと、いつもビクビクしている私には、とても無理である。
いつからの習慣だろうと記憶を遡ってみた。
会社員の時…やってた…大学… 高校…やってた…中学…あ!…
思い出したのは

ランドセルのかぶせを上げて、茶の間で中身を出していた、幼い日の記憶。
底のほうで教科書に押しひしがれた、学校からの刷りものや宿題のプリントを、かろうじて忘れずにいられたのも、この習慣のおかげだ。
50年以上こうしていると考えると、われながらビックリだが
どさどさどさ…
きっと明日も明後日も、やっていることと思う。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

疲れて帰った夕方、1日提げてまわったバッグをリビングの真ん中にポスッと落とす。
ジーッとファスナーを開け、逆さにして
どさどさどさ…
中身を全部出した。
サイフ、ケイタイ、家のカギなど、明日も必要なものを戻し、使ったハンドタオルは洗濯カゴへ。
カーペットの上に残った丸めたレシート、アメの包み紙、歪んだゼムクリップなど、細かいゴミを拾い集めて、くずかごに捨てる。
流行りの言葉で言えば、帰宅時のルーティンというやつだ。
急ぎ処理すべき用件や、忘れかけていた雑務を、ここで思い出すことも多い。
この作業、みんなやってると思っていたのだが
えー毎日?やらないよ~
バッグを替える時くらいかな~
周囲に聞くと、あんがいそうでもないらしい。
持ち帰ったバッグの中を、翌朝出勤するまで一瞥もせず、グーグー寝ている大胆な人もいた。
忘れ物、失くしものがないかと、いつもビクビクしている私には、とても無理である。
いつからの習慣だろうと記憶を遡ってみた。
会社員の時…やってた…大学… 高校…やってた…中学…あ!…
思い出したのは

ランドセルのかぶせを上げて、茶の間で中身を出していた、幼い日の記憶。
底のほうで教科書に押しひしがれた、学校からの刷りものや宿題のプリントを、かろうじて忘れずにいられたのも、この習慣のおかげだ。
50年以上こうしていると考えると、われながらビックリだが
どさどさどさ…
きっと明日も明後日も、やっていることと思う。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

がらがら話。
粗大ゴミの回収日。
出すつもりの不用品を前に、私は迷っている。
いくつかのガラクタのうち、いちばんの大物が

台車なのである。
離婚して、子供ともどもこの家に来て以来、重いもの、かさばるものを運んでくれた。
40代女性の必需品は台車
女優イシダユリコ嬢がいみじくものたまった(→だいしゃ話。)通り、今日まで女手ひとつの生活の、大きな助けになってきた。
ゴキゲン次第でやったりやらなかったりするグウタラ亭主より、よほど頼もしい相棒であった。
あんなこと、こんな時、いいこと、つらいとき…さまざまな思い出が、走馬灯のように駆け巡る。
しかし、いかんせん20年近い年月は長すぎた。
車輪の傷みが激しく、ややふらつくうえ
ガラガラガラ…
荷物を載せて動かすと、押す自分もビックリするような、大きな音が出るのだ。
これじゃ危ないし、ご近所にも迷惑だ。
そうそうに処分を決めたものの、ゴミ出し当日に迷うのは、上記のようなセンチメンタルな理由、ではない。
オンボロ台車の前で、私が悩んでいたのは
ゴミに出す台車は それ自体台車として使うべきか?
ある意味トートロジー的な悩みであった。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

出すつもりの不用品を前に、私は迷っている。
いくつかのガラクタのうち、いちばんの大物が

台車なのである。
離婚して、子供ともどもこの家に来て以来、重いもの、かさばるものを運んでくれた。
40代女性の必需品は台車
女優イシダユリコ嬢がいみじくものたまった(→だいしゃ話。)通り、今日まで女手ひとつの生活の、大きな助けになってきた。
ゴキゲン次第でやったりやらなかったりするグウタラ亭主より、よほど頼もしい相棒であった。
あんなこと、こんな時、いいこと、つらいとき…さまざまな思い出が、走馬灯のように駆け巡る。
しかし、いかんせん20年近い年月は長すぎた。
車輪の傷みが激しく、ややふらつくうえ
ガラガラガラ…
荷物を載せて動かすと、押す自分もビックリするような、大きな音が出るのだ。
これじゃ危ないし、ご近所にも迷惑だ。
そうそうに処分を決めたものの、ゴミ出し当日に迷うのは、上記のようなセンチメンタルな理由、ではない。
オンボロ台車の前で、私が悩んでいたのは
ゴミに出す台車は それ自体台車として使うべきか?
ある意味トートロジー的な悩みであった。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

まにあう話。
久しぶりにゆっくり寝坊した朝。
今日はさしたる予定は無し、のんびりコーヒーを淹れる。
マグカップを片手にカーテンを開ければ、空はうららかに晴れて、ネマキの上に1枚羽織っただけでいられる暖かさが、嬉しい。
ひとり暮らしの気楽さ、テレビを点けるでなく、スマホを見るでなく、ボンヤリしているとき
… … …
遠くで何か音がしたような気がした。
?
耳を澄ましたが、すぐに聞こえなくなったので
気のせいか…
気を取り直して、ボンヤリを続行していると
… … … …です…
!
思わずガバと居直った。
気のせいじゃない!
慌てて冷蔵庫まで走って行き、管理組合からの刷りものを確認したら、サーと冷や汗が出た。
消防設備点検のお知らせ

火災報知器の点検、つまり全部屋に作業員さんが入る日(→うえみた話。)を、忘れていたのだ。
…火事です 火事です 火災が発生しました…
上階から聞こえる音は、もはや明確にそれと知れる大きさになってきた。
どうする私!
とにかく着替えだ。
すごい勢いでネマキを脱ぎ、昨夜脱ぎ捨てた服をひっつかんで着る。
…火事です 火事です 火災が発生しました…
床に落ちているものを高速で拾い、押入に突っ込む間にも、点検の手は迫り
…火事です 火事です 火災が発生しました…
この音は…もう隣の?
…火事です 火事です 火災が発生しました…
ああっ!

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

今日はさしたる予定は無し、のんびりコーヒーを淹れる。
マグカップを片手にカーテンを開ければ、空はうららかに晴れて、ネマキの上に1枚羽織っただけでいられる暖かさが、嬉しい。
ひとり暮らしの気楽さ、テレビを点けるでなく、スマホを見るでなく、ボンヤリしているとき
… … …
遠くで何か音がしたような気がした。
?
耳を澄ましたが、すぐに聞こえなくなったので
気のせいか…
気を取り直して、ボンヤリを続行していると
… … … …です…
!
思わずガバと居直った。
気のせいじゃない!
慌てて冷蔵庫まで走って行き、管理組合からの刷りものを確認したら、サーと冷や汗が出た。
消防設備点検のお知らせ

火災報知器の点検、つまり全部屋に作業員さんが入る日(→うえみた話。)を、忘れていたのだ。
…火事です 火事です 火災が発生しました…
上階から聞こえる音は、もはや明確にそれと知れる大きさになってきた。
どうする私!
とにかく着替えだ。
すごい勢いでネマキを脱ぎ、昨夜脱ぎ捨てた服をひっつかんで着る。
…火事です 火事です 火災が発生しました…
床に落ちているものを高速で拾い、押入に突っ込む間にも、点検の手は迫り
…火事です 火事です 火災が発生しました…
この音は…もう隣の?
…火事です 火事です 火災が発生しました…
ああっ!

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

トリテキ本。
いつも拝見しているレツゴー一匹さんのブログの記事(→わたし日々、おもうこと。)で、鬢付け油の香りに春の訪れを感じる、とあった。
相撲といえば春、というのは、大阪ならではの、めでたい感覚である。
私の通った高校の近くにも、相撲部屋の合宿所があって、春先にはよく力士の姿を見かけた。
おそらく練習…いや、稽古の行き帰りであったのだろう、汗っぽい乱れ髪の彼らは、鬢付けの香る力士、というより、普通の若者らしく見える。
むっくり太って、浴衣を裾短に着た様子は、ちょっとかわいらしい。
中学を出てすぐ入門して、自分と同年配の男の子が、厳しい勝負を戦っているのだ、と想像して、勝手に親近感を持ったりした。
友人に遅れて、ひとり帰途に就いたある日。
先を行く仲間に追いつこうと、小走りで角を曲がったら
うわっ!
思わず声が出た。
若い力士に、いきなり出くわしたのだ。
遠目に見たのと違い、目前に迫る鍛えた肉体は、巨大で、圧倒的で、おそろしかった。
むっくりしてかわいいなんてとんでもない、彼らは最強の戦士なのである。
後年、夜道を力士に追われるという不条理な小説を読んだときは、その怖さがひしひしと迫って
あのとき まだコレを読んでなくてヨカッタ!
もし小説のイメージが先にあったら、私は出合い頭、気絶していたかもしれない。

(「走る取的」新潮文庫「メタモルフォセス群島」所収)

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

相撲といえば春、というのは、大阪ならではの、めでたい感覚である。
私の通った高校の近くにも、相撲部屋の合宿所があって、春先にはよく力士の姿を見かけた。
おそらく練習…いや、稽古の行き帰りであったのだろう、汗っぽい乱れ髪の彼らは、鬢付けの香る力士、というより、普通の若者らしく見える。
むっくり太って、浴衣を裾短に着た様子は、ちょっとかわいらしい。
中学を出てすぐ入門して、自分と同年配の男の子が、厳しい勝負を戦っているのだ、と想像して、勝手に親近感を持ったりした。
友人に遅れて、ひとり帰途に就いたある日。
先を行く仲間に追いつこうと、小走りで角を曲がったら
うわっ!
思わず声が出た。
若い力士に、いきなり出くわしたのだ。
遠目に見たのと違い、目前に迫る鍛えた肉体は、巨大で、圧倒的で、おそろしかった。
むっくりしてかわいいなんてとんでもない、彼らは最強の戦士なのである。
後年、夜道を力士に追われるという不条理な小説を読んだときは、その怖さがひしひしと迫って
あのとき まだコレを読んでなくてヨカッタ!
もし小説のイメージが先にあったら、私は出合い頭、気絶していたかもしれない。

(「走る取的」新潮文庫「メタモルフォセス群島」所収)

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

いめるだ話。
かつて私は日本のイメルダと呼ばれていた。むろん権力者の妻だったわけではない。
履かない靴を山と持っていただけである。

マラカニアン宮殿の靴置場よりはるかに狭い部屋に、箱に入った新品の靴が何足も何足も。
バブル期、関西OLの靴は、原色の革にラインストーン、スパンコール。イナズマパンプスの異名を取るほど、それはそれはハデだった。
ハデな靴を手に取れば、宝箱を開けるみたいにヨロコビが湧いて、それだけで元気が出る。
洋服は試着しないといけないが、靴はサイズさえ見れば買えるというのもいい。
パッと買うと、スッと爽快な気持になった。
その日、仕事に疲れた私は、大阪OL御用達のブティックオーサキという靴屋さんに、またしてもフラフラと入り込んでいた。
すると店の奥、ひときわ派手なパンプスの並ぶ一角に、非日常的な髪型で、たった今パーティーを抜けてきたようなドレスの人が、靴を見ている。
イメルダ マルコス!?
誰あろう、ミワアキヒロその人であった。
髪を黄色くする前だった。普通の人じゃない感じはしたが、特別なオーラはなかったと思う。
ただ顔がものすごくでっかい!と思ったのを覚えている。
ほどなくバブルが崩壊し、仕事もヒマになって、むやみに靴を買うのもやめた。
あの頃の靴は、どれもこれもみんな、年月の狭間に消えてしまった。
本日早朝より他出のため、2014年3月14日の記事に加筆のうえ再掲載いたします。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

履かない靴を山と持っていただけである。

マラカニアン宮殿の靴置場よりはるかに狭い部屋に、箱に入った新品の靴が何足も何足も。
バブル期、関西OLの靴は、原色の革にラインストーン、スパンコール。イナズマパンプスの異名を取るほど、それはそれはハデだった。
ハデな靴を手に取れば、宝箱を開けるみたいにヨロコビが湧いて、それだけで元気が出る。
洋服は試着しないといけないが、靴はサイズさえ見れば買えるというのもいい。
パッと買うと、スッと爽快な気持になった。
その日、仕事に疲れた私は、大阪OL御用達のブティックオーサキという靴屋さんに、またしてもフラフラと入り込んでいた。
すると店の奥、ひときわ派手なパンプスの並ぶ一角に、非日常的な髪型で、たった今パーティーを抜けてきたようなドレスの人が、靴を見ている。
イメルダ マルコス!?
誰あろう、ミワアキヒロその人であった。
髪を黄色くする前だった。普通の人じゃない感じはしたが、特別なオーラはなかったと思う。
ただ顔がものすごくでっかい!と思ったのを覚えている。
ほどなくバブルが崩壊し、仕事もヒマになって、むやみに靴を買うのもやめた。
あの頃の靴は、どれもこれもみんな、年月の狭間に消えてしまった。
本日早朝より他出のため、2014年3月14日の記事に加筆のうえ再掲載いたします。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

でんぽう話。
私鉄の急行で隣県へ。
ポカポカと暖かな日差しに、眠くなりだしたころに、その駅を通過した。

デンポウ、というちょっと変わった名前の駅を降りたことは無いし、友人知人にも、ここにご縁のある人はいないけれど
デンポウの星…か…
小さくつぶやいてみた。
今から50年ほど昔、まだ海外旅行が珍しかった時代。
ハイカラ爺さんの祖父は、出始めのJALパックで、嬉々としてあちこちへ出かけた。身の回りの面倒を見るため、祖母もシブシブついていく。
そのころは、ただの観光旅行でも、海外に行くというと餞別を贈ったり、見送りに行ったりした。
わが一族もその例にもれず、子から孫から、雁首揃えてわざわざ空港までお見送りに行った、あれはパリのときか、ハワイのときか。
満面の笑顔の祖父と渋面の祖母が、添乗員に連れられて出発口に消えたあと、デッキに上がると、そこには我々同様、見送りの人が集まっていた。
広々した飛行場の景色はすばらしかったが、それよりも気になったのは、手製の横断幕を広げた騒がしい一団だった。
あんなもの 飛行機の窓から見えるんだろうか?
子供の目にも疑わしく思えた、手書きの文字を
伝法の星 何野何某君
ガンバッテ来いよ!
字配りまでもありありと思い出せるし
デンポウって何?
しばし考え込んだのも覚えている。
地名であると知ったのは、かなり後のこと。
何野何某君が、彼らの期待通り故郷に錦を飾ったかどうかは、今もわからない。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

ポカポカと暖かな日差しに、眠くなりだしたころに、その駅を通過した。

デンポウ、というちょっと変わった名前の駅を降りたことは無いし、友人知人にも、ここにご縁のある人はいないけれど
デンポウの星…か…
小さくつぶやいてみた。
今から50年ほど昔、まだ海外旅行が珍しかった時代。
ハイカラ爺さんの祖父は、出始めのJALパックで、嬉々としてあちこちへ出かけた。身の回りの面倒を見るため、祖母もシブシブついていく。
そのころは、ただの観光旅行でも、海外に行くというと餞別を贈ったり、見送りに行ったりした。
わが一族もその例にもれず、子から孫から、雁首揃えてわざわざ空港までお見送りに行った、あれはパリのときか、ハワイのときか。
満面の笑顔の祖父と渋面の祖母が、添乗員に連れられて出発口に消えたあと、デッキに上がると、そこには我々同様、見送りの人が集まっていた。
広々した飛行場の景色はすばらしかったが、それよりも気になったのは、手製の横断幕を広げた騒がしい一団だった。
あんなもの 飛行機の窓から見えるんだろうか?
子供の目にも疑わしく思えた、手書きの文字を
伝法の星 何野何某君
ガンバッテ来いよ!
字配りまでもありありと思い出せるし
デンポウって何?
しばし考え込んだのも覚えている。
地名であると知ったのは、かなり後のこと。
何野何某君が、彼らの期待通り故郷に錦を飾ったかどうかは、今もわからない。

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

ぺっぱー話。
食材にこだわりはないのに、なぜだかコショウはずっと粒コショウを使っている。
始まりはたしかカタログギフト。
欲しいものがぜんぜんなくて、これでいいか、と卓上用塩コショウ入れをもらったら、ゴリゴリと挽くタイプだったのだ。
容器に合わせて中身を買うのもおかしな話だが、仕方なく粒コショウを買ってきて入れた。
何年かそれを使って壊れたとき、たまたま中身の粒コショウを買ったばかりで、ひと袋がまるまる残っていた。
粉のコショウ入れにしたら、これが使えなくなる。ケチの私は、やむなくゴリゴリのコショウ挽きをまた買った。
そんな買替えを繰り返すこと幾度か。
挽きたてのコショウはやっぱりいい香りだし、ゴリゴリにも慣れて、たまによそでパッパと入れるコショウを使うと、かけすぎてしまう。
さいきん、ゴリゴリのネジがバカになってきたので、新調しよう、と前に買ったお店に行ったら、欲しいサイズが無い。
以前はずらっと並んでいた、ひとつ大きいのも、小さいサイズも、なぜか残り少ない。
そんなに数が売れるものではない。不審に思って店員さんに聞いたら
ああ、WBCで…
はァ?!

ホントにィ?

にほんブログ村

日記・雑談ランキング

始まりはたしかカタログギフト。
欲しいものがぜんぜんなくて、これでいいか、と卓上用塩コショウ入れをもらったら、ゴリゴリと挽くタイプだったのだ。
容器に合わせて中身を買うのもおかしな話だが、仕方なく粒コショウを買ってきて入れた。
何年かそれを使って壊れたとき、たまたま中身の粒コショウを買ったばかりで、ひと袋がまるまる残っていた。
粉のコショウ入れにしたら、これが使えなくなる。ケチの私は、やむなくゴリゴリのコショウ挽きをまた買った。
そんな買替えを繰り返すこと幾度か。
挽きたてのコショウはやっぱりいい香りだし、ゴリゴリにも慣れて、たまによそでパッパと入れるコショウを使うと、かけすぎてしまう。
さいきん、ゴリゴリのネジがバカになってきたので、新調しよう、と前に買ったお店に行ったら、欲しいサイズが無い。
以前はずらっと並んでいた、ひとつ大きいのも、小さいサイズも、なぜか残り少ない。
そんなに数が売れるものではない。不審に思って店員さんに聞いたら
ああ、WBCで…
はァ?!

ホントにィ?

にほんブログ村

日記・雑談ランキング
