からまつ話。
中学の頃、私はコーラス部に所属していた。
田舎の中学の弱小クラブではあったが、朝練、筋トレ、それなりに打ち込んでいたと思う。
ある日顧問のシシャモが新しい楽譜を配った。
シシャモとは、子供が4人いることから、4人の子持ち→子持ちシシャモの連想でついたらしいが、大きな目とこけた頬の先生にはぴったりのあだ名である。
今度の市のコンクールはこの曲で出ます 今日から練習ね!
曲名は「からまつ」、作詞は北原白秋。
カラマツって何?
温暖な地方に生まれ育った中学生にとって、落葉松は全くなじみのない樹木である。
カラマツ、オソマツ、トドマツ、チョロマツ…

ハハハ… おそ松くん!
ガヤガヤふざけていたら、アルトのツルちゃんが片手片足をあげて、渾身のシェー!をした。
赤いセルフレームの眼鏡に、出っ歯気味のツルちゃんのシェー!に、箸が転んでもおかしいお年頃の女子中学生は、涙が出るほど笑い転げた。
はい!静かに!
シシャモが怖い顔で皆を黙らせて、やっと練習がはじまったが
♪からまつのはやしをすぎて♬
♪からまつをしみじみとみき♬
カラマツ、カラマツと出るたびに、先ほどのシェーを連想して、にやにや笑ってしまう。
同じように笑いをこらえて肩を震わせているソプラノのケーコちゃんと、ヒジでつつきっこ。
♪からまつはさびしかりけり♬
♪たびゆくはさびしかりけり♬
避暑地の秋のもの寂しさなど、中学生に分かるわけがないのだ。
それでも音楽の力は素晴らしい。繰り返し歌ううちに、静かな歌詞が染み込んでくる。
次第に、声が澄んでくる。
少女たちは、いつのまにか手に手を取りあい、金色の落葉松林の中、落ち葉を踏んで歩いていた。
今日、白秋忌。
落葉松の黄葉は、まだ見たことがない。

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田舎の中学の弱小クラブではあったが、朝練、筋トレ、それなりに打ち込んでいたと思う。
ある日顧問のシシャモが新しい楽譜を配った。
シシャモとは、子供が4人いることから、4人の子持ち→子持ちシシャモの連想でついたらしいが、大きな目とこけた頬の先生にはぴったりのあだ名である。
今度の市のコンクールはこの曲で出ます 今日から練習ね!
曲名は「からまつ」、作詞は北原白秋。
カラマツって何?
温暖な地方に生まれ育った中学生にとって、落葉松は全くなじみのない樹木である。
カラマツ、オソマツ、トドマツ、チョロマツ…

ハハハ… おそ松くん!
ガヤガヤふざけていたら、アルトのツルちゃんが片手片足をあげて、渾身のシェー!をした。
赤いセルフレームの眼鏡に、出っ歯気味のツルちゃんのシェー!に、箸が転んでもおかしいお年頃の女子中学生は、涙が出るほど笑い転げた。
はい!静かに!
シシャモが怖い顔で皆を黙らせて、やっと練習がはじまったが
♪からまつのはやしをすぎて♬
♪からまつをしみじみとみき♬
カラマツ、カラマツと出るたびに、先ほどのシェーを連想して、にやにや笑ってしまう。
同じように笑いをこらえて肩を震わせているソプラノのケーコちゃんと、ヒジでつつきっこ。
♪からまつはさびしかりけり♬
♪たびゆくはさびしかりけり♬
避暑地の秋のもの寂しさなど、中学生に分かるわけがないのだ。
それでも音楽の力は素晴らしい。繰り返し歌ううちに、静かな歌詞が染み込んでくる。
次第に、声が澄んでくる。
少女たちは、いつのまにか手に手を取りあい、金色の落葉松林の中、落ち葉を踏んで歩いていた。
今日、白秋忌。
落葉松の黄葉は、まだ見たことがない。

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特に陽が傾く頃、黄茶けた木々に夕日が当たり、金色に輝きます。
風に吹かれ、落葉する小道を訪ねる頃は、まるで金色のシャワーを浴びるような気分です。
春の芽吹きも良いですね。
芽吹いたばかりの小さな葉が陽を浴びてエメラルド色に輝きます。
八ヶ岳山麓の落葉松林でも、そろそろ見頃を迎える頃。
落葉松をご存じなかったんですね。
笑い転げている、女学生の姿が思い浮かびます。
その女学生も今は・・・・・
奇遇!私も中学は合唱部でした。
【流浪の民】で、「慣れし故郷を放たれて♪」にウケていました( *´艸`)いや~ね、中学生って(笑)
思いたって落葉松を見に行かれるところにお住まいなのですね。うらやましいです。
写真拝見するの楽しみにしています。
黄葉だけでなく新芽も美しいとは素敵な木ですね。
ますますまだ見ぬ落葉松への憧れがつのります。
あの頃は、なぜあんなに何でもかんでもおかしかったのでしょう。
思い出せばゲラゲラ笑っていたことばかりです。
ハハハ…、そりゃ笑いますよ。女子中学生だもん。
♪ぶなーのもりーのはがーくれにー うたーげほがーいにぎーわしやー♪
私は「ハガ」とか「ホガ」とか何やねん!と思っていました。
松が落葉するなんて驚きです。
そして落葉松という歌も知りませんでした。動画で聴きましたがやっぱり知りませんでした。
ぢょん でんばあ様、歌がお上手なんですね。そのDNAがご子息に引き継がれているんだ。
合唱のCDを一枚だけ持ってます。
ブルガリア国立合唱団です。
合唱に対するイメージが壊れる合唱です。
関西人にはなじみのない木ですよね。
画像検索するととってもきれいに金色に黄葉していて、高原の空気の中で見てみたくなりました。