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こしだす話。

ムスコの部屋は、ブタ小屋と呼べばブタに失礼なほど、散らかっている。

週末、珍しく片付けていると思っていたら、古紙の置き場に、どっさり紙ごみが積んであった。

見れば、不要な教科書やノートの類がほとんど。

教科書って不思議だ。自分のじゃなくても、なんとなく懐かしい。手にとって、パラパラとめくってみる。

一番上にあったのは、生物の問題集。

いたすぎる

「哺乳類の肉片を、皮のついたまま1キロ切り取ったとき」 

… ヴェニスの商人か!

その下には体育の教科書があった。

えぐざいる

… チューチュートレインか!

それにしても、こんなに山と積んでは崩れそうだ。重い紙の束を持ち上げてカドを揃え、ヒモを十字にかけながら、考えた。

こうやって古紙置き場に出しておくことが、ムスコの片付けのすべて。

決まった場所に出しさえすれば、要らない本も、飲み終わったペットボトルも、いつの間にか消えている。その先のことは考えない。

子供にとって、とはそういうものなのだ。

ムスコもいつか1人で住むようになったら、古紙が積み上がる速さに驚くにちがいない。

ペットボトルも空き缶も、袋に詰めた燃えるゴミも、ひとりでには消えない、と気づくだろう。

つまらないことのようだけど、家を家にするのは、誰かの手の働きなのである。

それを知って、自分の手を動かすようになったとき、初めて人は自分の家を持つのかもしれない。

しばった古紙をうんしょと持ち上げ、勝手口の外に出す。ここが、私の家



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ごかぞく | コメント(8) | トラックバック(0) | 2016/11/22 11:07
コメント
No title
耳が痛いです(~_~;)
数年前に母が入院した時、家事って大変・・・と思い知らされたのです。

スーパーで献立に悩んだり、洗濯は洗濯機がやってくれるでしょ?と思っていたけど、洗剤も入れなあかんし、干さなあかんし、取り入れなきゃいけないし、畳まなあかんし・・・と、「お母さん、ごめん」とはじめて実感しました。
親やから、やってもらって当たり前と思ってはいけないんですよねぇ~感謝です。
No title
こんばんは
息子さんも、そのうち母親のありがたみがわかるときが来ますよ。
そうやってみんな家をもって来たんですから・・
もうすぐですよ、面倒を見られなくなるのも。
お邪魔します、
いや~うちの息子も、こうなりつつあります。

「だらしがない」の一言!

ここだけの話、カミさんに似ているだけに

あまり注意も出来ません(笑)

また来ます、ではではー
高校生の時
父親は単身赴任、母親は入院。
なので一人っ子の私は予定外の一人暮らしを強いられました。
一家離散かっ!

その時、出した物はなおさないとずーっとそのまま、洗濯物もゴミも何もしないとずーっとそのままを体感しました。
そして当たり前ってのは当たり前状態にする人がいるからだと学びました。

そして、一生懸命、洗濯してゴミ出しして掃除をしました。
家を守る気概がありました。
Re: No title
wanco.様

いやいや~、私も実家にいた時は全然でしたよ。リンゴもむかへんかった女ですから。

もう少しお身体よくなられたら、やってもええなと思うことだけでも、ぼちぼち代わったげて下さい。
Re: No title
Carlos様

うまく志望校に受かれば、来年の春から息子も一人暮しです。

どんな風に暮らすのか興味津々ですけど、たぶん見には行かないと思います(笑)。
Re: お邪魔します、
ダリルジョン様

うちは娘も散らかすんですよね。別れた亭主に似たかなあ…。

まあもうすぐ家を出れば「見ぬもの清し」なんですけどね。
Re: 高校生の時
rockin'様

おお、rockin'青年のりりしきお姿が浮かびます。

若くして家を守る気概を得て、今日にいたる、と。

スバラシイ!

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