せんたー話。
今日はセンター試験初日。
当地では雪こそなかったものの、この冬一番の寒波の中を出て行く、ムスコを見送る。
ちょうど4年前、ムスメもこうして出かけたはずなのだが、私にはその記憶がない。
ちゃんと弁当など作って持たせ、ガンバレと送り出したはずが、とにかく何にも覚えていないのである。
ちょうどそのころ、父の病状がいよいよとなり、母と妹と私は3人交代で病院に詰めきりだった。
付き添ったってできることは何にもないのだが、ずっとウトウトしている父のベッドの横に座り、たまに目を覚ましたら話し相手になり、面会時間が終われば洗濯物を持って帰る。
それだけのことなのに、帰りにはぐったり芯から疲れてしまう。
重病人の横にいると、エネルギーを吸い取られるような気がする。
逆に病人にしてみれば、健康な人間のエネルギーを得て、いくらかでも寿命が延びるのではないか、そんなささやかな望みを支えに、せっせと通った。
ムスメには申し訳ないが、試験の心配をしてやれる余裕が、その時の私にはぜんぜんなかったのだ。
そんなふうに母親にほったらかしにされても、ムスメはいつの間にか出願を済ませ、コツコツと勉強をし、当日を迎えたのだと思う。
さいわい試験の結果はよろしく、第一志望の大学の合格圏内に入った、と父に報告すると
そうか… あの子も女子大生か…
と、痩せた頬をゆるませ、目をつぶったまま微笑んだ。
初孫だったムスメを、不器用に、でもとてもかわいがった父。
その瞼の裏には、大学生になったムスメの姿が浮かんでいたのかもしれない。
本当はまだ、厳しいキビシイ2次試験をクリアしなければならないのだけれど、父の間違いを訂正する気持ちにはなれなかった。
その冬の、ことのほか寒いある日、桜の下に立つムスメを見ることなく、父は亡くなった。
あれからもう4年も経つのだ。
おとーさん、今度はムスコが受験だよ。
つまんない間違いをしないように、試験中にお腹が痛くならないように、ちゃんと目標の点数がとれるように、どうか守ってやってください。
つよい風に髪を押さえながら、どこか見えない雲の上にいる父に、心で祈った。

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当地では雪こそなかったものの、この冬一番の寒波の中を出て行く、ムスコを見送る。
ちょうど4年前、ムスメもこうして出かけたはずなのだが、私にはその記憶がない。
ちゃんと弁当など作って持たせ、ガンバレと送り出したはずが、とにかく何にも覚えていないのである。
ちょうどそのころ、父の病状がいよいよとなり、母と妹と私は3人交代で病院に詰めきりだった。
付き添ったってできることは何にもないのだが、ずっとウトウトしている父のベッドの横に座り、たまに目を覚ましたら話し相手になり、面会時間が終われば洗濯物を持って帰る。
それだけのことなのに、帰りにはぐったり芯から疲れてしまう。
重病人の横にいると、エネルギーを吸い取られるような気がする。
逆に病人にしてみれば、健康な人間のエネルギーを得て、いくらかでも寿命が延びるのではないか、そんなささやかな望みを支えに、せっせと通った。
ムスメには申し訳ないが、試験の心配をしてやれる余裕が、その時の私にはぜんぜんなかったのだ。
そんなふうに母親にほったらかしにされても、ムスメはいつの間にか出願を済ませ、コツコツと勉強をし、当日を迎えたのだと思う。
さいわい試験の結果はよろしく、第一志望の大学の合格圏内に入った、と父に報告すると
そうか… あの子も女子大生か…
と、痩せた頬をゆるませ、目をつぶったまま微笑んだ。
初孫だったムスメを、不器用に、でもとてもかわいがった父。
その瞼の裏には、大学生になったムスメの姿が浮かんでいたのかもしれない。
本当はまだ、厳しいキビシイ2次試験をクリアしなければならないのだけれど、父の間違いを訂正する気持ちにはなれなかった。
その冬の、ことのほか寒いある日、桜の下に立つムスメを見ることなく、父は亡くなった。
あれからもう4年も経つのだ。
おとーさん、今度はムスコが受験だよ。
つまんない間違いをしないように、試験中にお腹が痛くならないように、ちゃんと目標の点数がとれるように、どうか守ってやってください。
つよい風に髪を押さえながら、どこか見えない雲の上にいる父に、心で祈った。

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力を出しきれるよう、祈ってます❗
お父様も天国から応援してらっしゃいますよね。
午後からのレッスンに備えピアノを練習していた途中で、
でんばあさんのブログをのぞいたので
戦う息子さんの為に1曲弾きました。
栃木の見ず知らずの(怪しい)おばちゃんのエールも・・・とどけぇ~!!
息子さん、うまくいくといいですね。
おじいちゃんもきっと見守ってくれてますよ。
お爺ちゃん、女の子も可愛いけど、
男の子はもっと可愛いと・・・思うのだ。
ムスコさんと、皆様の思い描く未来が来ることを、心から願っております!!
我が家は現在、もうセンター試験受験者はいませんが、思い出しますねえ。
しかし毎年のことですが、この寒い時期、インフルエンザの流行時期に試験というの、なんとかなりませんかね。
送ります。
よりによって1番寒い時の受験は、ぢょん でんばあさんの
心痛も察します。
まずは 体調を崩されませんように願っています。
でも、交通にひどい影響がなかったみたいで、よかったですね。
息子さん、がんばれ~(^o^)/~
よい結果が得られる様、応援しています。
うちも、いずれそういう思いで、見送る時が来るんだろうなぁ・・・・
受験生を持つところは、親子共に一緒になって戦ってこられたと思うので、見送る時は、何とも言えない特別な心情なのだろうなとお察しします。
目標達成できるといいですね。
子どもの受験の日は親は無力なんですよね。私は子供の高校受験の方が超心配しました。大学は複数チャンスがありますが、高校は一回限りですからw
息子さんの良い知らせを待ってますね。
今度はご子息がぢょん でんばあ様を微笑ます番ですね。
応援ありがとうございます。
おかげさまで無事受験を終えて帰ってきました。
父のおかげか、雪で転ぶこともなく、遅刻もせず、もうそれで十分という気がしてきました。
魂のピアノ曲は応援の波動となって、栃木から奈良まで届きました!
本当にありがとうございました。
ありがとうございます。
皆様の応援のおかげか、お隣京都や和歌山が積雪していたのに、奈良では雪もわずかで済みました。
父にもお礼を言いたいと思います。
応援ありがとうございます。
娘は初孫でしたし、それから10年遅れて生まれた姪っ子は一族のアイドルで、息子はちょっと影が薄いんですよね。
父はちゃんと見守ってくれたようでよかったです。
応援ありがとうございます。
若者みんなが希望を持って進める将来がありますように、私も願ってやみません。
応援ありがとうございます。
父は無口であまり話す人ではありませんでしたが、亡くなってからいろいろなことを思い出します。
これからも見守ってほしいです。
本当ですね。
桜の下の入学式は素晴らしいですが、そのためには寒い時期に受験はやむを得ないのでしょうか。
海外のように9月入学だと、暑い盛りに受験になりますし、それも大変そうですね。
力強いエールありがとうございます。寒空をついて奈良まで届きましたよ!
なんとか風邪は引きませんでしたが、やっぱり疲れてたのか口内炎が出ちゃいました。
すみれ様も、インフルエンザにはお気をお付けくださいね!
応援ありがとうございます。
お子さんはまだお小さいのですね。私も子供が小学生だった頃が懐かしいですよ。
受験だのなんだのでセカセカするのはなるだけ先に延ばして、今はただのびのびと、2度と来ない子供の日々を楽しく過ごさせてあげてくださいね。
お褒めにあずかり恐縮です。
ええことないところもいっぱいあるのですが、なるたけええことを書こうと心がけております。
応援&コメントありがとうございます。
本当に親は無力、そう思います。自分が受験するほうがよっぽどラクですよね。
良いお報せができるよう、息子にはあと少し頑張ってもらいます。
ありがとうございます。
雪でコケず、遅刻もせず、途中で投げもせず、受験して帰って来たので、私はもう満足、これでエエと思っています。
しばらくしたらまた欲が出てくるのか知りませんが…。