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おそなえ話。

何やかや忙しかったので、しばらくぶりに実家に行く。

いつものようにコンニチハ~と勝手口から入ると、おばーちゃんは居間にいて

これはこれは ご無沙汰しております

と、ごテイネイなあいさつ。

これは、長らくゴキゲンうかがいに来なかったことについてのイヤミを言っているのだ。

親子だから付き合ってるけど、おばーちゃんとは友達になれないと思うのはこういうところである。

若い時はいちいち突っかかっていたが、娘歴も50年を過ぎると、それももうめんどくさい。

なかなか来られなかったのは、おばーちゃんがアチコチしていたせいでもあるのだ。親不孝扱いされるのは不本意だけれど、言ってもしかたがないので、グッと我慢する。

今日はまた どういうことで?

バレンタインよ 去年もしたでしょ?

おばーちゃんはまだイヤミっぽいが、気にせず普通に返事をする。

バレンタインデーとは無縁だった私だが、父が亡くなってから、お仏壇にチョコを供えるという習慣が、自然発生的にできた。(→ 「ちょこの話。」

おばーちゃんにはかまわず、仏間へ行く。

イモートがお正月にのっけた大吟醸のビンを脇によけ、買ってきた小さな金色の箱を供えて、手を合わせた。

お鈴の響きが消えたころ振り返れば、仏間の敷居に立って、おばーちゃんが笑っている。

良く似合うわ その箱… あつらえたみたい

仏壇用ってわけじゃないけどね そのうちどこか売り出すかもね 「お供えチョコ」…

ハハハ… 未亡人が買うから きっと売れるんじゃない

ゴキゲンが直ったおばーちゃんが、お茶を淹れてくれた。

チョコがお仏壇からお下がりしたら一緒に食べようね、と約束して、家に帰った。

ちょこれーとせんこう
(来年はこれにしよう→チョコレート線香 香りの記憶 チョコレート



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もろもろ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2017/02/14 11:22
コメント
No title
おはようございます

えらいですね~毎年チョコをお供えですか~
私など、生きているのに、家内からも娘からも一度ももらってことはありません。寂しいものです。
おじいちゃんきっとにやけているのでは・・・・?
おばーちゃんとは友達に
なれると思います、私自身が。

だって、
「これはこれは ご無沙汰しております…」
「今日はまた どういうことで?」
なんて素晴らしいセンスじゃございません?

私もこの手の発言がすぐに口から出るようなセンスを身につけたいと思います。

お母様、素晴らしい!
遅まきながらファンになりました。
Re: No title
Carlos様

私も父が元気な時はチョコを上げようなんて思いもしませんでした。

行事ごとがキライな父もきっと喜ばなかったでしょう。

家族が元気で顔を見合わせていればチョコなんか要らないんですよきっと。
Re: おばーちゃんとは友達に
rockin'様

スバラシイですか、そうですか。

母は子供が悪いことをすると、鬼の形相で頭を張るようなことはせず、他人様に見えないところで、笑った顔を崩さず、おしりをギュッとつねるような人でした。

私はいまだに母が少し怖いのです。

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