クラクラ本。
ダレソレさんの奥さんというひとが書いた本が、わりに好きだ。
作家、音楽家、画家、漫画家。面白い人の奥さんは、やっぱり面白い。
坂口美千代は、作家坂口安吾の妻であった女性。
無頼派と呼ばれ、型破りの作風と薬物中毒と奇行の間にあった男とともにあり、子をなした彼女が、夫の没後銀座のバー経営者となってから、書いたのがこの本である。

(「クラクラ日記」 ちくま文庫)
ヒロポンやアドルムを常用して中毒になったり、流行作家になっても、浪費で稿料を使い果たし、差し押さえを食らって、あげくに税務署にケンカを吹っ掛けたり、思いつく限りの暴れっぷり。
長男の生まれる前夜には、酒と薬で錯乱状態になり、留置場にぶち込まれている。
読んでるだけで疲れるような夫なのだが、このひとの書きぶりは終始、のんきで客観的だ。
言葉の行きがかりで、おまえに心中というものを教えてやる、と言われ、2人で死にに出かけたものの、シナソバ屋でチャプスイを食べて、人力車で戻ってくる話など、ほんの薄い皮いちまいの向こうに、真っ黒くろの死のかたまりを見ながら、不思議におかしくて、笑えてくる。
薬物中毒状態の安吾に、真夜中、3分で酒を買って来いとか、ライスカレーを百人前取り寄せろとか、難題を押し付けられて応対に苦心したことなども、克明に記録されており、文字通り死ぬ思いをしているはずなのに、なぜかどこか楽しそうだ。
安吾が死に、すべてが終わって、若くて無茶だった日々を振り返っているからかもしれない。
こういう大変なご亭主というのは、早死にしてもらうのが平和である。そうすれば大変な目をした奥さんが、面白い本を書くことができる。
本日、安吾忌。

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作家、音楽家、画家、漫画家。面白い人の奥さんは、やっぱり面白い。
坂口美千代は、作家坂口安吾の妻であった女性。
無頼派と呼ばれ、型破りの作風と薬物中毒と奇行の間にあった男とともにあり、子をなした彼女が、夫の没後銀座のバー経営者となってから、書いたのがこの本である。

(「クラクラ日記」 ちくま文庫)
ヒロポンやアドルムを常用して中毒になったり、流行作家になっても、浪費で稿料を使い果たし、差し押さえを食らって、あげくに税務署にケンカを吹っ掛けたり、思いつく限りの暴れっぷり。
長男の生まれる前夜には、酒と薬で錯乱状態になり、留置場にぶち込まれている。
読んでるだけで疲れるような夫なのだが、このひとの書きぶりは終始、のんきで客観的だ。
言葉の行きがかりで、おまえに心中というものを教えてやる、と言われ、2人で死にに出かけたものの、シナソバ屋でチャプスイを食べて、人力車で戻ってくる話など、ほんの薄い皮いちまいの向こうに、真っ黒くろの死のかたまりを見ながら、不思議におかしくて、笑えてくる。
薬物中毒状態の安吾に、真夜中、3分で酒を買って来いとか、ライスカレーを百人前取り寄せろとか、難題を押し付けられて応対に苦心したことなども、克明に記録されており、文字通り死ぬ思いをしているはずなのに、なぜかどこか楽しそうだ。
安吾が死に、すべてが終わって、若くて無茶だった日々を振り返っているからかもしれない。
こういう大変なご亭主というのは、早死にしてもらうのが平和である。そうすれば大変な目をした奥さんが、面白い本を書くことができる。
本日、安吾忌。

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>ダレソレさんの奥さんというひとが書いた本が、わりに好きだ。
あ、私も好きです。
奥様ならではのダレソレさんのB面の暴露が面白いですから。
私は相撲部屋の女将さんのお話が好きです。
>ヒロポンやアドルム
子供の頃、タンスの中をゴソゴソしていたらちょうつがいのついた金属製の小箱を発見しました。
中を開けると注射器が入っていました。
ああ、これがそれかって思いました。
母親がよくヒロポンの話をしていました。
「しんどいとき、打つとすっごく楽になるねん」
って。
作品を読んだことは有りません。
今、検索して彼の壮絶な一生を拾い読みしてきましたが・・・
とてもとても、私のような凡人には1日も一緒に暮らすことは出来そうにもなく。。(誰も頼みはしませんが)
いつか読んだ(サトー八ロー)さんも、こんな人では無かったんだろうか。(ヒロポン、しょっちゅう)
とかく(偉人と変人は)紙一重と言う事で。。
芸能人ではなく普通の奥様にも広まっていたんですね。
お母様がそれに溺れることなく利用するにとどまったことは本当に良かったと思います。
歴史に名が残るような人っていろんな意味で周囲には迷惑だったりしますよね。
特に「文士」さまは…。
私たちの身の回りにそんな人がいないことを感謝しましょう(笑)。
作家の奥様シリーズ(そんなもんないけど)いいですよ。
ちなみにクラクラというのは彼女が経営していた文壇バーの店名だそうです。開店当時『クラクラの日記』という本が出てたせいかなと思います。