しろしゃつ話。
私は高校生になっても、母が買って来る洋服を黙って着ていた。
みっともなければ抵抗しただろうが、母はなかなか着るもののセンスがいい。
若者向けの店にもどんどん入っていくし、物を見る目も肥えている。ステキな洋服をお得に買ってくることにかけては、今も到底かなわない。
昔から母の選んだ服を着ていて、褒められることはあっても、けなされたことはなかった。
そんなわけで、衣類を自分で選ぶということをしないで、高校生になった。
同級生はファッションに夢中なお年頃。学校帰りに洋服屋さんに寄り、買うにせよ買わないにせよ、あーだこーだ言いあうのは女子高生の社交である。
ハンガーから選んだ流行りのお洋服を、あれこれと当ててみては、鏡をのぞき込む友だちが、なにやらキラキラとまぶしくて、自分が遅れたマヌケなやつに思える。
その日、華やかな色と模様の洪水の中にいた私は、ふと1枚のシャツを手にとった。
いつも他の子の選んだ服にとやかく言うばかりの私が、めずらしくお洋服に関心を示したので、友だちは面白がって試着を勧めた。
ドギマギしながら個室に入り、ハンガーから外したシャツを身につける。
新しいシャツの匂い。
まだー?
外から声をかけられて、おずおずと試着室のカーテンを開け
…どお?
待ちかねた友だちにワッととりまかれた。
イイじゃん!
いつもと違う感じだけど、似合うよ!
なぜかガハハと笑う子もいて迷ったが、ついに私はそのシャツを、か、か、買ってしまった!
紙袋を提げて帰った私に、母は
あら!何か買ったの?
と寄ってきたが、袋を開けて見せると
なーんだ、真っ白なの?もっとカワイイのにすればいいのに…
と、つまらなそうだ。
それが私の、初めての、白いシャツだった。


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みっともなければ抵抗しただろうが、母はなかなか着るもののセンスがいい。
若者向けの店にもどんどん入っていくし、物を見る目も肥えている。ステキな洋服をお得に買ってくることにかけては、今も到底かなわない。
昔から母の選んだ服を着ていて、褒められることはあっても、けなされたことはなかった。
そんなわけで、衣類を自分で選ぶということをしないで、高校生になった。
同級生はファッションに夢中なお年頃。学校帰りに洋服屋さんに寄り、買うにせよ買わないにせよ、あーだこーだ言いあうのは女子高生の社交である。
ハンガーから選んだ流行りのお洋服を、あれこれと当ててみては、鏡をのぞき込む友だちが、なにやらキラキラとまぶしくて、自分が遅れたマヌケなやつに思える。
その日、華やかな色と模様の洪水の中にいた私は、ふと1枚のシャツを手にとった。
いつも他の子の選んだ服にとやかく言うばかりの私が、めずらしくお洋服に関心を示したので、友だちは面白がって試着を勧めた。
ドギマギしながら個室に入り、ハンガーから外したシャツを身につける。
新しいシャツの匂い。
まだー?
外から声をかけられて、おずおずと試着室のカーテンを開け
…どお?
待ちかねた友だちにワッととりまかれた。
イイじゃん!
いつもと違う感じだけど、似合うよ!
なぜかガハハと笑う子もいて迷ったが、ついに私はそのシャツを、か、か、買ってしまった!
紙袋を提げて帰った私に、母は
あら!何か買ったの?
と寄ってきたが、袋を開けて見せると
なーんだ、真っ白なの?もっとカワイイのにすればいいのに…
と、つまらなそうだ。
それが私の、初めての、白いシャツだった。


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初めての自己選択。
今までお母様の グッドテイストでソフィスケイトされた選択で育まれたセンスが開花した日。
「白いシャツ記念日」
きっと、ぢょんさんが選んだ1枚は、「この1枚」だったんでしょうね。そういう1枚に、出会いたいものです。
素敵だったんでしょうね。
記事では控えめに描いておりますが、うちの母はハデ好きです。
「ぢょん子ちゃんのお母さんって、ぢょん子ちゃんよりカワイイかっこしてるね」と言われたこともあります。
彼女のコーディネートに白いシャツはありません。
ステキな想像をしてくださって、ありがとうございます。
きっと実物の数倍かわいい女子高生の姿が描かれていることでしょう。
さて自分がその頃の母の年になってみて、白いシャツを買うかっていうと微妙です。
またこの年になると派手な服のほうがボロ隠しができていいんですよね。
その頃の写真を見ますと、われながらなかなかよく似合っていると思います。
若さの特権ですね。