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はなたれ話。

最初に見た時、なんかヘンだなとは思ったのだ。

ほどほどに混んだ昼過ぎの電車。通路をへだてて斜め前の席にその人はいた。

薄茶の登山帽をかぶり、ショルダーバッグをかけた70代くらいのオジサンだ。

顔には昔ながらのガーゼのマスク。今どきの、顔の下半分を覆う使い捨てマスクではない。

どこもおかしいところはないはずなのに、やっぱり、なんとなーくヘン。

失礼にならない程度に観察したが、何がヘンなのか、理由は分からない。

あきらめて、車窓に目を移せば、明るく晴れた冬空は澄んで、ガラス越しの日差しが暖かい。ついウトウト眠くなりかけた時

うあ~!

吠え声がして、私も、右隣の若い女性も、ビクッとして飛び上がった。

見ればオジサンのアゴが横にバックリ裂けている!

ギョッとして二度見すると、裂けたアゴと見えたのは口で、オジサンはただアクビをしただけ。

マスクで隠れているはずのオジサンの口は、完全に覆われることなく、下唇が露出していた。

つまり、オジサンはマスクを鼻にかけていたのである。

マスクをしている人は、ふつう鼻から口を隠す。最初の違和感、それはマスクが顔の真ん中にある、ということだったのだ。

それにしても、なにゆえこのオジサンは、口を覆うことをせず、鼻だけを守るのだろう。

大量に吹き出す鼻水を受けている、とか。

誰かに鼻をかじられて、歯型がバッチリついている、とか。

あるいはものすごく美しい鼻の持ち主、鼻タレント略して鼻タレなのか。

そんな妄想に頓着するようすもなく、鼻マスクのオジサンは席を立ち、前を通って降りていった。

ぽあろのひげ
(寝る時ヒゲにマスクをかける人もいる)



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ごきんじょ | コメント(6) | トラックバック(0) | 2018/02/24 11:30
コメント
No title
なんか想像するだけでおかしくなりました。
鼻マスクね~どうしたんでしょうか気になりますね。
No title
吠え声辺りから一体何が起こったんだ?!と読み進めましたら・・そうですか。鼻に。笑
もしかしたら本当に傷か何かあるのかもしれませんね?

ちなみに私はマスクをして寝た日の翌朝は口だけが覆われていて鼻が出ているという現象が起こります。
なるほど
違和感はマスクの位置にあったわけですね。
鼻だけ隠して口は解放。
新手のマスク方法です。




Re: No title
Carlos様

おじさんはお出かけ風の服装だったので、あのままどこまで行かれたのか気になります。

ついて行ってみたかったなー。
Re: No title
ふゆこ様

> ちなみに私はマスクをして寝た日の翌朝は口だけが覆われていて鼻が出ているという現象が起こります。

私は旅館の浴衣を着て寝ると、翌朝紐だけが渡っていてお腹が出ているという、やはり謎の現象が起こります。

Re: なるほど
rockin'様

鼻が高くて寒かった、というのも考えられるかなと後で思いました。

鼻の高い方は鼻の先が寒いんですってね。私はぜんぜん経験ありませんが。

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