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フイチン本。

ずっと昔に古本屋で買った、古いマンガ本がある。

ふいちんさん
(「フイチンさん」 上田としこ著 講談社刊)

主人公のフイチンさんは、ハルビンの富豪リュウタイ家の門番の娘。

元気で物おじせず、正義感が強くて、おっちょこちょい。富豪の坊ちゃんリイチュウのお守りで大活躍…とまあ、ごくごく罪のない内容である。

軽快な絵柄が愛らしく、歴史の教科書でしか知らない満州の風俗が珍しくて、楽しく読んだ。

写真のこの本は昭和33年6月刊、なにしろ子供の読んだものだから傷みが激しい。

背はグズグズだし、ページのあちこちが破れ、見返しも裂けてなくなっている。おまけに人物の顔がいくつか汚れて見えない。

アリテーに言って、バッちいしボロッちい

古書としての値打ちは知れているし、気持ちよく読むなら、復刻版がちゃんとある。

にもかかわらず、バッチくてボロッちい本を手放さないのは、その汚れゆえなのだ。

エンピツのラクガキや、爪でひっかいた傷。

よくよく注意すれば、主人公に意地悪をする、富豪夫人の顔ばかりにそれはある。

失敗したフイチンにクビを言い渡すシーンなど、表情が分からないほど、ぐりぐりと濃く塗られている。

見ようによってはショッキングだけれど、この本の前の持ち主は、高慢なタイタイが、よっぽど憎らしかったのだろう。

悪役の顔を塗りつぶしたくなるほど、今の子供たちがマンガにのめり込むだろうか。

そう考える時、この時代のマンガが、とても幸せで、大切なものに思える。

著者上田としこが亡くなったのが、10年前の今日である。



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ブックガイド | コメント(10) | トラックバック(0) | 2018/03/07 11:30
コメント
これは
驚くべき漫画です。
だって終戦から10年以上経過しているのに舞台を満州国にしていることと、中国人が主人公だってこと。
これはすごいことです。
なんか、タブーに触れる気がする舞台設定です。

主人公のフイチンさん。
どんな漢字を書くんだろう?
リュウタイっていうのも不思議な名前です。
リュウだけなら“劉”なんでしょうが“タイ”が分からない。

舞台は満州だからフイチンさんは漢民族ではなく女真族なのかな?
だとしたらフイチンさんは女真族の名前なのかな?
私が知っている女真族の名前では“ヌルハチ”あります。

私の好奇心をいたく刺激する漫画です。
この作者の話・・・
ビックコミックスで、以前連載されてましたね。思い出した・・・

GO
No title
また、よくそんな本を買われましたね。
何か引き付けるものがあったんでしょうか?
No title
昭和33年?
私、この本好きだったわ~。小学3年生。
(表情が上手だったわ)
刻み込まれた想い
小説でも漫画でも…
何かを読む時は色々な想いが浮かび、
その本に編み込まれて行く様な気がします
だから
何度も読み返します
そして
その度に感じた事が有ると思います
それを見えない文字で書きこんでいるのでしょう

『フイチンさん』を読んだ事が無いのは残念です
ちょっと探してみます
Re: これは
rockin'様

フイチンさんというのはこの子のファーストネームのようで、父親にも『フイチン』と呼ばれています。お父さんはワンさんです。

作者は在満州経験のある方(お父上は戦犯として処刑されています)で、フイチンというのもよく知る女の子の名前だそうですが、字は分かりません。
Re: この作者の話・・・
mixer-go様

私はコミックスで読みました。

作品は魅力的ですが、作者はちょっと苦手なタイプです。

Re: No title
Carlos様

絵がかわいいんですよ!

ものすごく達者で、生き生きしていて。

お見せできないのが残念です。
Re: No title
アイハート様

わー!ご存知でしたか!

少女クラブに連載されていたそうですね。

Re: 刻み込まれた想い
山猫様

復刻版が2分冊で出てるのですが、ちょっと高いんですよね。

お目にとまったら感想をお聞かせ願いたいです。

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