fc2ブログ

じーぱん話。

テレビ各局では、朝から隣国の歴史的会談の模様が実況されている。

板門店というこの場所に、私は30年前に行ったことがある。

大学の有志が参加する研修旅行の日程に組み込まれていたのだ。

現地大学との交流行事、韓国料理と伝統芸能の夕べ、繁華街で買い物…ウキウキする予定表の中

DMZ 非武装地帯見学

の1行はやはり異質だった。

当日の朝、バスに乗り込み、まず国連軍の駐屯基地、キャンプキティホークに向かう。

日本語が上手いような、ヘタなようなオバサンにいざなわれ、1室に集められて注意を聞く。

DMZ内での禁止事項など、こまごま注意があるが、あらかじめ聞いていたことがほとんどだ。

…ロシュツのおおいフクソウや、ジーパンはイケマセン…

いわく、ジーパンはアメリカの労働着である。

南側の人々は米国の奴隷として働かされている、という宣伝画像に使われるので、穿いて来ないように、という注意は、全員になされていた。

ところが、うかつな男子学生のひとりが、それを失念した。

うわー、オレ、入れないの?

あんなに言われてたのに、バカだねえ、と、皆からタメイキが漏れる。

なんとかならないか、鳩首協議の結果、用意のいい女の子がレインコートを取り出した。

腿までまくってレインコートを着、前をきっちり止めれば、かろうじてジーパンが見えなくなる。

めでたく全員が、見学ツアーに出発することができた。

ぱんむんじょむ

ものものしい軍装に身を固めた歩哨兵があちこちに立っている。

そこに見えているのに、越えてはならない線。

仲間と一緒にパチパチと写真を撮りながら、なぜかいけないことをしている気になる。

ふと気づけば、境界の北側から、深緑の軍服の兵士がこちらをじっと睨んでいた。

視線の先には、さっきのジーパンの男子学生。

風にヒロヒロと揺れる女物のレインコートの下に、毛脛が2本出ている。

ジーパンよりよほど奇妙な彼の姿を、北の軍人はどう思っただろうか。



にほんブログ村 その他生活ブログ ちょっといい話へ
にほんブログ村


日記・雑談ランキング

スポンサーサイト



むかしむかし | コメント(4) | トラックバック(0) | 2018/04/27 11:30
コメント
No title
歴史的瞬間というけれども、今までの何度も北朝鮮に騙されてきた経緯がある。
今回も本当にうまく行くのか疑問だ。
・ 拉致された人たちを全員返す。
     日本の切なる希望だが・・
・ 核兵器を廃棄する。
     これは北朝鮮は絶対にやらないと思う。

果たしてどうなるのだろうか?
日頃
悪い事ばっかりしている奴がゴミを拾ってたりすると「お、アイツも割といいとこ、あるな」なんて思ったりします。

結局、核は北にとっての Trump Card.
切り札でしたね。
Re: No title
Carlos様

南北首脳、仲を取り持ったアメリカ大統領にノーベル平和賞…なんてとんでもないニュースも出ていますね。

手のひら返しを何度も見てきたから、なかなかそこまでお目出度くはなれないです。
Re: 日頃
rockin'様

「映画のジャイアン」ってやつですね。

北の首領も米の統領も、それぞれ違った風にですがジャイアンに似てますね。

管理者のみに表示