ターシャノ本。

わが母、おばーちゃんの誕生日が近い。

後期高齢者相手に、もういいような気もするが、本人も期待しているようなので、やめにくい。

おばーちゃんのヤッカイなところは実用品を喜ばないところだ。

便利だろう、生活が楽だろう、と考えた品物は、イマイチ嬉しくなさそうだ。

カワイイもの、キレイなもの、不必要なもの。

そういうものにリボンをかけてフワフワと包んであげると、キャーキャー喜んでいる。

自分より年上の人間を、いまさら正そうとしても無理だから、ここは先様の流儀に従うよりない。

数日来なけなしの頭をひねって、写真集なんかどうだろう、と思いついた。

たーしゃのいえ
(「ターシャの家」 KADOKAWAパブリッシャーズ)

実家の去年のカレンダーは、この人の庭の花の写真だった。

ターシャ テューダーは絵本作家。

制作の傍ら花を育て、手作りの自給自足生活をしたことで有名な人だ。若い女がよく

アタシ、カワイイおばあちゃんになりた~い♥

などとほざくが、クラシックなドレスに痩身を包み、美しい庭で花々に囲まれたターシャは、いかにもそんなイメージだ。

パラパラとページを繰ると、花を生けた暖炉のある室内、アンティークの食器や家具など、おばーちゃん好みの素敵な写真がたくさん載っている。

これでいーやと買いかけて、待てよ、と手を止める。

そういえばあの人、ターシャのカレンダーを指してなんか言ってたな。

ステキな風に写ってるけどね 並み大抵の苦労じゃないよ こうなるまでは…

そんなもんかね。

それに亡くなった後は相続争いになったらしいしね 兄弟は他人の始まりよ 怖い怖い!

ミョーに詳しいな。

たしかに、人のしないスタイルを貫き、自身の美意識の許さぬものを排除する生活は、楽しいことばかりじゃないだろう。

若いオンナは、いきなりカワイイおばあちゃんにはなれない。

コワモテのオバサンになり、憎らしいババアになり、日々を生きアクが抜けて、ようやく歳月にさらされた、カワイイおばあちゃんになるのである。

私より近づいているぶん、おばーちゃんは彼女の姿に、憧れではない何かを見ているのだろう。

ターシャの写真集を棚に戻し、昼寝するネコが表紙の1冊を手に取る。今年は、これにしよう。

たーしゃてゅーだー
(Tasha Tudor 1915.8.28 - 2008.6.18)



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ブックガイド | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/06/18 11:30
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