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はんてん話。

朝夕が冷えてきたのでハンテンを出して着る。

去年おばーちゃんから

マワタが入ってる 軽くて暖かいわよ

さもありがたそうにお下げ渡しになった品だ。

既製品ではなく、和裁をなさる方に縫ってもらったものだという。仕立下ろしの印の、しつけ糸がついていた。

市販のハンテンの袖は、洋服のように袖口のつぼまった筒袖だが、このハンテンは、普通の着物と同じようにタモトがある。

羽織ってみると軽く暖かく、腕を動かせば、タモトがゆったりついてくる感触が優雅である。

今でこそフリースだダウンだと新素材はたくさんあるが、重たい綿入れしかなかった時代、この軽さは高価なマワタだけのものだったのだ。

しかし、朝っぱらから、異変は起こった。居間に入ろうとドアを開けたら

びっ!

ギャッ!

レバー式のハンドルに引っかかって、袖口が破れた

優雅なタモトが、雑な動きについてこないのだ。

その後も、椅子の背やら、物干し竿の端やらに引っかかり、ハンテンの袖口は見るも無残な有様。

気づくたびに繕うものの、引っかかる頻度にとても追い付かない。

由緒正しきハンテンなので気がひけて、しばらく黙っていたが、いくらなんでも破れ過ぎだ。おばーちゃんにやんわりその旨を伝えると

あー、生地が弱ってるのかもね~

と、軽く返された。

弱ってる?新品なのに?

うーん…結婚するときに持たしてもらったやつだから…

は?!ケッコン?!

後期高齢者の嫁入り支度が、形状を保っているだけで驚きだ。

なんでそんなものが今日まで新品だったのか、物持ちのいいのにもほどがある。

正倉院か!

にほんかいみそ
(ハンテンが世界一似合うといえばこの人)



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ごかぞく | コメント(12) | トラックバック(0) | 2018/11/17 11:30
コメント
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No title
またずいぶん長い事しまっておいたんですね。
それじゃ生地も弱りますね。
でも暖かそうです。
今はマ着ているひとはあまり見ませんね。
私は子供のころはよく着てましたが・・
No title
おばーちゃんの嫁入りと同時の半纏って、たもとがついてたんですね~まだ着物を着たりされてたんですかね?
祖母も小さい時、お正月くらいは着物着てましたが、曾祖母は日常的に着てました。

真綿ってぬくいらしいですね~母がよく、昔の布団は暖かかったって言います。
南木曽ねこっていう、背中だけの防寒着は真綿を使うそうです、真綿を背負うらしいですが、作り替えてみるとか、布を丈夫なのに替えて。
真綿
真綿の入った布団って、薄くて軽くて、温かいんですよね…。いいなー、と思ってます。実家にありました、それも祖母が「作った」というのが!
 真綿って高いんですよね、買ってキルティングにしたらあったかいか…と思ったんですが、値段に驚愕でした。
 その半天も、いっそのこと、仕立て直したらどうでしょうね?袖だけ取り外して、バイアステープで始末して、ちゃんちゃんこに、ぐらいなら多分、プロじゃなくてもなんとなりそうですよね。
No title
あはっ可笑しい~
ナフタリン漬けの匂いや納戸臭がしみついたりもなく
新品と見間違えるほど管理が良かったんですね。
そりゃ確かに正倉院だわ。
凄い!
これはすごいヴィンテージ物です。
痛めないように大事に使いましょう。

しかし、すごいなぁ。
お母様のお嫁入りの時のものだなんて。
今迄、持っておられたお母様を尊敬いたします。
Re: No title
鍵コメj様

いやいや、アンティークの価値はないでしょう。

もっと立派なお着物でも、買取価格は二束三文だそうですから。
Re: No title
Carlos様

今の子供はフリースか、ダウンでしょうかね。

ヒートテックなどというものもありますしね。
Re: No title
wanco様

真綿って贅沢ですよね~。

絹なんだよと教えたら、娘は驚いていました。
Re: 真綿
まこ様

うちの母の世代はもうしませんが、祖母は布団作りしてました。

痩せてきた布団を打ち直しに出して、綿で引き取って布団作るとか、今の主婦のスキルでは無理ですよね。
Re: No title
布遊子様

不思議なくらい古い感じはしなかったんですよね。無地に近い細かい柄なせいもあると思います。

布遊子さんならどんな風にリメイクされるかしらなどと考えています。
Re: 凄い!
rockin'様

傷めたくないのはやまやまですが、もうたいがいビリビリになってしまいました。

正倉院御物もビックリです。

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