ほぞんの話。

おばーちゃんが新聞屋からもらったキップで、正倉院展を見に行った。
今年は、螺鈿紫檀五弦琵琶とか鳥毛立女図屏風のような呼び物がなく
なんかパッとしないから アタシはいいわ アンタ友だちと行ってきなさい
親切なような自分勝手なようなお達しである。
パッとしない(あくまで個人の感想です)にもかかわらず、館内はけっこうな混雑。
展示の品々も、パッとしない(あくまで個人の感想です)だろうと、期待せずに行ったせいか、なかなか見ごたえがある。
比較的人だかりの少ないショーケースの1つを覗いた友だちが、コッチコッチと手招きをした。
これ見て~ 借金の証文だってさ~
必死でお金返して 何百年も経ってジロジロ皆に見られて お気の毒だね!
すごい金利取られてるし~ 昔も今も おカネ関係は世知辛いね~
給料いくらくらいだったんだろね、とか話すうち、にしてもだよ、と友だちは表情を改め
正倉院にアンタみたいな人がいなくて ホントによかったわよね~
しみじみと言った。
私がなんでもかんでもバカスカ捨てるのを知っている、友だちならではの発言である。
もし私が正倉院にお勤めしてたら、帳簿にバーンと処理済みのシャチハタなんか押して、証文はジャーッとシュレッダーにかけてしまうだろう。
周囲を見回し、ちょっとゾッとする。
正倉院関係者が、ダンシャリだの捨てる技術だの、余計なことを思いつかなかったおかげで、こんだけの文化財が残ってきたわけだ。
過去のある日、新任の担当者が正倉院に入り
うわー、キッタネエ!ホコリだらけだし 超ボロボロ!捨てましょうよ!もう使わないでしょ!
と、言い出さなかったことに、我々は感謝すべきなのである。
(本年度の正倉院展は終了しています。)

にほんブログ村

日記・雑談ランキング
スポンサーサイト
私は歴史にはあまり興味がなくて・・・
見ごたえがありましたか~よかったですね。
バカスカ捨てる人が本当はいて、その人が正倉院管理業務から外れるまでにかなりの量が廃棄されていたのかも知れません。
そう思うと胸が痛みます。
正倉院展から紅葉に続く時期は、全国からのお客様で奈良が賑わいます。
ぜひ一度お越しください。
わー、怖い!
でもバカスカ捨てた結果があれだったら、もとの量すごいですね。
読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
ご紹介ありがとうございます。
> 歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)
>
> 読み通すには一頑張りが必要かも。
> 読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
> ネット小説も面白いです。