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ボクラノ本。

子供の頃からずっと本を読んできた。

子供は大人になるけれど、本は変わらない。

過去に感激した本を、時を隔てて読むと色あせて見えて、落胆することがある。

逆に、昔はちっとも分かってなかった、と自分のバカさ加減を確認することもある。

もちろん、今も昔も変わらぬ感動を呼び起こしてくれる本もある。

一時的な勢いで面白く感じた本は消え、ずっと大切にしたい本が残って、その人の顔といえる書棚が出来上がっていくのだろう。

しかし何事にも例外はある。

青春のその時、夢中で読んで惹きつけられたが、今読むと、どこの何にそんなに魅力を感じたか、さっぱり分からない。

そのくせ処分する気になれず棚に戻し、何年かに1度手に取って読んでは、やっぱり分からない。

そんなヘンテコな本がこれである。

ふしぎとぼくらはなにをすればよいかのさつじんじけん
(「ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件」 橋本治著)

著者のおそらく唯一の(確認したわけではないが)ミステリ。

およそミステリ的でない作家が、思いたって書いてみたら書けてしまった、そんなミステリ。

人を食ったような、優しいような、ただ底なしに寂しい空気だけがフワフワと行間から漂い出て、私を不安にする。

橋本治が昨日29日、亡くなった。



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/01/30 11:30
コメント
私にとって
私にとっては、橋本さんは編み物の本を書いている人でした。
 あとはギャル語訳の古典なんか、げらげら笑いながら読んだものです。
 ニュースには、驚きました。まだ、書けそうなお年だったのに、残念でした。
No title
古い本をとってあるんですか~
読み返すとまた前とは違って新たな発見があるものですね。

何故か私の本棚には、同じ本が2冊、しかも二組も・・・
彼の
本は一冊も読んだことがありません。
だって怖そうな人だから。

今更ですが、読んでみようかな。
ってどれがいいのかも分かりません。
Re: 私にとって
まこ様

ボウイのセーターとかすごかったですよね。

あれは、半端に素養があると絶対できない編み物だと思います。
Re: No title
Carlos様

古い本もありますが、新しくてもすぐ要らなくなる本もありますね。

もう買った本をダブり買い、私も時々あります。
Re: 彼の
rockin'様

そうですね~、古典の現代語訳が評価されてるのと、評論やエッセイがバカスカ出てますが、私はあんまり読んでなくて。

古いですがちくま文庫の「青空人生相談所」というのが、人生相談の体裁をとってますが、この人が非常な善意の人であることのわかる一冊かなと思います。

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