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ななかい話。

父の七回忌法要。

実家にいつものお坊様に来ていただくだけの、こじんまりしたものだ。

集まったのは母と妹、私とムスメ。

何にもしない予定だったが、お正月以来のにぎやかさに嬉しくなったおばーちゃんが

せっかくだから外で食べましょうよ!

もうまもなくお寺様がいらっしゃるというのに、天ぷら屋に予約の電話をかけ始めた。

…モシモシ 今日なんですけど…え?…あ、4人で…お料理?えーと…コースはおいくら…

モタモタしていると、ガラガラ玄関が開き、もうお坊様は草履を脱いでおられた。

あ!ちょっと待って…いえ、こっちのことで…

慌てて受話器を置きそうになり、アワアワしているおばーちゃんの後ろをすうーっと通って、仏間に落ち着いていらっしゃる。

ドタバタと全員が集合し、最後におばーちゃんが座り込んだ時には、涼しい顔で

♪ホーホケキョ♪…てなもんですなァ いや まだ早いか…

と、あらぬ方を見ておられた。

思わず目をやれば、庭で咲き始めた梅の枝が、障子に影を落としている。

順に焼香をし、いい声のお経がはじまる。

7年か。長いような、あっという間のような。

受験生だったムスメは会社員になり、小っちゃかった姪っ子は、中間試験で法事に来られない。

さまざまに思いめぐらすうちに読経は終わり、座布団の上、居直られたお坊様が

さて 七回忌おめでとうございます

そうおっしゃった。みんな???という顔をしていたのだろう。

お父さん亡きあと何年も経って、こうして仲良く集まれるということ、お目出度いと言っていいんじゃないかと 私はつねづね思ってます

なるほどなあ。

何もしない人だったが、この家族を残してくれたことには、感謝しなければいけない。

ガラにもなくしんみりした一族が、揃って頭を下げたあと、お坊様は立ち上がりながら

テンプラですか よろしいなァ

ひと声かけて出て行かれた。言われたおばーちゃんはみるみる真っ赤になり

どこから聞かれてたんだろう!

たいへん当惑していたが、私も同感である。

となりのねこ
(「今回はワシの出番は無いようやな」→ぼうずの話。



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ごかぞく | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/02/28 11:30
コメント
No title
あははははは、粋なお坊さんですね!!
天ぷら、美味しかったですか?
No title
七回忌ですか~月日の経つのは早いものですね。
みんな揃って美味しい天ぷら召し上がったんですね。
お坊さんも面白い人ですね。
法事は
故人が残して行く集合装置かも知れません。
故人を通してシャバのみんなが集い話をして食事する。
故人は向こうの世界で目を細めていることでしょう。
Re: No title
みのじ様

時々行く天ぷら屋さんで美味しかったです。

いつもはランチなのに、初めて夜行ったので、思ったより多くて、スゴイおなか一杯になりました。揚げ物に弱くなる年頃。
Re: No title
Carlos様

若くて元気なお坊さんですが、7年ものお付き合いになるとだんだん落ち着かれてきました。

長くお世話になるので、良い方でよかったと思います。
Re: 法事は
rockin'様

年忌の習慣、昔の人はいいことを考えたと思います。

故人を口実に、なんやかんや集まる。

子供が生まれて、一番先に親戚一同に会うのも法事でした。

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