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つつしむ話。

花見客で混み合うホームから、身体をひっぱりあげるように、急行電車に乗る。

運よく座れてホッとしたら、疲れも手伝ってウトウトしてしまった。

いくつか駅を過ぎ、乗降も落ち着いた時、ふと目を開けると、前の座席に着物の女性がいた。

お納戸色の附下にくすんだピンクのショールなどかけて、春らしい装いだ。

ちょっと驚いたのは、彼女が彫りの深い西洋人の顔立ちだったことである。

日本人らしい男性と並んで座り、なかよく車窓を見ている。

若奥様が、ご主人の実家で着物を着せてもらい、お花見に出かけてきたという風情である。

慣れない着物の襟もとや裾周りを気にして、ちまちま直したり、手を当てたりする姿も初々しく、かわいらしい。

ほほえましく眺めたあと、目を横に移してギョッとした。

部活帰りの女子高生が、デカいエナメルバッグを股にはさみ、ふんぞり返ってスマホを見ている。

紺のプリーツスカートの下で、細いとは言えない足が、がばりと左右に開いている。

カバンを置くにしても、なぜその位置に?

おそらくは、私の視線は無遠慮に過ぎたのだろう。あるいは、批判的な気分が顔に出たのか。

女子高生は毫も恥じる気配なくこちらをハッタと見返すと、ヒザをつくろったり、姿勢を正すこともせず、スマホに視線を戻した。

水をはじきそうな、むちむちのナマのフトモモ。

なんだかなあ、と思いつつ、さりとて

近頃の若い子は!

などと腹を立てる気にもなれなかったのは、くたびれていたせいだろうか。

la japonaise
(「La Japonaise」 Claude Monet)



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ごきんじょ | コメント(8) | トラックバック(0) | 2019/04/08 11:30
コメント
No title
初めまして、こんにちわ。
足跡からお邪魔いたしました。

もしよろしければ、またいらしてくださいね。

まずは、ご挨拶まで・・・。
No title
 こういう状況でおパンツが見えても平気なのに
エスカレータで後ろにいただけで、犯人扱いするのは辞めていただきたい。
No title
つつましやかな和服の女性と女子高生ですか~
今の子はだいたんですからね。
いつからなんでしょうかね~平気で電車の中で化粧をしたり、ものを食べたり、またを開いたり・・・
しとやかな女性はあまり見なくなりました。
とても
対照的なシーンに出会した訳だ。

すぐに膝を緩めてはいけません。
Re: No title
NORIX様

ご訪問ありがとうございます。

こちらこそ、こんな感じで毎日やっておりますが、お気に召しましたらぜひまたお越しくださいね。
Re: No title
nekochan59様

そんな目に遭われたことがあるんですか?

それはご災難でしたね。
Re: No title
Carlos様

マタを開いているのは中年男性にも多いですけれど、ズボンをはいているのでまだましでしょうか。

吊革につかまっていて前のオヤジがガバーと足を開いていると非常に不愉快です。
Re: とても
rockin'様

そうですよ。

男性もね。

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