はるまき話。
デパートのパッチワーク展に、おばーちゃんのお友だちが出展するので、見に行った。
展覧会は盛況で、コンクール受賞作品や、元アイドルの作品の前には、人だかりができている。
お友だちの作品の写真を撮り、そそくさと会場を後にすると、やれやれランチの時間。久しぶりに中華にしようか、と、意見が一致した。
おばーちゃんはレディースランチ、私は点心ランチ。
女性向けに、白いプレートにチマチマと、オカズが乗っかっている中から、おばーちゃんは揚げ物を1つ、箸にはさみ
ハルマキだわ
と示すので、私も自分のお皿のを箸に刺して
ハルマキだね
そう言って2人、目を合わせ、プププと笑った。
それは6、7年前のこと。
おじーちゃんが亡くなって、ちょっとションボリしていたおばーちゃんを、近場の温泉に誘った。
たいした旅行じゃないが、家にこもっているより、よっぽどいいと思ったのだ。
夏休みにはまだ間があり、電車も宿も空いている。チェックインの後、ゆっくりお風呂に入って、夕食の時間。
安い宿だから、食事も朝晩バイキングである。食べられるものを取って、のんびり食べていたら、
後ろのテーブル 見てごらん
小声で言うおばーちゃんの目が笑っている。
見ないように見ると、お皿を持って戻ってきた女性が、席に着こうとしていた。

お皿にはハルマキが7、8本。他には何も取っていないようだ。
彼女は箸をとると、薪のように積み重ねたハルマキを、大変な勢いで次々とかじっていく。
瞬く間に空にしたお皿を手に、女性はまた席を立った。
スゴイでしょ さっきもハルマキだけ食べてたよ
ええーっ?!ハルマキだけ?
シッ!来た!
戻ってきた彼女の手には、またしてもハルマキだけのお皿があった。
そんなにおいしいハルマキなのだろうか。もうお腹はいっぱいだが、好奇心に駆られて、1つだけ取ってきて、食べた。
マズくはないが、まるで普通だった。
よっぽどハルマキが好きだったのかねえ
ハルマキだけがそんなに好きっていうのは かなり珍しいねえ
今でもハルマキを見ると、あの日の話になる。
あの女性は、自分が話題を提供したとは、夢にも思っていないはずだ。
でも、おばーちゃんと私は、これからもハルマキを見るたび、何度も何度も話すだろう。目を合わせて、くすっと笑うだろう。
もしもありがとう、と言えるものならば、言っておきたい気持ちだ。
その人の顔や姿は、まるで覚えていないけれど。

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展覧会は盛況で、コンクール受賞作品や、元アイドルの作品の前には、人だかりができている。
お友だちの作品の写真を撮り、そそくさと会場を後にすると、やれやれランチの時間。久しぶりに中華にしようか、と、意見が一致した。
おばーちゃんはレディースランチ、私は点心ランチ。
女性向けに、白いプレートにチマチマと、オカズが乗っかっている中から、おばーちゃんは揚げ物を1つ、箸にはさみ
ハルマキだわ
と示すので、私も自分のお皿のを箸に刺して
ハルマキだね
そう言って2人、目を合わせ、プププと笑った。
それは6、7年前のこと。
おじーちゃんが亡くなって、ちょっとションボリしていたおばーちゃんを、近場の温泉に誘った。
たいした旅行じゃないが、家にこもっているより、よっぽどいいと思ったのだ。
夏休みにはまだ間があり、電車も宿も空いている。チェックインの後、ゆっくりお風呂に入って、夕食の時間。
安い宿だから、食事も朝晩バイキングである。食べられるものを取って、のんびり食べていたら、
後ろのテーブル 見てごらん
小声で言うおばーちゃんの目が笑っている。
見ないように見ると、お皿を持って戻ってきた女性が、席に着こうとしていた。

お皿にはハルマキが7、8本。他には何も取っていないようだ。
彼女は箸をとると、薪のように積み重ねたハルマキを、大変な勢いで次々とかじっていく。
瞬く間に空にしたお皿を手に、女性はまた席を立った。
スゴイでしょ さっきもハルマキだけ食べてたよ
ええーっ?!ハルマキだけ?
シッ!来た!
戻ってきた彼女の手には、またしてもハルマキだけのお皿があった。
そんなにおいしいハルマキなのだろうか。もうお腹はいっぱいだが、好奇心に駆られて、1つだけ取ってきて、食べた。
マズくはないが、まるで普通だった。
よっぽどハルマキが好きだったのかねえ
ハルマキだけがそんなに好きっていうのは かなり珍しいねえ
今でもハルマキを見ると、あの日の話になる。
あの女性は、自分が話題を提供したとは、夢にも思っていないはずだ。
でも、おばーちゃんと私は、これからもハルマキを見るたび、何度も何度も話すだろう。目を合わせて、くすっと笑うだろう。
もしもありがとう、と言えるものならば、言っておきたい気持ちだ。
その人の顔や姿は、まるで覚えていないけれど。

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そりゃ印象に残りますね。
おばあちゃんも娘とのランチ楽しかったことでしょうね。
いつまでもお元気で・・
すぐに目の前のテーブルでしたので、自然と目に入ってきます。
その女性、レーンで流れてくるお寿司をとるのが、常にカズノコでした。
私が頭の中で”正”マークを付けていったところ、連続4回、カズノコを手にしたのです。
どこまで続くのかと思っていたところ、次はオーダーのボタンを押し、そしてやってきたのが、やはりカズノコでした。
よほど好きなのでしょうね。
私はお寿司で苦手なネタはないのですが、なぜかそれ以来、カズノコの握りは食べていません。
母は年とともに同じ話を繰り返すようになってきましたが、この話に関しては私も、あれは何だったんだろうといまだに思い出します。
数の子だけ!
それはまた、春巻とは違って、ちょっと鬼気迫る光景ですね。
数の子に食指が動かなくなられたお気持ちわかります。
特に皮が薄いのが。
春巻きの命は皮の薄さにあります。
じょん でんばあ様のお好きな中華料理は?
あ、シューマイか?
ビール付きの。
私の春巻は、今はなき心斎橋のハマムラの、玉子の黄色い皮の春巻です。
美味しかったのになあ。