ヒトツノ本。
ランドセルがまだ大きく見える子供と母親が、前を歩いている。
新1年生だろう。
…きょうのねえ しゅくだいはねえ…
慣れない学校で気を張ってきたのか、そのぶん甘えん坊になって、お母さんにくっついている様子が、かわいらしい。
子供も低学年のうちは、宿題も手がかかる。
私たちが子供の頃はなかった宿題のひとつに、音読というのがあった。
子供が教科書の指定された部分を声を出して読み、ちゃんと読めたらおんどくかーどというものに、親がサインをするのである。
聞いてりゃいいだけとはいえ、親だって忙しい。
食器洗いの水をジャージャー出していて、半分も聞こえなかったのに
じょうずによめました
などとコメントするのはちょっと気がひけるものだ。
しかし、国語の教科書にはときどき、たいへん悲しいお話が入っている。
それをあどけない子供の声で読まれると、家事を忘れて引き込まれた。
…一つだけのお花、だいじにするんだよ お父さんは 一りんのコスモスを ゆみ子にわたすと 戦争にいきました それから…
ずずっ…
思わず小さく鼻をすすると、子供はめざとく教科書を置いて
あれ?おかーさん 泣いてる?
泣いてない!ほら、最後まで読みなさい!
この親子にも、これからそんなことがあるのだろうな。
もつれあうように仲良く歩くふたりを、早足になって追い越した。

(「一つの花」 今西祐行著 ポプラ社)

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新1年生だろう。
…きょうのねえ しゅくだいはねえ…
慣れない学校で気を張ってきたのか、そのぶん甘えん坊になって、お母さんにくっついている様子が、かわいらしい。
子供も低学年のうちは、宿題も手がかかる。
私たちが子供の頃はなかった宿題のひとつに、音読というのがあった。
子供が教科書の指定された部分を声を出して読み、ちゃんと読めたらおんどくかーどというものに、親がサインをするのである。
聞いてりゃいいだけとはいえ、親だって忙しい。
食器洗いの水をジャージャー出していて、半分も聞こえなかったのに
じょうずによめました
などとコメントするのはちょっと気がひけるものだ。
しかし、国語の教科書にはときどき、たいへん悲しいお話が入っている。
それをあどけない子供の声で読まれると、家事を忘れて引き込まれた。
…一つだけのお花、だいじにするんだよ お父さんは 一りんのコスモスを ゆみ子にわたすと 戦争にいきました それから…
ずずっ…
思わず小さく鼻をすすると、子供はめざとく教科書を置いて
あれ?おかーさん 泣いてる?
泣いてない!ほら、最後まで読みなさい!
この親子にも、これからそんなことがあるのだろうな。
もつれあうように仲良く歩くふたりを、早足になって追い越した。

(「一つの花」 今西祐行著 ポプラ社)

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音読の宿題なんてのもあるんですか~
私たちのころはありませんでしたが。
悲しいお話。
一つの花もごんぎつねも、小学4年生の教科書ですね。
この単元の時は、ぢょんさんとmiyazyyさんを肩に乗せて読み聞かせをします。
泣かないでね。
何回もきくことになるので慣れるんですが最初の一回は絶対ダメですー。
うん、いい宿題だ。
でも、つい聞き入ってしまいますよね。
感情を持っていかれる。
それはそれでいいのかも。
親子同時体験だから。
「ごん、おまえだったのか。いつも、くりをくれたのは」
こらえにこらえ、最後に涙腺決壊!
私の頃も、音読は教室でするもので、家でやる宿題というのはなかったと思います。
たぶん昔の先生は、そんな宿題出してもどうせやらないという性悪説にのっとってらしたのかと。
みのじ先生ごめんなさい!
わたし、がんばれません!
そうそう、ちいちゃんのかげおくり!あんな悲しすぎるお話…。
逆にいちばん面白くてよかったのは「千年の釘にいどむ」だったかな?薬師寺再建の釘の話でした。
うちの子供ねえ、上手かったんですよ、本読むの。
私は絵本の読み聞かせとか一切しなかったのに、子供にばかり読んでもらってました。