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ハジマル本。

休暇中のムスメが、スーツケースを取りに来た。行先を尋ねても

まだ決まってな~い

ソファにひっくり返って、スマホを指でスースー送っていると思ったら、

決めた~ ここにしよ~っと

航空券もホテルもとれてしまった。まったくイマドキは、気楽なものだ。

昔の海外旅行といったら、それは大層だった。

行先を決めたら、何冊もガイドブックを買い、隅々まで熟読する。ガイドブック以外に関連書籍を見つけたら、それも読む。

そんな中の1冊にこれがあった。

てむずとともに
(「テムズとともに 英国の二年間」 徳仁親王著 学習院教養新書)

新天皇がオクスフォード留学中の経験をつづった1冊。

きゅうくつな生活を離れ、護衛もゆるやかな中、学業の傍ら、友人とパブで乾杯したり、浮世離れした言動で笑われたり、笑ったり。

異国の風物やはじめて会う人々に送る、若きプリンスのみずみずしい視線がほほえましい。

淡々と抑えた文章ながら、この人はたぶん、冗談を言おうと思えば言える人だとわかる。

考えてみれば、ハタチそこそこの若者なのだ。

初めてサイフを持ってする買い物、初めてのアイロンがけ、初めてのディスコ…。

どんな体験も、筆者には

きっとこれが、最初で最後

父の跡を襲う身であれば、今後このような日々はふたたび望めない。

あきらめか、覚悟か。だからこそ、全てが輝いて、大切で。

せつなくて、宝石のような日々が、ここにある。

今朝のテレビにはご立派になられたかつてのプリンスの姿。

あの頃の彼と同じ年ごろのムスメは

ケンジトーショーケーノギ~? ケンジト~? ト~って何?

ラチもないことを、と思ったら、スーツケースを持ってもう出かけてしまった。

今ごろは、搭乗口に立っているだろう。

行ってらっしゃい。



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ブックガイド | コメント(6) | トラックバック(0) | 2019/05/01 11:30
コメント
No title
こんにちは!

ホントに今はスマホでなんでもチョイチョイですから…
私の時代は「地球の歩き方」の本は必需品でした~
うーん私にとってはバイブルでしたね。
すごい !
今からでもホテルやチケットが取れる事が驚きです。
No title
娘さん簡単に行く先決めてお出かけですか~
今は簡単なんですね。
・・・でどちらへ?
楽しい旅行になることでしょう。
皇室に生まれていたらこうはいかないでしょうね。

自由がなくなんか気の毒ですね。
気楽に居酒屋・・なんてそれこそ夢でしょうね。
平和でみんなが幸せになるような時代であってほしいものです。
将来
天皇になる定め。
青年には背負い切れない重いものだったことでしょう。
労働の自由がない。
親王はどのように気持ちを整理されたので
しょう?

お嬢様、ロシア旅行を思う存分楽しまれますように。
お土産は водка( ヴオートカ:ウオッカ)ですね。
Re: No title
minaアトリエのつぶやき様

地球の歩き方、流行りましたね。

小口が青く染めてあって、装丁も特徴的で、海外でもあれを見ると日本人とすぐわかりました。
Re: No title
Carlos様

私たちの頃は何でも旅行会社を通して、ビザが必要な国も多かったです。

気楽に出かけて行けるのも平和があるからですよね。
Re: 将来
rockin'様

友人に老舗のボンがおりましたが、跡継ぎの重圧って大変なもののようです。

ましてや万世一系の後継者なんて想像を絶します。

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