キボウノ本。
彼女の名前をはじめて知ったのは、母が読んでいた本。
買ったのか、婦人会のダレソレさんに借りたのか。
主婦の間に、前にアナタが買ってくれたから、今度はワタシが、といった貸し借りが成立した、つつましい時代である。
そんな中にかなりの比率で彼女の著作が含まれていたのは、やはり当時人気があった証拠だろう。
母が手にした本だが、活字に飢えていた少女の私は、もれなくこっそり読んでいた。
はじめはエッセイ。
女が、それも大人の女が、面白くてもいいのだということを知った。
そして、ご多聞に漏れず、屈折したコンプレックスのかたまりだった少女期。
恋愛なんて、標準語の美人がするもので、自分には一生縁がないと思いこんでいた。
オタフクでも、大阪弁でも、美しい恋愛はできるのだと、教えてくれたのが彼女の小説だった。
現実に周りの大人を見ていても、なかなか夢は持てないが
大人になるっていいよ 見る力さえあれば 美しいものはたくさんあるよ
そう言い続ける彼女から、大げさに言えば生きる希望を与えられた、と思う。
田辺聖子が亡くなった。享年91。
どの1冊を挙げるか迷ったが、古典世界の人を親しく感じるきっかけとなったこの本を、著者近影に代えたい。

(「文車日記」 新潮文庫)

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買ったのか、婦人会のダレソレさんに借りたのか。
主婦の間に、前にアナタが買ってくれたから、今度はワタシが、といった貸し借りが成立した、つつましい時代である。
そんな中にかなりの比率で彼女の著作が含まれていたのは、やはり当時人気があった証拠だろう。
母が手にした本だが、活字に飢えていた少女の私は、もれなくこっそり読んでいた。
はじめはエッセイ。
女が、それも大人の女が、面白くてもいいのだということを知った。
そして、ご多聞に漏れず、屈折したコンプレックスのかたまりだった少女期。
恋愛なんて、標準語の美人がするもので、自分には一生縁がないと思いこんでいた。
オタフクでも、大阪弁でも、美しい恋愛はできるのだと、教えてくれたのが彼女の小説だった。
現実に周りの大人を見ていても、なかなか夢は持てないが
大人になるっていいよ 見る力さえあれば 美しいものはたくさんあるよ
そう言い続ける彼女から、大げさに言えば生きる希望を与えられた、と思う。
田辺聖子が亡くなった。享年91。
どの1冊を挙げるか迷ったが、古典世界の人を親しく感じるきっかけとなったこの本を、著者近影に代えたい。

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私には味方になってくるパートナーはできなかったけど(~_~;)
残念ながら私は彼女の本は読んだことはありません。
少女時代、影響を受けたんですね。
ご冥福をお祈りします。
「この本を著者近影にかえたい」
やっぱし、短い文章にも
昔、むかしの肥料が有ってこそですか
今頃カモカのおっちゃんと再会して乾杯してるかな?
ご冥福をお祈りします。
毎日、毎日読みました。
読み出したらやめられないから。
私の好きなライターです。
合掌。
カモカシリーズは流行りましたねえ。
ご夫婦で、よう飲んではった。私もあの境地には憧れあります。
男性の読者は少ないかもしれませんね。
軽いものも多いですから、今からでもいかがでしょうか。
あら、かっこいいですか?思わぬところをお褒めいただき、嬉しいです。
田辺先生は可愛い方だから、お年を召してからの写真を掲げるのは、喜ばれないかと思ったんです。
私と同じですね!
現実的な夢?って言い方おかしいですが、そんなものを見せてもらった気がします。
mikaidouさんの記事も拝読しました。
ああ、同じだなあ…と、手を取り合ったような、気持ちになりましたよ。
人にあまり本を勧めない私ですが、この本はいろんな人に貸したりしました。
今また読み返しています。
私の文章の先生のひとりが、田辺先生かもしれません。
たぶん一生届かないけど。
エッセイも面白くて。
また、読みたいなと思います。
エッセイは声を出して笑うほど面白かったですね。
今読んで同じくらい面白いだろうかと思うと、手にするのがためらわれます。