うなぎの話。
母方の祖父は、生きてれば百になる。
現役時代はヤリテの商売人だったらしいが、私がモノゴコロついたころには、単なる困ったじーさんであった。
買物好きで道楽者。お酒は飲めないのに、キレーなお姐さんのいる夜の街をウロウロする。
中でも好きなのが外食。
若いころには、いきなり自家用車に家族を乗せて
今からカニを食べに行くぞ!
なんてこともあったらしい。
道頓堀に「かに道楽」がある時代じゃない。大阪から、日本海までぶっとばして、その日は泊りなのだ。
期末試験前だったじーさんの娘(つまり私の母)は、車の中で泣いたそうだ。
そんな具合だから、もうヨレヨレになってからも、何かっちゅうと外でご飯を食べたがった。
病気して入院してからは、さすがにワガママは言えまいと思っていたのだが、見舞いに行ったら、看護師さんにこう言われた。
おじーちゃんね、どっから出してきたのかしら、千円札を見せてね
アンタな、これでウナギ買うてきておくれ
って言ったんですよ!こんな患者さん、初めて!
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
しかし同時に、流動食になってなおウナギが食べたい!というじーさんの気力には、身内ながらアッパレと尊敬の念もわいた。
戦中戦後を生きた人間の、生への執着ってこうなんだ。
私なら死病の床で「ウナギ!」なんて思えるかなあ。ムリだろうなあ。
今日は土用丑。じーさんを偲んで、元気なうちにウナギのひときれでも食べよう。

(しかし今の世の中、ウナギは千円では無理)
本日早朝より他出のため、2014年7月31日の記事を再掲いたします。

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現役時代はヤリテの商売人だったらしいが、私がモノゴコロついたころには、単なる困ったじーさんであった。
買物好きで道楽者。お酒は飲めないのに、キレーなお姐さんのいる夜の街をウロウロする。
中でも好きなのが外食。
若いころには、いきなり自家用車に家族を乗せて
今からカニを食べに行くぞ!
なんてこともあったらしい。
道頓堀に「かに道楽」がある時代じゃない。大阪から、日本海までぶっとばして、その日は泊りなのだ。
期末試験前だったじーさんの娘(つまり私の母)は、車の中で泣いたそうだ。
そんな具合だから、もうヨレヨレになってからも、何かっちゅうと外でご飯を食べたがった。
病気して入院してからは、さすがにワガママは言えまいと思っていたのだが、見舞いに行ったら、看護師さんにこう言われた。
おじーちゃんね、どっから出してきたのかしら、千円札を見せてね
アンタな、これでウナギ買うてきておくれ
って言ったんですよ!こんな患者さん、初めて!
恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
しかし同時に、流動食になってなおウナギが食べたい!というじーさんの気力には、身内ながらアッパレと尊敬の念もわいた。
戦中戦後を生きた人間の、生への執着ってこうなんだ。
私なら死病の床で「ウナギ!」なんて思えるかなあ。ムリだろうなあ。
今日は土用丑。じーさんを偲んで、元気なうちにウナギのひときれでも食べよう。

(しかし今の世の中、ウナギは千円では無理)
本日早朝より他出のため、2014年7月31日の記事を再掲いたします。

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カニは「喜」を与えます。
そして綺麗なお姐さんは「楽」をもたらします。
おじい様はそのことをよくご存知だった人生の達人です。
見習いたい。
見習ってください。
ただ奥様には恨まれる人生となることと思います。