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てがみの話。

知人友人との連絡も、メールやLINEの昨今だが、旧型人間の私は、まだ筆マメなほうだ。

年賀状も出すし、ものを送る時は添え状も書く。

しかし、便箋と封筒を使って「お手紙」を出す機会はほとんどない。

「お手紙」は昭和の女学生のタシナミであった。

かわいい便箋や封筒を集め、相手の好きそうなのを選んで送る。

たわいない内容でも、いそいそとした時間はほんとうに楽しいものだった。

どんなことを書いたのか、ちっとも覚えていないが、誰が好きだとか、何がステキだとか、まあ、その程度のことだろう。

若い日のお手紙なんて、歳月の隙間に、花びらの散るようにヒラヒラ消えて行くものだ。

ところが先日、某所で某さんと話していたら、恐るべきことを聞いてしまった。

今までもらったお手紙を

ぜーんぶ取ってあるわよ 

というのである。

さいわい、彼女は学生時代の友人ではないが、それでも某さんに手紙を出したことなかったっけ、と、超高速で記憶をたどってしまった。

だってせっかくいただいたのに 捨てたら申し訳ないでしょう

某さんはそう言うが、

いや、捨てていいから!むしろ頼むから捨てて!

私は心で叫んだ。

帰り道、つらつらと考えるに、私のかつての学校友達の誰かが、某さんのような主義でない、とは言い切れない。

つまり、若き日の私のお手紙が、どこかに後生大事にしまわれている可能性もゼロではないのだ。

そう思うと、にわかにおシリがモゾモゾと、落ち着かない気分になった。

本日、文月ふみの日

ふみのひきって1998



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もろもろ | コメント(10) | トラックバック(0) | 2019/07/23 11:30
コメント
No title
世の文豪とかの「書簡集」というのは、そういう某さんの様なお方がいらっしゃって初めて成立するものですから、この手の書簡集が結構世に出ていることから見ても、そういうお方は世の中に「かなりの比率」でいらっしゃるのではないかと…w。
No title
そうですね~最近は手紙を出すことはほとんどなくなりましたね。
せいぜい年賀状ぐらいでしょうか。
昔書いた恋文、まだ持っているかな?まさか~
No title
このブログを読んで、ひぇ~と思いました。
友達にせっせと手紙を書いてたので、まさか残してないよね?と、恐ろしくて聞けません。

おもしろい手紙なら残してる可能性があるので、私のはその時に読んだら捨てているでしょう・・・ぢょんでんばあさんの手紙はおもしろいと思われるので、残っている可能性が!
手紙は
恒久保存が原則です。

例えば私がじょん でんばあ様に手紙を出したとします。
勿論、廃棄することなく保管しなくてはなりません。
例えその内容が「ちくわとかまぼこのどちらがお好きですか?」とゆーよーなものであったとしても。
ね。
たしかに!
確かに、レターセットを揃えたり、お気に入りの便箋があったり、切手までこう、かわいいのを選ぶ楽しみがありましたね。
 ふみの日切手は村上勉さん、永田萌さんなんかのかわいいのが多かったので愛用していました。わざわざかわいいから、と2枚、値段が違うものを貼ったり、30枚ぐらい書いて大型封筒で送りあった巨大版文通もありました。
 面白かったなあ、と思います。今じゃあ、書きたいことは全部ブログに書いちゃっているんですが。
Re: No title
kanageohis1964様

昔の全集など見ていますと、自分が出した手紙の控えを克明にとっている方もいらっしゃいますね。

行った先で捨てられてはかなわないという執念を感じます。
Re: No title
Carlos様

ある日、昔の手紙を手に美女が現れ…

なんて想像をしてしまいました。
Re: No title
レツゴ―一匹様

手紙のほかにもヤバいのがあるんですよ。

それは友達とグループでやっていた、交換日記!
Re: 手紙は
rockin'様

もしrockin'様からお手紙をいただけたら、すぐさま高級和紙で裏打をし、希少な金襴緞子を用いて、表装いたします。

出来上がった掛軸はわが家の一番良い場所にかけ、日々目にして人格の陶冶に努めたいと思います。

たとえその内容がチクワとカマボコのみであったとしても。
Re: たしかに!
まこ様

そうそう、切手も楽しみのひとつでしたね!

切手だけを見ると今のほうがかわいいのが多いので、あの頃こんなのがあったらなあ、なんて思います。

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