ちょこぱ話。
高校1年生の時からずっと、日曜日はアルバイトをしていた。
特に貧しいわけでもなく、遊興費がかさむほど人付き合いするでなく、お金のかかる趣味もないのに、多分とてもとてもヒマだったんだと思う。
土曜日も学校があった時代の貴重な日曜日、そんなにヒマだったのかと思うと少々情けない。
高校に入ってしばらくは、郵便局で年末年始の仕分けしたり、パン屋でサンドイッチを三角の袋に詰めたりソフトクリームを巻いたり、していた。
そのあとクラスメイトが、もっとワリのいいバイトを見つけたから、という理由で、高校の近くの喫茶店のウエイトレスの仕事を譲ってくれた。
コスタリカというその店には卒業まで勤めた。
ビジネス街のその店は、コーヒーを売り物にしている風の店名にもかかわらず、コーヒーはホット・アイスとアメリカンだけ。
しかもアメリカンはホットをお湯で薄めるという、なんというか気楽な店だった。
平日は勤め人でにぎわうが、日曜日は時給が出るのか心配になるほどヒマだ。
それでも時々は、草野球チームがどやどやとやってきたり、買い物帰りのオバサンのグループが、ミックスジュースを注文したりして、忙しくなる。
珍しくチョコパこと、チョコレートパフェの注文が集中した日があった。

最初の6つはすぐ出たが、7つ目がなかなか出せない。
実は、来る客来る客、座ると同時に「ホット」「ホット」のその店では、あまり出ないパフェ用のグラスが6つしかなかったのだ。
しかもよりによって、待たせているのは中小企業の社長なんだか「そのスジ」の方なんだか、判断に迷うパンチパーマのオッチャンである。
おう、ネエちゃん、ワシのチョコパまだかいな!エッライ待たっしょんな!
(訳・お嬢さん、私のチョコレートパフェはまだでしょうか。ずいぶんと長く待たされていますが)
高校生ウエイトレス、危うし!
仕方がない、この際正直に、事情を言おう。ペコンと頭を下げて
ゴメンナサイ!グラスが6つしかナイんです
怒鳴られるかと一瞬身を縮めたら、意外なほどやさしい声が
なんやそんなことかいな、かめへん、かめへん!ワシやったら茶碗でもドンブリでもええで!
(訳・なあんだ、その程度のことでしたか。私はどんな入れ物に入れてくださっても、いっこうにかまいませんよ)
厨房のニーチャンがおそるおそる作った中ジョッキのチョコパは、5割増しの大増量だったが、パンチのオッチャンは目を細めて完食した。
人は見かけによらない、という人生勉強であった。

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特に貧しいわけでもなく、遊興費がかさむほど人付き合いするでなく、お金のかかる趣味もないのに、多分とてもとてもヒマだったんだと思う。
土曜日も学校があった時代の貴重な日曜日、そんなにヒマだったのかと思うと少々情けない。
高校に入ってしばらくは、郵便局で年末年始の仕分けしたり、パン屋でサンドイッチを三角の袋に詰めたりソフトクリームを巻いたり、していた。
そのあとクラスメイトが、もっとワリのいいバイトを見つけたから、という理由で、高校の近くの喫茶店のウエイトレスの仕事を譲ってくれた。
コスタリカというその店には卒業まで勤めた。
ビジネス街のその店は、コーヒーを売り物にしている風の店名にもかかわらず、コーヒーはホット・アイスとアメリカンだけ。
しかもアメリカンはホットをお湯で薄めるという、なんというか気楽な店だった。
平日は勤め人でにぎわうが、日曜日は時給が出るのか心配になるほどヒマだ。
それでも時々は、草野球チームがどやどやとやってきたり、買い物帰りのオバサンのグループが、ミックスジュースを注文したりして、忙しくなる。
珍しくチョコパこと、チョコレートパフェの注文が集中した日があった。

最初の6つはすぐ出たが、7つ目がなかなか出せない。
実は、来る客来る客、座ると同時に「ホット」「ホット」のその店では、あまり出ないパフェ用のグラスが6つしかなかったのだ。
しかもよりによって、待たせているのは中小企業の社長なんだか「そのスジ」の方なんだか、判断に迷うパンチパーマのオッチャンである。
おう、ネエちゃん、ワシのチョコパまだかいな!エッライ待たっしょんな!
(訳・お嬢さん、私のチョコレートパフェはまだでしょうか。ずいぶんと長く待たされていますが)
高校生ウエイトレス、危うし!
仕方がない、この際正直に、事情を言おう。ペコンと頭を下げて
ゴメンナサイ!グラスが6つしかナイんです
怒鳴られるかと一瞬身を縮めたら、意外なほどやさしい声が
なんやそんなことかいな、かめへん、かめへん!ワシやったら茶碗でもドンブリでもええで!
(訳・なあんだ、その程度のことでしたか。私はどんな入れ物に入れてくださっても、いっこうにかまいませんよ)
厨房のニーチャンがおそるおそる作った中ジョッキのチョコパは、5割増しの大増量だったが、パンチのオッチャンは目を細めて完食した。
人は見かけによらない、という人生勉強であった。

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アルバイトをやっていたんですか~
いや~チョコパには笑っちゃいました。
容器が6個しかないなんて・・
でもパンチパーマのお兄ちゃんなかなか優しかったんですね。
でも懐かしい思い出でしたね。
この間、テレビで怖い兄さん達を見ていたから、、、、なんかホッとするね。
アタシも喫茶店でバイトしてたことあったけど、
そんなん無かったなあ。
うらやましい。
オッチャン、かっこいいっ!
そんなん素敵なこと、無かったなあ。
うらやましい。
オッチャン、かっこいいっ!
GO
高校生でバイト\(^o^)/
そして、テレビのドラマでも見てるかのような、素敵なお話し。
ぢょん・でんばあさんの書き方が素敵で、思わず引き込まれて読んでました。
最後、めでたし、めでたし、で、このドラマ、とても爽やかな気持ちにさせてくれました(((o(*゚▽゚*)o)))
想い出に残るエピソードが無いです(;´∀`)
良い方の『見かけによらない』で良かったですね(*´▽`*)
中ジョッキのチョコパ(≧▽≦)
食べたいなぁ
何処に行ったらたべれるかなぁ
うちの子どもを含め、今の高校生ってアルバイトしませんね。
不景気でフリーターと呼ばれる人が増えて、仕事が回ってこないのかな…なんて思ってます。
今はわかりませんが、昔は大阪にはこういう、パンチパーマにダブルの背広、金の時計して、まるで怖い方のような、でも堅気の社長、というのが、けっこういらしたんですよ。
やっぱり商売には押しの強さが必要なんでしょうかね。
これは関西人の気質にもちょっと関係あるかもね。
ウエイトレスとか、店員とか、初めて会ったような人に、友達みたいにわりに気楽に話しかけるという文化があって、例えばコーヒー運んでいくと、二人で会話していたお客さんの片方に「なあ、おねーちゃんもそう思うやろ?」なんて、急に同意を求められるなんてことがよくありました。
そこで気楽に返事できるようでないとサービス業は務まらないのです。
大阪以外の土地でこれをやると、マニュアル応対の店員さんに「はあ?」という顔をされて悲しい思いをします。
昔勤めていた職場に私服警官が「聞き込み?」にいらして、そのいかつい見た目に驚いたことがあります。物腰は丁寧でしたが、外見は完全にあっち側でした。
朱に交われば何とやら、でしょうか。
うちの娘や息子も、私がバイトの時の楽しかった話をよくするのを聞いていて、高校に入ったらバイトしようと思ってたようですが、最近はそもそも高校生を採用するところが少ないのですよね。
結局娘のバイトデビューも大学生になってからです。
娘の高校はバイト許可制だったので、「バイトしたいんですが」と先生に相談したら、「学資に困ってるんなら奨学金を申請しなさい」とアドバイスされたそうです。そういうことじゃないんだけどなあ…。
若い時のバイトはつらかったこともあったはずですが、不思議と思いだすのは楽しかったことばかりです。
中ジョッキのパフェをメニューに入れてるお店があるかどうかはわかりませんが、超ビッグサイズのパフェを「花瓶」に入れて出しているお店は知ってます。でも、まだ営業してるかなあ…。
「茶わんでも、ドンブリでもええで」
ていうオッチャンも,
お笑いの素質十分だけど,
中ジョッキで出したオニイチャンも
負けてないですよね。
まあ,その二人の仲を取り持った,
ぢょん・でんばあさんが,一番エライと思います。
お褒めに預かり恐縮です。
世の中余裕がなくなってきてますから、こういう対応ってきっとマニュアルじゃ叱られちゃうんでしょうね。
みんないい意味でエエカゲンだったなあと懐かしく思います。
特に関西方面の方は
必ずウェイトレスさんのこと
「ねえちゃん」と言われますよね。
あと「れーこー」と「フレッシュ」
つわものは「スジャータ」でしたよね。えぇ。
喫茶店あるあるですね(笑)
古い記事をお読みくださってありがとうございます。
関西ってこういう、その筋かどうか迷うタイプの、実はけっこう偉い方が、多くいらっしゃるんですよね。
かならずネエチャンと言う社長もいるので、いまだに見分け方が分かりません。