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ふたりの話。

回転寿司のことを考えた(→どこなの話。)せいか、食べたくなった。

1人暮らしのいいことは、気ままに食事ができることだ。

平日の夕方早い、ヘンな時間。食堂街の回転寿司は、ガラガラに空いている。

いや、ガラガラどころではない。見渡すフロアに客は私1人であった。

あまつさえ店員もいない

席につくにもためらわれて、立ったままキョロキョロしていたら、やがてカウンターの中、のれんの奥から、白衣の小柄な姿が現れた。

…いらっしゃいませ~ お待たせしてスミマセン…

慌てた様子のオーダー係は、若い女の子だった。

職人さんも、客がないので奥で休憩しているのだろう、悪いことをした。

ごめんなさいね ヘンな時間に… 大丈夫?

一応確認すると、かわいく笑って

もちろん どうぞお好きな席に!

選び放題の席を、手のひらで示してくれる。

人の来ない時間だからか、お寿司のお皿は回っていない。

握りますから お好みおっしゃってください~

そう言うのは、職人さん…ではなく、オーダー係だと思っていた女の子ではないか。

もしかして… 今ひとり?

そうなんです~

とりあえず3皿ばかり注文したが、手持無沙汰でつい、彼女の手元を見てしまう。

思いのほか手際よく、注文のお寿司が出来上がり

お待たせしました~

かわいい女の子が作ってくれたお寿司。おままごとで遊んでいるようで、楽しい気分だ。

オバサンはこういう時、つい若い人に話しかけてしまう。

ひとりぼっちで こういうの、よくあるの?

あんまり…たま~にですけど…

心細くない?ヘンな人が来たり…

そう言う私もまあまあヘンな客だが

いえいえ~

ニコニコと感じがいい。

夜の準備作業を始めた彼女を邪魔しないように、おとなしくお寿司を食べて、そろそろ帰ろうか、と思いはじめたころ、他の店員が出勤してきた。

ぽつぽつと、客も入りだす。

ふたりぼっちの時間は終わったらしい。

お皿を数えに来た、男の店員の肩越しに、小さく手を振ったら、彼女はぺこり、と頭を下げた。

かいてんずし



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ごきんじょ | コメント(4) | トラックバック(0) | 2019/10/19 11:30
コメント
No title
回転ずし屋を独り占めでしたか~
落ち着かなかったでしょうね。
Re: No title
Carlos様

オジサンの職人さんだったら居心地悪いかもしれませんが、若い子なのでそうでもなかったですよ。

女の子はどうだったかしれませんが…。
回転寿司に
そんな素晴らしい時間があるなんて夢にも思いませんでした。

若い女性と差し向かい。
いいなぁ。
羨ましいなぁ。
Re: 回転寿司に
rockin'様

私も、あんなのは初めてでした。

また変な時間に行ってみようっと。

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